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忘れたくない唇(4/5)
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また…だ。
また、じゃんけんに負けて、役員をやる羽目になるとは…。
私のこの勝負運の無さは、ある意味、近づく男はみんな身勝手な奴ばかりという男運の無さに、繋がっているように思えてくる。
その一番は、15m先にいる、あの…男…中谷 智也。
10年前に、【好き】と言ったくせに…あれから後はまるで避けるような態度。
そんな身勝手な奴に…バカにみたいに囚われている私…
でも…しょうがないじゃない。
あんな切ない眼で…好きって言われたら、意識しちゃうよ。
なのに…あっさり…他の人と付き合って…。
私の高2の秋は終わっていない。
だから…今日は決めていた。
出席と丸が付いた葉書を見た時から、私の高2の秋を終わらせようと…
終わらないと……私は前に進めない。
よし…よし!声を掛けるんだ。「中谷君」とひとこと言えば、いいんだ。こんなに大勢の人の中で、避けることはできないだろう。
よし…声をかける…
「な…なか…」
・
・
・
えっ?…
『莉子…』
えぇっ?!
……呼ばれたような気がしたんだけど…
中谷君がこんなところで、私の名前を呼ぶはずなんてないのに…呼ばれたような気がするなんて…
こっちが呼ぼうとしているのに、あぁ…どうして聞こえたような気がするの!はぁ~
名前を呼ばれたのは、高2のあの時だけなのに…ほんとどうかしている。
あの日以来、寧ろ避けられていたんだもの。ないよ…そんなこと。
中谷君を見たらわかる、きっと私のことなんか、ぜんぜん気にしてなくて…
周りの人達と笑ってるはず…
ほら…
「…どうして…」
どうして…見ているの?どうして…?
ずっと、ずっと避けていたじゃない…なのに、なぜ?
今…私をそんな目で見るの?
…視線の先が…中谷君と繋がった。
彼も私を見ている。
「莉子、どうしたの?」
「えっ…な、なんでもない。」
「お~い、莉子ちゃん、もう酔っちゃった?」
「えっ?!違う違う、えっ~と、ちょっと席を外すね。」
もう頭の中がぐちゃぐちゃだった。ただ、足だけを前後に動かす事だけを意識して、この場所から逃げることだけを考えていた。会場を抜け、ホテルの中庭に出てきて、ようやく大きく息をし、
「バカ!告白して…あんな事をしたくせに…10年もほったらかし…ありえない!!!!
あの日から…ずっと見ていたんだから…。
あの日が切っ掛けで、圭介と別れたんだから…。
あの日、あの日…ほんとは…キスされても良いと思うほど…心が揺れたんだから…。なのに…私の心をこんなに揺さぶったくせに…10年もほったらかし。放置プレイか!!」
胸に溜まっていた事を吐き出したら、力が抜け…中庭のベンチに座り込んでしまった。
「なにやってんだか…私。叫んだら、少しすっきりしたけど…、これじゃぁ…高2の秋を終わらせるどころか、より複雑にしただけだ。」
『早川』
今度は…『早川』って、呼ばれている。
空耳だ…。どこまで…私はあいつに囚われてんだ。
もう、堪忍してよ。わかりました。返事をしますよ。
「…はい、はい。なんですか?!中谷君!」
ふっ…あはは…
…と抑えたような笑い声が聞こえ
「早川は相変わらず、可笑しな奴だなぁ。」と、返事が返ってきた。
「…中谷君…?」
「うん、早川。」
また、じゃんけんに負けて、役員をやる羽目になるとは…。
私のこの勝負運の無さは、ある意味、近づく男はみんな身勝手な奴ばかりという男運の無さに、繋がっているように思えてくる。
その一番は、15m先にいる、あの…男…中谷 智也。
10年前に、【好き】と言ったくせに…あれから後はまるで避けるような態度。
そんな身勝手な奴に…バカにみたいに囚われている私…
でも…しょうがないじゃない。
あんな切ない眼で…好きって言われたら、意識しちゃうよ。
なのに…あっさり…他の人と付き合って…。
私の高2の秋は終わっていない。
だから…今日は決めていた。
出席と丸が付いた葉書を見た時から、私の高2の秋を終わらせようと…
終わらないと……私は前に進めない。
よし…よし!声を掛けるんだ。「中谷君」とひとこと言えば、いいんだ。こんなに大勢の人の中で、避けることはできないだろう。
よし…声をかける…
「な…なか…」
・
・
・
えっ?…
『莉子…』
えぇっ?!
……呼ばれたような気がしたんだけど…
中谷君がこんなところで、私の名前を呼ぶはずなんてないのに…呼ばれたような気がするなんて…
こっちが呼ぼうとしているのに、あぁ…どうして聞こえたような気がするの!はぁ~
名前を呼ばれたのは、高2のあの時だけなのに…ほんとどうかしている。
あの日以来、寧ろ避けられていたんだもの。ないよ…そんなこと。
中谷君を見たらわかる、きっと私のことなんか、ぜんぜん気にしてなくて…
周りの人達と笑ってるはず…
ほら…
「…どうして…」
どうして…見ているの?どうして…?
ずっと、ずっと避けていたじゃない…なのに、なぜ?
今…私をそんな目で見るの?
…視線の先が…中谷君と繋がった。
彼も私を見ている。
「莉子、どうしたの?」
「えっ…な、なんでもない。」
「お~い、莉子ちゃん、もう酔っちゃった?」
「えっ?!違う違う、えっ~と、ちょっと席を外すね。」
もう頭の中がぐちゃぐちゃだった。ただ、足だけを前後に動かす事だけを意識して、この場所から逃げることだけを考えていた。会場を抜け、ホテルの中庭に出てきて、ようやく大きく息をし、
「バカ!告白して…あんな事をしたくせに…10年もほったらかし…ありえない!!!!
あの日から…ずっと見ていたんだから…。
あの日が切っ掛けで、圭介と別れたんだから…。
あの日、あの日…ほんとは…キスされても良いと思うほど…心が揺れたんだから…。なのに…私の心をこんなに揺さぶったくせに…10年もほったらかし。放置プレイか!!」
胸に溜まっていた事を吐き出したら、力が抜け…中庭のベンチに座り込んでしまった。
「なにやってんだか…私。叫んだら、少しすっきりしたけど…、これじゃぁ…高2の秋を終わらせるどころか、より複雑にしただけだ。」
『早川』
今度は…『早川』って、呼ばれている。
空耳だ…。どこまで…私はあいつに囚われてんだ。
もう、堪忍してよ。わかりました。返事をしますよ。
「…はい、はい。なんですか?!中谷君!」
ふっ…あはは…
…と抑えたような笑い声が聞こえ
「早川は相変わらず、可笑しな奴だなぁ。」と、返事が返ってきた。
「…中谷君…?」
「うん、早川。」
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