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17 アマリエの力(別視点)
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[ ――――――用があるのはワタシかしら ]
アマリエがバスルームに入った後。
目的である彼女に声を掛けようとそちらに顔を向けると、俺が話したいことがあると気付いていたようで、声を掛けるより早く彼女――ルージュが飛び上がってきた。
赤い髪で水色の眼をしたフェアリー・プリンセス。
元はフェアリーだったというが、いつからアマリエと居るんだろう。
「俺は、バル、ファルドだ。改めて、話を聞きた、い」
[ ええ、そうだろうと思ったわ。私はルージュ。名付けはアマリエよ ]
ふん、と偉そうに胸を張るルージュ。
名前を付けたのはアマリエなのか。
多分、この赤い髪からとったんだろうな。
[ 先に言っておくけど、私とアマリエが会ったのは学園に入る前よ。知らされていないのはワタシがあの子が唯一個人的にテイムしている切り札だから。おかしな嫉妬はしないでちょうだい ]
「…………。分かった」
バレていたか。
さすがはプリンセス種ってことかな?
でも仕方ないじゃないか。雌とはいえ知らないモンスターがずっと傍に居ただなんて、不快に決まっている。
まあ、気付かなかった自分の落ち度か。
[ 聞きたいことはコレと、進化のことね? ]
「ああ」
先にアマリエの下で進化しているんだから、詳しく聞くのは当たり前だ。
大切な記憶が失われてしまう前に一秒でも早く進化して、アンデッドの状態から抜け出さないといけない。
外聞も悪過ぎるし。騒ぐ連中が確実に居るし。
[ 正直に言って、進化は感覚でやっていくしかないわ。なんていうか、コレはここまでで大丈夫、コレはまだ、コレはもっとやった方がいい。そんな感じに、なんとなく分かるの。オマエもそうでしょう?どのスキルを育てればいいのか分かるはずよ ]
「……そうだ、な。分かる」
どのスキルを鍛えれば、望む進化ができるのか。
自分の鑑定結果も相俟って、はっきりと分かる。
モンスターとはみんなこうなんだろうか?
まあ何に進化するか、までは分からないんだけどな。
[ このことは、秘密よ。これは恐らくアマリエの力だから ]
「何?」
[ 私はフェアリーだったと言ったでしょう。生まれも純粋なモンスターよ。その頃はこんなこと分からなかったわ。アマリエにテイムされてから分かったのよ。きっと、テイマーのマスターランクは所有するモンスターの進化を明確に促すことができるんだわ ]
「…………大問題じゃ、ないか」
[ そうよ。だからオマエは速やかに進化しなさい。今はまだワタシ達がこの街に居るという情報は出回っていない。ワタシの幻術もあるからしばらくは誤魔化せるけれど、時が経つと危険だわ ]
真剣な顔で言うルージュ。
俺も、重々しく頷く。
この能力がバレたら、本当に不味い。確実に国に囲われる。
そんなこと、許せるわけがない。アマリエは俺の物だ。
ルージュの言う通り、アマリエを守るためにもすぐに動かなければ。
アンデッドは弱点が大き過ぎるし、弱過ぎる。
[ ああそれと。オマエはあの学園長と呼ばれている人間に感謝するべきね ]
「感謝して、いるが……何故?」
[ 再会した時点で自我が消えかけてたでしょ。もっと時間が経っていたらアマリエを分からなかった可能性が高い。すぐさまアマリエを逃がしてくれたからこそ合流できたのよ。魔道具のこともあるし ]
「…………。そう、だな」
言われていることは、納得できる。感謝すべきなのも、分かっている。
だけどあの人が何を考えているかさっぱり分からないから、素直には頷けないんだよね。
アマリエにとっては恩人だろうけど、狙いが分からない以上警戒しない訳には、いかない。
アマリエがバスルームに入った後。
目的である彼女に声を掛けようとそちらに顔を向けると、俺が話したいことがあると気付いていたようで、声を掛けるより早く彼女――ルージュが飛び上がってきた。
赤い髪で水色の眼をしたフェアリー・プリンセス。
元はフェアリーだったというが、いつからアマリエと居るんだろう。
「俺は、バル、ファルドだ。改めて、話を聞きた、い」
[ ええ、そうだろうと思ったわ。私はルージュ。名付けはアマリエよ ]
ふん、と偉そうに胸を張るルージュ。
名前を付けたのはアマリエなのか。
多分、この赤い髪からとったんだろうな。
[ 先に言っておくけど、私とアマリエが会ったのは学園に入る前よ。知らされていないのはワタシがあの子が唯一個人的にテイムしている切り札だから。おかしな嫉妬はしないでちょうだい ]
「…………。分かった」
バレていたか。
さすがはプリンセス種ってことかな?
でも仕方ないじゃないか。雌とはいえ知らないモンスターがずっと傍に居ただなんて、不快に決まっている。
まあ、気付かなかった自分の落ち度か。
[ 聞きたいことはコレと、進化のことね? ]
「ああ」
先にアマリエの下で進化しているんだから、詳しく聞くのは当たり前だ。
大切な記憶が失われてしまう前に一秒でも早く進化して、アンデッドの状態から抜け出さないといけない。
外聞も悪過ぎるし。騒ぐ連中が確実に居るし。
[ 正直に言って、進化は感覚でやっていくしかないわ。なんていうか、コレはここまでで大丈夫、コレはまだ、コレはもっとやった方がいい。そんな感じに、なんとなく分かるの。オマエもそうでしょう?どのスキルを育てればいいのか分かるはずよ ]
「……そうだ、な。分かる」
どのスキルを鍛えれば、望む進化ができるのか。
自分の鑑定結果も相俟って、はっきりと分かる。
モンスターとはみんなこうなんだろうか?
まあ何に進化するか、までは分からないんだけどな。
[ このことは、秘密よ。これは恐らくアマリエの力だから ]
「何?」
[ 私はフェアリーだったと言ったでしょう。生まれも純粋なモンスターよ。その頃はこんなこと分からなかったわ。アマリエにテイムされてから分かったのよ。きっと、テイマーのマスターランクは所有するモンスターの進化を明確に促すことができるんだわ ]
「…………大問題じゃ、ないか」
[ そうよ。だからオマエは速やかに進化しなさい。今はまだワタシ達がこの街に居るという情報は出回っていない。ワタシの幻術もあるからしばらくは誤魔化せるけれど、時が経つと危険だわ ]
真剣な顔で言うルージュ。
俺も、重々しく頷く。
この能力がバレたら、本当に不味い。確実に国に囲われる。
そんなこと、許せるわけがない。アマリエは俺の物だ。
ルージュの言う通り、アマリエを守るためにもすぐに動かなければ。
アンデッドは弱点が大き過ぎるし、弱過ぎる。
[ ああそれと。オマエはあの学園長と呼ばれている人間に感謝するべきね ]
「感謝して、いるが……何故?」
[ 再会した時点で自我が消えかけてたでしょ。もっと時間が経っていたらアマリエを分からなかった可能性が高い。すぐさまアマリエを逃がしてくれたからこそ合流できたのよ。魔道具のこともあるし ]
「…………。そう、だな」
言われていることは、納得できる。感謝すべきなのも、分かっている。
だけどあの人が何を考えているかさっぱり分からないから、素直には頷けないんだよね。
アマリエにとっては恩人だろうけど、狙いが分からない以上警戒しない訳には、いかない。
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