半径1メートルだけの最強。

さよなきどり

文字の大きさ
11 / 129
第二節 〜忌溜まりの深森〜

011 特異生物産資源買取その他業務委託会社

しおりを挟む
キレイなお姉さん? は冒険者ギルドのほうから来たそうです。
ご笑覧いただければ幸いです。
※注
黒い◆が人物の視点の変更の印です。
白い◇は場面展開、間が空いた印です。
―――――――――

「何さらしとんじゃ、ワレ! オー!
 女の子を泣かすなボケー!
 もう少しで私が旨く丸め込める処だったのに。台無しじゃん! バカなの? バカなのね⁉」

「丸め込めなかっただろ」
 僕は後頭部脊髄のチョット上を摩りながら起き上がり、大学生ぐらいの大人の女の人が立ち尽くし、大声をあげながら盛大に泣いているのを見やる。凄い罪悪感。そりゃさ、悪いと思うよ。でもさ。


 ◇

 最初の最初、『悪・即・斬』の後で気づいた以降はハナの質問にサキュバスっ娘も恐れ入った感じで素直に供述してくれていた。しどろもどろであったけど。

 彼女は“B2ブロンズ冒険者”であるという。
異世界定番の冒険者ってちょっと滾る、と思ってたらハナの善意からの意訳だった。直訳は“特異生物産資源収集その他請負業務有資格者・乙職二種四級”。
 「男の子って冒険者とか好きでしょ」との事。“者”しか合ってねー。

 ちなみに冒険者ギルドは“特異生物産資源買取その他業務委託会社”。
 ギルド直訳の相互組合でも自治団体でもなく営利目的のただの会社だった。でもそれはソレ、中世チックで魔法ありの世界は色々ユルくて、まあ軍閥という側面もあったりして(逆にそんな制御が及ばない一大武装組織を各国家がよく放置したままにしていると不思議で)関係団体(国とか領主貴族とか有力商人とか)とのウンヌン・カンヌンもあり~ので、結局やっぱり“無難”な冒険者ギルドでよくねっ、てことらしい。
 
 “B四級ブロンズ冒険者”として隣国への単純な密入国の道案内に雇われたらしい。
 サラっと流したけど密入国って違法だし、誘拐の片棒も込みって知ってたよね。その辺のモラルもユルユルと。

 と、自分たちがえらい遠い場所まで飛ばされていた現実を聞き唖然とした。僕は主に転移魔法の存在とその魔力の効力についてだが、ハナは距離(東京から九州鹿児島、或いはパリ~ベルリン間に等しい距離だった。遠!)とそれに伴う帰還への困難さに。

 やはりというか、当然というか、異世界こっちでは魔物がいるらしく、それもウジャウジャと。
 『溜まりの深森』と呼ばれる魔物の領域と人の生活園及び未到達地とが不定形且つ複雑に隣り合い、都市間の移動はもちろん経済にも多大な支障を及ぼしているらしい。あと憶測だけど文明の発展にも。

 その分人間同士の戦争は少ないのかな。と、思ったけど、実際は戦争はむしろ多いらしい。それも小さな領地を巡る極めで短絡的な略奪メインの極悪戦が。
 本当に頭が悪い。結局双方に利益なんて残らない、双方が損耗し合いジリ貧へと向かう終わりの為の戦争。

 実際、この世界はそんなバカ争いの最終段階一歩手前らしい。本当に後のあとに判明わかる事なんだけど。
 そこからの脱却は底辺層からの経済的押上げだけなんだけどな。世界はままならないらしい。

 整備された街道は有るものの、『溜まりの深森』から離脱した『ハグレ(単体だけでなく集団で移動する種もいる)』が徘徊し、事態を深刻化させている。そこで登場したのが冒険者のなかの専門職だ。

 ハグレを含め魔物や獣の習性を踏まえ、事前に避けたり、安全に野営するノウハウを携えたエキスパートな道案内が乙cBだ。道案内だけではなく、警護も兼ねると一種。彼女は兼ねない二種。
 でも実際は真のエキスパートに達していないから荒事も引き受けるって訳で、要するに体のいい肉壁。二種のほうが希少性も勿論料金も高い。
 守る前に避けるが鉄則。でも二種だからって荒事が出来ない、得意では無いって訳じゃない、らしい。なら彼女は?

「二種でも、戦闘はちょっと……」
 と、彼女は顔を背けていた。でもさっきの殺気? 僕を心底ビビらせた“悪魔チックな何か”はとても“戦闘はちょっと”と言わせる以上のモノがあったような気がするけど。

「等級は専門技量を図るもので、道案内二種に戦闘力は加味して無いはずよ」
 と、ハナが小声で僕に教えてくれた。
 そうなんだ。でもハナって悪役だけど侯爵家の高貴な深窓の令嬢様なんだよな。よくも市井のそれもマニアックな冒険者ギルドの事情に何でそんなに詳しいんだ?
 ああ、マニアだからか、所詮は厨二病……って足踏んでんですけどハナさん。
 非常に痛いんですけど。

 ハナはサキュバスっ娘の雇い主『黒フードの男』を自分たちが撃退し、此処ここには永遠にやって来ない事を声高に宣言した。

「『黒フードの男』の代わりに雇ってあげる。だから自分たちを元の国まで連れて行きなさい」
 と、自分はキノギス王国五大貴族が一つ、ヴレゥ侯爵家その第二息女であり勇者候補であり神託の聖女候補と、止める間もなく秘匿すべき個人情報もダダ洩れ喧伝し、だからと悪徳令嬢そのままに厚顔チックに下命(命令じゃなくて下命)、もとい、説得に励んでいた。
 それがハナが豪語している『旨く丸め込んだ』の真相だ。

 ラノベの転生異世界物だと現世の性格がそのまま表に出る場合が定番だが、コッチでは転生先の性格も色濃く出る感じなのかな。元のハナの性格だともっと……。
 あれ?  僕は今何を言おうとした?  これじゃまるで僕はハナの事をよく知っているみたいじゃないか。くそ、嫌な感じだ。こんなことがさっきから繰り返してる気がする。似非大賢者サマもだんまりだし……
 まあ、いい。この件は保留にしておこう。それも意図されている気はするが……。

「あッ、元の国お家じゃなくて……そう、安全な場所迄でいいわ」と突然行き先を変更するハナ。
? なんだ。

「安全な場所迄でいいけど、でも住む所が必要よね。家よね。贅沢とは言わないけど最低二十部屋は必要よね。あと、私って健気、生活の為には働かなくちゃね、ハム君が。ハム君が働ける仕事を用意しなさい」
 この子はおバカなのか?
 そして何故なぜに急に目的地を生家の侯爵邸からそこら辺にランクダウンさせた? 諸事の要求はアレだけど。

 ハナはゲス貴族バリに(っあ、生粋か)上から目線で。その代わり金に糸目はつけない等の頭の悪さを発揮して、サキュバスっ娘を懐柔? (脅迫?)しようとしている。
 でも、いいのかな。丸っぽ彼女を信用して。初見で少し事情を聞いたぐらいだし。何より最初の悪魔に見えた時のあれ、もの凄く怖かった……。

 僕は彼女を改めて観察する。
 うん。スレンダーでスタイルもいいし、綺麗なお姉さんは好きだ。合格。
 特にお臍の下、丹田と呼ばれる下腹部にある藍色の変形ハートのタトゥーがセクシーで……。
「ぐわ、ゲホ。ぐぅぅ」……チ、チガウし。

 って感じで楽しんでいたらふと、彼女から不穏な気の揺れをおぼえる。
 最初は気のせいかと思ったそれが、少しづつ広がりをみせるに至って警戒に動こうと身構える直前だった。
 突然大きな害意の塊のような異臭が鼻を突き、加えて彼女のビキニスタイルその体表から渦を巻くような異音が響き僕の背筋を凍らせた。特に下腹部の藍色のタトゥーからが酷く、軽くないパニックを起こす。
 黒い、雷雲? 藍白い一瞬のひらめき? アレは、ヤバイ‼
 無意識だった。
 たぶん恐怖心から。全力での炎弾を放っていた。

 それは似非3D炎と称するには異質すぎた。全くの別物。炎と言うよりもっとい閃光そのものだった。絶対的な質量を伴った現実的リアルな、全てを溶かし切る超高温の燃焼爆発だった。

 焦った。1m先で幻のように霧散したからよかったものの、当たってたらえらい事になっていた。たぶん彼女の足首から上は溶けて無くなってた。それは元世界あっちの実験検証番組で見たテルミット燃焼爆発反応そのままだった。最高到達温度は三千度に達する。
 口の端が引き攣るのを止められない。反省自重。だから誤魔化す為に。
 
「動くなって、言ったよな」
 ってカッコつけて言ってみた。

 あれ? 今僕、異世界こっちの言葉を喋ったよな。
 でも相変わらず中途半端な魔法。伸ばした左の掌が焼き爛れ、髪の毛の先が焦げ、鼻先がヒリヒリする。

 ふと、サキュバスっ娘の足元に水たまりが出来ているのが見えた。顔を逸らす。
 違うから。僕はそんな趣味は無いから。ゴメンナサイ。

 僕の謝罪はあっさり拒否される。ハナの唸る“延髄斬り”が僕の首裏に炸裂した。咄嗟に前に身体を倒していなければリアルにヤバいヤツ。
 キケンな技は止めて。

 僕はそのまま地面に伏す。
「何さらしとんじゃ、ワレ! オー!
 女の子を泣かすなボケー‼
 もう少しで私が旨く丸め込める処だったのに。台無しじゃん! バカなの! バカなのね⁉」

 伏した僕の顔をウ◯コ座りで顔を斜めに下げ覗き込み啖呵を吐くハナ。迫力満点、目が怖い。でもスカートが捲れて股間のかぼちゃパンツが僕の目の前、拡大丸見えだぞ。はしたないからやめなさい。だから。

「丸め込めなかっただろ」

 それでも文句を言いたそうなハナは僕の焼け爛れた右手を見て言葉を綴るのをやめる。痛ましげに黙ると治癒用ポーションを取り出し僕の顔の横にそっと置く。

「いらないよ。ナンカすぐに治るっぽいし」
「飲んで、今すぐ。命令だから」
 そう言ってスッと立ち上がると未だ立ち尽くし大泣きしているサキュバスっの元へと歩みよる。
 憤慨甚だしいハナ「あっち行ってて、見ないでね。絶対」

「はい」と僕。

 伏したまま眼だけ動かし見るとハナがサキュバスっ娘に優しく寄り添い手を腰に(背の高さが逆だから腰に抱き着いてるようにしか見えないが)、優しく話し掛けていた。

「見るな!」炎弾が飛んできて僕の目の前の地面を刳る。鼻先の火傷度数が上がりましたけど。

「はい」と僕。

 僕はハナとサチが歩み去るのを待って、そのまま仰向けに寝転び空を見上げる。青いなぁ。
 僕は自分の右腕を空に向かって伸ばして確認する。ぐじゅぐじゅジュウジュウ蒸気上げて絶讃修復中。皮膚下がモコモコと所々動いててキモい。そしてとんでもなく痛い。治りもすごく遅い。痛いよー。
 もう使わない。絶対だ。
 って言うかテルミットなんてどうやって撃てた俺。

 ポーションを飲んだ。借金増額は非常に痛いが、今は心が弱ってるのか躊躇しなかった。一瞬もの凄く、数百倍の激痛に襲われたけど、しばらくするとスウうっと遠のき、思わずため息が漏れた。心底ホッとする。
 でもなんだか最初に飲んだ時よりも効きが“薄い”ように感じた。
 

 ハナとサキュバスっ娘は森の奥に入って行った。僕の目をそりゃ気にして。まあ、覗いたりしないけどな。たぶん。
 いつの間にか仲良くなったのか、きゃぴきゃぴ声が風に乗って聞こえる。
 主にハナの偉そうな物言どゲスな「ええのんか、ええのんか」が目立ち、それに若干怖気ついたサキュバスっ娘の消え入りそうな(まちむすめ風に)「や、やめてください……」が“きゃぴきゃぴ”と言えるならなんだけど。

 水辺があるのかな? 水の匂いが僅かにする。
 うむ。シチュエーション的には百合だな。百合はいい。百合は正義だが……なるほど、百合で誤魔化して自分のゲロ顔と服を洗いに行ったな! 卑怯なりハナ、人の世話にかこつけて全てを無かった事にしようとしてもそうはさせない。紛うことなき貴様は“ゲロ姫”である……。

 と、そこまでしか言葉に出来なかった。僕の頭の横十五センチの地面に森の木々の隙間を縫い、遠距離を物ともせず炎の矢が着弾していたから。
 ビュンて音がして、ドンだった。

 そして段々威力が増してらっしゃる。それとさ、コントロールも良くなってるんだね。……今の、わざと外したんだよね?
「チッ、次は必ず頭を打つ射抜く」
「すいません忘却しました。一切記憶を失いました。ゴメンナサイ図に乗りました!」



―――――――――
お読み頂き、誠にありがとうございます。
よろしければ次話もお楽しみ頂ければ幸いです。

毎日更新しています。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...