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未知のSSR ダイヤモンド
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「怪我だけはするなよ。
まあ成川も君の方向に打ち返したりとか無茶はしないだろーけど。
1.2発いい当たりを外野に打てばあいつも気がすむだろ。」
そう言って、明智はグローブとボールを渡した。
「うん、わかったー」
!!
一瞬まじまじと彩奈の顔を見直す明智洸太郎。
なんて顔だ。
これから何をするか分かっているのか?
それこそ新しいゲームの対戦相手に対峙する程度の感覚の…。
色んな思いを抱きながら、一旦一塁側コーチャーズボックスの位置に立つ明智。
すっ。
(一応、俺のを見ていたのか…。)
着替えもせず、セットポジションに入る「完全素人」の少女。
見ていて真似たにしても様になっている。
「おー形になってんじゃん」
「脚なるべく高くあげろよー笑」
そんなヤジを飛ばす部員も居た。
だが明智だけは、全く別のベクトルで胸にざわめきを感じていた。
「あー、ルール知らないんでしたっけ、とりあえずストライクゾーンは…。」
審判役の2年生の説明を対戦相手たる成川がさえぎる。
「別に細かいのはいい。」
!?
「おれの背中側とかでない限り、バットの届く範囲は全てストライク判定でいい。
好きに投げてこい。」
どよめく周囲。
「あーオッケー。とりあえずバットに当たらなければ私の勝ちでいいんだよね?」
!!??
どよめきがさらに増す。
「面白え…やれるもんならやってみやがれ。」
さらに眼光鋭く、完全にスイッチの入った構えに入る成川。
そこで、一旦どよめきはおさまる。
ここがマウンドってとこかあ…
何だろう、私が今までいた所と全く違う何か…。
静から、動。
白く引き締まった脚を半ば以上あらわにして、彩奈は蹴り上げるようなモーションに入る。
風でうまい具合に短めのスカートが密着し、一部男子部員の望みは叶わず。
それよりも…。
「なんだあのフォーム!?ササキか?」
「いや、もっと滑らかだ。」
ズドン!
気がついたら、キャッチャーのミットに。
「くうううっ!」
ええ!?
見えなかった…!?
誰よりも打席の成川が呆然としていた。
こ、この俺が反応できなかった…だと!?
えっマジ…。
誰かがうめく様に言ったのみで、女子生徒たちは声も出せず、青ざめるものもいた。
野球部員達もだ。
「おっおい!
いまのスピードガン取ってたか!?」
監督が怒鳴る。
「はっ、はい…。」
バックネット裏の女子マネージャーの声。
伝えられた数字は…
その少女の球速、157㎞/h!!
まだ自分の目と耳が信じられない。
皆が再びフリーズする中…。
「ちょ、タイムだ!」
明智洸太郎がマウンドの彩奈に駆け寄る。
「お前、いや君、ボールの握り見してみろ。」
「ん?普通にこうだけど~」
何だと…
本当にタダの、「鷲掴み」じゃないか。
しかし知らないなら当たり前か…。
「じゃあこう握るんだ、人差し指と中指、少し間を開けて…ボールの中心を…親指は…」
「OKわかったよー」
そう、スタンダードな4シームファストボール、ストレートの握りを教えたのだ。
プレー再開。
みなが再び息を呑む。
打席の成川はもはや見下す態度をやめ、ある種の覚悟を決めた表情となった。
今、洸太郎が何を教えたかは無論把握している。
ならば次に来る球は…。
「いっくよー!」
無邪気にさえ見える表情で彩奈は脚を再び上げる。
しなやかな肢体がしなり、そして再び白い弾丸が放たれる!
それは明智洸太郎には、打者の手元で大きく上昇する軌道を描いて見えた。
「ぐばあっ!」
「あらばまっ!?」
取り損ねたキャッチャー、防具のマスクを吹っ飛ばされた審判役が同時に後方に倒れ込み…ボールはバックネットにめり込んだ。
!!!!
野球部員達はもちろん、先程まで彩奈を嘲っていた女子生徒の群れにも…今起こっていることの凄まじさは十分理解できた。
そして、そのスピード…。
「167Km/h!!!」
「うせやろ!?」
「日本最速じゃねえか!?」
もはやどよめきは歓声に変わっていた。
今度は意地としてバットスイングはした成川も…。その体勢のまま固まっていた。
「あ、なんかごめーん!大丈夫?」
言いながらも彩奈は、表現し難い未知の感覚の湧き上がりを感じていた。
すごい、何の遊びでも感じたことない。
よくわかんないけど、
気持ちいいッ!!!
まあ成川も君の方向に打ち返したりとか無茶はしないだろーけど。
1.2発いい当たりを外野に打てばあいつも気がすむだろ。」
そう言って、明智はグローブとボールを渡した。
「うん、わかったー」
!!
一瞬まじまじと彩奈の顔を見直す明智洸太郎。
なんて顔だ。
これから何をするか分かっているのか?
それこそ新しいゲームの対戦相手に対峙する程度の感覚の…。
色んな思いを抱きながら、一旦一塁側コーチャーズボックスの位置に立つ明智。
すっ。
(一応、俺のを見ていたのか…。)
着替えもせず、セットポジションに入る「完全素人」の少女。
見ていて真似たにしても様になっている。
「おー形になってんじゃん」
「脚なるべく高くあげろよー笑」
そんなヤジを飛ばす部員も居た。
だが明智だけは、全く別のベクトルで胸にざわめきを感じていた。
「あー、ルール知らないんでしたっけ、とりあえずストライクゾーンは…。」
審判役の2年生の説明を対戦相手たる成川がさえぎる。
「別に細かいのはいい。」
!?
「おれの背中側とかでない限り、バットの届く範囲は全てストライク判定でいい。
好きに投げてこい。」
どよめく周囲。
「あーオッケー。とりあえずバットに当たらなければ私の勝ちでいいんだよね?」
!!??
どよめきがさらに増す。
「面白え…やれるもんならやってみやがれ。」
さらに眼光鋭く、完全にスイッチの入った構えに入る成川。
そこで、一旦どよめきはおさまる。
ここがマウンドってとこかあ…
何だろう、私が今までいた所と全く違う何か…。
静から、動。
白く引き締まった脚を半ば以上あらわにして、彩奈は蹴り上げるようなモーションに入る。
風でうまい具合に短めのスカートが密着し、一部男子部員の望みは叶わず。
それよりも…。
「なんだあのフォーム!?ササキか?」
「いや、もっと滑らかだ。」
ズドン!
気がついたら、キャッチャーのミットに。
「くうううっ!」
ええ!?
見えなかった…!?
誰よりも打席の成川が呆然としていた。
こ、この俺が反応できなかった…だと!?
えっマジ…。
誰かがうめく様に言ったのみで、女子生徒たちは声も出せず、青ざめるものもいた。
野球部員達もだ。
「おっおい!
いまのスピードガン取ってたか!?」
監督が怒鳴る。
「はっ、はい…。」
バックネット裏の女子マネージャーの声。
伝えられた数字は…
その少女の球速、157㎞/h!!
まだ自分の目と耳が信じられない。
皆が再びフリーズする中…。
「ちょ、タイムだ!」
明智洸太郎がマウンドの彩奈に駆け寄る。
「お前、いや君、ボールの握り見してみろ。」
「ん?普通にこうだけど~」
何だと…
本当にタダの、「鷲掴み」じゃないか。
しかし知らないなら当たり前か…。
「じゃあこう握るんだ、人差し指と中指、少し間を開けて…ボールの中心を…親指は…」
「OKわかったよー」
そう、スタンダードな4シームファストボール、ストレートの握りを教えたのだ。
プレー再開。
みなが再び息を呑む。
打席の成川はもはや見下す態度をやめ、ある種の覚悟を決めた表情となった。
今、洸太郎が何を教えたかは無論把握している。
ならば次に来る球は…。
「いっくよー!」
無邪気にさえ見える表情で彩奈は脚を再び上げる。
しなやかな肢体がしなり、そして再び白い弾丸が放たれる!
それは明智洸太郎には、打者の手元で大きく上昇する軌道を描いて見えた。
「ぐばあっ!」
「あらばまっ!?」
取り損ねたキャッチャー、防具のマスクを吹っ飛ばされた審判役が同時に後方に倒れ込み…ボールはバックネットにめり込んだ。
!!!!
野球部員達はもちろん、先程まで彩奈を嘲っていた女子生徒の群れにも…今起こっていることの凄まじさは十分理解できた。
そして、そのスピード…。
「167Km/h!!!」
「うせやろ!?」
「日本最速じゃねえか!?」
もはやどよめきは歓声に変わっていた。
今度は意地としてバットスイングはした成川も…。その体勢のまま固まっていた。
「あ、なんかごめーん!大丈夫?」
言いながらも彩奈は、表現し難い未知の感覚の湧き上がりを感じていた。
すごい、何の遊びでも感じたことない。
よくわかんないけど、
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