異世界のんびりライフ

どるちぇ

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プロローグ

プロローグその3

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「それで今の状況なんだけどさぁ、何て言えばいいのか。うーん、あれだね漫画やラノベでいうテンプレってやつ?」
「いや、疑問系で言われても困るんですが……。ここで発生する可能性のあるテンプレって言われると勇者召喚とか異世界召喚とかの巻き込まれってやつですかねぇ……。」
「イグザクトリィ!イェーッ!」

 廃神さまは我が意を得たりとばかりに似非外国人風にオーバーリアクションで拍手をし、茜はどこからか取り出したおもちゃラッパをパフパフ鳴らしている。

「うぉっほんっ!では、改めましてゲーム管理者の廃神もといエジプトの守護神トートそしてギリシャ神話ではヘルメスと呼ばれた神、ヘルメス・トリスメギストスです。」
「神様って兼業するんですか?」
「えっ気にするのそこかいっ?!まあいいけどさぁ……。うん、兼業なんて当たり前さ、最近じゃアニメや漫画、ゲームを利用して知名度稼いでるし、司りたい権能なんかも増やしてるしね。むしろそれくらいじゃなきゃ地球で信仰なんか稼げないよ。」
「世知辛いですね。」
「まぁね。僕たち神様を題材にした作品に集まった集合意識をもとに新しい世界を作ってそこで信仰稼いだりしてるんだよ。地球じゃ神様を信じるっていう純粋な信仰はもう集めにくいしね。」

 神様たちの世知辛い実情を知り、人間と変わらず大変なんだなぁという他人ごとのような感想を抱く。実際、他人……他神ごと?であるからして。

「いや、とりあえず神様事情は置いておくとして、君の置かれている状況なんだけどさぁ。僕の管理している世界の中に剣と魔法のファンタジーな世界、このゲームの元になった世界があるんだけど、そこにあるアホな国がまあやらかしてくれちゃった訳だよ。」
「あれですか、異世界召喚ですか……。」
「それでなぜ君が巻き込まれたのかってことなんだけどね。その前にこのゲームについての説明からね。このゲームRFLは今回やらかしたファンタジーな世界をコピーして、ゲーム用にシステムを乗っけただけなんだよねぇ。んで、ゲーム機はプレイヤーの魂をゲーム用の世界に飛ばすのと地球の身体を繋ぐ役割をさせていたのさ。」
「乗っけたシステムを利用したのがゲームモードでリアルモードは素のままの世界のルールってことですか……。」
「そうそう、あとは魔物のポップつまり出現数とかチャットやメールなどのメニューもあと乗せで、住人たちには神託というか神が闊歩しているわけでお知らせして協力して貰ったりとかね。このゲームは擬似的な異世界転移で遊んでもらっているのさ。」
「つまりは、この身体もこのゲームの住人や魔物、言ってしまえばNPCというか世界全てがゲーム用に用意された本物の世界ということですか。」

 廃神さまもといヘルメスはうんうんと少し大げさに頷き「続きいいかい?」と理解が追い付いているかの確認をし、問題無さそうと判断し説明を続ける。

「んで、このゲームの世界の座標なんだけど元になったファンタジー世界と地球のある世界との中間にあるんだけども、それが災いしたねぇ。今回アホどもがやった異世界召喚、世界と世界の間に魔術的な通路を作って対象者を吸引するもので利用されたマナの量からしてどこの世界にも届かないはずだったんだけど……。」
「このゲームの世界に届いてしまった、と。」
「まあ派生した世界だからね。概念的な距離感はとても近いし、最悪だったのは召喚対象となる人間がいたことだよ。召喚者のリクエストに答えられる被召喚者がいなければ対象者無しで通路も繋がらないで終わったんだけどねぇ。アホ(宗教国家)が自分達の正統性を押し付けるためにアホ(利用しやすい勇者)を呼んでしまったようなんだ。」
「テンプレですね。」
「うん。プレイヤーはゲームの性質上英雄的活躍ができる身体構造をさせてるから、あとはプレイヤーの個人の性格がリクエストに合致してしまえば……。言わずもがなだねぇ。」
「それでどうして俺が巻き込まれたのかってことなんですが……。」
「いやね、このホームエリアはゲーム世界にくっついてる小さな世界って考えてくれればいいんだけどね。異世界召喚の吸引する通路がかすったらしいんだよね。んで、このホームエリアには出入口というアンカーがないわけで世界と世界の引き合う力だけで固定されてたわけさ。通常ならなにも問題ないんだけど、異世界召喚は世界に固定されてる人を引っ張れるほどの吸引力を持つからさぁ。それはもう吸引力の変わらない掃除機ばりの……。」
「このホームエリアは頑固な埃よごれか何かですか……。」
「イメージしやすいでしょ。」
「ええ、まぁ…。」
「しかも困ったことに中途半端に吸引されたせいでやらかしてくれちゃった世界よりの空間に宙ぶらりんになっていてねぇ。世界同士の引力で今も少しずつやらかしてくれちゃった方の世界に引き寄せられてる感じ。」

 力なく苦笑いするヘルメスに俺もまた苦笑いしつつここまで触れなかった重要なことを聞くことにした。

「戻れるんですよね?」
「いやー、それがねぇ地球の身体と魂を繋ぐコードと言えばいいのかな?それが引っ張られてぶちっといっちゃってるもんだからさぁ……。本体っていうの?魂抜けて死亡?みたいな。」
「こう、神様パワーでこうなんとかできたりは?」
「人がやらかしたことだから、人が解決すべきことってことで制約があるんだよねぇ……。」
「oh……。」
「ああ、でも自力で転移魔術作って地球に帰るや行き来するのは問題なし。今回の一件についてはちょっと僕にも責任は感じるから何とか他の神々から譲歩引き出して地球へ転移した際の身分証の作成とか、転移に必要な地球の座標とかは協力できるようにするよ。一応世界間の往来は偉業だからね。」
「それならまぁ何とかなりますかね?」
「RFLのリアルモードはコピー元の世界のままだから、今までの経験は全て使えるし大丈夫じゃないかい?ああ、あとその身体とこのホームエリアと住人たちはそのまま向こうの世界でも使えるからね。それにサービスでこの空間の固定とやらかしてくれちゃった方の世界への通路は作っておくよ。」

「んじゃ後始末とかの仕事山積みなんで行ってくるね。とりあえず通路を作ったら教えに来るからそれまでホームエリアの確認してたらいいよ。」とヘルメスは言い残し姿を消した。状況がゲームの延長線上であるせいか、やはり実感が沸かないので、とりあえずゲームのメニューコンソールを出そうと「メニューオープン。」と言って見るが出てこない。「コマンドインプット、ログアウト。」と切断コマンドを入力してみるも何も起きない。
 やはり、現実かねぇ。と呟くと懐にいる茜が俺の顔を見上げて、キラキラした目線を送ってきているのに気づいた。

 なぜ、茜はこんな目線を送ってきているのかを疑問に感じ、少し考える。なんかすごく期待している感じだなぁ。状況は良くないはずなんだけど……と考えて思い当たる。

「ああ、これからはずっと一緒ってことだね。」と言うと茜のテンションはマックスになったようで力強く「んっ!」と言うと溢れんばかりの笑顔を見せ、呼応するように座敷わらし特有の能力である幸運をもたらす祝福の光が溢れだした。

「ちょっ茜、眩しいっ!」
 突然のことで発生源である茜に反射的に抗議すると「んっ!」とそれくらい我慢しろとでもいうように低めの声で返される。光が収まり茜の顔を見ると反射とは言え抗議したことがお気に召さなかったようでジト目で睨まれる。
 茜の視線から逃げるように空を見上げると状況確認に慌てたように上空を飛び交っていたフェアリーや精霊たちは茜の喜びの光に当てられて、喜び舞い踊っていた。

 これからのことを考えるとなかなか不安だが、なんとかしていくしかないわけで、一人ではないことと生活拠点があることを幸運と思ってやれることを頑張るしかないのだろう。
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