紅色のガラス玉

空城誠

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注ぎ込まれたもの、与えられたもの

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「さて、覚悟はいいか?」
「いい。さあ、さっさと済ませてくれ」

 私は自ら服の襟を開き、首をさらけ出す。そして、固く目を瞑った。
 その様子を見て、男はニヤリと笑う。

「まあ、折角なら楽しまなくてはな」

 そう呟き、あろうことか私の唇に唇を重ねてきた。私が抵抗できないでいると、今度は息苦しくなって口をあけた瞬間に、舌を這わせて口の中をまさぐる。

「ンッ!?」

 私は口を塞がれているため何も言えず、思い切って目を開けた。丁度、窓から月明かりが入り込み、男の綺麗なエメラルドグリーンの瞳が照らされて光っている様子を至近距離で眺めることになる。先ほどまで暗かったので男の容姿などはわからなかったが、不覚にも見惚れてしまい、恥ずかしさのあまり男の胸板を押して突き飛ばそうとした。
 男は私の抵抗をものともしていなかったが、やっと私の口を開放してくれた。

「な、なにを……!」
「どっちでもいける性質たちなんだ、俺は。お前はまだ女性ともしたことないって感じだな」

 そう言って乱れた赤髪を直す男は、どこからどう見ても綺麗な顔立ちをした好青年だった。……発言を除けば。

「そっ、それが、どうした! というか、血を吸え血を!」

 私は男に両手で掴みかかろうとする。しかし、逆に両手首をつかまれ、頭の上に固定されてしまった。足は、男がのしかかっているので抵抗できない。

「血を吸われるのは痛い。だから、快感で相殺してやろうというのだが。だめか?」
「だ、だめとかそういう問題ではなく……ちょっと、おい、どこを触っている!?」

 男は私のシャツをめくり上げ、胸を撫で回す。そして、その頂点をつまみ上げた。

「あっ……なに、を……」

 しばらくそこを撫でられていると、自分がそれを快感だと覚えているのがわかった。
 もう言葉ですら抵抗はできない。なすがままというのは、こういうことなのか……。

「いいこだ。 ……実はそっちのケがある? まあ、なくても俺が開発してあげるけどな」

 私は出来るだけ声を出さないようぎゅっと口を閉じていた。なにしろ、気持ちいいと感じる所を触られたら、変な声がでて恥ずかしいのだ。

「もっと、可愛い声を聞かせてくれ」

 男は私の必死の抵抗に気がついたのか、また私に口付けをする。しばらくは耐えていたのだが、与えられる快楽と息苦しさには勝てずに、とうとう口を開けてしまう。今度は舌を入れながら、貪るような荒いキスだった。

「うっ……はぁ、あっ!」

 ピチャピチャという卑猥な音が加わり、段々と快感が増していく。そして、私の欲望の塊が限界に達しているのがわかった。

「お……っと、もう起ってきちゃったか」

 男は唇を離し、楽しそうにそう言うと、私のそこをズボンの上からなぞりはじめた。

「な、や、触るな……あぁっ」
「でも、ほら……ここはもっと触って欲しいって。ビクビク震えてるじゃないか」

 私のズボンをのチャックを外し、半分ずらす。下着も一緒にずらしてしまえば、まっていましたと言わんばかりに私のソレは飛び跳ねた。
 それが堪らなく恥ずかしく、私は顔を背ける。

「大丈夫だ。可愛がってやるから」

 男はそこに舌を這わせ、時には口内に収めて上下する。その感覚がたまらなく気持ちよく、私は限界に達しそうになっていた。
 
「で、でるっ! ああ、あああう!」

 むしろイってしまえと言わんばかりに男は動きを激しくし、気持ちいいところをピンポイントで攻めてくる。

「う、うあああああああああ!!!」

 私はとうとう果ててしまった。私の出した精液は、男がすべて飲み込んでしまったようで、何度か喉を鳴らす音が聞こえた。

「ふっ、はぁ……」

 私の手は自由にされたものの、私は抵抗する力をなくしていた。もう抵抗する気などなかった。
 あのたった一時で、快楽の海におぼれていたのだ。

「ふぅ……さて、今度は俺も楽しませてもらうよ」

 男は突然そう言うと、私の着ているものをすべて剥ぎ取り、私をうつ伏せにすると尻を突き出させた。私は何をするのかわからず、なすがままになる。

「最初は痛いが、まあ、慣れるさ」

 そう言って、男は私の穴に自らの涎をつけた指をゆっくりと埋めていった。

「ふぐっ……はぁ、なにを……?」
「最初は慣らさないと、俺もお前もきついだろう?」

 男は抜き差しをし、私の直腸に確実に刺激を与えていく。

「ああつ! うぅっ……ふああっ!」

 先ほどの射精で元気をなくしていた私のソレも、新たな未知の刺激に元気を取り戻していく。

「初めてなのに痛くないのか? まあ好都合だけどな」

 男はそう呟くと突然指の動きをやめ、今度は二本同時に埋めていく。

「あっ、ああ! あああぅ!」

 僅かにきついと感じながらも、やはり痛くはなかった。二本も慣れてしまい、三本、四本とだんだん本数が増えていく。そしてとうとう、男のモノが私の穴にあてがわれた。

「さあ、深呼吸して……力を抜いて!」

 いっきに突き立てられたものの、痛みはほんの一瞬で、すぐにその律動にあわせて腰を動かしてしまう。考えられるのは、その快楽のみだった。

「はあっ! ああっ……うっ、はぁん……うあああ!」
「くっ……意外といい締め付けだ……ふっ」

 男も快楽を感じているのだろうか、声を漏らす。

「はぁっ……イく時は、言えよっ!」
「イくぅ! イく、イっちゃうううっ!」
「もう少し我慢しろ、もう少しだ!」

 突然男は律動を激しくし、そして、私の首筋に噛み付く。たしかにとてつもなく痛かったが、それも快感になっていた。



「はああああん! イく! イくううううう! あああああああああん!」

 私は我慢しきれなくなり、再び欲望を外へ放出した。それと同時に、熱いものが中に放出される。

「はぁ……はぁあああああん!」

 中に出された快感により、連続して果てる。男のものがずるりと抜け、私は膝を立てていられなくなり、そのまま力を抜いた。おなかのあたりに先ほど自分が放ったものがくっつくのがわかる。

「これで……お前もヴァンパイアになるだろう……。だが、それまでも苦しいぞ」

 私は、男の声をぼんやりと聞きながら、腹の中に放たれた男の熱いものを感じつつ、深い眠りに落ちてしまった。


 ◇◇◇


 それからは、ほとんど男と体を重ねて過ごしていた。
 目を開けたら男は自分のもので私の中をかき乱していて、その快楽に埋もれて自身の体の痛みを忘れた。時には、私の上に男がまたがり、私が男の中に欲望を放ったこともあった。そして、体中の痛みがすべてなくなった頃、男は私を湖に連れ出し、そこで体と散々汚したベッドのシーツを洗ってくれたのだった。
 私は、とにかく男に感謝をした。もし、男が私に快楽を与え続けていなければ、人間の体からヴァンパイアになる痛みには耐えられなかったのだと思う。聞けば、一週間はずっと痛みに呻いていたそうだ。
 
「そういえば、まだお互い名前を知らないな。私の名前は――」

 ふと思い出し、私が名乗ろうとしたその時、男は私の唇に人差し指をあてた。

「もうお前はヴァンパイアだ。だから、人間のときの名前は捨てろ。私のことは、グレアムと呼んでくれればいい。お前は……そうだな、今日からウォルスだ」

 元牡鹿でヴァンパイアの男――グレアムは、そう言って笑った。月明かりの下、男はとてもまばゆく見えた。その傷だらけな体は、今までの苦労をうかがえる。私は、その姿に再び見惚れてしまった。

「ん? どうしたウォルス?」
「あ、いや……なんでもない。これからよろしく、グレアム」
「ああ、よろしく、ウォルス」
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