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第二章:花嫁の数奇な事情
7:魔性の女
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寄宿舎の門を出ると、道の端に人力車がとまっていた。可畏が声をかけると、俥夫がふりかえって頭をさげた。
葛葉はとまどったが、促されるまま座席にかけると、つづけて可畏が乗りこんでくる。
目的地を告げることもなく走り出した人力車の様子から、俥夫が御門家付きであることがわかる。
(さすが筆頭華族だわ)
お抱えの俥夫がいるというだけで、葛葉は勝手に御門家の威光をかんじてしまう。
(それにしても、男性と乗り合わせるなんて)
可畏は平然としているが、異性に免疫のない葛葉は、彼の気配でさらに肩に力がはいる。
俥夫は寡黙で、引いてはしる人力車には爽快な速度感があった。
葛葉は緊張しながらも、事情を話すなら今しかないと、覚悟を決める。
「あの、御門様」
「なんだ?」
可畏がこちらを見た気配を感じるが、葛葉はうつむいたまま続ける。
「聞いていただきたいことがあります」
「わかった」
可畏は素直に話をきく姿勢をとってくれる。葛葉はふうっと大きく息をついてから話しはじめた。
「わたしが御門家に嫁ぐことはできません」
「特務部に入隊して、祖母を探すからか?」
何の意外性もないと言いたげに、可畏の声には動揺がなかった。
「それもあります。でも、嫁ぐことができないというより、わたしにはそのような資格がありません」
言いきると、しばらく嫌な沈黙があった。可畏の吐息が聞こえた。
「残念ながら、私の嫁になる資格はおまえにしかない。我々の婚姻は個人の一存でどうにかなるものではない。諦めろ」
「でも、わたしと結婚すると、御門様はぜったい不幸になります!」
「昨夜の会場でも、同じようなことを言っていたな」
「はい」
「理由は? なぜおまえを娶ると私が不幸になるんだ」
「それは、その……」
葛葉はごくりと息をのんだ。ごまかしようもなく先行きへの不安が増す。それでも、打ちあけるなら早い方がいいのだと、清水の舞台から飛び降りるような心持ちで伝えた。
「わたしは魔性の女なんです!」
可畏からはすぐに反応がなかった。息苦しい沈黙のあとで低い声がひびく。
「おまえ、いきなりとんでもないことを言い出したな」
「申し訳ありません!」
「自分が何を言っているかわかっているのか?」
「はい! でも、本当なんです!」
「魔性の女が?」
「はい」
「おまえが?」
「はい」
葛葉は可畏の顔をみることができないまま「本当です!」と繰り返す。ふたたび可畏の吐息が聞こえた。
「人の顔をみて話すこともできない女が、魔性の女?」
「わたしは魔性の女だから、人と目をあわせることを避けているんです」
葛葉のかかえる切実な現実だった。可畏からの反応を待てず、葛葉は早口に続ける。
「わたしも、はじめからそんなふうに考えていたわけではないんです。子供の頃は、たまたま関わった人が不幸になるのだと思っていました。でも、偶然で片付けるにはあまりにも度がすぎていて……。だから、わたしと関わった人には、よくない妖や異形が憑いてしまうのではないかと思っています。わたしの目を見た人には、きっとよくないことが起きます」
可畏は葛葉の言葉を遮るようなことはなく、沈黙を守っている。葛葉はぎゅっと膝の上で組んでいた自分の手に力がはいった。
「特務部に入隊したいのは、もちろん祖母の行方のためでもあります。でも、わたしはこの謎も解き明かしたいんです。自分が異能持ちだとわかったとき、きっと今までのことも能力と繋がっているのではないかと思ったんです」
この告白は、自分の未来を投げ出すに等しい暴露だった。
人に異形を憑かせる。
そんな得体のしれない能力者を特務部が受け入れるだろうか。玉の輿どころか、葛葉は明日から路頭に迷うかもしれない。
それでも、自分の抱える問題を隠したまま、可畏に身をあずけるような卑怯な真似はできなかった。
「御門様はつよい能力をお持ちなので、わたしの目ごときを恐れることはないと思います。でも、わたしが御門様のお側にいると、きっと御門様の身の回りでよくないことが起きてしまいます」
膝の上で握りしめた自分の手が、震えて白くなっている。葛葉はかたく目を閉じた。
「だから、わたしが御門様の花嫁になることはできません」
玉の輿はなくなり、これまで順調に築かれていた特務部への道も閉ざされただろう。
すべてを告白して、葛葉は可畏の審判をまった。
「私のことは御門様ではなく、可畏と呼べ」
穏やかな声に、葛葉は思わず「え?」と顔をあげてしまう。可畏と目が合うと、あわてて俯いて視線をそらした。
どんな厳しい処分が待っているのかと竦んでいたのに、可畏の反応は真逆だった。
「今の話で、おまえが花嫁の資格を失うことはない」
「でも、わたしが近くにいると迷惑が……」
「自覚があるならそれでいい」
可畏の長い指先が葛葉のあごにかかる。葛葉が身構えるより先に、彼とみつめ合うような角度に顔が押し上げられる。
「これからは私の目を見て話せ。おまえの抱える問題は、私には痛くも痒くもない」
「でも、万が一……」
「私に妖や異形が憑くことはない」
真っ直ぐに葛葉を射抜く可畏の視線は、まるで彼自身が妖であるかのように鮮やかな赤だった。葛葉は言葉をうしなって、魅入ってしまう。
「それから」
可畏はイタズラっぽく笑うと、葛葉の顔から手をはなした。
「自分のことを魔性の女だと説明するのはやめろ」
「え?」
「おまえの場合、せめて魔性の子か魔性の娘と言え。魔性の女では意味が全然ちがう」
「あ、わたしがまだ学生だから」
「ちがう。魔性の女はファム・ファタルだ。異形を憑かせる魔性ではなく、男を破滅させる魅惑的な女という意味の、魔性になる」
「男を破滅させる魅惑的な女……?」
「魔性の女はそういう意味だ」
ようやく可畏にいわれた事を理解して、葛葉は一瞬にして頬の熱が沸騰したやかんのようになった。彼がはじめに(いきなりとんでもないことを言い出したな)と反応していたのを思い出す。
(わ、わたし! なんてことを!)
とつぜん男性にふしだらな女ですと自己紹介していたかと思うと、かくれる穴がいくつあっても足りない。
「も、申し訳ございません。わたし、とんでもない言い間違いを」
恥ずかしさのあまり肩をすくめて小さくなっていると、隣で可畏の笑う声がした。
「いきなり魔性の女ですと自己紹介するとは、斬新だな」
「申し訳ありません」
「傑作だ」
最大級の粗相をしたといっても過言ではないのに、可畏の態度は和やかだった。葛葉は紅潮した頬を手で押さえながら、そっと可畏の横顔をみる。
あらためて眺めてみても、女性の憧れの的になりそうな端麗な容姿だった。癖のない白髪が陽光をてりかえして輝いている。魔性のような赤い瞳は、はじめて見たときと何も変わらない。
けれど、初対面の威圧感が嘘のように、彼は隣で気さくにわらっている。
(御門様は、わたしの話を聞いてくれた)
葛葉は固く結ばれていた警戒心が、ゆるやかにほどけていくのを感じていた。
葛葉はとまどったが、促されるまま座席にかけると、つづけて可畏が乗りこんでくる。
目的地を告げることもなく走り出した人力車の様子から、俥夫が御門家付きであることがわかる。
(さすが筆頭華族だわ)
お抱えの俥夫がいるというだけで、葛葉は勝手に御門家の威光をかんじてしまう。
(それにしても、男性と乗り合わせるなんて)
可畏は平然としているが、異性に免疫のない葛葉は、彼の気配でさらに肩に力がはいる。
俥夫は寡黙で、引いてはしる人力車には爽快な速度感があった。
葛葉は緊張しながらも、事情を話すなら今しかないと、覚悟を決める。
「あの、御門様」
「なんだ?」
可畏がこちらを見た気配を感じるが、葛葉はうつむいたまま続ける。
「聞いていただきたいことがあります」
「わかった」
可畏は素直に話をきく姿勢をとってくれる。葛葉はふうっと大きく息をついてから話しはじめた。
「わたしが御門家に嫁ぐことはできません」
「特務部に入隊して、祖母を探すからか?」
何の意外性もないと言いたげに、可畏の声には動揺がなかった。
「それもあります。でも、嫁ぐことができないというより、わたしにはそのような資格がありません」
言いきると、しばらく嫌な沈黙があった。可畏の吐息が聞こえた。
「残念ながら、私の嫁になる資格はおまえにしかない。我々の婚姻は個人の一存でどうにかなるものではない。諦めろ」
「でも、わたしと結婚すると、御門様はぜったい不幸になります!」
「昨夜の会場でも、同じようなことを言っていたな」
「はい」
「理由は? なぜおまえを娶ると私が不幸になるんだ」
「それは、その……」
葛葉はごくりと息をのんだ。ごまかしようもなく先行きへの不安が増す。それでも、打ちあけるなら早い方がいいのだと、清水の舞台から飛び降りるような心持ちで伝えた。
「わたしは魔性の女なんです!」
可畏からはすぐに反応がなかった。息苦しい沈黙のあとで低い声がひびく。
「おまえ、いきなりとんでもないことを言い出したな」
「申し訳ありません!」
「自分が何を言っているかわかっているのか?」
「はい! でも、本当なんです!」
「魔性の女が?」
「はい」
「おまえが?」
「はい」
葛葉は可畏の顔をみることができないまま「本当です!」と繰り返す。ふたたび可畏の吐息が聞こえた。
「人の顔をみて話すこともできない女が、魔性の女?」
「わたしは魔性の女だから、人と目をあわせることを避けているんです」
葛葉のかかえる切実な現実だった。可畏からの反応を待てず、葛葉は早口に続ける。
「わたしも、はじめからそんなふうに考えていたわけではないんです。子供の頃は、たまたま関わった人が不幸になるのだと思っていました。でも、偶然で片付けるにはあまりにも度がすぎていて……。だから、わたしと関わった人には、よくない妖や異形が憑いてしまうのではないかと思っています。わたしの目を見た人には、きっとよくないことが起きます」
可畏は葛葉の言葉を遮るようなことはなく、沈黙を守っている。葛葉はぎゅっと膝の上で組んでいた自分の手に力がはいった。
「特務部に入隊したいのは、もちろん祖母の行方のためでもあります。でも、わたしはこの謎も解き明かしたいんです。自分が異能持ちだとわかったとき、きっと今までのことも能力と繋がっているのではないかと思ったんです」
この告白は、自分の未来を投げ出すに等しい暴露だった。
人に異形を憑かせる。
そんな得体のしれない能力者を特務部が受け入れるだろうか。玉の輿どころか、葛葉は明日から路頭に迷うかもしれない。
それでも、自分の抱える問題を隠したまま、可畏に身をあずけるような卑怯な真似はできなかった。
「御門様はつよい能力をお持ちなので、わたしの目ごときを恐れることはないと思います。でも、わたしが御門様のお側にいると、きっと御門様の身の回りでよくないことが起きてしまいます」
膝の上で握りしめた自分の手が、震えて白くなっている。葛葉はかたく目を閉じた。
「だから、わたしが御門様の花嫁になることはできません」
玉の輿はなくなり、これまで順調に築かれていた特務部への道も閉ざされただろう。
すべてを告白して、葛葉は可畏の審判をまった。
「私のことは御門様ではなく、可畏と呼べ」
穏やかな声に、葛葉は思わず「え?」と顔をあげてしまう。可畏と目が合うと、あわてて俯いて視線をそらした。
どんな厳しい処分が待っているのかと竦んでいたのに、可畏の反応は真逆だった。
「今の話で、おまえが花嫁の資格を失うことはない」
「でも、わたしが近くにいると迷惑が……」
「自覚があるならそれでいい」
可畏の長い指先が葛葉のあごにかかる。葛葉が身構えるより先に、彼とみつめ合うような角度に顔が押し上げられる。
「これからは私の目を見て話せ。おまえの抱える問題は、私には痛くも痒くもない」
「でも、万が一……」
「私に妖や異形が憑くことはない」
真っ直ぐに葛葉を射抜く可畏の視線は、まるで彼自身が妖であるかのように鮮やかな赤だった。葛葉は言葉をうしなって、魅入ってしまう。
「それから」
可畏はイタズラっぽく笑うと、葛葉の顔から手をはなした。
「自分のことを魔性の女だと説明するのはやめろ」
「え?」
「おまえの場合、せめて魔性の子か魔性の娘と言え。魔性の女では意味が全然ちがう」
「あ、わたしがまだ学生だから」
「ちがう。魔性の女はファム・ファタルだ。異形を憑かせる魔性ではなく、男を破滅させる魅惑的な女という意味の、魔性になる」
「男を破滅させる魅惑的な女……?」
「魔性の女はそういう意味だ」
ようやく可畏にいわれた事を理解して、葛葉は一瞬にして頬の熱が沸騰したやかんのようになった。彼がはじめに(いきなりとんでもないことを言い出したな)と反応していたのを思い出す。
(わ、わたし! なんてことを!)
とつぜん男性にふしだらな女ですと自己紹介していたかと思うと、かくれる穴がいくつあっても足りない。
「も、申し訳ございません。わたし、とんでもない言い間違いを」
恥ずかしさのあまり肩をすくめて小さくなっていると、隣で可畏の笑う声がした。
「いきなり魔性の女ですと自己紹介するとは、斬新だな」
「申し訳ありません」
「傑作だ」
最大級の粗相をしたといっても過言ではないのに、可畏の態度は和やかだった。葛葉は紅潮した頬を手で押さえながら、そっと可畏の横顔をみる。
あらためて眺めてみても、女性の憧れの的になりそうな端麗な容姿だった。癖のない白髪が陽光をてりかえして輝いている。魔性のような赤い瞳は、はじめて見たときと何も変わらない。
けれど、初対面の威圧感が嘘のように、彼は隣で気さくにわらっている。
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