異世界修行の旅

甲斐源氏

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ダークエルフ族に遭遇

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 今後の方針が決まった日の翌朝、オレはみんなに言った。


「サニー、ソフィア、ミーア、これからのことを話すから聞いてくれ。」


 いつにもなくオレが真面目な表情で言ったので、3人は真剣な顔になった。


「オレはこの魔大陸で起きている戦いに終止符を打つつもりなんだ。」

「どうするつもりなの?」

「サニーも昨日のアテナ様の話を聞いただろ?この大陸にあるすべての国を回って従わせるさ。」

「悪魔族達はどうするにゃ?」

「恐らく、サティーニは昔の復讐を企んでいると思うんだ。だとしたらどこかできっとサティーニとも激突することになるさ。」

「ですがユリウス様、先にサティーニが他の国を滅ぼすことはないのでしょうか?」

「どの種族も強力なリーダーがいるんだ。そんな簡単に滅ぼせるとは思わないけどな。」

「ならいいんですけど。」

「それでユーリ、どの国から回るの?」

「ここから一番近いマジョリカ王国がいいかな。その後は、タイタン王国、そして竜王国だ。」

「わかったわ。」


 これからの方針が決まった。だが、イカルドだけは心配そうだ。


「悪いな!俺はどうすればいいんだ?」


 何の力もないイカルドを連れて行くわけにはいかない。命の危険があるのだから。かといって一人でアリスト聖教国に帰すこともできない。


「申し訳ありませんが、イカルドさんはここにしばらく滞在してくれませんか?」

「俺が一人で残るのか?」


 するとマーナが言った。 


「私達が人族の大陸まで送ってあげてもいいわよ。それとも私達とここで待っていてもいいですけど。」


 イカルドが鼻の下を伸ばしてニヤニヤしている。


「国に帰っても誰も待ってる奴もいないしな~。ここに残ろうかな。」

「イカルドさんの顔がいやらしいにゃ!」

「バカ言え!俺が国に帰ったらお前達が帰ってこられないだろ!だから残るんだ!」

「わかりました。では、ここにいて下さい。この水晶を渡しておきます。何か用事があればこの水晶に手を置いてオレに話しかけてみてください。」

「おお、わかった!早く帰って来いよ!」

「はい。」


 そしてオレ達はマジョリカ王国を目指して歩き始めた。やはり魔素の影響だろうか、魔大陸の木々も魔物も一回りも二回りも大きい。


「同じレッドボアとは思えないにゃ!こんなに大きいと食べきれないにゃ!」

「ミーは魔物が食材に見えるのね。」

「当然にゃ!でもゴーレムやゴブリンは食べないにゃ!」


 しばらく歩いていると森の中へと入っていった。うっそうと生い茂った木々の間を歩きながら進む。太陽の方角が分からない状態だ。


「ユーリ!この方角であってるの?」

「ああ、頭の中に地図を出しているから大丈夫だよ。」

「便利ね。」

「さすがはユリウス様です。頼りになります。」


 ミーアは歩きながら大きな果実を採って食べている。すると身体の大きなブラックモンキーの群れと遭遇した。

 
「あいつらは何を騒いでいるんだ?」

「向こうに何かいるんじゃない?」


 ブラックモンキー達が騒いでいる方向を見ると、ブラックモンキーの母子がシルバーウルフの群れに囲まれていた。


「どうするの?」

「助けるさ。」


 ブラックモンキーの親子を助けようとすると、どこからか矢が飛んできてシルバーウルフを次々と打ちぬいていく。


「誰かがブラックモンキーを助けてるみたいだ。」

「見えないにゃ?」

「ユリウス様、複数人いると思われます。」


 確かに同時に矢が何本も飛んできている。矢の飛んできた方向を魔力込めて見てみると、そこには肌の色が茶褐色をしたミミの長い男女達がいた。


「どうやらダークエルフみたいだ。」

「つまりここはもうマジョリカ王国ってことよね?」

「ああ、そうだ。みんな、油断しないようにな。」


 すると、森の奥からこちらに向かってダークエルフ達が歩いてくる。ブラックモンキー達は手に持っていた果物をダークエルフに手渡している。もしかしたら、ダークエルフ達がブラックモンキー達を従わせているのかもしれない。


「お前達は何者だ?」


 リーダーらしき男性が聞いてきた。後ろのダークエルフ達は弓を構えている。


「オレ達は敵じゃないよ。この大陸に用事があって海の向こうの大陸から来たんだ。」

「信用できんな。抵抗するなら全員ここで殺すが、どうする。」


 男はソフィアを睨みつけた。やはりエルフ族が気になるのかもしれない。


「別に抵抗なんかしないさ。オレ達はマジョリカ王国のドラクに会いに来たんだから。」

「ドラク様に?!どうしてお前達がドラク様を知っているんだ?」

「半魚人達やでっかい蜘蛛のブルートとかいう奴を討伐したら、お礼にって人魚のマーナさんがいろいろ教えてくれたんだよ。」

「貴様達がブルートを倒しただと?」

「ああ、そうだけど。」


 やはりブルートは有名らしい。ブルートの名前を聞いていきなりダークエルフ達の表情が変わった。


「にわかには信じられないな。お前達があの狂暴なブルートを倒すなど。」

「でも事実だから。」


 ローダーの男が手をあげると、ダークエルフ達が一斉にオレに矢を放ってきた。オレは咄嗟に背中の刀を抜いてすべて叩き落した。


「なるほどな。まんざら嘘でもなさそうだ。よし!我らの村に来い!ただし、変な真似はするなよ。こちらは大勢でお前達を囲んでいるんだ。いいな。」


 サニーもソフィアもミーアも余裕の様子だ。恐らく彼らが相手なら大丈夫だと思っているのだろう。森の中をしばらく歩いて行くと村が見えてきた。ダークエルフの子ども達もいる。村の様子を見る限り、かなり原始的な生活をしているようだ。


「あら、ゲルミット、久しぶりね。」

「スレーか。久しぶりだな。どうしたんだ?」

「服を私に来たに決まってるでしょ!ところで後ろにいるのは人族じゃないかい?なんか色の白いダークエルフ族のいるね~。耳のついたのもいるじゃないか。どうしたんだい?」


 リーダーの名前はゲルミットというらしい。話しかけてきたのはアラクネ族のようだ。


「森の中であったんだ。でも気を付けた方がいいぞ。どうやら厄介者のブルートや半魚人達を討伐したようだからな。」

「あの細っこい男とお嬢ちゃん達でかい?それはあり得ないだろうさ。」

「いいや。本当のようだ。俺達の矢を軽々と叩き落したんだからな。」

「へ~、見かけによらないんだね。」

「これから族長のところに連れていくつもりなんだけど、スレーも一緒に来てくれ。」

「わかったわ。部族の代表として同席するよ。」

「悪いな。」

「いいのよ。」


 それからオレ達はダークエルフ族の族長のところに連れていかれた。


「そなたは人族だな。何故この大陸までやって来たんだ?」


 目の前にいたのはどう見ても30代ぐらいの女性だった。だが、ダークエルフの寿命を考えると恐らく200歳以上なのだろう。


「正直に言います。アテナ様の手助けをするために、悪魔族の王サティーニを討伐しに来ました。」 

「そうか。やはりサティーニは復活したか。」

「はい。この大陸を覆う黒い雲がその証拠です。」

「そなたはアテナ様の使徒なのか?」

「いいえ。そういう訳ではありません。ある方にアテナ様の手助けをするように言われているだけです。」

「ほ~、アテナ様の手助けをな。ハッハッハッハッハッ 申し遅れたが、私はダークエルフ族の族長をしているローズだ。」

「オレは人族のユリウスです。こっちは人族のサニー、エルフ族のソフィア、獣人族のミーアです。」


 ローズは何か納得したような顔になった。


「なるほどな。人族にエルフ族、それに獣人族か。ゲルミットよ。客人達が不自由しないようにな。」

「はい。」


 ゲルミットは何やら不思議そうだ。オレ達が宿泊できる屋敷に案内されている間に、ローズとゲルミットとスレーが話をしていた。


「族長。あのような者達を信用してよろしいんですか?」

「ゲルミット、お前は何もわかっておらんな。」


 するとスレーが言った。


「ゲルミット、彼らは最高神様の手助けをするのよ。」

「嘘かもしれないだろ?」

「いいえ、彼は本当のことを言ってるわ。私の魔眼に引っかからなかったもの。」

「そうなのか~。」

「それだけじゃないぞ。二人とも。彼は言っただろ。『ある方にアテナ様の手助けをするように言われた』とな。つまりだ、そのある方というのはアテナ様よりも偉い神様ということだ。分かるか?」

「族長!アテナ様は最高神様ですよ。それより偉い神様なんて‥‥」

「この世界をお創りになられた神様じゃよ。ユリウス殿はアテナ様の使徒ではなく、創造神様の使徒なんじゃろうな。ハッハッハッハッハッ」


 ゲルミットとスレーがお互いの顔を見合った。


「これで、この大陸の長きにわたる戦争も終わるかもしれんな。」
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