保魂の賢者 ~死人の魂を操ることが出来る能力に目覚めた僕は変わり果てた世界を救う~

わたあめめろん

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悪魔の洞窟へ

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 「よーし、準備はできたかー!」
 屋敷の入り口で月が大きな声を張り上げて言った。早朝に少女と話した後、屋敷の一階に降り、戦闘用の服に着替えた。一応、武闘派メインの軽装を選び、小さなカバンに霊花の押し花と今日子からもらった回復薬を詰めた。
「私は準備は出来ておるぞ」
「俺も大丈夫だ!姉さん!」
「私ももう行ける二ャ」
「僕も行けます」
 昨日のメンバーに明日香を含めた5人で悪魔の洞窟へと向かう予定だ。もちろん、移動は歩き。町の様子を少し確認した後、一日歩いて到着するプラン。
「それじゃあ出発するか!今日子!屋敷のことは頼んだぞ」
「はい、お任せくださいませ。みなさん、頑張って」
 今日子は出発していく5人を見守っていた。月を先頭に5人は昨日の祭りの会場へと歩き出した。朝だからか、夜行性の動物たちは現れなかった。
「まあ、朝の方が敵は少ないよな。動物に豹変した悪魔もやっぱり夜の方が狂暴なのよね。鬼も宗次さんと姫羅理が駆除してくれたはずだから、いないはずなのよね」
「宗次さんと姫羅理さんって何者なんですか?」
「ああ、そっか。晴也は知らなかったな。まあ、あの二人は俺たちのお屋敷の仲間だ。そして、戦士のランクは彼らは最上位。宗次さんは戦士の歴も長く戦うスキルも一級。世界の戦士の中でもトップクラスに君臨する。姫羅理は、他の地域から移籍してきた戦士。入隊した時の彼女は、戦士のランクは最底辺だったが、一度の戦いで抜群の成績を残し宗次さんの推薦で最上位になった。っていうわけ。宗次さんは武のプロ。姫羅理は刀のプロ。まああのデカい鬼を倒したと考えてもらえれば強さは分かるはずだ」
 横で海良が答える。
「はあ。そんなに強いんですか。昨日の戦いを見るに海良さんもなかなかの腕前だったっすよ。あの水がぶわーって出る技すごいっす」
「俺なんでまだまだだ。あの技は宗次さんに教わったんだ。宗次さんは何でもできるからな。水の効果的な出し方、使い方とか。他にも教えてもらおうと思ったが「その技一本を極めよ。話はそれから。まだお前は弱い」って言われちゃって。まあ自分の昔使っていた技に絡めて使っているがもうちょい火とか光とか使ってみたいよな」
「そうなんですね。宗次さんは今どこにいるんです?」
「昨日の戦いの後、宿で休んでおられるらしい。その後悪魔の洞窟に合流してくださるそうだ」
「てことは明日会えるということですか?」
「そうだな、宗次さんがいれば悪魔も余裕で倒せるかもな」
「そんなに余裕じゃないにゃ。一応悪魔の長がいる場所ですにゃ。みんなの力を合わせないと。一筋縄ではいかないにゃよ」
「いや、余裕だって。宗次さんに加えて俺たちもいる。なんかあったら姫羅理もきてくれるんだぜ」
「悪魔の王は、姿が見えないにゃ。下手したら雑魚に手こずっている間に暗殺されてしまうかもしれないにゃ。油断は禁物にゃ」
 「はいはいわかりましたよ」
 そう言って話しているうちに昨日の祭りの会場についた。もう周りに人はおらず完全に後の祭り状態になっていた。鬼によって踏みつぶされ、壊された建物も多く、昨日渡った橋も完全に破壊されていた。
「なんだこれは。こんなにひどい状況になっていたなんて」
「気を引き締めて。まだ近くに小さな鬼がでるかもしれない。」
 月はそう言うと、鼻をすすって匂いを嗅ぎ始めた。そして、戦闘態勢を取った。
「死骸の匂いがする。生臭い。まだ近くに何かいるぞ!」
 5人は話をやめて静かに耳を澄まして進んだ。すると、近くの草むらで何者かの声が聞こえた。
「昨日は人間をたくさん食えて最高だったなあ。なんかを被った連中に邪魔されそうになったが、隠れていたらどっか行ったんだよな。あいつらの目は節穴だったな。デカい鬼だけ倒してどこか行っちまった」
「そうだよな。はあのデカい鬼を召喚するだけじゃないんだよな。俺たちみたいな小鬼の銅像を復活させ、この町を破壊することだったのに、狐面の奴ら、俺たちを取り残してどっかいったぜ」
 月がそっとその草むらを覗き込むと小さな鬼が3匹、ひそひそと話していた。晴也はその姿を見て、昨日の通りがフラッシュバックされた。あの時橋の上にいた多種多様な鬼たちと同じだった。晴也は昨日の儀式は、鬼を召喚するだけではなく封印を解くことが目的だったと悟った。そして、昨日見た狐面こそが宗次さん、姫羅理さんなのだと。女性は刀を持っていたから間違いない。目の前に彼らが倒し損ねた敵がいるならやることは一つだ。晴也はネックレスに手を当て、武闘家の魂を呼び寄せた。目をつぶって集中すると、先ほどの明日香の時と同じように体が熱くなり、瞬時に格闘家の魂と共鳴した。
「もう行ける準備は出来てます。月さん」
 小鬼に聞かれないように声で月に耳打ちする。
「ほお、じゃあそろそろ攻めるか。みんなも行けるか?」
 月が後ろを向いて他のメンバーに問う。他の三人も静かにぐっと親指を立てた。
 「それじゃあ、奇襲と行きますか!」
 
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