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第一章 いざ、異世界へ
まだ異世界には行けないようです。その2
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茜を撫でていた手を止め、書斎机の上の紙束から白紙の紙を取り出す。そして、「第二階層の状況」と書き込み、玉藻に状況報告の続きを促した。
「とりあえず、第二階層から報告を頼む。」
「うむ、承知した。」
第二階層、エリア名『白蛇霊峰』。その名の通り、修行によって仙術を覚え極めた白蛇『白娘子』のハクアが管理し、狐から竜へと転じた存在である『狐竜』の政木が守護をしている。
魔物ではない動物たちが暮らす森や川、湖に草原と大自然が広がっている階層で、それぞれの動物の頂点には仙術を会得し、人化、人語を理解する12種の動物たち(十二支と呼んでいる)がバランスをとっている。一部の動物たちはハクアの住む白蛇霊峰で仙術の修行をしており、霊峰の中腹から頂上にかけてノリで建設した『白蛇神宮』では切磋琢磨する動物たちを見ることができる。
「第二階層じゃが、ハクアの報告によると地震に驚いた動物たちが逃げ回ったり、巣に潜って出てこないとのことじゃ。対応としては十二支たちに今回の事情を伝え、動物たちを宥めて回っていると先ほど連絡があった。一部には地震にトラウマができたのではと思われる者もおって、その者らへの対応を話し合う必要があるとも言っておった。」
「動物は災害に敏感だというし、今回が初めての地震だからってこともあるか……。とりあえず、トラウマ持ちへの対応はあとで顔を出したときにでも軽く話すとして、現状はわかった。ちなみに土砂災害はなかったのかな?それと人手は足りてる?」
「うむ、二次災害は起きていないようじゃな。まぁ仙術の修行を行っている者らは精神修行のためもあってかすぐに落ち着いたようで、ハクアや十二支の協力を行ってくれてるとのことでもあるし、主は話し合いの件だけの対応で問題なかろう。他に質問は?」
「特にないかな?」
「第二階層の状況」の下に「土砂災害等二次災害はなし」、「動物たちが混乱中であるものの対応済み」、「トラウマを持ったであろう一部の動物たちへの対応方法についての相談希望あり」と書き終わると茜が腕を組み、深くう頷く。それを見た玉藻はくすりと笑い、「次に移って大丈夫そうじゃな。」と呟いたので、「第三階層の状況」と項目を足して玉藻に続きをお願いすることに。
「じゃあ、次に第三階層についてお願いするよ。」
「うむ、第三階層じゃが……。」
第三階層、エリア名『温泉郷』。永久凍土と火山による灼熱地帯が隣り合った混沌とした環境の階層であり、二つの環境の境目凍土よりの場に仲間の魔術師たちとともにこれまたノリで火山側にある温泉を引いて温泉街を作り上げた。凍土側は『フェンリル』のジルが管理を、『氷竜帝』のアイスが守護を行い、火山側は『フェニックス』のシフが管理を、『炎竜帝』のフレアが守護を行っている。また、温泉街の管理運営は『雪女』の吹雪と『雪ん子』たち、温泉にハマった『火の大精霊』イフリータが行っている。
「永久凍土側は雪崩が、火山側で噴火が起きたようじゃが、いつものことであるし問題ないと笑っておったわ。ただ、温泉街の方では屋内のものが落下したから始まり、作りが甘かった一部の建物について三軒ほど倒壊。器物落下、建物倒壊での怪我人はなしとのことで報告を受けておる。倒壊については、幸い壊して作り直す予定であったために中に人はおらなかったために怪我人はなしとのことじゃ。」
「いつものことって……、まぁいつものことか。とりあえず建物は立て直すとして、ほかに崩れそうな建物や落ちた備品類で壊れたものとかは何か聞いてる?」
「あ~それなんじゃがなぁ……。」
玉藻は苦笑いを浮かべ言葉を濁す。それを見た茜がこちらに軽く振り向き目線を合わせてからゆっくり目を閉じて首を左右に振った。玉藻に報告を任せて黙っていた葛の葉が小さくため息を吐いたのに気づき、目線を向ける。
「主様、吹雪からの報告でイフリータが―――地震で壊れたということにして一部改装しようぜ―――と言い火の精霊たちや雪ん子たちを煽っているとのことです。」
葛の葉からの情報に思わず俺は言葉をなくし、すぐに我に返って「すぐに止めないとっ!」と立ち上がろうとしたところ。その場にいる俺以外の全員から静止を受けた。
「主よ!心配するなっ!吹雪がすでに引き留めておる。」
「その代わり吹雪がイフリータの抑えで手一杯の状態で、屋敷のブラウニーを貸してほしいとの連絡がありましたが私の方で派遣済みです。また、落下によって陶器類が破損しているとのことでしたが、もともと壊れ物と想定していますので補充用として保管していたもので間に合う予定です。」
とすぐに状況を教えてくれたため、浮き上がった腰を落ち着け、息をつく。すると「ただ、イフリータがまだ駄々をこねているようなのでこの報告会が終わり次第すぐに来てほしいと……」と葛の葉が申し訳なさそうに呟いたので俺は苦笑いで「了解。」と返した。
「第三階層の状況」の下に「凍土側、火山側問題なし」、「温泉街で器物落下と建物倒壊発生」「両案件ともけが人はなし」「落下による陶器類の破損があったものの補充用のもので対応済み」「倒壊した建物については取り壊し予定のものであったために以前の計画通り進める」と書く。最後に「イフリータ暴走中につき早めの援軍依頼あり」と赤字で記載した。それを見届けた茜は俺の膝をとんとんっと叩いて深くうなずく。まるで社長が社員に「頑張ってくれたまえ。」とでも言うような貫録をもった動作であった。
そして、茜は玉藻の方を向き「んっ。」と言葉とともに軽く頷く。「報告を続けたまえ。」と言っているような感じであったため、玉藻は空気を読んだのか「次、第四階層の報告に進んでもいいかのぅ。」と俺に問いかけてきたため、「お願いする。」と返事をした。
「とりあえず、第二階層から報告を頼む。」
「うむ、承知した。」
第二階層、エリア名『白蛇霊峰』。その名の通り、修行によって仙術を覚え極めた白蛇『白娘子』のハクアが管理し、狐から竜へと転じた存在である『狐竜』の政木が守護をしている。
魔物ではない動物たちが暮らす森や川、湖に草原と大自然が広がっている階層で、それぞれの動物の頂点には仙術を会得し、人化、人語を理解する12種の動物たち(十二支と呼んでいる)がバランスをとっている。一部の動物たちはハクアの住む白蛇霊峰で仙術の修行をしており、霊峰の中腹から頂上にかけてノリで建設した『白蛇神宮』では切磋琢磨する動物たちを見ることができる。
「第二階層じゃが、ハクアの報告によると地震に驚いた動物たちが逃げ回ったり、巣に潜って出てこないとのことじゃ。対応としては十二支たちに今回の事情を伝え、動物たちを宥めて回っていると先ほど連絡があった。一部には地震にトラウマができたのではと思われる者もおって、その者らへの対応を話し合う必要があるとも言っておった。」
「動物は災害に敏感だというし、今回が初めての地震だからってこともあるか……。とりあえず、トラウマ持ちへの対応はあとで顔を出したときにでも軽く話すとして、現状はわかった。ちなみに土砂災害はなかったのかな?それと人手は足りてる?」
「うむ、二次災害は起きていないようじゃな。まぁ仙術の修行を行っている者らは精神修行のためもあってかすぐに落ち着いたようで、ハクアや十二支の協力を行ってくれてるとのことでもあるし、主は話し合いの件だけの対応で問題なかろう。他に質問は?」
「特にないかな?」
「第二階層の状況」の下に「土砂災害等二次災害はなし」、「動物たちが混乱中であるものの対応済み」、「トラウマを持ったであろう一部の動物たちへの対応方法についての相談希望あり」と書き終わると茜が腕を組み、深くう頷く。それを見た玉藻はくすりと笑い、「次に移って大丈夫そうじゃな。」と呟いたので、「第三階層の状況」と項目を足して玉藻に続きをお願いすることに。
「じゃあ、次に第三階層についてお願いするよ。」
「うむ、第三階層じゃが……。」
第三階層、エリア名『温泉郷』。永久凍土と火山による灼熱地帯が隣り合った混沌とした環境の階層であり、二つの環境の境目凍土よりの場に仲間の魔術師たちとともにこれまたノリで火山側にある温泉を引いて温泉街を作り上げた。凍土側は『フェンリル』のジルが管理を、『氷竜帝』のアイスが守護を行い、火山側は『フェニックス』のシフが管理を、『炎竜帝』のフレアが守護を行っている。また、温泉街の管理運営は『雪女』の吹雪と『雪ん子』たち、温泉にハマった『火の大精霊』イフリータが行っている。
「永久凍土側は雪崩が、火山側で噴火が起きたようじゃが、いつものことであるし問題ないと笑っておったわ。ただ、温泉街の方では屋内のものが落下したから始まり、作りが甘かった一部の建物について三軒ほど倒壊。器物落下、建物倒壊での怪我人はなしとのことで報告を受けておる。倒壊については、幸い壊して作り直す予定であったために中に人はおらなかったために怪我人はなしとのことじゃ。」
「いつものことって……、まぁいつものことか。とりあえず建物は立て直すとして、ほかに崩れそうな建物や落ちた備品類で壊れたものとかは何か聞いてる?」
「あ~それなんじゃがなぁ……。」
玉藻は苦笑いを浮かべ言葉を濁す。それを見た茜がこちらに軽く振り向き目線を合わせてからゆっくり目を閉じて首を左右に振った。玉藻に報告を任せて黙っていた葛の葉が小さくため息を吐いたのに気づき、目線を向ける。
「主様、吹雪からの報告でイフリータが―――地震で壊れたということにして一部改装しようぜ―――と言い火の精霊たちや雪ん子たちを煽っているとのことです。」
葛の葉からの情報に思わず俺は言葉をなくし、すぐに我に返って「すぐに止めないとっ!」と立ち上がろうとしたところ。その場にいる俺以外の全員から静止を受けた。
「主よ!心配するなっ!吹雪がすでに引き留めておる。」
「その代わり吹雪がイフリータの抑えで手一杯の状態で、屋敷のブラウニーを貸してほしいとの連絡がありましたが私の方で派遣済みです。また、落下によって陶器類が破損しているとのことでしたが、もともと壊れ物と想定していますので補充用として保管していたもので間に合う予定です。」
とすぐに状況を教えてくれたため、浮き上がった腰を落ち着け、息をつく。すると「ただ、イフリータがまだ駄々をこねているようなのでこの報告会が終わり次第すぐに来てほしいと……」と葛の葉が申し訳なさそうに呟いたので俺は苦笑いで「了解。」と返した。
「第三階層の状況」の下に「凍土側、火山側問題なし」、「温泉街で器物落下と建物倒壊発生」「両案件ともけが人はなし」「落下による陶器類の破損があったものの補充用のもので対応済み」「倒壊した建物については取り壊し予定のものであったために以前の計画通り進める」と書く。最後に「イフリータ暴走中につき早めの援軍依頼あり」と赤字で記載した。それを見届けた茜は俺の膝をとんとんっと叩いて深くうなずく。まるで社長が社員に「頑張ってくれたまえ。」とでも言うような貫録をもった動作であった。
そして、茜は玉藻の方を向き「んっ。」と言葉とともに軽く頷く。「報告を続けたまえ。」と言っているような感じであったため、玉藻は空気を読んだのか「次、第四階層の報告に進んでもいいかのぅ。」と俺に問いかけてきたため、「お願いする。」と返事をした。
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