異世界修行の旅

甲斐源氏

文字の大きさ
10 / 55

最高神アテナの願い

しおりを挟む
 一人残った僕は王都を見学することにした。王都に来てまだほとんど見学したことがなかったのだ。


「ユリウス様。どちらに行かれるのですか?」

「ああ、ソフィアか。王都を見学して回ろうと思うんだ。」

「では、その姿では目立ちます。平民の服に着替えたほうがよいかと。」

「そうだよね。」


 普段、僕は貴族用の服を着ている。そんな服を着て一人で歩いていれば、かなり目立ってしまう。着替えて出かけようとするとソフィアとミーアが待っていた。


「私達がご案内します。」

「うん。頼むよ。」


 最初に貴族街を歩きながら貴族の説明を受けたが、情報が多すぎて覚えきれなかった。そして王城の隣にある大聖堂に向かった。


「ここがこの国のアリスト教の総本山です。大司教グレゴリー様をトップに大勢の司教がいます。」


「アリスト教の神様って誰なの?」

「最高神アテナ様です。」


 僕は奈落で修行させられた神様を思い出した。最高神アテナが僕の知っている神様なら老人のはずだ。


「中に入りましょうか?」

「うん。」


 中に入ると大勢の信者がいた。中にはケガをしている人達もいる。


「あの人達は?」

「ケガ人にゃ!司教の中には治癒魔法を使える人達がいるにゃ。」

「そうなんだ~。」


 さらに奥に行くと礼拝堂のような場所があった。そこには女神の大きな石像があり、人々がその石像に向かって拝んでいる。


“あれっ?!あの神様じゃない!どういうことだ?”


 不思議に思いながらも、僕達も参拝することにした。そして3人で石像の前に跪き拝み始めた。すると目の前が真っ白な世界に変わった。


「ホッホッホッホッ 久しぶりじゃな。」

「ああ、神様。えっ?!でも?」

「不思議そうじゃな。アテナよ。どうやらお前さんを探しているようじゃぞ。」

「この子が創造神様に鍛えられた子どもですか?」

「ああ、そうじゃ。何とかここまで育ってくれたんじゃがな。」


 神様の隣に絶世の美女が現れた。石像の女神様だ。


「よろしくね。ユリウス。私がこの世界の管理を任されているアテナよ。」

「はじめまして。ユリウスです。」

「ユリウスよ。そなたが得た力でここにいるアテナの助けになれ。それが今回の修行じゃ。」

「力になるって何をすればいいんですか?」


 するとアテナが説明し始めた。


「世界はいくつもあるのよ。創造神様がいろんな世界をお作りになったからね。その中でこの世界はかなり遅れた世界なの。」

「確かに文明的には遅れていると思いますが。」

「それだけじゃないの。精神的にも未熟なのよ。弱い人間を奴隷にしたり、平気で人を殺したりするわ。どの種族もどの人間も兄弟なのにね。」

“確かにそうかもしれない。でも、それと僕の役目と何の関係があるんだ?”

「ユリウス。あなたにはこの世界の人々の模範となってもらいたいのよ。できれば平和な世界になるように協力してくれたら嬉しいわね。」

“僕にそんなことができるだろうか?”

「ホッホッホッ 翔太よ。いやユリウスよ。どうじゃ?この修行は?まあ、やりたくなくともやらざるをえないんじゃがな。」


 神様の言う通りだ。奈落でも立ち止まった瞬間、再び激痛が走って元の場所にいた。だとしたら、今回も同じかもしれない。だったら前に進むしかいない。


「わかりました。頑張ってみます。でも、僕のやり方でやりますよ。」

「いいわよ。期待してるわね。」

「期待しているぞ!ユリウス。」


 僕の意識が肉体に戻った。どうやら時間は全く経過していないようだ。隣の二人はまだ拝んでいる。


“ああ、責任重大だな~。僕にできるかな~。”


 大聖堂を出た後、僕達は商店街に向かった。商店街はかなり広くて、とてもではないが1日で回り切れそうもない。


「お腹が空いたね。どこかで食事にしようか。」

「はい。では、あちらのレストランはいかがでしょう。」

「ご飯にゃ!お肉がいいにゃ!」


ソフィアの指差した先におしゃれなレストランがあった。


「そうだね。」

「やったにゃー!ミリューに行けるにゃ!」


 どうやらミリューという店は有名なようだ。店に入ると貴族風の人達が大勢いた。メニューを見るとかなり高い。ミーアが喜んだ理由が分かった。


「好きなのを頼んでいいよ。」

「嬉しいにゃ!」

「ミーア!いい加減にしなさい!」


 肉料理のコースを3人分頼んだ。ソフィアとミーアと話しながら待っていると、何か視線を感じた。視線の方向を見るとサニーがいたが、サニーは慌てて目をそらした。

 
「ユリウス様。あの方は?」

「アストン公爵のご令嬢だよ。」

「そうでしたか。先ほどからユリウス様のことを気にしているようでしたが。」

「同級生だからじゃないかな。」


 そして料理が運ばれてきた。サラダも様々な野菜が使われていて豪華だ。そして芋をすりつぶしたスープ。これも絶品だ。次に出てきたのはなんとソーセージだ。その中にリブステーキもあった。
 

「これは?」

「レッドボアの腸詰ですね。さすが一流レストランです。」


 かなりお腹がいっぱいになったがこれからメイン料理だ。


「パエリア?もしかしてこれってパエリアか?」


 どう見ても僕の知っているパエリアだ。


「やったニャー!パロルアにゃ!」

「ユリウス様はパロルアをご存じだったんですか?この料理はこの店だけに伝わる秘伝の料理のはずなんですが。」

「いいや。噂に聞いていたんだよ。」

「そうでしたか。」


 結構お腹いっぱいだったが、あまりの美味しさに完食してしまった。


“この世界にもお米があったんだ~。でも、今まで食べたことがなかったのはどうしてなんだろう。”


「ねえ。聞いていいかな?」

「なんでしょう?」

「これってお米だよね?」

「お米?これはライルと呼ばれるかなり高価な穀物です。高価なので貴族でさえめったに口にすることはありません。」


 日本にいるときは毎日食べていたし、いつでも食べられた。この世界ではお米が高価って、どうやって生産しているのだろう?

 その後、デザートのケーキを食べて店を出た。


“この世界の食べ物は前世の世界と変わらないものもあるようだな~。なんかうれしくなってきたぞ。”


「この後は中央広場をご案内しますね。」

「屋台があるにゃ!お菓子を売ってるにゃ!」

「えっ?!ミーアはまだ食べるつもりなの?」

「お菓子は別腹にゃ!」


 中央広場に向かう途中、細い路地から男達の怒声が聞こえてきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

26番目の王子に転生しました。今生こそは健康に大地を駆け回れる身体に成りたいです。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー。男はずっと我慢の人生を歩んできた。先天的なファロー四徴症という心疾患によって、物心つく前に大手術をしなければいけなかった。手術は成功したものの、術後の遺残症や続発症により厳しい運動制限や生活習慣制限を課せられる人生だった。激しい運動どころか、体育の授業すら見学するしかなかった。大好きな犬や猫を飼いたくても、「人獣共通感染症」や怪我が怖くてペットが飼えなかった。その分勉強に打ち込み、色々な資格を散り、知識も蓄えることはできた。それでも、自分が本当に欲しいものは全て諦めなければいいけない人生だった。だが、気が付けば異世界に転生していた。代償のような異世界の人生を思いっきり楽しもうと考えながら7年の月日が過ぎて……

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

処理中です...