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(なんで!?普通だったらこういう系に転生したらハッピーエンドとかバットエンドとか分かってるのに…。私、多分悪役令嬢よね?何が良くて何が駄目なのか分からないよ!追放とかならまだしも処刑とかは絶対に避けなければ!)
悪役令嬢の定義は『上級貴族』『豪華』『意地悪』。それで処刑されるパターンは大体ヒロインを憎んで殺そうとする事が多い。それならば殺そうとしなければ処刑は免れるだろう。ヒロインと仲良く、は無理かもしれないがこちらから虐めなければなんとかなるかもしれない。ならば今後はヒロインを虐めず自由を目指すことにしよう。
そう決意してから数日がたった。早速実行しようとしたが学校は夏季休暇だったので今私はアニタの兄であるエイデン・フォーセットと庭園を散歩している。エイデンと歩いてみて分かったのはシスコンで凄く鬱陶しい。こうなったのはアニタいわく両親がアニタの事を冷遇していたことが原因だろうと言っていた。なぜ冷遇されてるの?と聞くと目の色が違うという単純な理由で、代々エメラルドグリーンのような瞳らしいが私はエメラルドグリーンではなくアメジストのような瞳だから、と教えてくれた。そして照れ笑いしながら、少し鬱陶しい時もあるけど私も兄様が大好きなのよ、と恥ずかしそうに言っていたアニタは顔が緩むほど可愛かった。隣で歩いているエイデンはこんなにアニタに好かれて幸せ者だなとしみじみ思っているとずっと話していたエイデンが急にこんなことを聞いてきた。
「君は本当は誰なの?」
「…え?アニタですわ。お兄様」
「うーん、アニタだけど違うよね」
「い、いいえ」
「アニタが起きた時からなにか違うなと思ってたんだけどなんて言うんだろう…アニタともう一人いるみたいな?」
(バレてる…なんで分かるの?シスコンだから?)
「君は誰?」
「……貴方の言うとおり私はアニタではありません。私は彼女に呼ばれてここに来たんです」
「やっぱりそうか。でもどうしてアニタが君を呼んだの?」
「えっと…彼女は自由に生きてみたいと言っていました。何にも縛られず生きたいのではないでしょうか」
なるほどと言いながら考え込む彼。だけどそんなことよりも私がアニタではないことが知られてしまった。嫌な冷や汗が出てきて心臓が大きく動いている。
「あの…」
「ん?」
「ごめんなさい!あなたを騙すようなことをして!」
「え?あぁ大丈夫だよ!それに騙せてないしね」
「でも、私は貴方の妹ではない」
「うん…アニタではないけど、でも君も妹であることに変わりはないよ」
「え…?私も妹?」
「君が他人とは思えないんだ。それにアニタのためにここに来たんでしょ?」
静かにコクリと頷くとエイデンは微笑んで頭をなでた。
「んーじゃあ、僕もかわいい妹達のために協力するよ。困った事があったら頼って!」
「ありがとうございます!エイデン様」
「駄目だよ!そこは兄様でしょ?それに敬語はいらないよ」
「あ…ありがとう?エイデン兄様?」
彼は満足したように「うんうん」と頷く。その後庭園散歩を再開して新しく出来た兄に彼女のこと、私のことを話し始めた。
悪役令嬢の定義は『上級貴族』『豪華』『意地悪』。それで処刑されるパターンは大体ヒロインを憎んで殺そうとする事が多い。それならば殺そうとしなければ処刑は免れるだろう。ヒロインと仲良く、は無理かもしれないがこちらから虐めなければなんとかなるかもしれない。ならば今後はヒロインを虐めず自由を目指すことにしよう。
そう決意してから数日がたった。早速実行しようとしたが学校は夏季休暇だったので今私はアニタの兄であるエイデン・フォーセットと庭園を散歩している。エイデンと歩いてみて分かったのはシスコンで凄く鬱陶しい。こうなったのはアニタいわく両親がアニタの事を冷遇していたことが原因だろうと言っていた。なぜ冷遇されてるの?と聞くと目の色が違うという単純な理由で、代々エメラルドグリーンのような瞳らしいが私はエメラルドグリーンではなくアメジストのような瞳だから、と教えてくれた。そして照れ笑いしながら、少し鬱陶しい時もあるけど私も兄様が大好きなのよ、と恥ずかしそうに言っていたアニタは顔が緩むほど可愛かった。隣で歩いているエイデンはこんなにアニタに好かれて幸せ者だなとしみじみ思っているとずっと話していたエイデンが急にこんなことを聞いてきた。
「君は本当は誰なの?」
「…え?アニタですわ。お兄様」
「うーん、アニタだけど違うよね」
「い、いいえ」
「アニタが起きた時からなにか違うなと思ってたんだけどなんて言うんだろう…アニタともう一人いるみたいな?」
(バレてる…なんで分かるの?シスコンだから?)
「君は誰?」
「……貴方の言うとおり私はアニタではありません。私は彼女に呼ばれてここに来たんです」
「やっぱりそうか。でもどうしてアニタが君を呼んだの?」
「えっと…彼女は自由に生きてみたいと言っていました。何にも縛られず生きたいのではないでしょうか」
なるほどと言いながら考え込む彼。だけどそんなことよりも私がアニタではないことが知られてしまった。嫌な冷や汗が出てきて心臓が大きく動いている。
「あの…」
「ん?」
「ごめんなさい!あなたを騙すようなことをして!」
「え?あぁ大丈夫だよ!それに騙せてないしね」
「でも、私は貴方の妹ではない」
「うん…アニタではないけど、でも君も妹であることに変わりはないよ」
「え…?私も妹?」
「君が他人とは思えないんだ。それにアニタのためにここに来たんでしょ?」
静かにコクリと頷くとエイデンは微笑んで頭をなでた。
「んーじゃあ、僕もかわいい妹達のために協力するよ。困った事があったら頼って!」
「ありがとうございます!エイデン様」
「駄目だよ!そこは兄様でしょ?それに敬語はいらないよ」
「あ…ありがとう?エイデン兄様?」
彼は満足したように「うんうん」と頷く。その後庭園散歩を再開して新しく出来た兄に彼女のこと、私のことを話し始めた。
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