12 / 31
極上のしずく
11
しおりを挟む
鏡をじっと見つめる。
こんなにまじまじと自分の眼を観察したことはない。
以前、目の縁にほっそり生えていたまつげ。それが、
「ほんとに育ってる……」
朝晩の丹念な育成(?)によって、間違いなく1本1本の太さが増していた。
(すご……こんな目に見えて変わるもんか……)
パチパチ。まばたきをして、右、左と顔を向けて長さを見てみる。長さに関しては(ものすごく伸びた)という実感はないが、(少し伸びたかも?)くらいの印象はある。
目に見えて変化があるのは楽しい。
肌も、美容液を導入してから透明感が出た気がする。
“印象”、“気がする”。
そんな曖昧な感覚でも、キレイを感じるのはテンションが上がる。
そんな休日のおりに、宅配を告げるチャイムが鳴った。
実家から送られてきたらしい、重く巨大な段ボール箱。
(またいっぱい入ってるな……)
開けてみると、並ぶのは丁寧に包まれた日本酒の数々。
レイコの実家は、こじんまりとした鮨屋で、近所の者が集まる居酒屋だった。
父は口にしないが、レイコに地元に帰ってきてほしいらしく、その本心を込めて地元中心の日本酒が頻繁に送られてくる。
だがしかし、この誘惑はかえって逆効果だった。無料で手に入るアルコールのおかげで、実家に帰る気などさらさらないレイコだった。
(今回は何かな~)
にやにやしながら日本酒のラベルを確認していく。梵、花垣、一筆啓上、一本義。
「——早瀬浦!」
大好きな日本酒も見つけて、鏡を見ていたときよりもテンション高く声をあげていた。
(今回はいつにもまして地元を推してくるな~?)
彼氏と別れたと伝えたせいだろうか——。
こちらは母に伝えただけなのだが、プライバシーはないらしい。
詰め込まれた日本酒の最後は、いちばん大きな一升瓶の箱。1.8リットル。
(一升瓶て。どんだけ呑むと思って。……ん? あれ、まさかこれ……)
銘柄を確認した瞬間、ティアに連絡を入れていた。
こんなにまじまじと自分の眼を観察したことはない。
以前、目の縁にほっそり生えていたまつげ。それが、
「ほんとに育ってる……」
朝晩の丹念な育成(?)によって、間違いなく1本1本の太さが増していた。
(すご……こんな目に見えて変わるもんか……)
パチパチ。まばたきをして、右、左と顔を向けて長さを見てみる。長さに関しては(ものすごく伸びた)という実感はないが、(少し伸びたかも?)くらいの印象はある。
目に見えて変化があるのは楽しい。
肌も、美容液を導入してから透明感が出た気がする。
“印象”、“気がする”。
そんな曖昧な感覚でも、キレイを感じるのはテンションが上がる。
そんな休日のおりに、宅配を告げるチャイムが鳴った。
実家から送られてきたらしい、重く巨大な段ボール箱。
(またいっぱい入ってるな……)
開けてみると、並ぶのは丁寧に包まれた日本酒の数々。
レイコの実家は、こじんまりとした鮨屋で、近所の者が集まる居酒屋だった。
父は口にしないが、レイコに地元に帰ってきてほしいらしく、その本心を込めて地元中心の日本酒が頻繁に送られてくる。
だがしかし、この誘惑はかえって逆効果だった。無料で手に入るアルコールのおかげで、実家に帰る気などさらさらないレイコだった。
(今回は何かな~)
にやにやしながら日本酒のラベルを確認していく。梵、花垣、一筆啓上、一本義。
「——早瀬浦!」
大好きな日本酒も見つけて、鏡を見ていたときよりもテンション高く声をあげていた。
(今回はいつにもまして地元を推してくるな~?)
彼氏と別れたと伝えたせいだろうか——。
こちらは母に伝えただけなのだが、プライバシーはないらしい。
詰め込まれた日本酒の最後は、いちばん大きな一升瓶の箱。1.8リットル。
(一升瓶て。どんだけ呑むと思って。……ん? あれ、まさかこれ……)
銘柄を確認した瞬間、ティアに連絡を入れていた。
66
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Husband's secret (夫の秘密)
設楽理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる