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結婚までの7日間 Lucian & Rosalie
3日目 ⑬
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「ロザリー…」
触れ合っていた唇の上で私の名を呼ばれたルシアン殿下は、その唇を私の耳元に寄せ
「…来るな。」
「えぇ…ひとり…いえ、ふたり…?でも…音が…」
と言って眉を顰めた私に、ルシアン殿下は笑った。
「なぜ、笑うの?」
むくれた私の頬に唇を寄せ
「…マズイなぁ。そうやって普通に話す、おまえが可愛い。」
「えっ?」
「おまえの唇を離すのが惜しくなった。もう一度キスをしてくれ。」
「…非常時です…で・ん・か。」
そう言ってクスリと笑った私に、ため息をついたルシアン殿下は
「ならば命ずる。早く片付けて、もう一度キスをしろ。」
「御意!」
そう私が答えた瞬間、後ろで、何か重い物が地面に落ちた音がした。
いや何かではない。その鈍い音が何だったのか私にはわかった。そしてその剣の持ち主も…。
ゆっくりと傍らに置いていた剣を取り、ルシアン殿下を守るように振り返り。
「ナダル、これ以上は近づくな!」
「…ルチアーノ…そこにいるのは誰だ?ロイは…?一体どうなっているんだ?」
そう、言いながら近づいてくるナダルに、私は剣を向け
「私は、あなたを切りたくはない。」
青褪めたナダルは一歩後ろへと下がったが
「何が起こっている?そこにいるのは誰だ?俺を庇ったのは…ロイじゃないのか?!」
私はどうと言ったら、いいのかわからないでいた。
ここでロイのふりをしていたのが、ルシアン殿下だと言っていいのかわからず、ただ…(近づくな。)と繰り返し、剣をナダルに向ける私にナダルは泣きそうな顔で
「おまえたちは…誰なんだ。」
何も言えずナダルを見る私の目に、もうひとり…の足音の持ち主がナダルの後ろの木々から現れ
「もう言っちゃいなさいよ!私達は数日後、この国の王と王妃になる者だと。」
ナダルは、その声が言った言葉を確かめるように、自分の後ろを振り返り
「…ガキが…何を言ってる?。」
「ガキ?その言い方は悪いけどやめてくれる。ガキって言われると、鼻たれ小僧のイメージなの。」
そう言って、頭やドレスに付いた葉っぱを払うと
「一応ミランダと言う、お気に入りの名前があるからそう呼んで。あっ?!敬称はつけなくても許すから」
「敬称?」
ナダルの声ににっこり笑ったミランダは
「ブラチフォード国の王女なんだけどね。」
「ブラチフォード国の王女?!おまえ…何を言ってるんだ。」
「それは今はどうでもいいから…ほら、ロザリー。」
「…今、ロザリーと聞こえたが…ロザリーって女だぞ。そこにいるのはルチアーノ…だ。」
と言って私を見たナダルの視線に、思わず下を向いてしまった私を盛大なため息が
「はぁ~マジで?…あなたはロザリーを男だと思ってたの?」
憐れむようなミランダ姫の視線に、私の後ろから笑い声が聞こえた。
「…殿下?!」
「また…殿下に戻ってしまったか。」
そう言って、苦笑しながらゆっくりと起き上がったルシアン殿下はナダルに顔を見せた。
仮面を外したロイなら、あるはずの火傷の痕がなくて、戸惑うナダルに微笑んだルシアン殿下は
「ナダル、私は今おまえが思っている男だ。」
「…ルシアンなのか?本当にルシアンなのか?じゃぁ…ロイは?ロイはどうした?まさか殺したのか?!!」
ルシアン殿下は、すこし息苦しそうに
「安心しろ…。半年前、あの火事から救出した後、ロイはリドリー伯爵のところで保護している。」
「半年前?」
黙って頷いたルシアン殿下にナダルはもう一度
「半年前…に?」
「あぁ…ロイを殺すために、カイザー・バウマン公爵が火をつけたあの火事からな。」
「公爵が…嘘だ!!あの方は…俺達の苦しさや悲しみを知って助けてくださった方だ!嘘をつくな!」
そう叫び、落とした剣を拾うと、ナダルは剣を振りかざしてきた。
剣を持つナダルの手をはじき、剣が落とさせ、地面に落ちた剣を足で蹴り上げ、左手で取り、両方の剣をナダルに向けた。
唖然とするナダルにルシアン殿下が、
「俺の妃は…カッコイイだろう。」
それに被るように、ミランダ姫が
「私の叔母様はカッコイイでしょう。」
…今、非常時なんですが…。
小さなため息を付いた私に、さらにため息を付かせる方が…いらっしゃった。
そして、目の前の状況を見ながらも
「おおっ!久しぶりに両手で戦うおまえを見たな。腕を振るう間もなく、戦いが終わって…物足りないのだ、ひとつ手合わせをしないか?!」
空気を読めないお父様に、盛大にため息をついて
「だから!今、非常時なんですけど!」
触れ合っていた唇の上で私の名を呼ばれたルシアン殿下は、その唇を私の耳元に寄せ
「…来るな。」
「えぇ…ひとり…いえ、ふたり…?でも…音が…」
と言って眉を顰めた私に、ルシアン殿下は笑った。
「なぜ、笑うの?」
むくれた私の頬に唇を寄せ
「…マズイなぁ。そうやって普通に話す、おまえが可愛い。」
「えっ?」
「おまえの唇を離すのが惜しくなった。もう一度キスをしてくれ。」
「…非常時です…で・ん・か。」
そう言ってクスリと笑った私に、ため息をついたルシアン殿下は
「ならば命ずる。早く片付けて、もう一度キスをしろ。」
「御意!」
そう私が答えた瞬間、後ろで、何か重い物が地面に落ちた音がした。
いや何かではない。その鈍い音が何だったのか私にはわかった。そしてその剣の持ち主も…。
ゆっくりと傍らに置いていた剣を取り、ルシアン殿下を守るように振り返り。
「ナダル、これ以上は近づくな!」
「…ルチアーノ…そこにいるのは誰だ?ロイは…?一体どうなっているんだ?」
そう、言いながら近づいてくるナダルに、私は剣を向け
「私は、あなたを切りたくはない。」
青褪めたナダルは一歩後ろへと下がったが
「何が起こっている?そこにいるのは誰だ?俺を庇ったのは…ロイじゃないのか?!」
私はどうと言ったら、いいのかわからないでいた。
ここでロイのふりをしていたのが、ルシアン殿下だと言っていいのかわからず、ただ…(近づくな。)と繰り返し、剣をナダルに向ける私にナダルは泣きそうな顔で
「おまえたちは…誰なんだ。」
何も言えずナダルを見る私の目に、もうひとり…の足音の持ち主がナダルの後ろの木々から現れ
「もう言っちゃいなさいよ!私達は数日後、この国の王と王妃になる者だと。」
ナダルは、その声が言った言葉を確かめるように、自分の後ろを振り返り
「…ガキが…何を言ってる?。」
「ガキ?その言い方は悪いけどやめてくれる。ガキって言われると、鼻たれ小僧のイメージなの。」
そう言って、頭やドレスに付いた葉っぱを払うと
「一応ミランダと言う、お気に入りの名前があるからそう呼んで。あっ?!敬称はつけなくても許すから」
「敬称?」
ナダルの声ににっこり笑ったミランダは
「ブラチフォード国の王女なんだけどね。」
「ブラチフォード国の王女?!おまえ…何を言ってるんだ。」
「それは今はどうでもいいから…ほら、ロザリー。」
「…今、ロザリーと聞こえたが…ロザリーって女だぞ。そこにいるのはルチアーノ…だ。」
と言って私を見たナダルの視線に、思わず下を向いてしまった私を盛大なため息が
「はぁ~マジで?…あなたはロザリーを男だと思ってたの?」
憐れむようなミランダ姫の視線に、私の後ろから笑い声が聞こえた。
「…殿下?!」
「また…殿下に戻ってしまったか。」
そう言って、苦笑しながらゆっくりと起き上がったルシアン殿下はナダルに顔を見せた。
仮面を外したロイなら、あるはずの火傷の痕がなくて、戸惑うナダルに微笑んだルシアン殿下は
「ナダル、私は今おまえが思っている男だ。」
「…ルシアンなのか?本当にルシアンなのか?じゃぁ…ロイは?ロイはどうした?まさか殺したのか?!!」
ルシアン殿下は、すこし息苦しそうに
「安心しろ…。半年前、あの火事から救出した後、ロイはリドリー伯爵のところで保護している。」
「半年前?」
黙って頷いたルシアン殿下にナダルはもう一度
「半年前…に?」
「あぁ…ロイを殺すために、カイザー・バウマン公爵が火をつけたあの火事からな。」
「公爵が…嘘だ!!あの方は…俺達の苦しさや悲しみを知って助けてくださった方だ!嘘をつくな!」
そう叫び、落とした剣を拾うと、ナダルは剣を振りかざしてきた。
剣を持つナダルの手をはじき、剣が落とさせ、地面に落ちた剣を足で蹴り上げ、左手で取り、両方の剣をナダルに向けた。
唖然とするナダルにルシアン殿下が、
「俺の妃は…カッコイイだろう。」
それに被るように、ミランダ姫が
「私の叔母様はカッコイイでしょう。」
…今、非常時なんですが…。
小さなため息を付いた私に、さらにため息を付かせる方が…いらっしゃった。
そして、目の前の状況を見ながらも
「おおっ!久しぶりに両手で戦うおまえを見たな。腕を振るう間もなく、戦いが終わって…物足りないのだ、ひとつ手合わせをしないか?!」
空気を読めないお父様に、盛大にため息をついて
「だから!今、非常時なんですけど!」
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