乙女ゲー転生、私が主役!? ……いやそれ、何かの間違いです!

まんどう

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ビックリドッキリゴーレム

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 今日はグレイス嬢を伴っての、魔法担当クライン先生の居残り授業である。
 魔法に関しては我らが喪女さんはやる気満々である。……結果が伴わないだけで。興味津々である。……使いこなせないだけで。

(何故虚しくなる言い方をしたか)

 からかうのが面白いからだが?
 ちなみにグレイス嬢は武家の生まれのために持って生まれた魔力は少なめである。しかしながらそれを補えるよう、幼い頃から細かな制御に腐心した。この事は作中でも触れられていて、夜会イベントの少し前、活性化した魔物達の制圧に多大な貢献をした。これが分かるのはグレイス嬢の乙女プレイが開放されてからだが、喪女さんは……。

(逆ハー開放に全力注いでたから分からない)

 ……グレイス嬢のプライバシーは、あいや乙女の秘密は守られた!

(何で言い直したか!? 流石に全く知らない訳じゃないけど、他乙女のプレイ条件ってデッドエンドなんだもん。一からやる暇はなかったかな。大体殺された相手をプレイするって、斬新過ぎたのよねー)

 殺されないよう立ち回りながら、攻略しきらない生殺し状態で、元々の婚約者なり彼女なりを裏切らせる・又は捨てさせた挙句にお前達皆アタシの男ね! プレイをしてたんだもんな。

(言い方! ……振り返ってみればそうだけど!?)

 そも、蹴落とそうとしてた乙女をプレイできることによって、主役の立ち位置が如何に邪魔・邪悪か再認識する事になるからな。しかも激・純情! てのが多かったから、後々フローレンシアプレイは敵視されたりとかな。

(あー……。協力プレイ必須のイベントでぼっちだったのを思い出したわぁ。邪魔されたりもしたなー。「一緒に行きましょう! ○○で待ち合わせです!」とか約束までしといてほっぽかされたり。捨て垢だったと気付いたのは後の祭りだったなー。でもイベントに参加しておきながら、無駄な時間を過ごすことがトリガーで、逆ハーコンプリートフラグが立つとか、誰が分かるんだって話なのよ)

 最終的にそこまで辿り着いたの1桁だったらしいな。

(驚け無いわね。例え、辿り着けたのが私一人だったと聞いても)

 言動とか細かく見れば主役の子は別に悪辣でも何でも無いんだけどな。

(惑わされる野郎共が悪い)

 アメリアが恋に敗れて泣いたら?

(蹴り潰す)

 言ってることとやってたことが違い過ぎるだろ。

(あれはぁー。げーむなんですぅー。りあるじゃないんですぅー。今は現実なんですぅー)

 絶許

(なんで!?)

 ウザかったから?

(疑問形で返さないでもらいたいのです)

 それにしても良くそんなフラグ管理できたな。

(好感度上がるだろうなぁって選択肢の選ぶ速度で、表情の細かい変化とかあるんだよね。表情が明るくなりすぎたらわざとマイナス選択肢選ぶとかね。低くなり過ぎないように気をつけながら……。
 一度低くなり過ぎたことがあって、しかもそんな時に限ってやたらに選択肢選ばされるイベントでさぁ。選択肢現れた瞬間プラス選択肢を間髪入れず選んでいくのは、もうアクションゲームの域だったよ)

 乙女ゲームでアクションて……何の冗談だ??

(探せばあったかもよ? アクションゲームな乙女ゲー)

 俺は内容しか興味ないから探さないけどな。遊べないし。
 そしてやってきました居残り教室。

「さぁ今日は私の出番だね」

「よろしくお願いするのである」

「よろしくお願いします!」

「光魔法は後程ジュリエッタ様に詳しく教えてもらうとして、私は少ない魔力で魔法を使う方法を教えるよ」

「がんばります!」

 やる気だけはある、やる気だけは。それが証拠に、意気込んで色々やってみせるが全てお子様レベルであった。

「ぐぬぬ……」

「何故なのであるかなぁ……」

「ねえフローラ嬢。何時も何をイメージしてるのかな?」

「え? イメージですか? ……えっと例えばこの土魔法だと、ずずずっと盛り上がって形作る、っていう先生のお手本通りのイメージですかね?」

「クライン先生は?」

「最初から最終形態をイメージしてるのである」

「 !? 」

「フローラ嬢。先生はああ仰ったが、最初から完成形を目指す必要はないよ」

「? どういうことでしょうか?」

「先生は出来る事を知ってるから色々順序を飛ばせるのさ。逆に君はどうも魔法のイメージそのものが初めて見た! と言わんばかりに素直過ぎる。まずは自分の魔法で何が出来るのかを手探りするほうが良いと思うよ」

「手探り……」

「君の魔法で土が動く事は分かっているんだ。じゃあその動いた土に何かをさせてみよう、そんな感じで魔法を使ってみてはどうかな?」

「私の魔法で動く土……」
(魔法を使うと言うことを聞く……。サーヴァントみたいな、もの? 私の下僕……いやロボット、かな?)

 何やら目を閉じてブツブツ言い始めた喪女さん。

「ふむ、目を閉じてイメージを強めるのは理にかなってるのである」

「そうですね。後は彼女がどうやって魔法というものを自分なりに噛み砕くか、です……が」

 オイッチニ、オイッチニ♪

 フローラの魔法によって生み出された何か……。それは小さなゴーレム、フローラの中の人風に言えば小さなロボットが、何やら掛け声をかけながら規則正しく動いていく。ピッピと笛の音まで聞こえてきそうな暢気な光景が広がっていた。

「どう……だぁ!」

 完成したのは等身大のフローラの像。小さなゴーレム達は所定の場所に着くと、フローラの像を形作る様に折り重なっていったのだ。
 ……タイム○カンかよ。

(渾身の出来よ!)

 まぁそうだろうなぁ。確かに良く出来てるし力作ではある。見守る二人が呆然としてることを除けばだが。

(……あれ?)

 その後、小さなゴーレム作戦は全ての属性に置いて『使える』事が判明して、見事落第点を免れることとなる。しかしながら評価のしようもないので『落第点ではない』という評価が確定した。例えるなら、10桁の掛け算をせよ、という問いに、何かしらの絵を書いて正答を出すようなものである。この際、絵は何でも良い。子供のお絵かきでも抽象画であっても構わない。要は『どうやって解いた』かが分からないのだ。

(解せぬ……)

 お前本当は幾つよ?

(何で?)

「ま、まぁ良いのである。いちいち小さなゴーレムにしないと魔法が構築できないのは少々理解に苦しむが、出来が悪いわけでは……ない? のである」

「何故疑問形なのでしょうか先生……」

「私も自分の助言がこれを形作ったかと思うと、感慨深いよりは戦慄を覚えてしまうよ」

「胸を張って下さ……い……くっ!」

「……うぉっほん! フローラ君。同性とはいえ、まじまじと不躾な視線を送るもんじゃないのである」

「(……カァッ!)」

 喪女さんの標準スキル『おっさんの眼差し』の攻撃を察してしまったグレイスが、胸を抑えてガバッと後ろを向く。

(乙女か)

 乙女だろうよ。

(あと標準スキルってなんだ。おっさんでもねえし)

 特に中の方の無い胸に手を当てて考えてみろ。

(あんなの! ただの! 脂肪の塊! だもんっ!)

 なにがだもんか。くたびれ中年がやっても可愛くないわ。

(最近ピンポイントで中身をディスるよねぇ……)

「い、居残り勉強も一息ついたことだし、そろそろ我々はお暇しよう?」

「そうですね。……もう凝視しませんから許して下さい」

「あ、あはは……」

「はぁ……。気をつけて帰るのである」

 クライン先生の部屋を辞すると、いつものようにアーチボルドが待っていた。女性だけになる時は迎えに来てくれる紳士である。

「おお、授業終わったか!」

「またせたね、アーチボルド」

「良いってことよ。今日はサロンにも行くんだろ?」

「ああ、お願いするよ」

「え? サロンに寄るんですか?」

「少し話したいことがあるんだ。付き合ってくれるかい?」

「喜んで!」

「だがよぅ、フローラ嬢。一昨日みたいにグレイスまでフニャフニャにしてくれるなよ? 大変だったんだぜぇ?」

「ふえっ!? あ、あはははは……」

「……何の話だい?」

「あの時は真っ赤になって目を覚まさないアメリアを抱えて帰ったんだよな。途中で目を覚ますなり奇声を上げてまた意識が無くなったんだが……」

「前半の理由は分からないが、後半の理由は分かる……」

「そ、ソウデスネ」

「んでサロンで何の話をしたのか、何をしたのかされたのか聞いてみたんだが……。頑として口を開いてくれねえんだよ。内緒です! って真っ赤になりながらよ」

「……私は無事帰れるだろうか」

「何もしませんよ!?」

 信用のないフローラだった。
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