現実放棄し異世界へ

井出 遥玖

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第二章

二ー八

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 ガサゴソガサゴソ。
 剥ぎ取りを終え移動しようとしていたら、草陰から何やら音が聞こえてきた。
「ケイ、次が来たみたいだな」
「みたいだな」
 そう言っているとちょうど草陰からオークが出てきた。今回は四体とさっきより多い。
「確か、人間より力が強いオークと戦う時は、パーティーの人数よりもオークの方が多い時は逃げた方がいいんだよな?」
「オレたちは魔法攻撃出来ねーからな」
「じゃあ逃げるか」
「そうだな『強化』」
「俺も出来るかな?『強化』」
 体が仄かな白い光に包まれる。お、出来た。
 俺たちはお互い魔法が発動したのを確認すると、オークが来たのと反対方向に走り出した。

「ケイって『強化』使えたんだな」
「ああ、使えたみたいだな。相性が良かったんじゃね?」
 どうやら、俺は新しい魔法を習得出来たようだ。走りながらでなければもう少し喜べるんだけどな。
「さて、あのオークどうする?」
「倒してーけどオレたちが正面から戦っても勝てねーぞ」
「じゃ、やっぱ待ち伏せだよな」
 ケイは小さな笑みを浮かべる。

 俺は適当な木の陰でオークが来るのを待っていた。隠蔽魔法でしっかり隠れているので見つかることはないはずだ。
 来た。
 先程のオーク四体が俺の視認可能範囲内に入る。それにしても全然息切れとかしてないな。それなりに走っているはずなのにな。化け物かな?いや、魔物か。
 と、もう少しで通り過ぎるな。
 四体のオークが通り過ぎた。
 ケイはそれを確認すると、木の陰から出てきて一番後ろを走るオークに追いつき、首を気管ごと斬る。
 ちっ、浅いか…鳴き声で前のオークにバレた。だが、俺に注意が向けば…
 ケイが視線を向けた先ーーオークの頭上では、エルナが片手剣を構えた状態で落下してきている。
「たあーーーッ!!」
 エルナはそのままオークの背中に剣を突き立てながら、オークを下敷きにして着地する。
 これで二対二だ。
 オークは俺とエルナに一体ずつ向かってくる。連携をさせないためだろう。
 俺は向かって来たオークの棍棒を左にステップして躱すと、首は狙えないので右手首、右肘、右腕を斬る。
 オークは苦痛に顔を歪めながらも、再び棍棒を振ってきた。俺はまたしても躱し、今度は左肘と左太腿を斬る。
 よし、首が狙える。
 俺はオークの横をすれ違うように通り、同時に首を切り裂いた。
 俺はちらっと見てオークが死んでいることを確認するとエルナの方に向かった。
 しかし、俺は思わず足を止める。
 いや、だって流石にエルナがオークと互角に渡り合えるとは思ってなかったから……こんな形で。
 エルナはオークの棍棒を片手剣で迎え撃ち、オークもまたエルナの攻撃を迎え撃つ。
 魔物を相手に魔法強化無しで互角ってどゆこと?どんだけ力あんだよ。
「『強化』てあーーーッ!!」
 エルナはオークにとどめを刺すべく、魔法を使い筋力を強化し、剣を振り下ろす。
 ガッと言うかザッと言うような微妙な音を立てて、オークの棍棒は二つに分けられた。直後ーー
 ザクッと言う音を立てて片手剣が地面に突き刺さる。
「あれ?」
 余程深く刺さったのかエルナは剣を引き抜けなかったことに驚き、困惑した声を漏らしている。
 武器を失ったオークはそれを数少ないチャンスと見たのか、エルナに向かってタックルを決めようとする。
 一方エルナは剣に夢中でオークが迫っていることに気がついていないようだ。
「やべっ!」
 俺は『テレポート』を使いエルナのすぐそばに移動すると、エルナの腰に手を回し、『強化』を使いその場から飛び退く。
「あっぶねー!エルナ大丈夫か?」
「あ、うん」
 なんか若干ボーっとしているみたいだけど無事そうだな。
 さて、相手は一体で武器無し。なら出来るかな?
「『テレポート』」
 俺は『テレポート』を使いオークの大体斜め後ろに跳ぶと、死角から首を狙ってナイフを振り切った。
 しばらくの間、オークはもがき苦しんでいたが少しすると、オークは微動だにしなくなった。
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