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サニーの剣を購入
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そして月日が流れ、いよいよ僕達も卒業の時期になった。相変わらず僕はDクラスのままだ。
「ユリウス!結局、あんたはずっとDクラスだったわね。」
「まあね。」
マーガレットの隣でサニーが笑っている。
「サニー!あんたも何か言ってやりなよ!将来の夫なんだからさ!もっとしっかりしろとかさ!」
「私はそのままのユリウス様が好きですから。」
「あんたがそうやって甘やかすから成長しないのよ!その点、シューベル様は最高よ。なんたって近衛騎士団の副団長になったんですもの!彼の実力は本物よ!」
シューベル先輩は2年間で副団長まで昇進した。確かに公爵家という家柄が影響したかもしれないが、彼が誰よりも努力しているのを僕は知っていた。
「ユリウスは卒業してからどうするのよ?」
「冒険者でもやって世界中を旅しようかな~。」
「何言ってるのよ!あなたはスチュワート家の跡取りでしょ!それにサニーだっているのよ。」
「わかってるさ。だからサニーも一緒に旅をするんだよ。」
サニーが真っ赤になっている。
「どこまでもユリウス様についていきます。」
「あなた!サニーを危険な目に合わせたら許さないからね!」
「大丈夫だよ。危険なところには行かないから。」
そして無事に卒業式も終わり、オレ達は15歳になった。アストン公爵の許可も取って、サニーは辺境伯家の屋敷で一緒に暮らすことになった。
「サニー=ボルトンです。今日からお世話になります。よろしくお願いします。」
サニーがみんなに挨拶をして部屋に案内された。部屋はオレの隣だ。そして、ソフィアとミーアと一緒にサニーを連れて地下の訓練場にやってきた。
「ここは?」
「ここはオレ達の訓練場さ。いつもここで訓練してるんだよ。」
「訓練じゃないにゃ!私達がしごかれてるにゃ!」
「ミーア!ユリウス様に失礼ですよ!」
「だって本当のことにゃ!」
「でも、そのおかげでソフィアもミーアもAランクの冒険者には負けないほど強くなったじゃないか。」
「それはそうだけど辛いにゃ!」
「フッフッフッフッ 3人は仲がいいんですね。」
「まあね。2人はオレにとっては姉のような存在だからね。」
姉と言われてソフィアもミーアもなぜか少し寂しそうだった。
「サニー!今日からサニーも『ゴッドマスク』のメンバーになるんだ。しっかり修行してもらうからね。」
「わかっています。そのつもりでしたから。」
サニーはマーガレットと違って剣も魔法も天才ではない。その分、努力して剣術も魔法技術も磨き上げてきたのだ。彼女は間違いなく秀才なのだ。
「じゃあ始めるよ。そこの剣から好きなものを選んで。」
「えっ?! これって全部本物の剣?」
「そうさ。木剣とか刃のない剣だと甘えが出てしまうんだよ。だからオレ達の訓練はいつでも本物を使うのさ。」
「大丈夫にゃ。怪我をしてもユリウス様が治してくれるにゃ!」
サニーの顔が真剣になった。手に剣を持ってこちらに向かって構えた。
「いつでも打ち込んできていいから。」
サニーが剣を横から出してきた。まったく予期していなかった動きだ。だが、オレは慌てることなくそれを受け止めた。
カキン
その後も何度も何度も打ち込んでくる。時には左右にフェイントを入れてくる。それでもオレには届かない。
「ありがとうございました。」
「サニーも思った以上に良かったよ。これならすぐにでもダンジョンに行けるね。」
「ダンジョンですか?」
「そうさ。卒業したら絶対に西のダンジョンに行くって決めてたからさ。」
「わかりました。」
「あのさー!オレ達はもう夫婦になるんだから、そのよそよそしい話し方はやめない?もっとフレンドリーに行こうよ。」
「でも、元々私はこういう話し方なんで。」
なんかサニーが少し暗くなってしまった。その様子を見てミーアがフォローに入った。
「大丈夫にゃ!すぐに慣れるにゃ!」
「ミーア!あなたはもっとユリウス様に敬意をもってしゃべりなさい!」
「いいよ。ソフィア。ミーアはそのままで。」
「はい。」
その日の夜は屋敷のみんなで食事をした。サニーのための歓迎パーティーだ。オレとサニー以外は全員が酒を飲んだ。酒を飲むと本音を言ってくる者達がいる。意外にもソフィアが最初に酔ったようだ。
「ユリウス様~!私もね。ミーアもね。ユリウス様のことを狙ってたのよ~!なのに…グスン・・・手も握ってくれないんだから!グスン」
「ソフィア!飲み過ぎだぞ!」
「今日は無礼講にゃ!」
サニーがそっと言ってきた。
「ユリウス様。私は構いませんよ。ユリウス様を独占しようなんて思っていませんから。」
「サニーまで何言ってるんだ!」
前世のオレからしてみたら一人の女性とお付き合いするだけでも大変なのに、絶対にありえない。確かにソフィアもミーアも魅力的な女性だが、『女』を意識したこともないし、意識しないようにもしてきたんだから。
「そろそろ部屋に行って休もうか。」
「はい。」
オレとサニーはそれぞれの部屋に行った。そしてその翌日、ダンジョンに行くための装備を揃えるために買い物に行くことにした。
「ユリウス様!昨日、私、何か言ったでしょうか?」
「何も言ってないよ。」
「そうですか。ならいいんですけど。記憶がないんです。」
「ソフィアもミーアも当分はお酒禁止ね。」
「え———!!!私もにゃ?!」
「そうさ。ミーアだって凄く酔ってたんだから!」
「申し訳ないにゃ。」
校外訓練の際に利用したサントス商会で必要なものをすべて購入した。するとサニーが声をかけてきた。
「ユーリ。食料品は買わなくていいの?」
オレも驚いたが、ソフィアもミーアも驚いたようだ。3人で一斉にサニーの顔を見た。サニーは何事もなかったように澄ましている。サニーがフレンドリーな話し方になったのは、昨晩の歓迎会が良かったのだろうか。もしかしたら昨夜のうちに練習したのかもしれない。
“『ユーリ』って、まさか母上の影響かな~?まあいいけど。”
それから冒険者ギルドに向かった。
「あら~。ユリウス君じゃない。久しぶりね。また薬草採取の依頼を受けるの?」
「いいえ。今日はサニーの登録をお願いしに来たんです。」
「なら、この紙に記入してちょうだい。」
バニーが他の受付の女性達と何やらこそこそ話をしている。
「ユリウス君。ちょっと聞いていいかな?」
「なんですか?バニーさん。」
「もしかして、サニーさんってサニー=ボルトン様じゃないわよね?」
「そうですけど。」
「え————!!!ならユリウス君って、ユリウス=スチュワート様なの?」
「そうですけど。『様』は必要ないですよ。あくまでもオレ達は冒険者ですから。」
「そう。ならいいけど。もっと早く教えてほしかったな~。」
なんかバニーが意味深なことを言っていた。そして無事にサニーの登録も済んで、サニーの武器を購入するために武器屋に行くことになった。本来なら、オレが刀をもらった武器屋に行きたいが、王都ビザンツにもそれなりに武器屋はある。
「これからどうするの?」
「サニーの武器を買いに行くんだよ。ダンジョンではどんな魔物が出るかわからないからさ。しっかりした武器を持ってないとね。」
「ユリウス様。それでしたらいい店を知ってますけど。」
「そうなの?」
「はい。店主はドワーフ族なので満足できるものがあると思います。」
「じゃあ、ソフィア。案内してくれる?」
「はい。」
武器屋は広い商業地区の一番南側にあった。
「こんにちは~。」
声をかけると奥からドワーフ族の男性が出てきた。
「何か用か?」
「はい。この子が使う剣を探してるんですけど。」
「店内を自由に見てみればいいさ。好きなのをここに持ってきな。」
なんか店主の態度がそっけない。まあ、オレもサニーも16歳になったばかりだから、子ども扱いされても仕方がないかもしれない。でも、サニーにはオレの刀と同じようにしっかりしたものを持たせたい。そこで、店主に見えないように空間収納から刀を取り出した。
「あの~。オレが使っているこれと同じようなものがあれば嬉しいです。」
刀を店主に見せると店主の小さな目が大きく開いた。
「お、お、お前さん!ちょっとそれを見せてくれ!」
オレが刀を手渡すと店主はまじまじと観察し始めた。
「この剣はどこで手に入れたんだ?」
「フルートシティの武器屋ですけど。」
「もしかして店主はドワーフ族じゃなかったか?」
「ええ、そうですよ。」
「やっぱりか~。」
「知ってるんですか?」
「ああ、奴の名前はドエルだ。わしの兄だよ。わしはガンツだ。よろしくな。ドエルの奴、こんなものをどこで手に入れたんだ?」
「なんか古代遺跡で発掘されたもので『刀』って言ってましたよ。」
「そうか。奴がそなたにこれを売ったんだな。」
「いいえ。オレが子どもだった時にくれたんです。」
店主がオレのことを観察するようにじっと見つめた。そして口を開いた。
「なるほどな。やつがお前さんにそれを渡した理由が分かったよ。お前さん、ただものじゃないな。」
「いえいえ。普通の冒険者ですから。」
「まあ、そういうことにしておこう。奥に来てくれ。そんなものを見せられたら、下手なものは売れねぇからな。」
奥に行くと立派な剣が数本置かれていた。どの剣も店先に並んでいたものとは格が違う。その中でも青色に光る見ごたえのある剣があった。
「サニー。この剣を持ってみて。」
「うん。」
サニーが剣を持つと少し重そうだ。
「私には少し重いかな。」
「ちょっとその剣を貸してくれる?」
僕は剣を受け取って魔力を流し込んで魔法をかけた。
『フリージー』
そして再びサニーに渡した。
「剣を握りながら自分のちょうどいい重さを想像してみて。」
「うん。」
すると剣が光り始め細くなっていく。サニーもガンツも目を見開いて驚いた。
「なんだと?!」
「ちょうど良くなった!ありがとう!ユーリ!」
「よかった。じゃあ、その剣に決めようか。」
するとガンツが聞いてきた。
「おい!お前さん。その剣に何をしたんだ?」
「彼女が希望する大きさや重さになるように魔法をかけたんです。」
「そんなことが可能なのか?!」
「はい。」
「お前さん、やっぱりただものじゃないな。何者なんだ?」
「さっきも言った通り、普通の冒険者ですよ。それでその剣はいくらですか?」
「それはミスリル製だ。本来は白金貨3枚はする代物だが、材料費だけでいい。なんか、お前さんからは金をとってはいけないような気がしてきた。」
“そうか~。ドエルの奴は一瞬にしてこの少年の力を見抜いたんだな。わしはまだまだだな。”
お金を払って武器屋を後にした。
「ユリウス!結局、あんたはずっとDクラスだったわね。」
「まあね。」
マーガレットの隣でサニーが笑っている。
「サニー!あんたも何か言ってやりなよ!将来の夫なんだからさ!もっとしっかりしろとかさ!」
「私はそのままのユリウス様が好きですから。」
「あんたがそうやって甘やかすから成長しないのよ!その点、シューベル様は最高よ。なんたって近衛騎士団の副団長になったんですもの!彼の実力は本物よ!」
シューベル先輩は2年間で副団長まで昇進した。確かに公爵家という家柄が影響したかもしれないが、彼が誰よりも努力しているのを僕は知っていた。
「ユリウスは卒業してからどうするのよ?」
「冒険者でもやって世界中を旅しようかな~。」
「何言ってるのよ!あなたはスチュワート家の跡取りでしょ!それにサニーだっているのよ。」
「わかってるさ。だからサニーも一緒に旅をするんだよ。」
サニーが真っ赤になっている。
「どこまでもユリウス様についていきます。」
「あなた!サニーを危険な目に合わせたら許さないからね!」
「大丈夫だよ。危険なところには行かないから。」
そして無事に卒業式も終わり、オレ達は15歳になった。アストン公爵の許可も取って、サニーは辺境伯家の屋敷で一緒に暮らすことになった。
「サニー=ボルトンです。今日からお世話になります。よろしくお願いします。」
サニーがみんなに挨拶をして部屋に案内された。部屋はオレの隣だ。そして、ソフィアとミーアと一緒にサニーを連れて地下の訓練場にやってきた。
「ここは?」
「ここはオレ達の訓練場さ。いつもここで訓練してるんだよ。」
「訓練じゃないにゃ!私達がしごかれてるにゃ!」
「ミーア!ユリウス様に失礼ですよ!」
「だって本当のことにゃ!」
「でも、そのおかげでソフィアもミーアもAランクの冒険者には負けないほど強くなったじゃないか。」
「それはそうだけど辛いにゃ!」
「フッフッフッフッ 3人は仲がいいんですね。」
「まあね。2人はオレにとっては姉のような存在だからね。」
姉と言われてソフィアもミーアもなぜか少し寂しそうだった。
「サニー!今日からサニーも『ゴッドマスク』のメンバーになるんだ。しっかり修行してもらうからね。」
「わかっています。そのつもりでしたから。」
サニーはマーガレットと違って剣も魔法も天才ではない。その分、努力して剣術も魔法技術も磨き上げてきたのだ。彼女は間違いなく秀才なのだ。
「じゃあ始めるよ。そこの剣から好きなものを選んで。」
「えっ?! これって全部本物の剣?」
「そうさ。木剣とか刃のない剣だと甘えが出てしまうんだよ。だからオレ達の訓練はいつでも本物を使うのさ。」
「大丈夫にゃ。怪我をしてもユリウス様が治してくれるにゃ!」
サニーの顔が真剣になった。手に剣を持ってこちらに向かって構えた。
「いつでも打ち込んできていいから。」
サニーが剣を横から出してきた。まったく予期していなかった動きだ。だが、オレは慌てることなくそれを受け止めた。
カキン
その後も何度も何度も打ち込んでくる。時には左右にフェイントを入れてくる。それでもオレには届かない。
「ありがとうございました。」
「サニーも思った以上に良かったよ。これならすぐにでもダンジョンに行けるね。」
「ダンジョンですか?」
「そうさ。卒業したら絶対に西のダンジョンに行くって決めてたからさ。」
「わかりました。」
「あのさー!オレ達はもう夫婦になるんだから、そのよそよそしい話し方はやめない?もっとフレンドリーに行こうよ。」
「でも、元々私はこういう話し方なんで。」
なんかサニーが少し暗くなってしまった。その様子を見てミーアがフォローに入った。
「大丈夫にゃ!すぐに慣れるにゃ!」
「ミーア!あなたはもっとユリウス様に敬意をもってしゃべりなさい!」
「いいよ。ソフィア。ミーアはそのままで。」
「はい。」
その日の夜は屋敷のみんなで食事をした。サニーのための歓迎パーティーだ。オレとサニー以外は全員が酒を飲んだ。酒を飲むと本音を言ってくる者達がいる。意外にもソフィアが最初に酔ったようだ。
「ユリウス様~!私もね。ミーアもね。ユリウス様のことを狙ってたのよ~!なのに…グスン・・・手も握ってくれないんだから!グスン」
「ソフィア!飲み過ぎだぞ!」
「今日は無礼講にゃ!」
サニーがそっと言ってきた。
「ユリウス様。私は構いませんよ。ユリウス様を独占しようなんて思っていませんから。」
「サニーまで何言ってるんだ!」
前世のオレからしてみたら一人の女性とお付き合いするだけでも大変なのに、絶対にありえない。確かにソフィアもミーアも魅力的な女性だが、『女』を意識したこともないし、意識しないようにもしてきたんだから。
「そろそろ部屋に行って休もうか。」
「はい。」
オレとサニーはそれぞれの部屋に行った。そしてその翌日、ダンジョンに行くための装備を揃えるために買い物に行くことにした。
「ユリウス様!昨日、私、何か言ったでしょうか?」
「何も言ってないよ。」
「そうですか。ならいいんですけど。記憶がないんです。」
「ソフィアもミーアも当分はお酒禁止ね。」
「え———!!!私もにゃ?!」
「そうさ。ミーアだって凄く酔ってたんだから!」
「申し訳ないにゃ。」
校外訓練の際に利用したサントス商会で必要なものをすべて購入した。するとサニーが声をかけてきた。
「ユーリ。食料品は買わなくていいの?」
オレも驚いたが、ソフィアもミーアも驚いたようだ。3人で一斉にサニーの顔を見た。サニーは何事もなかったように澄ましている。サニーがフレンドリーな話し方になったのは、昨晩の歓迎会が良かったのだろうか。もしかしたら昨夜のうちに練習したのかもしれない。
“『ユーリ』って、まさか母上の影響かな~?まあいいけど。”
それから冒険者ギルドに向かった。
「あら~。ユリウス君じゃない。久しぶりね。また薬草採取の依頼を受けるの?」
「いいえ。今日はサニーの登録をお願いしに来たんです。」
「なら、この紙に記入してちょうだい。」
バニーが他の受付の女性達と何やらこそこそ話をしている。
「ユリウス君。ちょっと聞いていいかな?」
「なんですか?バニーさん。」
「もしかして、サニーさんってサニー=ボルトン様じゃないわよね?」
「そうですけど。」
「え————!!!ならユリウス君って、ユリウス=スチュワート様なの?」
「そうですけど。『様』は必要ないですよ。あくまでもオレ達は冒険者ですから。」
「そう。ならいいけど。もっと早く教えてほしかったな~。」
なんかバニーが意味深なことを言っていた。そして無事にサニーの登録も済んで、サニーの武器を購入するために武器屋に行くことになった。本来なら、オレが刀をもらった武器屋に行きたいが、王都ビザンツにもそれなりに武器屋はある。
「これからどうするの?」
「サニーの武器を買いに行くんだよ。ダンジョンではどんな魔物が出るかわからないからさ。しっかりした武器を持ってないとね。」
「ユリウス様。それでしたらいい店を知ってますけど。」
「そうなの?」
「はい。店主はドワーフ族なので満足できるものがあると思います。」
「じゃあ、ソフィア。案内してくれる?」
「はい。」
武器屋は広い商業地区の一番南側にあった。
「こんにちは~。」
声をかけると奥からドワーフ族の男性が出てきた。
「何か用か?」
「はい。この子が使う剣を探してるんですけど。」
「店内を自由に見てみればいいさ。好きなのをここに持ってきな。」
なんか店主の態度がそっけない。まあ、オレもサニーも16歳になったばかりだから、子ども扱いされても仕方がないかもしれない。でも、サニーにはオレの刀と同じようにしっかりしたものを持たせたい。そこで、店主に見えないように空間収納から刀を取り出した。
「あの~。オレが使っているこれと同じようなものがあれば嬉しいです。」
刀を店主に見せると店主の小さな目が大きく開いた。
「お、お、お前さん!ちょっとそれを見せてくれ!」
オレが刀を手渡すと店主はまじまじと観察し始めた。
「この剣はどこで手に入れたんだ?」
「フルートシティの武器屋ですけど。」
「もしかして店主はドワーフ族じゃなかったか?」
「ええ、そうですよ。」
「やっぱりか~。」
「知ってるんですか?」
「ああ、奴の名前はドエルだ。わしの兄だよ。わしはガンツだ。よろしくな。ドエルの奴、こんなものをどこで手に入れたんだ?」
「なんか古代遺跡で発掘されたもので『刀』って言ってましたよ。」
「そうか。奴がそなたにこれを売ったんだな。」
「いいえ。オレが子どもだった時にくれたんです。」
店主がオレのことを観察するようにじっと見つめた。そして口を開いた。
「なるほどな。やつがお前さんにそれを渡した理由が分かったよ。お前さん、ただものじゃないな。」
「いえいえ。普通の冒険者ですから。」
「まあ、そういうことにしておこう。奥に来てくれ。そんなものを見せられたら、下手なものは売れねぇからな。」
奥に行くと立派な剣が数本置かれていた。どの剣も店先に並んでいたものとは格が違う。その中でも青色に光る見ごたえのある剣があった。
「サニー。この剣を持ってみて。」
「うん。」
サニーが剣を持つと少し重そうだ。
「私には少し重いかな。」
「ちょっとその剣を貸してくれる?」
僕は剣を受け取って魔力を流し込んで魔法をかけた。
『フリージー』
そして再びサニーに渡した。
「剣を握りながら自分のちょうどいい重さを想像してみて。」
「うん。」
すると剣が光り始め細くなっていく。サニーもガンツも目を見開いて驚いた。
「なんだと?!」
「ちょうど良くなった!ありがとう!ユーリ!」
「よかった。じゃあ、その剣に決めようか。」
するとガンツが聞いてきた。
「おい!お前さん。その剣に何をしたんだ?」
「彼女が希望する大きさや重さになるように魔法をかけたんです。」
「そんなことが可能なのか?!」
「はい。」
「お前さん、やっぱりただものじゃないな。何者なんだ?」
「さっきも言った通り、普通の冒険者ですよ。それでその剣はいくらですか?」
「それはミスリル製だ。本来は白金貨3枚はする代物だが、材料費だけでいい。なんか、お前さんからは金をとってはいけないような気がしてきた。」
“そうか~。ドエルの奴は一瞬にしてこの少年の力を見抜いたんだな。わしはまだまだだな。”
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