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新たなる対立軸!?
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帝都
新大本営
統合作戦本部
山本五十六参謀総長
それに陸軍出身の八原作戦部長が補佐、仕切る形にて、米軍の北方アリューシャンへの新規攻勢に関しての緊急会議が開かれた。
居並ぶ高級参謀達も動揺を隠せない。
「どういう事か…。たしかに我々の想像もつかぬ大国。完全にねじ伏せるのは不可能にせよ、欧州と並行して継戦とは…世論は納得しているのか向こうの。」
「これならば、前回逃してやった敵上陸船団も徹底して叩いてやれば良かったのだ…。」
「最大限、こちらも譲歩しておるというのに…野村大使はきちんと伝えたのか!?」
トントンと、山本が机を叩き、参謀達が背筋をただす。
「いずれにせよ、外交ルートが駄目ということは、引き続き我々軍人が踏ん張らねばならんという事だ。
そもそも政治の領域にいないものが、騒いでも仕方ない。
現状の線を最低限防衛。に知恵を絞らねばならん。」
「ぎょ、御意!!」
「では、近く予想されるアリューシャン方面への敵機動部隊への対策でありますが…。」
八原作戦部長が地図を指し示す。
「一応、応急的に正規空母5隻、戦艦4隻を基幹とした救援艦隊を送り込む甲案が有力でありますが…。」
意味ありげな視線を久保に向ける八原。
久保も微かに口角を上げる。
「要りません。
フネも艦載機も…。
その代わり富嶽初号機、弐号機、あとは完成した14から20号機。
これにて対処します。」
どよめく参謀達。
「馬鹿な、いかなあの超重爆といえども、護衛戦闘機も無しに…」
「まだ相対的には、敵は有力な機動部隊を有している可能性すらあるのですぞ?」
他の幕僚達からは案の定の反応。
「護衛は、つけます。というより向こうに行けば制空任務もありますが。」
!!???
「付けると言うか、着けます」
海軍所属、択捉仮設基地。
「で、ぶら下がってるこいつに乗れっての?」
富嶽15号機の前で、カリンは憮然として呟く。
親子飛行機の形で現地に持って行って、それでもって爆撃隊護衛、制空戦闘…。
発想は悪くないけど、自分が当事者となると…。
しかもコレ、微妙に…。
「厳密には戦闘機ではないな。」
「は?」
「そう新たなカテゴライズ。
『戦略機』とでも呼ぶべきか。」
「んでは、俺は14号機にいく。君もそろそろ…」
「ワカッてる…おります。閣下。」
取り敢えずは敬礼し、カリンは15号機に歩み寄る。
その自らの新たな翼を見遣りながら…。
まぁ私の希望通り、赤く塗ってくれたのはいいけど。
その同じ日、日本時間午後2時頃。
陸軍予備役中将にして総力戦研究所特別顧問、石原莞爾は、軽井沢のとある山荘を訪れていた。
「閣下の『復帰作戦』が遅れてしまい、誠に申し訳もなく…。」
「いや、食客の身で流石に私も…。
こうも戦局が混迷しては無理からぬこと」
通称「ヴォルフ氏」はちょび髭を撫でつつ穏やかに返した。
かつてのかの人物を知るものが見れば驚くであろう。
まるで、憑き物が取れたような…。
「しかし石原将軍の先日のお話は驚きであった。
ソ連崩壊と入れ違いに、中国の共産主義…。
いや国家資本主義というべきか…。
それが世界を侵蝕する未来とは。」
「御意…私も自身の知見不足に汗顔の極み。
例の最終戦争の著書も書き直さねばなりませんな笑」
「ここでその芽を潰すべし、と彼は言っておるのですな?」
石原は頷く。
「総統…いや、閣下のアーリア人理想国家建設の理想は尊重いたしますが、ユダヤ人らの処遇は考えていただきたい。
それらの流れの一環としましてな…。」
「う、うむ…わが帝国を奪回したとて、やり口がハイドリヒの時と同じ、では米英との講和も確かにまともには進むまい。」
「仰る通りです。」
そう、石原は久保と示し合わせた上で、「ヴォルフ」ことアドルフ・ヒトラーと面談を重ね、未来知識を小出しにしつつ、石原流の話術で巧みに少しずつ彼の歪み切った人種観を矯正、マインドコントロールしていたのである。
「まだ、マンシュタイン、モーデルら各将軍がウラル方面で頑張っておられます。
我々もなるべく計画を急ぎます故。」
「うむ、よしなに頼む。」
新大本営
統合作戦本部
山本五十六参謀総長
それに陸軍出身の八原作戦部長が補佐、仕切る形にて、米軍の北方アリューシャンへの新規攻勢に関しての緊急会議が開かれた。
居並ぶ高級参謀達も動揺を隠せない。
「どういう事か…。たしかに我々の想像もつかぬ大国。完全にねじ伏せるのは不可能にせよ、欧州と並行して継戦とは…世論は納得しているのか向こうの。」
「これならば、前回逃してやった敵上陸船団も徹底して叩いてやれば良かったのだ…。」
「最大限、こちらも譲歩しておるというのに…野村大使はきちんと伝えたのか!?」
トントンと、山本が机を叩き、参謀達が背筋をただす。
「いずれにせよ、外交ルートが駄目ということは、引き続き我々軍人が踏ん張らねばならんという事だ。
そもそも政治の領域にいないものが、騒いでも仕方ない。
現状の線を最低限防衛。に知恵を絞らねばならん。」
「ぎょ、御意!!」
「では、近く予想されるアリューシャン方面への敵機動部隊への対策でありますが…。」
八原作戦部長が地図を指し示す。
「一応、応急的に正規空母5隻、戦艦4隻を基幹とした救援艦隊を送り込む甲案が有力でありますが…。」
意味ありげな視線を久保に向ける八原。
久保も微かに口角を上げる。
「要りません。
フネも艦載機も…。
その代わり富嶽初号機、弐号機、あとは完成した14から20号機。
これにて対処します。」
どよめく参謀達。
「馬鹿な、いかなあの超重爆といえども、護衛戦闘機も無しに…」
「まだ相対的には、敵は有力な機動部隊を有している可能性すらあるのですぞ?」
他の幕僚達からは案の定の反応。
「護衛は、つけます。というより向こうに行けば制空任務もありますが。」
!!???
「付けると言うか、着けます」
海軍所属、択捉仮設基地。
「で、ぶら下がってるこいつに乗れっての?」
富嶽15号機の前で、カリンは憮然として呟く。
親子飛行機の形で現地に持って行って、それでもって爆撃隊護衛、制空戦闘…。
発想は悪くないけど、自分が当事者となると…。
しかもコレ、微妙に…。
「厳密には戦闘機ではないな。」
「は?」
「そう新たなカテゴライズ。
『戦略機』とでも呼ぶべきか。」
「んでは、俺は14号機にいく。君もそろそろ…」
「ワカッてる…おります。閣下。」
取り敢えずは敬礼し、カリンは15号機に歩み寄る。
その自らの新たな翼を見遣りながら…。
まぁ私の希望通り、赤く塗ってくれたのはいいけど。
その同じ日、日本時間午後2時頃。
陸軍予備役中将にして総力戦研究所特別顧問、石原莞爾は、軽井沢のとある山荘を訪れていた。
「閣下の『復帰作戦』が遅れてしまい、誠に申し訳もなく…。」
「いや、食客の身で流石に私も…。
こうも戦局が混迷しては無理からぬこと」
通称「ヴォルフ氏」はちょび髭を撫でつつ穏やかに返した。
かつてのかの人物を知るものが見れば驚くであろう。
まるで、憑き物が取れたような…。
「しかし石原将軍の先日のお話は驚きであった。
ソ連崩壊と入れ違いに、中国の共産主義…。
いや国家資本主義というべきか…。
それが世界を侵蝕する未来とは。」
「御意…私も自身の知見不足に汗顔の極み。
例の最終戦争の著書も書き直さねばなりませんな笑」
「ここでその芽を潰すべし、と彼は言っておるのですな?」
石原は頷く。
「総統…いや、閣下のアーリア人理想国家建設の理想は尊重いたしますが、ユダヤ人らの処遇は考えていただきたい。
それらの流れの一環としましてな…。」
「う、うむ…わが帝国を奪回したとて、やり口がハイドリヒの時と同じ、では米英との講和も確かにまともには進むまい。」
「仰る通りです。」
そう、石原は久保と示し合わせた上で、「ヴォルフ」ことアドルフ・ヒトラーと面談を重ね、未来知識を小出しにしつつ、石原流の話術で巧みに少しずつ彼の歪み切った人種観を矯正、マインドコントロールしていたのである。
「まだ、マンシュタイン、モーデルら各将軍がウラル方面で頑張っておられます。
我々もなるべく計画を急ぎます故。」
「うむ、よしなに頼む。」
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