43 / 67
1章 葉月と樹
葉月・・・プンプン。
しおりを挟む
「今日は…よりいっそう、疲れた様子ですね。覇気がまったくないですよ。葉月さん。」
コンビニのレジで、ぼんやりしていた私の背中に、丸山君が心配そうに声をかけてくれた。
丸山君の言葉に、微かに笑みを浮かべたけど、丸山君は眉間に皺を寄せ
「昨日、なにかあったんですか?」
そう、昨日は久住さんの家に招かれたんだんけど…散々だった。あれから、久住さんは弟さんと、そして由梨奈さんとどうなったんだろう。話は少しは進んだのかなぁ。ハァ~結局私は…ハァァ~久住さんのなんの役には立たなかったなぁ。寧ろゴタゴタを引き起こしてきただけで、とうとう久住さんとは話せないまま、帰って来ちゃった。それが一番堪えているよ。どうしてこうなっちゃったんだろう。
私って…ダメだよなぁ…あぁ…いや違う!違うもん!
あの人が…弟久住さんがムカムカ、イライラする事を言ったからだもん!
握り締めた私の手に、トングが渡された。
「葉月さん…またぼんやりして…まぁいろいろあると思いますが、レジ前でそんな顔で立たないでください。お客さんが引いてますよ。はいはい、肉まんを温めて…」
「なに?!そんな顔って…それって…不細工って言ってる?私…やっぱり…」
「言ってませんよ!なんでそうなるんですか!不細工だなんて言ったら、松下さんに半殺しにされます。」
「いやいや…丸山君、それってただ理香さんを恐れているだけで。ここは不細工じゃないですよって言う場面だよ。これじゃぁ、二人で和やかな空気を作れないよ。ますます…どんよりした気分になるじゃん。」
「ほんと、何言ってんですか?!今まで、凹んでいたくせに、突然偉そうに…。いいですか、われわれはバイトとはいえ、サービス業ですよ。そんな暗い顔でレジに立たれていたら、お客さんがお店に入って来れないって言っているんです。ぼ・く・は!」
「…う…ん。」
「ほら…あの人。」
「あの人?」
「さっきから、お店の前を行ったり、来たりして、葉月さんを見て、どうしようかとまるで迷っているみたいですよ。」
「えっ?どこにいるその人?」
「あの肉まんの、のぼり旗のところにいる人です、ほら今、下を向いたあの人ですよ。」
「わ、わかんない。」
「もう、わかんなくていいですから!とにかくあの人は、さっきからお店を覗いては溜め息をつき、そっとあののぼり旗に、隠れるように移動するを繰り返しています。まぁ…ちょっと気味は悪いですが、お店に入りたいという雰囲気がありましたから…あの人はお客さんですよ。いいですか、葉月さん。ここは少し笑ってください。」
「こ、こんな感じ?」
「う~ん、口元がブルブルと震えてて…笑っていると言うより、【寒い】って感じですね。ほら…もっと、こんな風に口角を上げて…」
「いっ…!!」
「あっ!!すみません、思わすほっぺたをひっぱっちゃいました!」
「ひ、ひどいよ、丸山君。理香さんに…言いつけてやる。」
「ゲェ!ま、待ってください!」
・
・
・
「…仲がいいんだなぁ。葉月の…彼氏か?」
「へっ?」
「はぁ?」
「なんだよ。それは…!ここは、いっ…らっしゃいませ…だろう。」
「あっ!肉まんの…のぼり旗の…」
「…いやマジ?なんで、ここにいるの?」
「おい!なんて言い方だよ。葉月!俺は客だぞ。」
そう言って、差し出した品に…丸山君は黙って見つめながら
「葉月さんの知り合いって…なんか…残念な人、多いですよね。」
と言って、その手元から商品を取ると、
ピッ!
「332円です。」と言いながら、丁寧に紙の袋に入れ、
・
・
・
弟久住さんに…生理用品を差し出した。
ようやく自分が何を買ったのか、わかったようで、真っ赤な顔で…「○×☆○&%」と意味不明な言葉を発し、固まった弟久住さんを丸山君はチラリと見て、大きな溜め息を付くと私に目をやり
「また…葉月さんが変わりに買います?」
「いいえ!」
だって、弟久住さんに私はプンプンなんだから!
コンビニのレジで、ぼんやりしていた私の背中に、丸山君が心配そうに声をかけてくれた。
丸山君の言葉に、微かに笑みを浮かべたけど、丸山君は眉間に皺を寄せ
「昨日、なにかあったんですか?」
そう、昨日は久住さんの家に招かれたんだんけど…散々だった。あれから、久住さんは弟さんと、そして由梨奈さんとどうなったんだろう。話は少しは進んだのかなぁ。ハァ~結局私は…ハァァ~久住さんのなんの役には立たなかったなぁ。寧ろゴタゴタを引き起こしてきただけで、とうとう久住さんとは話せないまま、帰って来ちゃった。それが一番堪えているよ。どうしてこうなっちゃったんだろう。
私って…ダメだよなぁ…あぁ…いや違う!違うもん!
あの人が…弟久住さんがムカムカ、イライラする事を言ったからだもん!
握り締めた私の手に、トングが渡された。
「葉月さん…またぼんやりして…まぁいろいろあると思いますが、レジ前でそんな顔で立たないでください。お客さんが引いてますよ。はいはい、肉まんを温めて…」
「なに?!そんな顔って…それって…不細工って言ってる?私…やっぱり…」
「言ってませんよ!なんでそうなるんですか!不細工だなんて言ったら、松下さんに半殺しにされます。」
「いやいや…丸山君、それってただ理香さんを恐れているだけで。ここは不細工じゃないですよって言う場面だよ。これじゃぁ、二人で和やかな空気を作れないよ。ますます…どんよりした気分になるじゃん。」
「ほんと、何言ってんですか?!今まで、凹んでいたくせに、突然偉そうに…。いいですか、われわれはバイトとはいえ、サービス業ですよ。そんな暗い顔でレジに立たれていたら、お客さんがお店に入って来れないって言っているんです。ぼ・く・は!」
「…う…ん。」
「ほら…あの人。」
「あの人?」
「さっきから、お店の前を行ったり、来たりして、葉月さんを見て、どうしようかとまるで迷っているみたいですよ。」
「えっ?どこにいるその人?」
「あの肉まんの、のぼり旗のところにいる人です、ほら今、下を向いたあの人ですよ。」
「わ、わかんない。」
「もう、わかんなくていいですから!とにかくあの人は、さっきからお店を覗いては溜め息をつき、そっとあののぼり旗に、隠れるように移動するを繰り返しています。まぁ…ちょっと気味は悪いですが、お店に入りたいという雰囲気がありましたから…あの人はお客さんですよ。いいですか、葉月さん。ここは少し笑ってください。」
「こ、こんな感じ?」
「う~ん、口元がブルブルと震えてて…笑っていると言うより、【寒い】って感じですね。ほら…もっと、こんな風に口角を上げて…」
「いっ…!!」
「あっ!!すみません、思わすほっぺたをひっぱっちゃいました!」
「ひ、ひどいよ、丸山君。理香さんに…言いつけてやる。」
「ゲェ!ま、待ってください!」
・
・
・
「…仲がいいんだなぁ。葉月の…彼氏か?」
「へっ?」
「はぁ?」
「なんだよ。それは…!ここは、いっ…らっしゃいませ…だろう。」
「あっ!肉まんの…のぼり旗の…」
「…いやマジ?なんで、ここにいるの?」
「おい!なんて言い方だよ。葉月!俺は客だぞ。」
そう言って、差し出した品に…丸山君は黙って見つめながら
「葉月さんの知り合いって…なんか…残念な人、多いですよね。」
と言って、その手元から商品を取ると、
ピッ!
「332円です。」と言いながら、丁寧に紙の袋に入れ、
・
・
・
弟久住さんに…生理用品を差し出した。
ようやく自分が何を買ったのか、わかったようで、真っ赤な顔で…「○×☆○&%」と意味不明な言葉を発し、固まった弟久住さんを丸山君はチラリと見て、大きな溜め息を付くと私に目をやり
「また…葉月さんが変わりに買います?」
「いいえ!」
だって、弟久住さんに私はプンプンなんだから!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる