ヤマネ姫の幸福論

ふくろう

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最終章 湖面の誓い

山頂到着!

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「車山 秋の乗鞍 白樺湖」

 と、色々な名前を入れて一句詠みたくなってしまうくらい、見事に周囲の山々、湖が見渡せてしまう。

 視界を遮るものが全く無い、まるで雲の上にいるような感覚。

 それが、霧ヶ峰の主峰、車山の頂上である。

「本当にありがとうございました。」

 山田さんが、僕と佑夏にお礼を言ってくれて、山の風景と相まい、こっちまで清々しい幸せな氣持ちになってしまう。

 やっぱり人助けはするもんだな。

 幸福論の一人、ラッセルがこう言っていると、ヤマネ姫から聞いたことがある。

「人間は、世界との接触が短く、個人的で、限られているにも関わらず、どうしてかくも、多くの事柄を知ることができるのか?」

 彼の時代は、スマホやネットはもちろん無く、テレビがやっと壮年になって出始めたくらいだろう。
 それでも、こう言うのは、やはり人と人との触れ合いなんだと思う。

「運が良ければ、あの方角に富士山が見えるんですが、残念ですね。」

 東山さんが指差した方向にだけ、雲がかかっている。

 こんなに晴れているというのに、なぜか富士山だけを覆い隠しているようだ。

 天の神様が意地悪しているのか?はぁ~。

「それでは、30分ほど、自由時間とします。」

 ディーンフジオカ添乗員が宣言すると、富士山が隠れていることに、少しも落胆した様子も見せず、佑夏ら六人の女性達は、集団で、車山神社や展望デッキではしゃいでいる。

 図らずも、僕は、添乗員を除けば、ガイドである東山さんと二人だけになる。

「中原さん、スキーはやるんですか?ここは、冬になると、スキー場になるんですよ。」

 東山さんに聞かれた僕は否定する。

「いいえ。環境破壊に繋がることは、やりません。」

 想い人の佑夏が高所恐怖症でリフトに乗れず、彼女以外に、一緒に行きたい相手もいない、とは言えない。

「いや~、でも、すごい景色ですね~。360度、周り中、見渡せて。こんなの初めてですよ。」

 僕が感想を述べると、東山さんは、一つ一つ、山の名前を教えてくれる。

 すぐ近くの蝶々深山、蓼科山、乗鞍岳、甲斐駒ヶ岳、そして八ヶ岳連峰。

「どうです?日本アルプスの山は?」

 東山さんに、質問され、僕も質問を返すことに。

「山肌が東北の山と違います。ヨーロッパの山みたいなのに、何て言うか、日本的な情緒もあって、趣がありますね。
 あ、ここから諏訪湖は見えないんですか?」

 今日の午後、佑夏と合格発表を見ることになっている運命の場所。

「そう、見えないんですよ。
 しかし、諏訪湖に行かれるのですか?それなら、富士山の見れる場所がありますから、時間があれば、行ってみるといいですよ、みずべ公園と言いましてね。

 長年の勘ですが、あの雲は午後から晴れる氣がします。
 保証はできませんけどね、ハハハ。」

 寄り道、決定!





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