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1、贖罪のスピネル
13、お風呂ってほんとうに素敵な文化
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「あぁっ……生き返る心地がいたしますわ……っ」
保護されたフィロシュネーは、感動していた。
カントループ商会は西方にあるレクシオ山の麓にある都市グランパークスに疾風のように移動して、都市一番の大きな宿『麓の館』を買い取り、入浴をさせてくれたのだ。
グランパークスは、大きな都市だ。
家々の屋根の色がオレンジ色で、明るい雰囲気なのがフィロシュネーの好みだった。
「お風呂♪ お風呂♪ あったかぁい」
たっぷりのお湯が広々とした湯舟にちゃぷちゃぷ揺れている。
湯気がほわほわしていて、浴室全体に暖かさがこもっている。
「大きな湯舟に浸かるのが気持ちいいのよね。わたくし、サイラスにちゃんと教えてあげなくては」
「お湯加減はいかがでしょうか?」
主にフィロシュネーのお世話をしてくれるのは、ミランダというお姉さんだ。商人と名乗っているが、実際は騎士なのだろうとフィロシュネーは推察している。ミランダの年齢は二十代の中頃で、茶色い長い髪をひとつに結わえていて、長い睫毛にいろどられた瞳は翡翠の緑。スタイルが良くて、しっかり者、といった雰囲気。
「お兄様とお二人での旅は、大変だったでしょう」
ミランダはフィロシュネーの本当の身分を知っているのだろう。旅人という設定を踏まえつつも、サイラスと違って敬意を感じさせる接し方をしてくれる。
「ふふっ、本当ですわ。ああ、お風呂って素敵な文化。魔法で身を清めるくらいはできていたのですけど、わたくしはお湯に浸かるのが好きなのです」
フィロシュネーはのびのびと手足を伸ばして、お湯のあたたかさを楽しんだ。
明るい照明の光を湯面が反射している。
お湯はエメラルドグリーンで、とても綺麗。
清潔感のある匂いがする。
「このまま眠ってしまいそう……っ、清潔感ってやっぱり大切だとおもいますの」
「お、お嬢様……本当においたわしいことです」
ミランダが同情的な眼差しを寄せて、湯からあがったフィロシュネーの身体をやわらかなタオルで拭ってくれる。人の手で世話されるのは、気持ちがいい。
しかし、可哀想な子を見る目をされているのは、少し恥ずかしいかもしれない。
「こんなに痩せてしまわれて……」
「こ、これは元々……」
王族の姫は、痩せがちなのだ。理由はわからないが、たくさん食べてもあまりふくよかにならないし、鍛えても筋肉も付きにくいらしい。
近親婚を繰り返した血統は子孫に遺伝病を発生させることもある、という話もあるので、もしかしたらそういった理由があるのかもしれない。
でも、その代わりに王族の姫には特別な能力を持った者が生まれやすいという特質もある。預言者とか、聖女とか。
ミランダに伴われて自室に向かう途中、窓からチラッと厩舎の屋根がみえる。
(ゴールドシッターは美味しいごはんをいただいているかしら)
旅の間、自分を乗せてくれた黒馬ゴールドシッターを、フィロシュネーは気に入っていた。
体を揺らし、長い首を左右にふって、弾むようなステップで歩く上機嫌な姿。無邪気というのは、あんな振る舞いをいうのだ。父にいわれて無邪気ぶっていた自分とは、違う。
(動物は、好きだわ。もしかしたら人間よりも好きかもしれない)
フィロシュネーは目を細めた。そこに、声がかけられる。
「シュネーさん、お湯を喜んでいただけたようでよかったです」
ハルシオンだ。
仮面をつけて「カントループ」として振る舞う彼は、可愛らしいぬいぐるみを贈ってくれた。
黒い鎧とマントの騎士と、黒い馬。そんなぬいぐるみだ。
「我が商会の商品です。売れると思うんですよ」
「可愛いですわね」
「黒の英雄と愛馬のぬいぐるみです」
「……可愛いですわね」
複雑な表情を浮かべてぬいぐるみを愛でるフィロシュネーを見て、ハルシオンはニコニコした。
「可愛いのは、シュネーさんです」
「ふぁっ」
素直な声色で不意打ちみたいに褒められて片手を握られたので、フィロシュネーはドキッとして目を丸くした。
「ぬいぐるみは差し上げるので、ぜひ今夜はその子たちを抱っこして眠ってくださいね」
「は、はい?」
「んっふふ。可愛い子が可愛いぬいぐるみを抱っこして眠るのを想像しただけで、私は荒んだこころが癒される心地がするのです」
優しい手付きでフィロシュネーの指先を撫でたハルシオンは、おっとりと微笑んだ。
「シュネーさんは、指が五本あって素敵ですね」
「指が五本あるのは、褒められるようなことです?」
「ええ。とても偉いですよ、シュネーさん。両手で十本! 素晴らしい。健康で五体満足、素晴らしい。ずっとお元気でいてください」
「は、は、はぁ」
この王兄殿下、指が五本あるだけで褒めてくれる!
(そんな褒め方されても、キュンッとしないぃ)
「おやすみなさい、シュネーさん。ゆっくり休んでくださいね」
「ありがとうございます、カントループさん」
「呼び捨てで結構ですよ、シュネーさん」
現実って、物語とは全然違うのね。
フィロシュネーがほてほてと自室に入ると、『兄』がいた。
「あなたには、別室を用意していますが?」
ミランダが警戒の気配をのぼらせている。
「兄なので」
『兄』の設定を活かすらしいサイラスは、本を広げている。
「兄は本を読んでいます。読み終わったら自室に戻ります」
二人きりになれれば、父に関する話や今後の方針など話してくれるのではないか。
そう思ったフィロシュネーはミランダに「たまには兄と家族水入らずで過ごしたいですわ」と言ってみた。しかし。
「商会長から、二人きりにはしないようにと仰せつかっていますので」
ミランダは部屋の隅に立ち、本を読み終わってサイラスが退室するまで待機した。
「……美人に見られていると気が散るので、自室で読むことにします」
サイラスはミランダを気にして本を閉じ、のっそりと部屋から出ていこうとする。
「お兄様」
フィロシュネーは彼と愛馬をモデルにしたぬいぐるみをブンブンと振ってみた。
「なんですか、妹」
「これは、カントループ商会の商品で、黒の英雄と愛馬だそうです」
(喜ぶかしら? 照れるのかしら?)
フィロシュネーはリアクションを探りつつ、ぬいぐるみをサイラスの目の前で動かしてみた。
「えいえい。英雄さまのお通りですわよ~、どうですの~?」
(どうですの? どう感じますの、ご自分のぬいぐるみですわよ?)
フィロシュネーがじっとサイラスを見つめると、ミランダも一緒になって視線を送る。
二人分の視線にリアクションを求められた英雄本人は、どことなく残念そうな眼でぬいぐるみとフィロシュネーを見つめ返した。
「幼い……」
「えっ」
フィロシュネーの動きがピタリと止まる。この残念そうな気配は、まるで「真面目な話をしようとしていた相手が、話しても無駄な未熟さだと気付いてしまった」といった気配だ。
父、青王であれば「シュネーはそれでいい! 可愛いのが一番だっ!」と言うだろう。お城にいた時のフィロシュネーも「ええ、これでいいのよ。面倒事なんてわたくし、避けますわ。わたくし、難しいことはわからないので、巻き込まないでね」と言っていたかもしれない。
(今のは、よくなかったかしら~?)
ぬいぐるみをまじまじと見つめて自分の振る舞いが客観的にどう見えたかを想像するフィロシュネーの耳に、サイラスの呟きが届いた。
「俺をモデルにして金稼ぎするなら、俺にも金を払うべきなのでは」
「それは、カントループ商会に言ってみて……? おやすみなさい、お兄様」
フィロシュネーは妹らしさを心がけながら就寝の挨拶をして、ぬいぐるみと一緒にふかふかのベッドへと向かう。ミランダは夜寝番をするようで、扉の前でじろりとサイラスに視線を送った。
「おやすみ、妹。また明日」
『兄』の声が珍しく「おやすみ」を告げて、付け足した。
「父がここにいれば、妹に『いい子』と言うかもしれません」
(名前で呼べばいいのに。それに、なあに、最後の)
フィロシュネーはそう思いながらぬいぐるみを撫でて、自分の知らない遥かな大地を彼らが跳んだり跳ねたりして困っている民を助けたり、悪い魔物を退治する夢をみるのだった。
保護されたフィロシュネーは、感動していた。
カントループ商会は西方にあるレクシオ山の麓にある都市グランパークスに疾風のように移動して、都市一番の大きな宿『麓の館』を買い取り、入浴をさせてくれたのだ。
グランパークスは、大きな都市だ。
家々の屋根の色がオレンジ色で、明るい雰囲気なのがフィロシュネーの好みだった。
「お風呂♪ お風呂♪ あったかぁい」
たっぷりのお湯が広々とした湯舟にちゃぷちゃぷ揺れている。
湯気がほわほわしていて、浴室全体に暖かさがこもっている。
「大きな湯舟に浸かるのが気持ちいいのよね。わたくし、サイラスにちゃんと教えてあげなくては」
「お湯加減はいかがでしょうか?」
主にフィロシュネーのお世話をしてくれるのは、ミランダというお姉さんだ。商人と名乗っているが、実際は騎士なのだろうとフィロシュネーは推察している。ミランダの年齢は二十代の中頃で、茶色い長い髪をひとつに結わえていて、長い睫毛にいろどられた瞳は翡翠の緑。スタイルが良くて、しっかり者、といった雰囲気。
「お兄様とお二人での旅は、大変だったでしょう」
ミランダはフィロシュネーの本当の身分を知っているのだろう。旅人という設定を踏まえつつも、サイラスと違って敬意を感じさせる接し方をしてくれる。
「ふふっ、本当ですわ。ああ、お風呂って素敵な文化。魔法で身を清めるくらいはできていたのですけど、わたくしはお湯に浸かるのが好きなのです」
フィロシュネーはのびのびと手足を伸ばして、お湯のあたたかさを楽しんだ。
明るい照明の光を湯面が反射している。
お湯はエメラルドグリーンで、とても綺麗。
清潔感のある匂いがする。
「このまま眠ってしまいそう……っ、清潔感ってやっぱり大切だとおもいますの」
「お、お嬢様……本当においたわしいことです」
ミランダが同情的な眼差しを寄せて、湯からあがったフィロシュネーの身体をやわらかなタオルで拭ってくれる。人の手で世話されるのは、気持ちがいい。
しかし、可哀想な子を見る目をされているのは、少し恥ずかしいかもしれない。
「こんなに痩せてしまわれて……」
「こ、これは元々……」
王族の姫は、痩せがちなのだ。理由はわからないが、たくさん食べてもあまりふくよかにならないし、鍛えても筋肉も付きにくいらしい。
近親婚を繰り返した血統は子孫に遺伝病を発生させることもある、という話もあるので、もしかしたらそういった理由があるのかもしれない。
でも、その代わりに王族の姫には特別な能力を持った者が生まれやすいという特質もある。預言者とか、聖女とか。
ミランダに伴われて自室に向かう途中、窓からチラッと厩舎の屋根がみえる。
(ゴールドシッターは美味しいごはんをいただいているかしら)
旅の間、自分を乗せてくれた黒馬ゴールドシッターを、フィロシュネーは気に入っていた。
体を揺らし、長い首を左右にふって、弾むようなステップで歩く上機嫌な姿。無邪気というのは、あんな振る舞いをいうのだ。父にいわれて無邪気ぶっていた自分とは、違う。
(動物は、好きだわ。もしかしたら人間よりも好きかもしれない)
フィロシュネーは目を細めた。そこに、声がかけられる。
「シュネーさん、お湯を喜んでいただけたようでよかったです」
ハルシオンだ。
仮面をつけて「カントループ」として振る舞う彼は、可愛らしいぬいぐるみを贈ってくれた。
黒い鎧とマントの騎士と、黒い馬。そんなぬいぐるみだ。
「我が商会の商品です。売れると思うんですよ」
「可愛いですわね」
「黒の英雄と愛馬のぬいぐるみです」
「……可愛いですわね」
複雑な表情を浮かべてぬいぐるみを愛でるフィロシュネーを見て、ハルシオンはニコニコした。
「可愛いのは、シュネーさんです」
「ふぁっ」
素直な声色で不意打ちみたいに褒められて片手を握られたので、フィロシュネーはドキッとして目を丸くした。
「ぬいぐるみは差し上げるので、ぜひ今夜はその子たちを抱っこして眠ってくださいね」
「は、はい?」
「んっふふ。可愛い子が可愛いぬいぐるみを抱っこして眠るのを想像しただけで、私は荒んだこころが癒される心地がするのです」
優しい手付きでフィロシュネーの指先を撫でたハルシオンは、おっとりと微笑んだ。
「シュネーさんは、指が五本あって素敵ですね」
「指が五本あるのは、褒められるようなことです?」
「ええ。とても偉いですよ、シュネーさん。両手で十本! 素晴らしい。健康で五体満足、素晴らしい。ずっとお元気でいてください」
「は、は、はぁ」
この王兄殿下、指が五本あるだけで褒めてくれる!
(そんな褒め方されても、キュンッとしないぃ)
「おやすみなさい、シュネーさん。ゆっくり休んでくださいね」
「ありがとうございます、カントループさん」
「呼び捨てで結構ですよ、シュネーさん」
現実って、物語とは全然違うのね。
フィロシュネーがほてほてと自室に入ると、『兄』がいた。
「あなたには、別室を用意していますが?」
ミランダが警戒の気配をのぼらせている。
「兄なので」
『兄』の設定を活かすらしいサイラスは、本を広げている。
「兄は本を読んでいます。読み終わったら自室に戻ります」
二人きりになれれば、父に関する話や今後の方針など話してくれるのではないか。
そう思ったフィロシュネーはミランダに「たまには兄と家族水入らずで過ごしたいですわ」と言ってみた。しかし。
「商会長から、二人きりにはしないようにと仰せつかっていますので」
ミランダは部屋の隅に立ち、本を読み終わってサイラスが退室するまで待機した。
「……美人に見られていると気が散るので、自室で読むことにします」
サイラスはミランダを気にして本を閉じ、のっそりと部屋から出ていこうとする。
「お兄様」
フィロシュネーは彼と愛馬をモデルにしたぬいぐるみをブンブンと振ってみた。
「なんですか、妹」
「これは、カントループ商会の商品で、黒の英雄と愛馬だそうです」
(喜ぶかしら? 照れるのかしら?)
フィロシュネーはリアクションを探りつつ、ぬいぐるみをサイラスの目の前で動かしてみた。
「えいえい。英雄さまのお通りですわよ~、どうですの~?」
(どうですの? どう感じますの、ご自分のぬいぐるみですわよ?)
フィロシュネーがじっとサイラスを見つめると、ミランダも一緒になって視線を送る。
二人分の視線にリアクションを求められた英雄本人は、どことなく残念そうな眼でぬいぐるみとフィロシュネーを見つめ返した。
「幼い……」
「えっ」
フィロシュネーの動きがピタリと止まる。この残念そうな気配は、まるで「真面目な話をしようとしていた相手が、話しても無駄な未熟さだと気付いてしまった」といった気配だ。
父、青王であれば「シュネーはそれでいい! 可愛いのが一番だっ!」と言うだろう。お城にいた時のフィロシュネーも「ええ、これでいいのよ。面倒事なんてわたくし、避けますわ。わたくし、難しいことはわからないので、巻き込まないでね」と言っていたかもしれない。
(今のは、よくなかったかしら~?)
ぬいぐるみをまじまじと見つめて自分の振る舞いが客観的にどう見えたかを想像するフィロシュネーの耳に、サイラスの呟きが届いた。
「俺をモデルにして金稼ぎするなら、俺にも金を払うべきなのでは」
「それは、カントループ商会に言ってみて……? おやすみなさい、お兄様」
フィロシュネーは妹らしさを心がけながら就寝の挨拶をして、ぬいぐるみと一緒にふかふかのベッドへと向かう。ミランダは夜寝番をするようで、扉の前でじろりとサイラスに視線を送った。
「おやすみ、妹。また明日」
『兄』の声が珍しく「おやすみ」を告げて、付け足した。
「父がここにいれば、妹に『いい子』と言うかもしれません」
(名前で呼べばいいのに。それに、なあに、最後の)
フィロシュネーはそう思いながらぬいぐるみを撫でて、自分の知らない遥かな大地を彼らが跳んだり跳ねたりして困っている民を助けたり、悪い魔物を退治する夢をみるのだった。
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