ヤマネ姫の幸福論

ふくろう

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第三章 幸福論の四季

千と千尋

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 大学入学から早いもので一年が過ぎ、僕と佑夏は二年生になっている。

 春のようにホンワリ優しい姫君は、まだ、ぽん太の世話に通い続けて来てくれるのが、なんか信じられん現実。
 夢なら覚めないで~!( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!

 県の名産の、ずんだ餅は僕も好きで、四季を通して食べられるけど、桜餅より春に似合う氣がする。
 ウグイスの羽と同じ、明るいライトグリーン、まさに春を告げる色。

 まだ新芽も出ていない木々から聞こえる、ウグイスの声が可愛らしくてホッコリしてしまう。

 この県は、全国区の桜の名所が数多くあり、海外からも観光客が来る。
 桜の新入学シーズンだ。

 去年の今頃、大学に入ってからというもの、僕の合氣道教室の館長は、指導を主に僕に任せて、自分は半分、引退している。

 僕の指導はいたって親切、丁寧で、生徒からの評判がいいからだと言う。

 最初はただ、仕事を押し付けられているだけかと思った。

 しかし、館長が言うには

「指導こそ一番の稽古だから、大学生の内から経験を積みなさい。」

 とのことで、やってみると、確かに教わる側オンリーだった頃より、格段に上手くなった氣がする。

 何しろ、僕は小学校から高校まで、ずっとタダで教えてもらってきた。
 少しは恩返ししなくては。

 そんな入学シーズンの新学期、歳の近い、すごくカワイイ女の子が教室に新しく入門して来て、ドキドキしてしまう。

 この子のことは、小6の時から知っている。
 学年は一つ下だと思ったが。

 年に二回開催される、県の合氣道教室、合同演武会で何度か顔を合わせていたのである。

 確か、県庁から高速道路を使わず、車で二時間かかる、県北の町の道場に所属していた子だと思ったが、県庁所在地このまちに引っ越して来たのか?

 二人一組の技の稽古で組んでみると、組んだ瞬間分かった!かなり上手い!

 自慢する訳ではないが、僕くらいになると、触れた瞬間に相手の力量は分かる、これは、、、相当やる!

 既に黒帯、二段になっているけど、もっと上でもおかしくない。

 稽古後、その美しい少女は、僕のところにやって来て、お互い正座で向かい合う状態に。
 話をするのは、今日が初めてだ。

「中原先生。」

 僕を見つめるその子は、まだ十代とは思えない、落ち着き払った冷静沈着な佇まい。

 それはどことなく、あの鬼退治の漫画の、無口なサイドポニテのヒロインを彷彿させる。

「そんな、先生なんて。中原さんでいいよ。」

 こりゃ照れるな。

「それじゃ、中原先輩でいいですか?

 私も十流学院大学ジューガクなんです。今年、入学しました。」

「え?そうなの?」

「はい。十流学院大学、生命環境学部、自然環境学科一年、鈴村千尋すずむらちひろと申します。
 よろしくお願いします。」

 合氣道の作法通り、千尋は両手をついて、礼をする。

 


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