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第一章・強欲の王ギルタレス
強欲の王ギルタレス3
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「……警告してあげます。聖女モーリス、あなたも教会を出たほうがいいですよ。この教会にいるのは上級悪魔です。あなたじゃ相手になりません」
「ッ! 舐めるんじゃないわよ!!」
パァン!
左頬に鋭い痛みが走った。突然平手打ちされたのだ。
そう、それなら。
バキィッ!!
「グハッ……!」
モーリスが吹っ飛ぶ。
間髪入れずに殴り返した。
モーリスは頬を押さえながらワナワナと私を見上げる。
「な、殴った……。聖女の私を、殴ったっ……!」
「私、暴力好きじゃないんです。暴力はやめてください」
「ぐっ、あなたこそ舐めた真似してんじゃないわよ……!」
激昂したモーリスが勢いをつけてまた殴り掛かってきた。
寸前で避けて今度は鳩尾に一発。
ドゴッ!!
「カハッ!」
「これ正当防衛ですから」
「っ、ゴホゴホッ……。な、なにが正当防衛よっ……」
「最後の警告です。死にたくないなら教会から出た方がいいですよ」
これは心からの警告だ。
モーリスを心配しているつもりはないが、任務中に死なれると討伐後に本部に提出しなければならない報告書が増えるので面倒なのだ。
「馬鹿にしないで!! あんたこそここで名をあげて引き抜きを期待してるんでしょ!?」
「はあ?」
「そんなの分かってるのよっ。中級以上の悪魔を討伐すれば一気に名を挙げられる。枢機卿団の聖女様方に名を覚えてもらうこともできるはずっ。そうすれば候補生だっていきなり聖女に昇格よ! そんなこと絶対に許さないから!!」
モーリスが憎々しげに言い放った。
……なんて理不尽。こっちはどうでもいいのに親切心で警告してあげたのに。
しかしモーリスは私をギロリっと睨みつけてくる。
「なにが特待生よ! 私はあんたみたいな存在、絶対に認めない!! 上級悪魔を討伐して枢機卿に認められるのは私よ!! 枢機卿団の一人に選ばれたら、あんたを退学にしてやる!! 聖女なんて絶対にさせないから!!」
「…………いったいなんなんですか。聖女モーリス、私があなたに何かしましたか?」
まったく心当たりがない。
それなのに確実に敵視されている。まったく理解できない。
モーリスの一方的な怒りに私も苛立つけれど。
「――――来た」
ゾクリッ。
背筋に冷たい汗が伝った。
礼拝堂内はヒヤリとして明らかに空気が変わっていた。
モーリスも異変に気付いて警戒を強める。
チュウチュウ。チュウチュウ。
ワサワサワサ。ワサワサワサ。
モーリスがハッとして足元を明かりで照らす。
「キャアアアアア!!」
モーリスは悲鳴をあげた。
無数のハリネズミや蜘蛛が床を這っていたのだ。大量の下級悪魔だ。
しかも蜘蛛がモーリスの足をよじ登りだして半狂乱に振り払う。
「あ、あっち行って! あっち行きなさいよ!!」
モーリスは叫びながらも魔力を集中して床一面の蜘蛛やハリネズミを討伐する。
下級悪魔は昆虫や爬虫類や動物の形をしているせいか、まるで害虫駆除のように見えた。
でもその害虫の中にひと際濃い闇を抱えた蜘蛛が一匹。
「見つけた!!」
私は素早く魔力を発動すると強力な攻撃魔法陣が出現した。
バリバリバリバリ!!!!
礼拝堂に雷が落ち、轟音が轟いた。一瞬で下級悪魔が消滅する。
「ッ、なんなのよっ……!」
モーリスが歯噛みする。
一瞬で下級悪魔を全滅させたことが気に入らなかったようだ。
しかし今はそんなことに付き合っていられない。
だって、……ワサワサワサ。
いる。小さな蜘蛛が動いている。
神経を集中して悪魔の気配を探る。魔力を高めて、一気に捕縛!!
「キリキリキリキリキリキリ!!!!」
蜘蛛から甲高い金切声があがった。
魔法陣が出現して一匹の蜘蛛を捕縛したのだ。
でもまだ完全に捕縛したわけじゃない!
「くっ、逃げるな!!」
捕縛から逃れようと蜘蛛があがく。
ならばさらに魔力を高めた。せっかく捕まえた上級悪魔の尻尾、逃がすわけがない!
バチンッ!!
魔法陣の中で蜘蛛が弾けた。
その光景にモーリスは唖然とする。
「ま、まさか……倒したの?」
「上級悪魔がこれで討伐できるなら苦労はしませんよ」
私は魔法陣を見据えて言った。
そこには手足がもげた蜘蛛がいたが、その小さな影がゆっくりと膨らんでいく。
膨らんだ影はもぞもぞと動き、そして女性型のシルエットを形成した。
「やはり小さな入れ物はよくないわ。やわすぎるもの」
艶めかしい女の声。
その容貌も慎ましやかな貴婦人といったものである。しかし貴婦人の皮を被った悪魔。
私はまっすぐに対峙する。
「逃げ回ってたからどんな姿かと思ってたけど、案外フツーで気が削がれたわ」
「あら、うふふ。フツー、フツー、フツーが一番なのよ? 悪魔はフツーであればあるほどいい。人間に溶け込めるくらいフツーがいいもの」
「そうなんだ。蜘蛛に紛れるほうが得意なんじゃないの? そっちの方がお似合いね」
「うふふ、うふふふ。――――くたばれ人間風情が!!!!」
悪魔の形相ががらりと変わった瞬間、背後から鋭い鉄糸が襲いかかってきた。
咄嗟に避けるも鉄糸が雨のように降りそそぐ。
ドドドドドドドッ!!!!
「くっ、しつこいわね!」
長椅子や祭壇の影に身を潜めて素早く駆けた。
一瞬でも立ち止まれば鉄糸に全身を貫かれるだろう。
でもいつまでも逃げ回っていることは出来ない!
「ッ! 舐めるんじゃないわよ!!」
パァン!
左頬に鋭い痛みが走った。突然平手打ちされたのだ。
そう、それなら。
バキィッ!!
「グハッ……!」
モーリスが吹っ飛ぶ。
間髪入れずに殴り返した。
モーリスは頬を押さえながらワナワナと私を見上げる。
「な、殴った……。聖女の私を、殴ったっ……!」
「私、暴力好きじゃないんです。暴力はやめてください」
「ぐっ、あなたこそ舐めた真似してんじゃないわよ……!」
激昂したモーリスが勢いをつけてまた殴り掛かってきた。
寸前で避けて今度は鳩尾に一発。
ドゴッ!!
「カハッ!」
「これ正当防衛ですから」
「っ、ゴホゴホッ……。な、なにが正当防衛よっ……」
「最後の警告です。死にたくないなら教会から出た方がいいですよ」
これは心からの警告だ。
モーリスを心配しているつもりはないが、任務中に死なれると討伐後に本部に提出しなければならない報告書が増えるので面倒なのだ。
「馬鹿にしないで!! あんたこそここで名をあげて引き抜きを期待してるんでしょ!?」
「はあ?」
「そんなの分かってるのよっ。中級以上の悪魔を討伐すれば一気に名を挙げられる。枢機卿団の聖女様方に名を覚えてもらうこともできるはずっ。そうすれば候補生だっていきなり聖女に昇格よ! そんなこと絶対に許さないから!!」
モーリスが憎々しげに言い放った。
……なんて理不尽。こっちはどうでもいいのに親切心で警告してあげたのに。
しかしモーリスは私をギロリっと睨みつけてくる。
「なにが特待生よ! 私はあんたみたいな存在、絶対に認めない!! 上級悪魔を討伐して枢機卿に認められるのは私よ!! 枢機卿団の一人に選ばれたら、あんたを退学にしてやる!! 聖女なんて絶対にさせないから!!」
「…………いったいなんなんですか。聖女モーリス、私があなたに何かしましたか?」
まったく心当たりがない。
それなのに確実に敵視されている。まったく理解できない。
モーリスの一方的な怒りに私も苛立つけれど。
「――――来た」
ゾクリッ。
背筋に冷たい汗が伝った。
礼拝堂内はヒヤリとして明らかに空気が変わっていた。
モーリスも異変に気付いて警戒を強める。
チュウチュウ。チュウチュウ。
ワサワサワサ。ワサワサワサ。
モーリスがハッとして足元を明かりで照らす。
「キャアアアアア!!」
モーリスは悲鳴をあげた。
無数のハリネズミや蜘蛛が床を這っていたのだ。大量の下級悪魔だ。
しかも蜘蛛がモーリスの足をよじ登りだして半狂乱に振り払う。
「あ、あっち行って! あっち行きなさいよ!!」
モーリスは叫びながらも魔力を集中して床一面の蜘蛛やハリネズミを討伐する。
下級悪魔は昆虫や爬虫類や動物の形をしているせいか、まるで害虫駆除のように見えた。
でもその害虫の中にひと際濃い闇を抱えた蜘蛛が一匹。
「見つけた!!」
私は素早く魔力を発動すると強力な攻撃魔法陣が出現した。
バリバリバリバリ!!!!
礼拝堂に雷が落ち、轟音が轟いた。一瞬で下級悪魔が消滅する。
「ッ、なんなのよっ……!」
モーリスが歯噛みする。
一瞬で下級悪魔を全滅させたことが気に入らなかったようだ。
しかし今はそんなことに付き合っていられない。
だって、……ワサワサワサ。
いる。小さな蜘蛛が動いている。
神経を集中して悪魔の気配を探る。魔力を高めて、一気に捕縛!!
「キリキリキリキリキリキリ!!!!」
蜘蛛から甲高い金切声があがった。
魔法陣が出現して一匹の蜘蛛を捕縛したのだ。
でもまだ完全に捕縛したわけじゃない!
「くっ、逃げるな!!」
捕縛から逃れようと蜘蛛があがく。
ならばさらに魔力を高めた。せっかく捕まえた上級悪魔の尻尾、逃がすわけがない!
バチンッ!!
魔法陣の中で蜘蛛が弾けた。
その光景にモーリスは唖然とする。
「ま、まさか……倒したの?」
「上級悪魔がこれで討伐できるなら苦労はしませんよ」
私は魔法陣を見据えて言った。
そこには手足がもげた蜘蛛がいたが、その小さな影がゆっくりと膨らんでいく。
膨らんだ影はもぞもぞと動き、そして女性型のシルエットを形成した。
「やはり小さな入れ物はよくないわ。やわすぎるもの」
艶めかしい女の声。
その容貌も慎ましやかな貴婦人といったものである。しかし貴婦人の皮を被った悪魔。
私はまっすぐに対峙する。
「逃げ回ってたからどんな姿かと思ってたけど、案外フツーで気が削がれたわ」
「あら、うふふ。フツー、フツー、フツーが一番なのよ? 悪魔はフツーであればあるほどいい。人間に溶け込めるくらいフツーがいいもの」
「そうなんだ。蜘蛛に紛れるほうが得意なんじゃないの? そっちの方がお似合いね」
「うふふ、うふふふ。――――くたばれ人間風情が!!!!」
悪魔の形相ががらりと変わった瞬間、背後から鋭い鉄糸が襲いかかってきた。
咄嗟に避けるも鉄糸が雨のように降りそそぐ。
ドドドドドドドッ!!!!
「くっ、しつこいわね!」
長椅子や祭壇の影に身を潜めて素早く駆けた。
一瞬でも立ち止まれば鉄糸に全身を貫かれるだろう。
でもいつまでも逃げ回っていることは出来ない!
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