217 / 233
第五話(最終話) 相称の翼
第八章:一 鬼(き)の依り代
しおりを挟む
緋桜と共に軒廊を戻っていた朱桜は、朱緋殿にたどり着くまでもなく、内裏がさっきまでと様変わりしているのを感じた。朱雀の結界の綻びは、瞬く間に何者かを招き入れたようだ。
(ーーこの感じ)
朱桜には馴染みのある感覚だった。
いつか鬼の坩堝で囚われた悪意と似ている。その時とは比べ物にならない途轍もない凶悪さに満ちているが、同質のものであることが窺えた。
あまりのおぞましさに、悪寒が走る。身震いがした。
何がこれほどに鬼に寄り憑き、禍々しいものを肥大させていくのか。鬼はすでに目に見える形となって際限なく濃度を増していく。
女王は突然の惨状に怯むこともなく、闇呪の横たわる居室を目指している。朱桜も駆けだしていた。
黒い煙が立ち込めたように、朱緋殿の内は淀んでいる。途中で殿舎をつなぐ軒廊に倒れている人影が見えた。
闇呪の横たわる居室が見えてくると、部屋に続く廊で碧宇が倒れている。白虹と玉花に支えられているが、碧宇の纏う衣装は赤く染まっていた。
「碧宇の王子!」
緋桜の鋭い声に、三人が一斉にこちらを向いた。
「陛下! 女王!」
「何があったのです」
問いながらも緋桜はかけ進む。朱桜も答えが返る前に居室の内を視界に入れていた。
「紅於の君?」
緋桜の悲鳴のような声で、朱桜は闇呪の前に立つ人影が誰かを理解した。紅於は屍のような色のない顔でこちらを見る。
朱桜はぞっと肌が粟立つ。
深淵を映したかのような瞳は、まるでそこに穴が開いたのではないかと感じるほど光がない。何かを正視しているのかどうかも怪しい。
紅於の手にした刀剣の刃先から、ぽたりと血が滴り落ちた。朱桜は衣装を血に染めた碧宇を見返る。紅於が切りつけたのは間違いがない。
碧の第一王子に抜刀するなど、もはや正気の沙汰ではなかった。
「紅蓮の宮」
紅於はうわ言のように呟き、横たわる闇呪の前に膝をついた。何事もないように胸に刺さる麒角に手を伸ばし、掴んだ。力を込めてさらに闇呪の胸を裂く。血しぶきがあがった。
「先生!」
朱桜は悲鳴をあげて、すぐに朱雀に預けた剣を抜こうと手を掲げる。
「姫君! 駄目だ」
指先が刀剣に触れた時、碧宇の声が響いた。
「いくら陛下の礼神でも、呪鬼には無力だ」
「だけど、先生が」
「朱桜の姫君」
白虹が立ち上がって朱桜の前に立った。長い指先が剣にかけていた手に触れる。
「気持ちはわかりますが、収めてください。継承権を持つ王子の力も相殺され、殺気が鬼を増幅するだけです。たとえ陛下の力を以ってしても同じです。今は悪戯に鬼を刺激しないほうが良いのです」
「だけど、このままでは」
白虹も唇を噛む。肥大する鬼を前に成す術がないのだ。
紅於の髪が突風に吹かれたかのようにうねる。緋色の美しさは失われ、頭髪が闇に染まっている。
くつくつと、彼が笑った。他愛ない仕草であるはずなのに、恐ろしくてたまらない。
「いまさら正体が知れたところで、麒角に封じられ、もはや成す術もない」
紅於の口から美しい声が漏れた。聞き覚えのある声。
朱桜は身動きすることを忘れて、声に耳を傾けていた。
囁くような声で、紅於は闇呪に問いかける。
「ーーそなたの罪、どのように贖うのか?」
ゆったりとした女の声。朱桜は眉をひそめる。
(これは、華艶様の声)
いつも慈愛に満ちていた声。同じ声色なのに、今は恐ろしさしか感じない。囁きにすら、厳しさが剥き出しになっていると感じるのは、辺りに充満する鬼のせいだろうか。
(本当に、華艶様が禍に――?)
どうしても信じられないが、この声には聞き間違いがない。
「紅蓮を討った罪」
華艶の声で紅於が闇呪を弾劾する。紅蓮の許嫁であった紅於の内に逆恨みが育ったとしても、責めることはできない。その哀しみに鬼が取り付いてしまったのだろうか。ふと目隠しをされて再びを視界が開けたように、脳裏に克明に描かれる情景があった。
紅蓮の断末魔の悲鳴までが蘇って、朱桜は思わず耳を塞ぐ。
「では、禍の宿命に抗い、翼扶を得た罪は?」
闇呪への尋問には、途切れることのない悪意が満ちている。
(先生は禍じゃない)
紅於は再び麒角に手をかける。朱桜が掴んだ時の苦痛は微塵もないようだった。麒角で闇呪の身をさらに貫く。華艶の声は続けざまに闇呪に幾つかの問いを投げる。
どんな意味があるのか、朱桜にはわからない。ただ辺りに充満する鬼を蹴散らして、なんとか麒角を抜く手立てはないだろうか。やはり黄緋剣を抜くべきではないか。
逡巡していると、紅於が麒角を掴んだままゆっくりとこちらを向いた。
歪に表情が変わる。ニタリと、微笑みが宿った。
「翼扶に何が起きたのか。妾がおしえてやろう」
朱桜はゾッと身震いがした。
意識を失いそうな勢いで、流れ込んでくる情景がある。鬼の見せる幻影。振り払おうとしているのに、目を逸らすことが許されない。もっとも思い出したくない記憶が共鳴する。
同時に、闇呪の痛みに呻くような声が聞こえた。
「やめて!ーー先生!」
目を閉じても消えない光景。金域で受けた最悪の仕打ちが、描き出されようとしている。朱桜はそれが闇呪に向かって放たれた悪意なのだと気づいた。彼を負の連鎖に引き込もうとしている。
(やめて、やめて!)
無理矢理再生される情景に血の気が引き、眩暈がする。
自分の身を襲った悪夢のようなひととき。それが最悪の舞台で闇呪に伝わることに、絶望を感じた。
「朱桜。闇呪の君を信じなさい」
心が折れかけた時、凛とした声が響いた。朱桜はハッと幻影から引き戻される。仰ぐと緋桜が険しい眼差しで紅於を見つめたまま、もう一度声をかけてくれる。
「陛下の輝きは、このようなことでは奪えません。自信を持ってください」
「――宮様」
朱桜は胸に手を添えて呼吸を整えた。最悪の記憶に囚われそうになっていたのだ。ここで心が折れれば、自分まで鬼の餌食になってしまう。
そんなことになれば取り返しがつかない。朱桜は自身に課せられた使命を思い出し、強く胸に刻む。己を奮い立たせた。
手の甲に当たる爪が肌を傷つける程に、強く手を握りしめる。
(大丈夫。耐えられる。――私は負けない)
血が流れ出るが、その痛みに安堵した。とらわれていた幻覚が遠ざかり、正気が戻る。
「まずい! 黄帝陛下が」
碧宇は衣装の血痕が他の誰かの返り血ではないかと錯覚させるほど、負傷した身体を思わせない覇気を纏い、紅於と対峙している。白虹もいつの間に抜刀したのか、輝く白い刀剣を構えていた。
朱桜が記憶に囚われていた間に、打開策がないかと、二人が鬼と攻防を繰り広げていたのは明らかだった。
「黄帝陛下!」
白虹の叫びが場を貫く。充満する鬼が、麒角から闇呪の身に取り込まれていく。激しい風が巻き起こり、鬼が渦を巻いて吸い込まれていく。びくりと、闇呪の身体が身動きした。
「先生!」
ゆらりと胸を麒角に貫かれたまま、闇呪が幽鬼のように立ち上がる。闇に染まった長い髪が、生き物のように彼の背後で立ち上がり、蠢めいた。不自然に隆起した血管が、肌に黒い模様を描く。
紅於が力なく崩れると共に、闇呪の高い哄笑が響いた。
「妾の宿願は成った」
闇呪の口から、華艶の声が響く。
鬼に新たな、そして最悪の依り代を与えてしまったのだと、誰もが理解した瞬間だった。
(ーーこの感じ)
朱桜には馴染みのある感覚だった。
いつか鬼の坩堝で囚われた悪意と似ている。その時とは比べ物にならない途轍もない凶悪さに満ちているが、同質のものであることが窺えた。
あまりのおぞましさに、悪寒が走る。身震いがした。
何がこれほどに鬼に寄り憑き、禍々しいものを肥大させていくのか。鬼はすでに目に見える形となって際限なく濃度を増していく。
女王は突然の惨状に怯むこともなく、闇呪の横たわる居室を目指している。朱桜も駆けだしていた。
黒い煙が立ち込めたように、朱緋殿の内は淀んでいる。途中で殿舎をつなぐ軒廊に倒れている人影が見えた。
闇呪の横たわる居室が見えてくると、部屋に続く廊で碧宇が倒れている。白虹と玉花に支えられているが、碧宇の纏う衣装は赤く染まっていた。
「碧宇の王子!」
緋桜の鋭い声に、三人が一斉にこちらを向いた。
「陛下! 女王!」
「何があったのです」
問いながらも緋桜はかけ進む。朱桜も答えが返る前に居室の内を視界に入れていた。
「紅於の君?」
緋桜の悲鳴のような声で、朱桜は闇呪の前に立つ人影が誰かを理解した。紅於は屍のような色のない顔でこちらを見る。
朱桜はぞっと肌が粟立つ。
深淵を映したかのような瞳は、まるでそこに穴が開いたのではないかと感じるほど光がない。何かを正視しているのかどうかも怪しい。
紅於の手にした刀剣の刃先から、ぽたりと血が滴り落ちた。朱桜は衣装を血に染めた碧宇を見返る。紅於が切りつけたのは間違いがない。
碧の第一王子に抜刀するなど、もはや正気の沙汰ではなかった。
「紅蓮の宮」
紅於はうわ言のように呟き、横たわる闇呪の前に膝をついた。何事もないように胸に刺さる麒角に手を伸ばし、掴んだ。力を込めてさらに闇呪の胸を裂く。血しぶきがあがった。
「先生!」
朱桜は悲鳴をあげて、すぐに朱雀に預けた剣を抜こうと手を掲げる。
「姫君! 駄目だ」
指先が刀剣に触れた時、碧宇の声が響いた。
「いくら陛下の礼神でも、呪鬼には無力だ」
「だけど、先生が」
「朱桜の姫君」
白虹が立ち上がって朱桜の前に立った。長い指先が剣にかけていた手に触れる。
「気持ちはわかりますが、収めてください。継承権を持つ王子の力も相殺され、殺気が鬼を増幅するだけです。たとえ陛下の力を以ってしても同じです。今は悪戯に鬼を刺激しないほうが良いのです」
「だけど、このままでは」
白虹も唇を噛む。肥大する鬼を前に成す術がないのだ。
紅於の髪が突風に吹かれたかのようにうねる。緋色の美しさは失われ、頭髪が闇に染まっている。
くつくつと、彼が笑った。他愛ない仕草であるはずなのに、恐ろしくてたまらない。
「いまさら正体が知れたところで、麒角に封じられ、もはや成す術もない」
紅於の口から美しい声が漏れた。聞き覚えのある声。
朱桜は身動きすることを忘れて、声に耳を傾けていた。
囁くような声で、紅於は闇呪に問いかける。
「ーーそなたの罪、どのように贖うのか?」
ゆったりとした女の声。朱桜は眉をひそめる。
(これは、華艶様の声)
いつも慈愛に満ちていた声。同じ声色なのに、今は恐ろしさしか感じない。囁きにすら、厳しさが剥き出しになっていると感じるのは、辺りに充満する鬼のせいだろうか。
(本当に、華艶様が禍に――?)
どうしても信じられないが、この声には聞き間違いがない。
「紅蓮を討った罪」
華艶の声で紅於が闇呪を弾劾する。紅蓮の許嫁であった紅於の内に逆恨みが育ったとしても、責めることはできない。その哀しみに鬼が取り付いてしまったのだろうか。ふと目隠しをされて再びを視界が開けたように、脳裏に克明に描かれる情景があった。
紅蓮の断末魔の悲鳴までが蘇って、朱桜は思わず耳を塞ぐ。
「では、禍の宿命に抗い、翼扶を得た罪は?」
闇呪への尋問には、途切れることのない悪意が満ちている。
(先生は禍じゃない)
紅於は再び麒角に手をかける。朱桜が掴んだ時の苦痛は微塵もないようだった。麒角で闇呪の身をさらに貫く。華艶の声は続けざまに闇呪に幾つかの問いを投げる。
どんな意味があるのか、朱桜にはわからない。ただ辺りに充満する鬼を蹴散らして、なんとか麒角を抜く手立てはないだろうか。やはり黄緋剣を抜くべきではないか。
逡巡していると、紅於が麒角を掴んだままゆっくりとこちらを向いた。
歪に表情が変わる。ニタリと、微笑みが宿った。
「翼扶に何が起きたのか。妾がおしえてやろう」
朱桜はゾッと身震いがした。
意識を失いそうな勢いで、流れ込んでくる情景がある。鬼の見せる幻影。振り払おうとしているのに、目を逸らすことが許されない。もっとも思い出したくない記憶が共鳴する。
同時に、闇呪の痛みに呻くような声が聞こえた。
「やめて!ーー先生!」
目を閉じても消えない光景。金域で受けた最悪の仕打ちが、描き出されようとしている。朱桜はそれが闇呪に向かって放たれた悪意なのだと気づいた。彼を負の連鎖に引き込もうとしている。
(やめて、やめて!)
無理矢理再生される情景に血の気が引き、眩暈がする。
自分の身を襲った悪夢のようなひととき。それが最悪の舞台で闇呪に伝わることに、絶望を感じた。
「朱桜。闇呪の君を信じなさい」
心が折れかけた時、凛とした声が響いた。朱桜はハッと幻影から引き戻される。仰ぐと緋桜が険しい眼差しで紅於を見つめたまま、もう一度声をかけてくれる。
「陛下の輝きは、このようなことでは奪えません。自信を持ってください」
「――宮様」
朱桜は胸に手を添えて呼吸を整えた。最悪の記憶に囚われそうになっていたのだ。ここで心が折れれば、自分まで鬼の餌食になってしまう。
そんなことになれば取り返しがつかない。朱桜は自身に課せられた使命を思い出し、強く胸に刻む。己を奮い立たせた。
手の甲に当たる爪が肌を傷つける程に、強く手を握りしめる。
(大丈夫。耐えられる。――私は負けない)
血が流れ出るが、その痛みに安堵した。とらわれていた幻覚が遠ざかり、正気が戻る。
「まずい! 黄帝陛下が」
碧宇は衣装の血痕が他の誰かの返り血ではないかと錯覚させるほど、負傷した身体を思わせない覇気を纏い、紅於と対峙している。白虹もいつの間に抜刀したのか、輝く白い刀剣を構えていた。
朱桜が記憶に囚われていた間に、打開策がないかと、二人が鬼と攻防を繰り広げていたのは明らかだった。
「黄帝陛下!」
白虹の叫びが場を貫く。充満する鬼が、麒角から闇呪の身に取り込まれていく。激しい風が巻き起こり、鬼が渦を巻いて吸い込まれていく。びくりと、闇呪の身体が身動きした。
「先生!」
ゆらりと胸を麒角に貫かれたまま、闇呪が幽鬼のように立ち上がる。闇に染まった長い髪が、生き物のように彼の背後で立ち上がり、蠢めいた。不自然に隆起した血管が、肌に黒い模様を描く。
紅於が力なく崩れると共に、闇呪の高い哄笑が響いた。
「妾の宿願は成った」
闇呪の口から、華艶の声が響く。
鬼に新たな、そして最悪の依り代を与えてしまったのだと、誰もが理解した瞬間だった。
0
あなたにおすすめの小説
旦那様に学園時代の隠し子!? 娘のためフローレンスは笑う-昔の女は引っ込んでなさい!
恋せよ恋
恋愛
結婚五年目。
誰もが羨む夫婦──フローレンスとジョシュアの平穏は、
三歳の娘がつぶやいた“たった一言”で崩れ落ちた。
「キャ...ス...といっしょ?」
キャス……?
その名を知るはずのない我が子が、どうして?
胸騒ぎはやがて確信へと変わる。
夫が隠し続けていた“女の影”が、
じわりと家族の中に染み出していた。
だがそれは、いま目の前の裏切りではない。
学園卒業の夜──婚約前の学園時代の“あの過ち”。
その一夜の結果は、静かに、確実に、
フローレンスの家族を壊しはじめていた。
愛しているのに疑ってしまう。
信じたいのに、信じられない。
夫は嘘をつき続け、女は影のように
フローレンスの生活に忍び寄る。
──私は、この結婚を守れるの?
──それとも、すべてを捨ててしまうべきなの?
秘密、裏切り、嫉妬、そして母としての戦い。
真実が暴かれたとき、愛は修復か、崩壊か──。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 いいね❤️励みになります!ありがとうございます!
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
届かぬ温もり
HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった·····
◆◇◆◇◆◇◆
読んでくださり感謝いたします。
すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
【完結】東京・金沢 恋慕情 ~サレ妻は御曹司に愛されて~
安里海
恋愛
佐藤沙羅(35歳)は結婚して13年になる専業主婦。
愛する夫の政志(38歳)と、12歳になる可愛い娘の美幸、家族3人で、小さな幸せを積み上げていく暮らしを専業主婦である紗羅は大切にしていた。
その幸せが来訪者に寄って壊される。
夫の政志が不倫をしていたのだ。
不安を持ちながら、自分の道を沙羅は歩み出す。
里帰りの最中、高校時代に付き合って居た高良慶太(35歳)と偶然再会する。再燃する恋心を止められず、沙羅は慶太と結ばれる。
バツイチになった沙羅とTAKARAグループの後継ぎの慶太の恋の行方は?
表紙は、自作です。
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる