現実放棄し異世界へ

井出 遥玖

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第二章

二ー一

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 あまりの眩しさに俺は一瞬目を瞑る。目を開けると…裏路地のような場所にいた。確かに裏路地に出るって言われたけどさぁ…期待しちまったじゃねぇか!!


 俺はとりあえず大きな道に出て、冒険者ギルドに向かった。
 ギルドに入ると受付に行った。
「冒険者の登録をしたいのですが…」
「今日の試験に参加する方ですね?では、こちらに名前を書いてください」
 俺は渡された用紙にケイと名前を書く。この世界ではそれなりの地位を持たないと苗字は貰えないのだ。その上、使っている文字こそ日本語だが、名前はカタカナで、名前→苗字の順番。と言った外国人のような名前なのだ。
「あなたの受験番号は「一四二」です。このバッヂを肩に付けておいてください。受験概要はこちらの紙に書いてあります。目を通しておいてください。最後に、受験では木製の武器を使うので、受付の右側にある棚から使いたい物を借りてください」
「ありがとうございました」
 俺は渡された紙を見て受験内容を確認する。受験内容は「全受験者対現役の騎士六人の模擬戦」。フィールドは体育館ほどの広さの平坦な土地。雑草すら生えていない。
「さて、どの武器がいいか?」
 確か今の俺は大体の武器をそれなりに扱えるはずだから…
「いくつか試してみるか」


『まもなく、試験を開始します。試験会場に集まってください』
 来たか。俺は武器を準備して会場に向かう。会場内には既に六人の騎士が並んでいた。どうやら武器は右手に剣、左手に盾のようだ。会場の外にいるのは、野次馬たちと試験官だろう。試験官の目が俺の方を向いているのは、きっと気のせいだろう。
「はて?「一四二」番はなぜあのような格好を?」
「武器はたくさん持てばいいと言うものではないというのに…」
…気のせいだろう。
「しかし、なんとも奇妙な格好だな」
「二本の片手剣を交差して背中に背負い、その下に両手剣を真っ直ぐ一本、両腰に短剣を一本ずつ、最後に両手で長槍とは…」
…気のせいだ。
「きっと武器の扱いをまともに学べなかったのだろう」
「冒険者には致命的だな…」
…気のせいだと思いたい。てか、試験前から印象悪すぎだろ!?

「では、これより試験を行います。試験内容等は受付でお渡しした用紙の通りです。注意点として、制限時間が過ぎるまで持ちこたえても試験の取り組み方次第では不合格とさせて頂きます。また、その逆も起き得ます」
 参加者に積極的に攻撃させる為のルールか…とは言っても受験者の内最低でも半分は受かるらしいから、そこまで厳しくもないだろう。
「では、始め!!」
 さてと、どの騎士のところに行こうかな?
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