100 / 166
奇策縦横
しおりを挟む
やられた!
ようやく高度と速度的に戦闘機動可能になったヘリントン達は歯軋りした。
日本軍パイロット達の技量は承知していたが、「奴」はさらにその天井を行っていた。
恐らくは人外の一人…。
となると…。
「VF49!こちらモンタナCIC!!そこから見て2時方向より敵一大梯団!要撃頼む。」
「ラジャー!」
ヘリントンの肉眼にも写る、畜生。
高度20を下手すれば切ってるんじゃないか。いい腕だ…。
「第5から第8中隊、敵攻撃隊を排除!
後は高度を上げ新手と敵戦闘機に対処する!」
ベアキャットの強みは軽い機体にヘルキャット以上の馬力のエンジンを載せたが故の上昇力。
ヘリントンは高度3000強で近づいてくる、敵の別梯団に対処すべく部下達と高度を取る。
味方無線から、ワスプⅢが誘爆を止められず総員退艦を命じられたとの報。
1トン以上の爆弾ではあったろうが、エセックス級以上のダメコン能力を有した巨艦がただの一撃で…いや、やめよう。
出鼻は最悪だが…もう迎撃体制は整いつつある。
やはり…こちらが本隊か?
とにかく百倍にして復讐せねば!
「全機!敵戦は全てタイプ54!
こちらの優速を活かし、上から攻撃機優先で叩く!」
「イエッサー!!」
2200馬力のパワーにモノをいわせ、ベアキャット群が日本の攻撃機流星改の群に襲いかかる。
が、
「同じ54型でもこっちは『丁改』だぜ!?」
杉田庄一飛曹長率いる小隊が、急降下してきたベアキャット群を横合いから殴りつける!
!!??
ヘリントンらは混乱する。
どういうことなの…?
カタログスペック的にはゼロタイプ54に何もさせず、敵攻撃機群をヒットアンドアウェイで叩きまくる筈が…。
そう…。
54型にして54型にあらず。
この零戦54型丁改は、金星エンジンの最終型ハー112Ⅲ 1650馬力を搭載。
それにMW50改を加えれば緊急出力15分間で1900馬力!
なおかつベアキャットより1トン弱は軽い機体。
そして更なる空力的洗練を加え…。
675キロの優速と高機動性を存分にこの決戦の地で振るう!
いかん、若手が頭に血が上って、編隊が崩れかけている…
「4機、最低でも2機で動け!数的優位は動かん!」
そうヘリントンは叱咤するが、すでに敵攻撃隊は低空を這い味方前衛に迫っている。
くっ、かく言うこの俺自身も…!?
指揮官機と看破されたか、手練れの2機に食らいつかれ防戦一方。
「アーッ!!」
などと叫びつつも超機動を繰り返し、一機は墜としたのは流石であったが。
「3機目…。と。」
編隊空戦を今回は免除されたベテランの一人
その中でも最上位クラス。
岩本徹三は呟き、次の刹那には味方護衛上優先すべき敵を探す。
彼は多くとも2、3の挙動で敵の腕の程度を見切って、最低限の軌道と弾数で屠っていた。
先刻視界の端で見たが、西澤も調子良く暴れているようだな。
次はあいつ…。
!?
高速横転、ゼロコンマ数秒前にいた空間を、20ミリの火箭が薙ぐ。
ここまで俺に気づかれず忍び寄れるのは…。
「ヘイ構わん殺すぞ!」
奴だな…俺にはワカる。
ヘリントンと岩本の機体は、久方ぶりの組んず解れつのドッグファイトに入った。
「敵攻撃機、80、いや100以上、前衛ピケット駆逐艦群に接近!
しかもレーダーで全ては捕捉できず、目視を含めての報告です!
超低空接近…。」
「バカな!ベアキャット隊はナニしてる!?」
カーニーは叫んだが、ハルゼーは表情を崩さない。
「ふん!だから何だ。
また二番煎じで外周の艦から削るつもりらしいが…。
あいにく『そこ』が最悪の鬼門だ。
駆逐艦群、射程に入る20秒後にボフォース40ミリ斉射!!全部蜂の巣にしろ!!」
電波信管を活かした高角砲抜きでも、ハリネズミ以上の鉄火の嵐の前で、「頭を上げられない」連中はなすすべもなく鴨撃ちに…。
!!??
次の瞬間、敵攻撃機群、流星改の群れから太い火箭が一斉に…!?
何だあれは…大型ロケット弾!?
ようやく高度と速度的に戦闘機動可能になったヘリントン達は歯軋りした。
日本軍パイロット達の技量は承知していたが、「奴」はさらにその天井を行っていた。
恐らくは人外の一人…。
となると…。
「VF49!こちらモンタナCIC!!そこから見て2時方向より敵一大梯団!要撃頼む。」
「ラジャー!」
ヘリントンの肉眼にも写る、畜生。
高度20を下手すれば切ってるんじゃないか。いい腕だ…。
「第5から第8中隊、敵攻撃隊を排除!
後は高度を上げ新手と敵戦闘機に対処する!」
ベアキャットの強みは軽い機体にヘルキャット以上の馬力のエンジンを載せたが故の上昇力。
ヘリントンは高度3000強で近づいてくる、敵の別梯団に対処すべく部下達と高度を取る。
味方無線から、ワスプⅢが誘爆を止められず総員退艦を命じられたとの報。
1トン以上の爆弾ではあったろうが、エセックス級以上のダメコン能力を有した巨艦がただの一撃で…いや、やめよう。
出鼻は最悪だが…もう迎撃体制は整いつつある。
やはり…こちらが本隊か?
とにかく百倍にして復讐せねば!
「全機!敵戦は全てタイプ54!
こちらの優速を活かし、上から攻撃機優先で叩く!」
「イエッサー!!」
2200馬力のパワーにモノをいわせ、ベアキャット群が日本の攻撃機流星改の群に襲いかかる。
が、
「同じ54型でもこっちは『丁改』だぜ!?」
杉田庄一飛曹長率いる小隊が、急降下してきたベアキャット群を横合いから殴りつける!
!!??
ヘリントンらは混乱する。
どういうことなの…?
カタログスペック的にはゼロタイプ54に何もさせず、敵攻撃機群をヒットアンドアウェイで叩きまくる筈が…。
そう…。
54型にして54型にあらず。
この零戦54型丁改は、金星エンジンの最終型ハー112Ⅲ 1650馬力を搭載。
それにMW50改を加えれば緊急出力15分間で1900馬力!
なおかつベアキャットより1トン弱は軽い機体。
そして更なる空力的洗練を加え…。
675キロの優速と高機動性を存分にこの決戦の地で振るう!
いかん、若手が頭に血が上って、編隊が崩れかけている…
「4機、最低でも2機で動け!数的優位は動かん!」
そうヘリントンは叱咤するが、すでに敵攻撃隊は低空を這い味方前衛に迫っている。
くっ、かく言うこの俺自身も…!?
指揮官機と看破されたか、手練れの2機に食らいつかれ防戦一方。
「アーッ!!」
などと叫びつつも超機動を繰り返し、一機は墜としたのは流石であったが。
「3機目…。と。」
編隊空戦を今回は免除されたベテランの一人
その中でも最上位クラス。
岩本徹三は呟き、次の刹那には味方護衛上優先すべき敵を探す。
彼は多くとも2、3の挙動で敵の腕の程度を見切って、最低限の軌道と弾数で屠っていた。
先刻視界の端で見たが、西澤も調子良く暴れているようだな。
次はあいつ…。
!?
高速横転、ゼロコンマ数秒前にいた空間を、20ミリの火箭が薙ぐ。
ここまで俺に気づかれず忍び寄れるのは…。
「ヘイ構わん殺すぞ!」
奴だな…俺にはワカる。
ヘリントンと岩本の機体は、久方ぶりの組んず解れつのドッグファイトに入った。
「敵攻撃機、80、いや100以上、前衛ピケット駆逐艦群に接近!
しかもレーダーで全ては捕捉できず、目視を含めての報告です!
超低空接近…。」
「バカな!ベアキャット隊はナニしてる!?」
カーニーは叫んだが、ハルゼーは表情を崩さない。
「ふん!だから何だ。
また二番煎じで外周の艦から削るつもりらしいが…。
あいにく『そこ』が最悪の鬼門だ。
駆逐艦群、射程に入る20秒後にボフォース40ミリ斉射!!全部蜂の巣にしろ!!」
電波信管を活かした高角砲抜きでも、ハリネズミ以上の鉄火の嵐の前で、「頭を上げられない」連中はなすすべもなく鴨撃ちに…。
!!??
次の瞬間、敵攻撃機群、流星改の群れから太い火箭が一斉に…!?
何だあれは…大型ロケット弾!?
20
あなたにおすすめの小説
小日本帝国
ypaaaaaaa
歴史・時代
日露戦争で判定勝ちを得た日本は韓国などを併合することなく独立させ経済的な植民地とした。これは直接的な併合を主張した大日本主義の対局であるから小日本主義と呼称された。
大日本帝国ならぬ小日本帝国はこうして経済を盤石としてさらなる高みを目指していく…
戦線拡大が甚だしいですが、何卒!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
幻影の艦隊
竹本田重朗
歴史・時代
「ワレ幻影艦隊ナリ。コレヨリ貴軍ヒイテハ大日本帝国ヲタスケン」
ミッドウェー海戦より史実の道を踏み外す。第一機動艦隊が空襲を受けるところで謎の艦隊が出現した。彼らは発光信号を送ってくると直ちに行動を開始する。それは日本が歩むだろう破滅と没落の道を栄光へ修正する神の見えざる手だ。必要な時に現れては助けてくれるが戦いが終わるとフッと消えていく。幻たちは陸軍から内地まで至る所に浸透して修正を開始した。
※何度おなじ話を書くんだと思われますがご容赦ください
※案の定、色々とツッコミどころ多いですが御愛嬌
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる