乙女ゲー転生、私が主役!? ……いやそれ、何かの間違いです!

まんどう

文字の大きさ
53 / 150

リセット

しおりを挟む
「であるならば、バモン。……おい、バモン! しっかりせんか!」

「………………っ!? は、はい!」

「バモン、この時を持ってグラジアス家はフローラ嬢との、一切のわだかまりを全て解消することとする。お前が彼女とどうなりたいかは知らんが、もしフローラ嬢を欲するならば、己が力で射止めてみよ!」

「……はい!」

「え? そ、そんなあっさり?」

チラッとメアラの様子を伺うフローラだったが、メアラは何か考え込んでいて反応がない。そしてゼオルグの威圧も消えていった!

「色々と質問攻めにして済まなかったな、フローラ嬢。もし我々にできることがあれば何でも言ってくれ。できる限りのことはすると約束しよう」

「いやぁ、得には……って、あ! ありました! 一つ!」

「何だ?」

「バモン君とメイリアの色々も解消して上げて下さい!」

「「!?」」

「メイリア嬢? ……ああ、そうか。君はシュトーレン家の」

過去の色々を思い出した長女姉様は、メイリアへと歩み寄っていく。

「メイリア嬢。グラジアス家の監督不行届が原因で怪我を負わせて申し訳なかった」

「あいっ、いいえっ、滅相も、ない、ですっ」

「本来迷惑を掛けたこちらとしては、何時でも貴女を迎える用意がある。……が、今しがたフローラ嬢と話し合って分からされた。男女の事は当事者同士で決めるのが一番だ、とな」

「……っ!」

「もしメイリア嬢がバモンを憎からず思っているなら、どうか貴女方でその思いを育んでいって欲しい」

「は、はい!」

長女姉様は満足そうに頷くと、さらにメイリアとの距離を詰め、その耳元で囁いた。

「(メイリア嬢は脈アリのようだから言うが、アレが欲しければ何時でも言ってくれ。無理矢理にでも娶らせるよってな。暗黙の婚約を無かったことにはしたものの、我等は君を好意的に思っている故)」

「(ボンツ)」

真っ赤になるメイリアだったが、バモンの目に触れないような位置取りで長女姉様が振り返る。

「バモン、お前のしがらみはこれで全て消え去っただろう? もう下らぬ事をグダグダ考えて歩みを止めるのは終わらせ、好きなように恋をしろ!」

「そ、それは即答できかねます!」

「おやおや、さっきの今でまだ仮面をかぶったままか? それで良いのか?」

「ぜ、善処します!」

あ、この答えは多分無理なやつだな。

(別に無理しなくても良いと思うんだけどねー)

と、駄目ン女様が申しております。

(あれ!? ここへ来て、何でまたその呼称が復活するの!?)

「フローラ嬢、我々はゼオルグ殿達と話がある故、ここで失礼する」

「分かりました。ごゆっくりどうぞ」
(正直助かった!)

そして場は自然と保護者ーず、女子ーず、男子ーずに分かれていく。


………
……



そして始まりました、保護者会。

「押しかけて済まなかったな、ゼオルグ殿」

「おいおい、ここは儂の家だぞ? 何故ゼオルグが優先されるのだ」

「すべき話が婚約ともなれば、まずはゼオルグ殿に諮るべきであろう?」

「そうですよ義父上。流石にそれは譲れません」

「ぬぅ」

「しかしフローラ嬢は何と言うか……こう、少し老成していると言うか」

「確かにぃ……ちょぉっとばかり、聞き分けが良すぎるというかぁ、貴族だからこその諦めぇ? みたいなのものがあるわよねぇ。そりゃあ貴族だものぉ、そういう心構えがぁ、あるに越したことはないけどぉ、早過ぎなぁい?」

「そうですね。やはり大病を患ってからでしょうか? 昨春、この家に挨拶に来た時にも感じましたが、フローラに違いないのだけど、ねぇ? 貴方……」

「そうじゃな。学院の始まる前に少しばかり挨拶にきおった時、儂らはもっと引き留めるつもりじゃった。甘やかせろ! とな。しかし、他にも親族に甘えたい子が居るのに私ばかり優遇される訳にはいかない、と断られてしもうたのぉ」

「(ボソッ)『昏睡病』」

「やはり少なからず性格が変わると言うのは、間違いでは無かったようですわね」

「ステラ様、それでも、彼女はフローラに間違いないですわ」

「あら、メアラちゃん。もう元気でたの?」

「げ、元気が無かったわけではありませんわ……。驚き過ぎただけで……。でも流石ステラ様の娘だと、私は感心致しましたわ。あんなに怖い私を何度も見せてしまった後なのに……」

「そうだな。オランジェ女史の話を聞いた後だと、余計にそう感じてしまうな……。
時にゼオルグ殿? 聞いても良いかな?」

「何でしょう?」

「……貴方の話し方に違和感を覚えるのだが、私の気の所為だろうか?」

「はっ、違和感を覚えて当然よ。こやつ、うなされておった娘の病が漸く癒え、さぁ目を覚まさんとした正にその時、飛びかからん勢いで近寄り号泣してな。『暑苦しい』と言われてより『爽やか父様』を演じておるのよ」

「酷いではないですか義父上!?」

「酷くないわい。フローラも言っておったろう? 仮面を被ってるやつは好かんと。お主そのままだと本気で嫌われるぞ?」

「………………」

「そう言えばぁ? 近々別格貴族家の方々がぁ、『昏睡病』の罹患者を集めるとかぁ」

「(コクリ)」

流れをぶった切る3女姉様。すげえ、鉄の心臓だな。そして4女姉様は可愛い。

「ふむ、そこの小っこいのは疫学関係の名家に嫁いだのだったか?」

「(ドヤァ)」

「夫婦仲はどうだ」

「(ポッ)」

「一番上の姉繋がりの縁とは言え、お前達は良い伴侶を持てたようだな。善きかな善きかな。
昏睡病については、もし何か分かればこちらにも情報共有してもらえると有り難いの」

「(ぐっ)」

「うむうむ」

やめろと言われたのに、夫婦仲に言及するお祖父様。爺、後ろ後ろー。母娘ペアの視線が冷え切ってますよー! ……まいっか。
とにかくこうして保護者会は、ガーンとばかりに固まったままのゼオルグを置き去りにして、話が進んでいくのだった。


………
……



一方男子会。

「やぁ、流石色々壊してくれるね、フローラ嬢は」

「ええ、そうですね」

「はっ、妙に嬉しそうだねぇ、君。これで公然と口説けるって感じかい?」

「そんな生易しいものじゃありませんよ。何せまったく気にも留められて居ないのですから」

「頬を緩ませながら言うセリフじゃないねぇ……」

「お互いスタートラインですか」

「え? 同じスタートラインだと思ってるの? 君は自分の立ち位置を分かってないと思うけどなぁ?」

「分かってますよ」

「フローラ嬢のみならず、他のクラスメート達にもあの情け無い姿を晒せるの? って話なんだけど?」

「………………」

バモンは蹲った! マリオの口撃は致命傷を与えたようだ!

「まぁ、君はメイリア嬢の事もあるだろう?」

「……そうですね。良い機会なのでゆっくり考えたいと思います」

「あの子はあの子で競争率が高いと思うけどね」

「ええ、知ってますよ。魅力的なこと位……」

「他の女子にうつつを抜かすくせに?」

「………………」

「君が僕と同じスタートラインに立っているというのは、色々な点でおこがましいと思うのだけどね」

フフン、と笑うマリオにバモンは言い返す言葉を持たなかった。
あれだな。男子会は何時も面白くないな……。


………
……



最後に女子会。

「もう、フローラったら。私を巻き込むなんて……」

「ごめんごめん。でもスッキリしたでしょ?」

「それにしたって強引過ぎるわよ」

「それより驚いたのはバミーの仮面の話」

「確かに驚きましたわ……マリオ様のは分かり易かったですが、バモン様までとは」

「色には出ないことだから……私も知らなかった」

「私だってアレが無ければそうは思わなかったわよ? 皆も蹴ってみれば分かるかも?」

「「「絶対しない」」ですわ」

「えー?」

「なんで疑問が帰ってくるんですの……」

「ミリー、諦めて。フローラだから仕方ない」

「もう……ベティったら酷いー。メイリアー慰めてー」

「えっと、えっと………………(ニッコリ)」

「無言の笑顔が返された! ……もしかして処置なしってこと!?」

「そうは言ってはないよ!? ……ちょっとは思ったけど」

「思われてたぁ!」

「フローラだもん」

「フローラですものね」

「今日は皆の連携が冴えてるね!?」

やーい、仲間外れー。

(外されてないよ!? ……多分)

胸を張って言えんのかい。

(ぐぬぬ……)
「えっと……私と皆の間には、見えない壁があったり?」

「?? 何ですの? それ、ぇえ!?」

いきなり抱きついてきたフローラに、ミリーは避けることが出来なった!

「何なんですのぉ!?」

「ほんとだ、壁はなかった。思う存分くっつける。ぎゅー」

「ふえええ!?」

ミリーは混乱した。
ベティは様子を見ている。メイリアも様子を見ている。
ベティは逃げ出した! メイリアも逃げ出した! しかしフローラに回り込まれてしまった!

「つーかまーえたっ」

「ちょっ……」「またなの!?」

「いえすうぃーどぅー」

問答無用のハーレムクイーン喪女さんだった。……つか、無理やり巻き込んどいてWeはねえだろう。

(てっへぺろー)

オエッ

(流石にそれは酷くない!?)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん
ファンタジー
転生の間で人間以外の種族も選べることに気付いた主人公 某人気小説のようにスライムに転生して無双しようとするも手違いでゴブリンに転生 さらにスキルボーナスで身に着けた聖魔法は魔物の体には相性が悪くダメージが入ることが判明 これは不遇な生い立ちにめげず強く前向き生きる一匹のゴブリンの物語 (基本的に戦闘はありません、誰かが不幸になることもありません)

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...