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ローラン王とミランダ姫とそして…。
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「…それって…それってなに?!」
そう言ったミランダの声は、今まで感じていた恐怖も吹き飛び、寧ろ苛立っていた。
「わざわざ、私の好きなものを聞きに来るって、なにか意味があるんでしょう?!なのに…なにが、【もう、良い。わかった。】よ。こっちは全然わかんないっーの!!」
驚いたように、ミランダを見ていたローラン王だったが、ゆっくりと口元を緩め
「そんなに腹を立てる事か?」
「腹が立ちます!こっちは殺されるのではないかと、内心ビビッていたのに…張り詰めたものがシュワシュワと萎んだ感じで、なんだか…安心したような、ムカつくような…うっ…なんかイラつく。」
いつもミランダらしい口調に変わったことに、ローラン王は目元にそして、口元に笑みを浮かべ
「そうか…。」
と口にし笑いながら、なにか言いたげに唇は動かそうとしたが、ローラン王は諦めたように、頭を軽く横に振り、思い浮かんだ言葉とは違う言葉を口にした。
「まぁ…良いか。」
そんなローラン王に、ミランダは頬を膨らませ
「また~!諦めたような物言いはムカつくの!いい加減にして!言いたい事あるなら、はっきり言ってよ!」
ミランダの物言いに、ローラン王は笑みを浮かべた時だった
『また…』
その声は…興奮気味に話すミランダの声を追うようにローラン王の耳に聞こえた。
それは懐かしくて…
そして愛おしくて…
だが寂しげな声で…
『また、諦めたように言われる。いい加減になさいませ。』
スミラ…。
よく、お前にはそう言われたな。
まさかこの姫にも、似たようなことを言われるとは…参った。
見目は全然違うのに、私の五感がこの幼い姫が、スミラだと感じているのは、間違いではないようだ。
神は……冗談が過ぎる。
予感はあった。
いよいよ、ブラチフォード国に乗り込もうとした数年前。
スミラがこの世界に生まれたことを感じた…それが始まりだった。
あまりにも早いスミラの生まれ変わりは、普段の私なら不安を感じていただろう、ロイが生まれ変わるのにも、800年と月日が流れたのに、僅か20数年足らずで生まれ変わった意味を気にするべきだった。だが、あの時の私はただ喜んで、柄にもなく涙までしたのだ。
その涙もスミラが生まれた場所が、ブラチフォード国だとわかった瞬間、凍りついてしまったがな。
だが凍りついていた心は、だんだんと嫉妬という炎に支配されて行き、溶かされた行き場のない思いは、うねりとなって血吐くような叫びとなっていた。
どうしてまた、あの男の側で生まれ変わったのだ?
まさか…
あのブラチフォード王を守るためか?ルシアンを守るためか?
愛した男とその息子を、私から守るために、人の心を色として見える力を得て、私の前に立ちふさがり、あの老いぼれた王とその血を引くルシアンを守るために、私の前に……現れたというのか?
スミラ…お前にとって、私は…憎むべき相手ということか?
そう思うと、生まれ変わったスミラに会いたいと思う反面、殺してしまいたいと思う心が芽生え、心は揺れ動いた。
あぁ…そうだ。
そう言えばアストンに気づかれたな、あの男は私に…
『ガキを殺すのは少々心が痛むんだろう?だから、部屋に入るのを躊躇していたんだろう?フン、笑えるね。あんたにもそんな心があるとはね。』
そんなことを言ったが、だが、そこまでだった。
揺れ動く心は気づいても、なぜなのかはわかっていなかった、いや…わかるはずはない。
時が立っても、嫉妬という狂った思いに振り回される私の心をわかるはずはない。
愚かしいことをやっているのだから……わかるはずはない。
一度、結びついた魂は、引き合うものだと、心のどこかでわかっていた、だから、どんなに恋焦がれても、私の腕の中にスミラを囲うことは出来ないと…わかっていた、だがわかっていても、諦め切れなかった。
スミラの恋を見た。
アデリーナの恋を見た。
そして、ルシアンとロザリーの恋を見た。
その度に…己の愚かな行為を気づいて……いや、ただ、認めたくなかったのだ。
実らない恋を…諦めなくてはならない恋を…認めたくなかった。
愛する者の身近にいたいと、魂はそれだけを思って、次の世に生まれ変わってくるのなら、愛する者を殺めようとする輩から守りたいと思うのは当たり前だ。
そうだな、当たり前だ。
私の前に立ちふさがるのは当たり前だ…。
まぁ…良いか…。
「だいたい!あなたは悪なんだから!もっと怖い事を言わないと!【まぁ、良いか】じゃ、私は震え上がらないわよ。」
隣で幼い姫が訳のわからん事を言っている。フッ…思わず笑ってしまいそうになるな。
こうしていると、あぁ、昔と何一つ変わらないような気がしてくる。
『お兄様は根暗です!間違いなく根暗!もっとにっこり笑って!そうそう…そんな感じ、お兄様のようなカッコいい方がにっこりすれば、すべて上手くゆくものです!だから、にっこり!』
お前もよく訳の分からないことを言って私を笑わせた。
「そんな笑顔だと、悪には見えないわ。う~ん、見えない。」隣に座る姫がそう言った。
そして…もう一人の姫の声が
『お兄様のその笑顔は大好きよ。』と言っているのが聞こえた。
スミラ…。
ようやく、私はお前に会えたんだな。
そう言ったミランダの声は、今まで感じていた恐怖も吹き飛び、寧ろ苛立っていた。
「わざわざ、私の好きなものを聞きに来るって、なにか意味があるんでしょう?!なのに…なにが、【もう、良い。わかった。】よ。こっちは全然わかんないっーの!!」
驚いたように、ミランダを見ていたローラン王だったが、ゆっくりと口元を緩め
「そんなに腹を立てる事か?」
「腹が立ちます!こっちは殺されるのではないかと、内心ビビッていたのに…張り詰めたものがシュワシュワと萎んだ感じで、なんだか…安心したような、ムカつくような…うっ…なんかイラつく。」
いつもミランダらしい口調に変わったことに、ローラン王は目元にそして、口元に笑みを浮かべ
「そうか…。」
と口にし笑いながら、なにか言いたげに唇は動かそうとしたが、ローラン王は諦めたように、頭を軽く横に振り、思い浮かんだ言葉とは違う言葉を口にした。
「まぁ…良いか。」
そんなローラン王に、ミランダは頬を膨らませ
「また~!諦めたような物言いはムカつくの!いい加減にして!言いたい事あるなら、はっきり言ってよ!」
ミランダの物言いに、ローラン王は笑みを浮かべた時だった
『また…』
その声は…興奮気味に話すミランダの声を追うようにローラン王の耳に聞こえた。
それは懐かしくて…
そして愛おしくて…
だが寂しげな声で…
『また、諦めたように言われる。いい加減になさいませ。』
スミラ…。
よく、お前にはそう言われたな。
まさかこの姫にも、似たようなことを言われるとは…参った。
見目は全然違うのに、私の五感がこの幼い姫が、スミラだと感じているのは、間違いではないようだ。
神は……冗談が過ぎる。
予感はあった。
いよいよ、ブラチフォード国に乗り込もうとした数年前。
スミラがこの世界に生まれたことを感じた…それが始まりだった。
あまりにも早いスミラの生まれ変わりは、普段の私なら不安を感じていただろう、ロイが生まれ変わるのにも、800年と月日が流れたのに、僅か20数年足らずで生まれ変わった意味を気にするべきだった。だが、あの時の私はただ喜んで、柄にもなく涙までしたのだ。
その涙もスミラが生まれた場所が、ブラチフォード国だとわかった瞬間、凍りついてしまったがな。
だが凍りついていた心は、だんだんと嫉妬という炎に支配されて行き、溶かされた行き場のない思いは、うねりとなって血吐くような叫びとなっていた。
どうしてまた、あの男の側で生まれ変わったのだ?
まさか…
あのブラチフォード王を守るためか?ルシアンを守るためか?
愛した男とその息子を、私から守るために、人の心を色として見える力を得て、私の前に立ちふさがり、あの老いぼれた王とその血を引くルシアンを守るために、私の前に……現れたというのか?
スミラ…お前にとって、私は…憎むべき相手ということか?
そう思うと、生まれ変わったスミラに会いたいと思う反面、殺してしまいたいと思う心が芽生え、心は揺れ動いた。
あぁ…そうだ。
そう言えばアストンに気づかれたな、あの男は私に…
『ガキを殺すのは少々心が痛むんだろう?だから、部屋に入るのを躊躇していたんだろう?フン、笑えるね。あんたにもそんな心があるとはね。』
そんなことを言ったが、だが、そこまでだった。
揺れ動く心は気づいても、なぜなのかはわかっていなかった、いや…わかるはずはない。
時が立っても、嫉妬という狂った思いに振り回される私の心をわかるはずはない。
愚かしいことをやっているのだから……わかるはずはない。
一度、結びついた魂は、引き合うものだと、心のどこかでわかっていた、だから、どんなに恋焦がれても、私の腕の中にスミラを囲うことは出来ないと…わかっていた、だがわかっていても、諦め切れなかった。
スミラの恋を見た。
アデリーナの恋を見た。
そして、ルシアンとロザリーの恋を見た。
その度に…己の愚かな行為を気づいて……いや、ただ、認めたくなかったのだ。
実らない恋を…諦めなくてはならない恋を…認めたくなかった。
愛する者の身近にいたいと、魂はそれだけを思って、次の世に生まれ変わってくるのなら、愛する者を殺めようとする輩から守りたいと思うのは当たり前だ。
そうだな、当たり前だ。
私の前に立ちふさがるのは当たり前だ…。
まぁ…良いか…。
「だいたい!あなたは悪なんだから!もっと怖い事を言わないと!【まぁ、良いか】じゃ、私は震え上がらないわよ。」
隣で幼い姫が訳のわからん事を言っている。フッ…思わず笑ってしまいそうになるな。
こうしていると、あぁ、昔と何一つ変わらないような気がしてくる。
『お兄様は根暗です!間違いなく根暗!もっとにっこり笑って!そうそう…そんな感じ、お兄様のようなカッコいい方がにっこりすれば、すべて上手くゆくものです!だから、にっこり!』
お前もよく訳の分からないことを言って私を笑わせた。
「そんな笑顔だと、悪には見えないわ。う~ん、見えない。」隣に座る姫がそう言った。
そして…もう一人の姫の声が
『お兄様のその笑顔は大好きよ。』と言っているのが聞こえた。
スミラ…。
ようやく、私はお前に会えたんだな。
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