乙女ゲー転生、私が主役!? ……いやそれ、何かの間違いです!

まんどう

文字の大きさ
33 / 150

謎の公爵家令嬢

しおりを挟む
 そして日付変わって次の日! ……ではなく数日後。ジュリエッタが不調だったとかで伸びたのだ。
 例の如く、大したことじゃない諸々は割愛!

(割愛しないで!?)

 そしてちょっと大きなこととは、本来今日は学院が休みである! にもかかわらず、ジュリエッタ嬢に呼び出しを喰らいました!

「今日は……私」

 心なしか、フンスと胸を張る公爵家のご令嬢、ジュリエッタ。そして魔法担当クライン先生。

「今日は休みだったはずなのであるが、都合上、今日が良いと叩き起こされたのである。(じっとり)たたきおこされたのである」

「うっ……すみません」

「はぁー……。まぁ光魔法の方はお願いするのである。私では教えられぬ故な」

「う……ん」

 実際にはクライン先生の出自は公爵家であるので、その関係で光魔法も使える。のだが一応そのことは公にしていないので、使えないことになっている。

「よろしくお願い致します」

「んじゃ、はじめ……よう。光魔法は……中にあるのを……ぎゅっ……として、えいやっ……て出すの」

 ドヤ顔でふんぞり返るジュリエッタ嬢。尊い。

「「………………」」

 あ、これあかんやつや。伝えられへんやつや。何も伝わんねぇ。絶望の表情を浮かべる他二名。

「……?」

 伝わらない? って感じで小首を傾げる様子はそれだけで絵になるな……。

「……(ポフン)」

 思いついたと言わんばかりに掌に拳を載せる。いいか? 叩いたんじゃないぞ? 載せたんだ。音的にもな。
で、ジュリエッタ様は何をしたかと言うと、

「へ? あ……ひあぁあっひゃあああああ!?!?」

 ビッカアアアアアアアアアアアアアアア!!!

「うおわっ! ジュリエッタ嬢! 加減! 加減を!! フォアアアアア……!!」

 そしてフローラ達は光の中へ消え去った!

(消えてねえよ!? なんだその一度位しか出てこなかった成功率も低く使いどころのないMPの無駄の、忘れられた呪文のようなセリフは!? っつか、それちょっと前に私が使ったネタじゃねえか!)

 チッ、居たのか。

(だからー。なんでー。舌打ちー)

 どうなったんよそれで。

(もう少し興味持って……。えっとね、ジュリエッタ様が私に触れた瞬間、何かが流れ込んできてね? さわさわ~、さわさわ~って感じで。それが収まると、引っ張り出されるかのように光魔法がどーんて)

 垂れ流しになったのか。

(言い方考えて!? なんか漏らしたみたいじゃないの!?)

 色々緩いから。ちなよく考えて選んだんだが?

(何が緩いの!? そしてよく考えてコレかぁ!?)

 ちなみにあの呪文、割と出続けてたし、使いどころによっては効率のいい呪文だったし、腐ったものには効きやすかったそうだから、他の二人はともかくお前さんは消えててもおかしくないな。

(へー、そうなんだーって腐ってねえよ!?)

「うぐぐ、ジュリ、エッタ嬢……。如何に光魔法に傷付ける心配が無いとはいえ、無遠慮に全力を出させるのは如何なものかと思うのである」

「……?」

「何故と言われてもな……。あれほどの魔法を無理やり使わされたら普通は疲弊して寝込んでしま……っておらぬな? どういうことだ?」

「やっぱり……勇者。許容量、がすごい」

「勇者!? コレが……であるか?」

(先生……色々至らぬ理由には心当たりが沢山ありますが、コレ呼ばわりは無いと思うであります)

 いや、正しい見立てだな。

「コレ、ちがう。……勇者、ね」

「あ、ああ……すまないである」

(立ち直りが早いわー。立ち消えてくれれば良かったのにー……)

 ジュリエッタが少し混乱していたクライン先生をなだめると、ようやく本題にはいる。

「フローラ嬢が仮に勇者だとして……」

「仮、じゃない、勇者……」

「……であるなら、4大家の役割はどうなるのであるか?」

「……どう?」

「4家は勇者の代用品であったのではないか?」

「違う。役割が、別」

(そうねー。3公爵1皇家は4家で一つの魔法、広域浄化魔法サンクチュアリ、そしてもう一つ対魔王用弱化魔法セイクリッドカノンの2種類を保持してるものね。私の存在で対魔王用が不要になったとしても、サンクチュアリを使える必要性は消えない。……けどジュリエッタが知ってる描写は無かったはずなんだけどなぁ)

「……なぜジュリエッタ嬢がそれを知ってるかは置いとくとして、であるならば我等は何をすれば良い?」

「……魔石?」

「ああ、魔石集めであるな。他の候補者はこうまで光魔法を発現させらなかったのであるから、フローラ嬢の証にこそ注ぎ込めばいい、という話であるな。他には?」

「………………」

 ジュリエッタは少し考え込むと、フローラの方を向き直り、

「魔王、会う。おーけー?」

「は? え? おーけーでは、無いです、よ?」

「……何故?」

「どうやって会うおつもりですか!?」

「……淵?」

「飛び込むつもりですか!? そもそも繭には触れた瞬間吐き出されるんですよね!?」

「……ぉ~ぅ」

(何その、あっちゃー忘れてた! みたいな反応!)

 なんかこの人、面白いな。過剰に美麗で精巧な人形のような令嬢かと思ってたけど、ことごとく何かがずれてる。

(それな)

「大体にしてジュリエッタ嬢……お父上がお許しになるはずなかろうが!」

「……駄目?」

「駄目である! 私が言ったから駄目なんじゃなくて、お父上もお許しにならん!」

「……ちぇー」

 本気でがっかりした!?

(え? この人なんなの!?)

 喪女さんに言われりゃおしまいだなぁ。

(っさいよ)
「そもそも、なぜ魔王に会いたいのですか?」

「……あれは……敵? ……なのか、どうか」

「言うまでもないことであるな」

「どうして?」

「どうして? ……それはコレまでも」

「こちらの、言い分……しか、知らない」

「……しかしあれは魔王だ。かつてこの世に爪痕を残した破壊の化身である」

「今も、そう?」

「……そうであろうよ」

「……(ぷくー)」

(あ、むくれた。……なんつーカワユス! レアショット!!)
「私が連れて行かれたのもたまたまでしたから、連れて行け、と言われて連れていけるものでも御座いません」

 フローラがそう言うと、クラインがよく言ってくれた! とばかりにうんうん頷いた。

「……(ポフン)では、フローラ……これから、うちに……来る」

「……はい?」

「ずっと、一緒に……いれば、いつか……来る?」

「「はぁぁぁあ!?」」


 ………
 ……
 …


 この後中々折れないジュリエッタに手を焼いたものの、最終的にはお父様の意向を聞きなさい! という言葉に終止して丸め込んだ。ジュリエッタ嬢の目が座っていたのはデフォルトだと思いたい、そう都合の良いことを考える風呂オラさんでした。

(マジで思ってんだよ、やめろよお前……)

「では……」

「では失礼します……」

「うむ。くれぐれも短慮を起こすのではないのである」

「………………(フイッ)」

((視線逸しやがった……!))

「おう、おわったのか? って何だジュリエッタ。妙に不機嫌だな」

(分かるんですか!? アーチボルド様!)

 すげーな。

「………………」

「ああ、はいはい、サロンだろ? 予約してあるよ」

(え? この流れはまたなんですか??)

 だなだなだーな。

(何のネタかわからんけど腹立つ!)

 サロンに着くと、いつものようにアーチボルドは走り込みに行く……と思いきや、今日はサロンに残った。

「………………」

(ジュリエッタ様の無言の催促が凄い! カワイイ!)

「え、ええっと、コレがお手伝い頂いた皆様にお持ちしてるお菓子で御座います。お口汚しと存じますが、よろしければどうぞ」

 キラキラと目を輝かせたジュリエッタが差し出されたお菓子を一口……。

「 !! 」

 パァアアアア!

 光魔法でも漏れてんじゃね? って位輝く笑顔を見せるジュリエッタ。なんて生き物だろうか?

(うっわぁ……女神の微笑みってやつだわねぇ……)

 もくもく……ぴたっ……カクンッ

( !? え? 何? ……寝落ち?)

 ……もくもく

(え? 再起動!?)

 もくもく……ぴたっ……カクンッ

(またか!?)

 ……クワッ!

「あ、やべえ!」

「え? え? アーチボルド様??」

「………………(ギロッ!)」

「俺のせいじゃねえよ!?」

 慌てるアーチボルドに彼を急に睨んだジュリエッタ。かと思うと、

 ズダダダダダダダダダダ!

 ジュリエッタは全力疾走でサロンから飛び出していった!

(嘘ぉ!?)

「あー! チクショ! そうきたか! セバス! フローラを頼む!」

「畏まりまして御座います」

(ビクッ! 何時の間に……)

 この場のカオスの状況を置き去りにして、アーチボルドもまた全力疾走でジュリエッタを追いかけていったのだった。
風呂オラさん? 普通にセバスと呼ばれた老紳士な執事に送り届けられましたよ? 老紳士に発情しながら。

(素敵だなとは思ったけど発情なんてしてないよ!?)

 それを世間では……いや、言うまい。

(ちょー!?)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

処理中です...