13 / 40
13 〇
しおりを挟む
目が覚めたら、見知らぬ部屋だった。
「………………?! っ、いたぁ……っ」
慌てて跳ね起きると同時に、酷い頭痛と吐き気によりベッドに逆戻り。
これは……完全に二日酔い。それも酷い時の。ぐわんぐわんする。
ええと、ええと。
瀬能さんに話を聞いて、お詫びだってまた食事をご馳走になって。
瀬能さんは飲んでたけど私は飲んでなくて……いや、少しは飲んだわ、アルコール度数低いやつ。
それで、あー……、それ水じゃないですよ!って言われたの覚えてるな~……。
うん。
間違いなく、瀬能さんが飲んでた日本酒飲んだな。それでそのまま落ちちゃったんだろう。
私、日本酒と相性悪いんだよね……一杯で落ちるくらいに。
普段なら匂いとかで気付くんだけど、多少なりと酔ってたから油断しちゃった感じか。
どうしよう、間違いなく物凄く迷惑かけちゃった感じがする。
二度三度関わったくらいの相手が酔って意識無くして、って完全に対処に困るやつ。
「うぅ……っ」
気持ち悪い。でも、我慢しなくちゃ。
吐いたりしたらまた迷惑かけちゃう。
…………にしても、ここ、ホテルとかではなさそう、だけど……もしかしなくても、かなぁ……?
落ち着いてきて、深呼吸をしてから、身体チェック。
服に変な乱れはない。下半身に違和感もない、と思う。
それに安堵して、改めて部屋を見回す。
あ、サイドチェストの上にバッグあった。
中からスマホを取り出して時間を確認。…………午後9時過ぎ、かぁ。
完っ全にやらかした。
ど、どうしよう。本当に。色々と気まずすぎる。
困っておろおろしていると、コンコン、とドアがノックされた。
「あの、起きていますか?」
瀬能さんだ。
少し困ったような声。
「…………ハイ」
「現状、中からしか開け閉めできない状態なんですが……出られそうです?」
「は、い。出られます……」
色んな意味で痛む頭に耐えながら、ベッドから立ち上がる。
ドアに向かう途中、部屋の鍵と思われる鍵がドアの近くの床に落ちていて、多分鍵を閉めた後にドアの下の隙間から中に入れたんだろうなぁって。中からしか、ってこれのことよね。
状況が状況だから、色々考えてくれた、のかな?
鍵を拾ってからドアを開くと、着替えたんだろう、ラフな服装の瀬能さんと目が合った。
物凄く困ったような顔をしている。
き、気まずい。
「えっと。その、体調は大丈夫……じゃ、なさそうですね。顔色が悪いですよ」
「す、すみません……、その、日本酒、駄目で、あの、本当にすみませんっ!」
「い、いえ!コップについだまま放置していた僕も悪いので!えっと、あの、帰り、どうしますか?有栖川さんさえ良ければ、お泊めしますが」
「えっ?それは、」
「帰るなら、こちらの払いでタクシーを呼びますが。そんな状態で一人で帰すのは不安です」
「え、え、あの、タクシー代は」
「元を言えば全て僕の所為ですからそこは譲りません」
きっぱりと言われてしまった。
ここが私の部屋からどれくらいの距離にあるかは分からないけれど、迷惑をかけた上にタクシー代まで払ってもらうのは流石に……。だからってほぼ他人に等しい人の部屋に泊めてもらうのはどうかと思う、のだけど。
どうしよ、駄目だって思う、けど、頭痛くて、考えが上手くまとまらない。
「迷うなら泊まってください。ね?ひとまずこっちへ。二日酔いの薬ありますから」
「ぅ、え、はい……?」
手を引かれて、リビングらしき部屋に連れていかれる。
広いなぁ……。私の部屋の倍はありそう。
「そこ、ソファに座っててください。水と薬を持ってきますから」
「あ、はい……」
瀬能さんが離れていく。
それをぼんやりと見送って、ソファに凭れかかる。
しばらくして戻ってきた瀬能さんから水の入ったコップを受け取って、渡された見覚えのあるパッケージの二日酔いの薬を飲み下す。
飲んですぐ効く薬じゃないし、気持ち悪いのはすぐには消えない。
けど、薬を飲んだ、という事実に少し安堵する。
「コップもらいますね。休んでいてください」
「っあ……、すみません……」
手から空のコップを持っていかれて、慌てて返事を返す。
思考が鈍いしゆらゆらする。酔いが大分残ってるんだ。
これ、もう、泊めてもらうのが確定なら、部屋に篭って寝てしまった方がいいやつ、では。
正直、油断したらこのまま寝ちゃいそうなくらい、やばい感じが、
「有栖川さん?眠いですか?」
「ん……、ぁ、せの、さ、」
肩を揺すられて、目を開けたらすぐ傍に瀬能さんがいた。
どうやら意識が飛んでいたようだ。
「駄目そうですね……、さっきの部屋まで部屋に運びますよ?」
「ま、って、じぶんで、あるきます、から……、あ、」
そう言ったものの、なかなか動き出せない私を、瀬能さんが横抱きに抱き上げる。
私、結構重いのに。
そしてそのまま、瀬能さんは歩き出した。
もう本当に迷惑をかけっぱなしだ。
色々と面倒くさそうだからあんまり関わりたくないなって思ってたのに、なんでこうなっちゃったんだろう。返せるものなんて何もないのに。
これ以上迷惑とか面倒とか掛けたくないのに。
頭ではそう考えても、落ちていってしまう瞼に抗うことはできなかった。
ギシッと軋む音と、横たえられた感覚。
「――――さん。――――?」
遠くで瀬能さんの声がする。
でも、それに言葉を返すことはできない。
眠くて、瞼を開けられそうになくて――――……。
****
「有栖川さん。有栖川さん?」
抱きかかえていた身体をベッドに横たえさせ、名を呼んで肩を揺すってみる。
う、だのん、だの小さなくぐもった声は上げても、目覚める気配は一向にない。
何か盛ったわけでもないのに酒の一杯でこれとは……。
「………………はぁー……。考えが甘いし流されやすいと言ったはずなんだけどなぁ?」
ベッドに腰を下ろし、眠っている彼女の顔を覗き込む。
どことなく既視感を覚える、誰かを思い出させる顔立ち。
流石にそんなことはないだろうと思いながらも調べてみれば、点と点はあっさりと繋がった。
そう、彼女――有栖川天音は俺がLOFでレイプして関係を強要している女と同一人物だ。
とんだ偶然があったものだ。
助けられたことも、生活圏がそれなりに近かったことも、ここに至るまで縁が切れなかったことも。
俺自身は何も手を加えていないのに、随分と俺に都合よく進んだな。
現状に関しては彼女の無防備さが原因だが。
いくら酒に酔っているからとはいえ2、3回会っただけの男の部屋に連れ込まれて、よくもまあここまで無防備を晒せるな。
さっきも、よく知りもしない男のテリトリーで出された物を躊躇せず口にするのはアウトだろ。今回は何もしてないが少しは疑え。本当に危機意識が薄すぎる。
だから、こんな目に遭うことになるんだ。
「………………?! っ、いたぁ……っ」
慌てて跳ね起きると同時に、酷い頭痛と吐き気によりベッドに逆戻り。
これは……完全に二日酔い。それも酷い時の。ぐわんぐわんする。
ええと、ええと。
瀬能さんに話を聞いて、お詫びだってまた食事をご馳走になって。
瀬能さんは飲んでたけど私は飲んでなくて……いや、少しは飲んだわ、アルコール度数低いやつ。
それで、あー……、それ水じゃないですよ!って言われたの覚えてるな~……。
うん。
間違いなく、瀬能さんが飲んでた日本酒飲んだな。それでそのまま落ちちゃったんだろう。
私、日本酒と相性悪いんだよね……一杯で落ちるくらいに。
普段なら匂いとかで気付くんだけど、多少なりと酔ってたから油断しちゃった感じか。
どうしよう、間違いなく物凄く迷惑かけちゃった感じがする。
二度三度関わったくらいの相手が酔って意識無くして、って完全に対処に困るやつ。
「うぅ……っ」
気持ち悪い。でも、我慢しなくちゃ。
吐いたりしたらまた迷惑かけちゃう。
…………にしても、ここ、ホテルとかではなさそう、だけど……もしかしなくても、かなぁ……?
落ち着いてきて、深呼吸をしてから、身体チェック。
服に変な乱れはない。下半身に違和感もない、と思う。
それに安堵して、改めて部屋を見回す。
あ、サイドチェストの上にバッグあった。
中からスマホを取り出して時間を確認。…………午後9時過ぎ、かぁ。
完っ全にやらかした。
ど、どうしよう。本当に。色々と気まずすぎる。
困っておろおろしていると、コンコン、とドアがノックされた。
「あの、起きていますか?」
瀬能さんだ。
少し困ったような声。
「…………ハイ」
「現状、中からしか開け閉めできない状態なんですが……出られそうです?」
「は、い。出られます……」
色んな意味で痛む頭に耐えながら、ベッドから立ち上がる。
ドアに向かう途中、部屋の鍵と思われる鍵がドアの近くの床に落ちていて、多分鍵を閉めた後にドアの下の隙間から中に入れたんだろうなぁって。中からしか、ってこれのことよね。
状況が状況だから、色々考えてくれた、のかな?
鍵を拾ってからドアを開くと、着替えたんだろう、ラフな服装の瀬能さんと目が合った。
物凄く困ったような顔をしている。
き、気まずい。
「えっと。その、体調は大丈夫……じゃ、なさそうですね。顔色が悪いですよ」
「す、すみません……、その、日本酒、駄目で、あの、本当にすみませんっ!」
「い、いえ!コップについだまま放置していた僕も悪いので!えっと、あの、帰り、どうしますか?有栖川さんさえ良ければ、お泊めしますが」
「えっ?それは、」
「帰るなら、こちらの払いでタクシーを呼びますが。そんな状態で一人で帰すのは不安です」
「え、え、あの、タクシー代は」
「元を言えば全て僕の所為ですからそこは譲りません」
きっぱりと言われてしまった。
ここが私の部屋からどれくらいの距離にあるかは分からないけれど、迷惑をかけた上にタクシー代まで払ってもらうのは流石に……。だからってほぼ他人に等しい人の部屋に泊めてもらうのはどうかと思う、のだけど。
どうしよ、駄目だって思う、けど、頭痛くて、考えが上手くまとまらない。
「迷うなら泊まってください。ね?ひとまずこっちへ。二日酔いの薬ありますから」
「ぅ、え、はい……?」
手を引かれて、リビングらしき部屋に連れていかれる。
広いなぁ……。私の部屋の倍はありそう。
「そこ、ソファに座っててください。水と薬を持ってきますから」
「あ、はい……」
瀬能さんが離れていく。
それをぼんやりと見送って、ソファに凭れかかる。
しばらくして戻ってきた瀬能さんから水の入ったコップを受け取って、渡された見覚えのあるパッケージの二日酔いの薬を飲み下す。
飲んですぐ効く薬じゃないし、気持ち悪いのはすぐには消えない。
けど、薬を飲んだ、という事実に少し安堵する。
「コップもらいますね。休んでいてください」
「っあ……、すみません……」
手から空のコップを持っていかれて、慌てて返事を返す。
思考が鈍いしゆらゆらする。酔いが大分残ってるんだ。
これ、もう、泊めてもらうのが確定なら、部屋に篭って寝てしまった方がいいやつ、では。
正直、油断したらこのまま寝ちゃいそうなくらい、やばい感じが、
「有栖川さん?眠いですか?」
「ん……、ぁ、せの、さ、」
肩を揺すられて、目を開けたらすぐ傍に瀬能さんがいた。
どうやら意識が飛んでいたようだ。
「駄目そうですね……、さっきの部屋まで部屋に運びますよ?」
「ま、って、じぶんで、あるきます、から……、あ、」
そう言ったものの、なかなか動き出せない私を、瀬能さんが横抱きに抱き上げる。
私、結構重いのに。
そしてそのまま、瀬能さんは歩き出した。
もう本当に迷惑をかけっぱなしだ。
色々と面倒くさそうだからあんまり関わりたくないなって思ってたのに、なんでこうなっちゃったんだろう。返せるものなんて何もないのに。
これ以上迷惑とか面倒とか掛けたくないのに。
頭ではそう考えても、落ちていってしまう瞼に抗うことはできなかった。
ギシッと軋む音と、横たえられた感覚。
「――――さん。――――?」
遠くで瀬能さんの声がする。
でも、それに言葉を返すことはできない。
眠くて、瞼を開けられそうになくて――――……。
****
「有栖川さん。有栖川さん?」
抱きかかえていた身体をベッドに横たえさせ、名を呼んで肩を揺すってみる。
う、だのん、だの小さなくぐもった声は上げても、目覚める気配は一向にない。
何か盛ったわけでもないのに酒の一杯でこれとは……。
「………………はぁー……。考えが甘いし流されやすいと言ったはずなんだけどなぁ?」
ベッドに腰を下ろし、眠っている彼女の顔を覗き込む。
どことなく既視感を覚える、誰かを思い出させる顔立ち。
流石にそんなことはないだろうと思いながらも調べてみれば、点と点はあっさりと繋がった。
そう、彼女――有栖川天音は俺がLOFでレイプして関係を強要している女と同一人物だ。
とんだ偶然があったものだ。
助けられたことも、生活圏がそれなりに近かったことも、ここに至るまで縁が切れなかったことも。
俺自身は何も手を加えていないのに、随分と俺に都合よく進んだな。
現状に関しては彼女の無防備さが原因だが。
いくら酒に酔っているからとはいえ2、3回会っただけの男の部屋に連れ込まれて、よくもまあここまで無防備を晒せるな。
さっきも、よく知りもしない男のテリトリーで出された物を躊躇せず口にするのはアウトだろ。今回は何もしてないが少しは疑え。本当に危機意識が薄すぎる。
だから、こんな目に遭うことになるんだ。
1
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる