乙女ゲー転生、私が主役!? ……いやそれ、何かの間違いです!

まんどう

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あの娘の中身は……

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 フローラの誕生日が百合百合しく行われてる最中……まぁ百合要素は皆無なんだが、とにかく同日別の場所にて、別格貴族達による秘密の会合があった。

「なぁ、めったなこっちゃ俺を起こすなって言ったよな? お?」

「そう怒るな。俺達も何時ああなるか分からないのだから」

「そうだぜ? まさかあんなタイミングでとは思わねえじゃん」

「俺ぁ、甘ったるいのが大嫌いだっつってんだろが。少しでもそれらしい兆候が見られたら止めろや?」

「そうは言うがよぉ」

「おう? 誰が口応えして良いっつったよ? も一度上下関係はっきりさせてやろうか? あ゛?」

「い、いやいや、大丈夫! 分かってる、分かってるから! ほら! シンシアも控えて……っ!」

「………………」

「ぉぅ、姉ちゃん、何ガン飛ばしてくれてんだ? あぁ? 俺は女だからって手加減しねえぜ?」

「止め給えよ……今はそんな話してる場合じゃないだろう?」

「「………………」」

 グレイスが窘めるも、両者の睨み合いは止まらない。

「これだから下賤の者は……」

「黙っとけ、ドジ過ぎ駄眼鏡が」

「どじっ……!?」

『過ぎ』までつけてなじられたサイモンは涙目だ!

「サイモンに当たることはないだろう……!?」

 思わずグレイスが感情をあらわにして噛み付くも、

「詰まんねえ物言いするからだろうが。俺に勝るもんの一つでも作ってから物を言えってんだよ。下賤だ何だとほざきやがるが、その高貴なお方とやらは何をやっても俺未満ときたもんだ」

「(プクゥ)」

 サイモンは涙目になった挙句に限界まで頬を膨らませてむくれた!

「おい君、いい加減に……」

 更なる追い込みにグレイスが腰を浮かせる。

「あ? 何だ? 文句あんなら手伝ってやんねえぞ?」

「うっぐ……」

「グレイス様。ここはお引きになって下さいませ」

「アメリア……分かった」

「おう、流石良い子ちゃんだ。あっちの方は順調か?」

「ええ、お陰様で……。最も、もう一人の協力者のお陰で進捗度合いも頗る好調ですわ」

「ほーぉ……お前らのお気に入りって奴か」

「そうですわ」

「……そいつを含めてだが、そろそろ例の奴等を一堂に会させても良い頃合いだな。直ぐに手配できるか?」

「ああ、できる」

「じゃあ早い内にやれ。コレもそろそろ起きるだろうし丁度良い」

「問題が起きないと良いのだけれど……」

「そのためのテメエらだろうが?」

「(ギリッ)」

「あ゛あ゛?」

「シア姉! 抑えて!」

 睨み合いはするものの、手を出すまでは行かず……

「ちっ……解散だ解散。オラ、とっとと散れっ」


 ………
 ……
 …


 こうして謎の会合は、上級貴族達が追い出される形でお開きになったのだが……

「何時まであの者の言いなりにならねばならないのですか?」

「シンシア、気持ちは分かるが我々には情報が足りてないのだ。魔王についても昏睡病にしてもな」

「………………」

「今度の夜会で事態は否が応でも動き出しますわ。それからでも宜しいのではないかしら?」

「……差し出がましい物言いを致しました。お許し下さい」

「いやいや、君が謝ることはない。私も何度手が出かけたことか……」

「ヤメロよ? 絶対に。お前等が組み伏せられる所見るのは、地味に心臓に悪いんだからよ」

「(ぐすっ)君は一度助けに入って返り討ちにあったものな」

「それを言うなよ……」

 涙目のサイモンに、思い出したくないことを蒸し返されて沈むアーチボルド。

「とにかく、僕等には足りないものが多い。あの子がそれを補ってくれるなら、僕等は受け入れるしか無いんだ。幸い、欲があるわけではないようだから実害は少ないと見て良い。……言葉にさえ反応しなければね」

「はぁ……辛いな」

「あはは……、頑張れディー」

「懐かしい呼び名だな」

 エリオットがディレクを慰める図、か。で、何か意見はございますか? 魔王様。

(『やああぁぁああんっ、ディレク様、超イケメェンンンン!!』)

 さいですか。

(『ずっと、ずぅぅぅっとディレク様だけお顔を拝せなかったのよねぇ! 焦らされ続けた甲斐があったってもんだわぁ。はぁん、はああぁぁぁん!』)

 ……流石に全開過ぎて、ちょっと引くんスけど?

(『あらやだごめんなさい? でもとんでもない隠し玉ね。あの子達が手に負えないって、少なくともメアラ先生レベルじゃないの?』)

 多分それでも本気じゃないから、実際はもっと手に負えないはず。

(『えええ? あの子達が手を抜いてるんじゃなくて?』)

 最初はそうだったらしいけど、全力出しても届かないみたい。当然シンシアが加わっても、ね。

(『一体どんな子なのよ……』)

 まあ後でのお楽しみってね。俺も見つかると面倒だからそろそろ帰るわ。

(『……情報思念体持ちってことね』)

 おいおいわかるって。んじゃね。

(『じゃあね、ノーコンちゃん。私はもちょっとディレク様を追いかけるわぁん!』)

 ……フローラに気をつけて。


 ………
 ……
 …


 そして色々すっ飛ばして1年生最期の夜会です。今回は全学年・全家格・貴族一般ごった煮です。

(何をすっ飛ばしたのか色々問い詰めたい)

 そしてこちらにおわすは友達グループと引き離されて不機嫌な風呂オラさんです。

(何故にこちらに呼ばれたのか……)

 そして何故か頭には魔王様。

(本当に何故なのかしら?)

(『ハァァァアン……ディレク様ぁ』)

(オイコラ、オカマ王。人の頭の上で発情してんじゃないわよ)

(『あらごめんなさい? ……ハァァアァン』)

(セバスチャンさんさえ居なければ、この発情オカマ王を潰すのに……)

(『潰っ、ええっ!?』)

 ちな只今、セバスチャンさんによって連行中なう。

(連行なのこれ!?)

(『このオジ様も素敵よねぇ。まぁ範囲外だけど』)

「到着致しました。こちらで御座います」

 イケ爺な執事のセバスチャンさんに連れられてきたのは、一般学舎の講堂である。喪女さんには連れてこられた理由がわからない。

(あんた知ってんなら教えてくれても良いのよ?)

 知ってたとしても教えるのは嫌なのよ?

(ムッカッツックッ……)

 連れられてきたフローラが、ぶすくれて講堂の扉を開こうとすると、

「扉を開けるのは私めにお任せ下さい」

「あ、そうですわね。お願いしますわ」

 と、久しぶりに余所行きスマイル仮面を瞬間装着したのだった!

(失敬だなお前。割と頻繁に被ってるんだぞ??)

 本来常に装着してるものじゃねえの? まいいや。喪女の面の皮は置いといて、

(仮面どころか皮!?)

 セバスチャンさんが扉を開けると、そこには沢山の生徒のみならず、どう考えても学院生じゃない人間までが集められているらしく、中は人でいっぱいだった。

(え? え? 何この状況?)

 風呂オラさんが、キャラに似合わない不安そうな顔で辺りを見回すと、

(似合わないは余計だなぁ? コンチクショウが!)

「……ああ――――っ!」

 突然、周りにいたうちの一人が、フローラを指差し叫んだ!

「え? え? 何? 何なの??」

「あんた! 何の取り柄もなく! 影が薄いけど! よく死ぬ花ラプの主役!」

「いやそれ何かの間違いです!」

 タイトル入りましたー。

(あんたはあんたで何言ってんのぉ!?)

「……え?」

「……え?」

「自覚あるんじゃん! やっぱ主役なんじゃねえか!」

「はっ!? しまった!?」

 すると騒ぎは静かに周り全体に伝染していく……!

「花ラプ?」「あれフローラか?」「え? 死亡フラグの殿堂入りの?」「死亡フラグが折れないことで有名な?」「マジだ」

 等と、ざわざわと広がっていった。……え? 死亡フラグって折れないの?

(ずっと付け狙われるからね!? エンディング間近でも死ぬからね!? むしろ率が上がる!)

「後、何なんだよその頭のは!」

「すみません! 勝手に付いてきたんです!」

「モフモフじゃねえか! 触らせろ!」

「すみま……はい?」

「ふわぁ、尻尾がラブり……」

「シャー!」『勝手に触ろうとしてんじゃないわよ小娘が!』

「きゃっ!? ……って、え? ………………喋ったぁ!?」

『何あんた? 私の声が聞こえるの……ってあら? あんたよく見ればフローラと同じねぇ』

「ええぇ!? そうなの!?」

「ええぇ!? どういう事!?」

『ここに集められてる子達、全てそうよ』

「まぢでぇ!? どうなってんの!?」

「だからぁ!? どういう事よぉ!?」

 等とフローラ達が混乱していると、

 むんずっ

『きゅえっ!?』

「ああ、漸く捕まえたぜ。この丸々と太ったげっ歯類が」

「え? ジュリ……え?? えええ!? ジュリエッタ……様、なの?」

 普段のほわほわぶりの欠片もない様子に戸惑うフローラだったが、

「ああ? この寝ボスケは寝たっきりだよ。予定じゃ起きてるはずだったんだがな。つか、一々説明すんの面倒臭ぇ。後回しだ後回し」

 と乱暴な言葉遣いで一蹴される。なお、このやり取りの間もあちこちで「ジュリエッタだ」とか「本物だ」とか「美の結晶だ」とか聞こえるが、

『ちょっと! あんた何なの!? 離しなじゃああああ!?』

 鷲掴みにされたことに抗議を申し立てようとした魔王さんがぎゅっと無造作に潰される。フローラさんかな?

(『ぢょっど思っだぁ!』)(ちょっと思った)

「おう、お前ぇだろ? 魔王ってのは」

『は!?』「うぇ!?」

「ああ……やっぱテメエもグルかよ。じゃあ遠慮は要らねえな? ちょおっと面ぁ貸せや」

 そういうと、ジュリエッタ? は獰猛に笑うのだった。
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