最強転生者が神になるまで

甲斐源氏

文字の大きさ
13 / 21

初めてのゴブリン退治

しおりを挟む
 その日は久しぶりに布団で寝た。そして翌朝、食堂に降りていくとすでにミレイの姿があった。


「僕はもう食べたから、それを食べたら出かけるにゃ。」


 オレが食べ終わるのを待って2人で街に出た。ミレイがお気に入りの場所を何か所も案内してくれた。


“この子、なんで手を繋いでくるんだろう。”


「ここがこの街でも一番有名なデートスポットにゃ。」


 噴水のある広場のベンチには、たくさんのカップルが座っている。


「あそこのベンチが空いてるにゃ。」


 オレ達はベンチに座って休むことにした。


「ケンのランクは何にゃ?」

「ああ、オレはFだよ。ミレイは?」

「私はDにゃ。」

「なら、オレより上だね。」

「でも、ランクってあまり当てにならないにゃ。」

「どうして?」

「昨日のケビンはパーティーに入ってるにゃ。他のメンバーが魔物を討伐しても、ランクが上がるにゃ。」

「へ~。そうなんだね。」

「ケンは何も知らないにゃ。」

「記憶がないからね。」

「ケン! 僕とパーティーを組むにゃ。そうすれば、ケンのランクも上がるにゃ。」

「急にどうしたの? 別にオレはランクはどうでもいいから。」

「僕と同じパーティーは嫌にゃ?」


 ミレイが上目遣いで見てきた。


「そうじゃなくて、いつまでこの街にいるかわからないからさ。」

「なら、この街にいる間だけでもいいにゃ。」

「分かったよ。」

「ヤッタにゃー!」


 その翌日、2人でギルドに向かった。掲示板を見ているとアリサが声をかけてきた。


「ミレイ。あなた、こんな弱虫と仲良くなったの?」

「そうにゃ。僕達パーティーを組んだにゃ。」

「あなた、ミレイを利用してランクを上げようって魂胆なの? 情けないわね~!」

「違うにゃ。僕からお願いしたにゃ。」

「まっ、どっちでもいいけどね。私には関係ないから。」


 アリサはそのまま掲示板から紙をはがして行ってしまった。オレとミレイも掲示板からゴブリンの討伐依頼をはがして受付に行った。そして、受付でパーティー登録も済ませて、ゴブリンの討伐に向かうことにした。


「ゴブリンってどこにいるの?」

「この街の西側にある森にいるにゃ。」


 パーティー登録は思っていたよりも簡単だった。2人のカードを平たい石の上に置いて、2人が手を乗せるだけだ。


「ケンはゴブリンを討伐したことあるにゃ?」

「ないよ。前にも話したけど、薬草採取がオレの仕事だから。」

「でも、その剣はなんでにゃ?」

「ああ、魔物に出くわした時のためさ。」


 ミレイが不思議そうな顔をしている。オレ達は街から出て西側の街道沿いを探索しながら、森に入って行った。


「見るにゃ! ケン。魔物の死骸にゃ! 多分近くにゴブリンがいるにゃ!」


“リン。ゴブリンがどこにいるか表示してくれるか?”

“はい。マスター”

 
 頭にマップが浮かぶ。すると、500m先にゴブリンの集団がいた。かなりの数がいる。しかも1つ大きな赤表示があった。目立ちたくないオレは、敢えてゴブリンのいない方向にミレイを誘導しようとした。


「ミレイ。あっちに行こうか。」

「えっ?! 足跡はあっちに向かってるにゃ。」


 すると、女性の悲鳴が聞こえた。


「キャ—————!!!」

「ケン! 悲鳴にゃ!」


 オレは勝手に体が反応して悲鳴の場所に走り出していた。後ろからミレイが息を切らせながら追いかけてくる。


「ケン! 速いにゃ!」


 悲鳴の場所に着くと、アリサがゴブリンの集団に囲まれていた。ゴブリン達は嫌らしい笑いを浮かべながらアリサに近づいていく。


「ハー、ハー、ハー アリサ!!」

 
 追いついてきたミレイが大声で叫んだ。


「ミレイ! 助けてー!」


 ミレイが剣を抜いてゴブリン達に切りかかった。オレも素人の振りをして、剣を出鱈目に振ってゴブリンを倒していく。3人で何匹かゴブリンを倒したところで、後ろから身体の大きなゴブリンが現れた。


「ケン。あれはゴブリンキングにゃ。Aランクの魔物にゃ。まずいにゃ。」

「ミレイもアリスも逃げて! オレがここで食い止めるから!」

「何言ってるにゃ! ケンが殺されるにゃ!」

「大丈夫だから。オレを信じて!」


 すると、アリサが言ってきた。


「あなた、Fランクなんでしょ。あっという間に殺されるわよ。足止めにもならないわ。」


 アリサもミレイも逃げようとしない。でも、このままでは2人が危険だ。オレはどうしようかと迷っていた。すると、頭の中に声が響いた。リンの声ではない。


『お前は人のために生きるのじゃ』


 神様の声だ。もう、ばれてもいい。この2人を助けたい。オレは剣を手に握りしめて、2人には見えない速さでゴブリンキングに切りかかった。さすがにゴブリンキングもAランクの魔物だ。右手の大剣でオレの攻撃を防いだ。そして、左手でオレにパンチを繰り出してきた。オレは後ろに飛びのいて避けた。


『空間裂断』


 オレは剣を振りながら魔法を発動した。すると、オレの振った剣が時空を上下2つに分けていく。気付けばゴブリンキングの体は上下2つに切断されていた。


「えっ?!」


 アリサにもミレイにも何が起こったのかわからない。Fランクで弱虫と思っていた少年が、目にも止まらぬ速さでゴブリンキングに迫り、見たこともないような魔法でAランクのゴブリンキングを倒してしまったのだから。


「ケンは本当にFランクにゃ?」

「本当さ。カードを見ただろ。」

「うん。」

「あなた、どうしてギルドで謝ってたの? そんなに強いのに。」

「謝って済むならそれが一番さ。怪我させたくないしね。」

「ケン。ごめんなさい。あなたのことを何も知らないのに、ひどいこと言っちゃって。」

「別に気にしてないからいいよ。でも、もう、この街にはいられないな。」

「どうしてにゃ?」

「2人に知られちゃったからね。」


 ミレイが必死で言ってくる。


「それなら大丈夫にゃ。僕達が黙ってるにゃ。絶対に言わないにゃ。」

「ダメなんだ。ある人と約束したからね。目立たないようにって。」


 討伐を証明する部位を切り取った後、ゴブリンを一か所に集めた。そして、オレは右手を前に出して魔法を発動する。


『ソイル』


 すると、ゴブリン達の亡骸が次々と土に変わっていく。もう、2人は放心状態だ。


「ケン。あなたどれだけ強いの?」

「分からないよ。」


 その日、オレ達は3人で冒険者ギルドに行った。ギルドへの報告をした後、報酬の大金貨3枚をそれぞれ1枚ずつ分けることにした。2人は遠慮したが、オレが強引に渡した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

古代文明の最強王、5000年後に転生すると魔法が弱体化しすぎていたのでもう一度最強になります。~底辺貴族からの成り上がり~

しNぱ
ファンタジー
5000年前、魔法文明マギア魔導王国を築き、 魔法体系そのものを創造した王アーケ・マギアス・マギアは、 さらなる魔法の発展を求め、自らの魂を未来へ送る転生魔法を発動した。成熟した古代魔法を超える研究が進んだ世界を見たいという純粋な探求心から、5000年後の世界へと意識を沈めた。 目覚めた先は、スケルド男爵家三男レイフとしての赤子の身体だった。産まれた瞬間から記憶を持つ彼は、質素な家と薄い魔力の流れを前に、未来の魔法研究が古代よりも大きく退化していることに気づく。最底辺と呼ばれる家に生まれながらも、家族は温かく、彼の異常な魔力量を希望として受け入れた。 幼少期から魔力操作を自然に行い、三歳で石を浮かせ、五歳で光魔法を自在に扱うなど、古代王としての力を隠しながら成長する。外では古代魔法を使わず、転生者であることを悟られないよう慎重に振る舞いながら、未来の魔法体系を観察し続けた。 十歳になると身体強化などの古代魔法を最低限だけ使い、父との剣術訓練でも圧倒的な動きを見せるが、本来の力は隠したまま過ごす。そして十六歳、高等魔導学園に入学したレイフは、初日の実技試験で無詠唱魔法や術式無効化を用いて試験官を圧倒し、最底辺男爵家ながらA級判定を受ける。 その姿を見たストラング公爵家の令嬢エリナは、彼に強い興味を抱く。5000年後の世界は古代より魔法が退化していたが、だからこそ発展の余地がある。レイフは古代王としての知識をもとに、もう一度魔法の未来を切り開くことを決意する。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

処理中です...