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1、贖罪のスピネル
32、青王は普通ではないと思うのです
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「お部屋までお連れしますね、お姫様」
サイラスの声はとても落ち着いていて、フィロシュネーは頷いた。
この男は、青王に命じられてフィロシュネーを護衛しているのだ。
この男は、空国の王兄に首輪を填められているから、フィロシュネーに害を成せないのだ。
「そうそう、サイラス? メアリの赤子には罪がないので、孤児院で育てるようにと手配しています」
フィロシュネーが夜気に吐息を震わせれば、感情を見せないように努めるような気配で「そうですか」と言うのだ。特別、思うことなどないとでもいうように、無表情で。
(それで、メアリをどうするかは、きかないのね)
助けてほしい、とも言わないのだ。
彼女は、あなたをお金を運んでくる便利な男としか思っていなかったのではないかしら。
あなたは、利用されるだけだったのではないかしら。
――そんな思いが湧く。
けれどその思いだけは絶対に言葉にして相手に突き付けてはいけないのだ、とフィロシュネーは考えた。それを言うと、きっと傷付けてしまう。心を抉ってしまう。
(わたくし、この人を傷付けたくないのね)
いつの間にか、そう気持ちが変じていた。フィロシュネーはそれを自覚した。
「そうでしたか~、ルーンフォークさんもご兄弟と仲が悪いのでございますね」
「シューエン君もなんだね」
自室の扉の前では、ルーンフォークとシューエンが兄弟のように並んで座り、カードゲームに興じていた。部屋を守っていたのだと思われるが。
「あれっ、聖女様? なぜ? お部屋の中にいらしたのでは」
「フィロシュネー殿下?」
二人揃って、ぽかんとした様子で声をあげている。のほほんとした雰囲気の二人に、フィロシュネーは気持ちが安らぐのを感じた。
「庭先で鍛錬していたところ、こちらの姫君が落ちてきました」
サイラスは淡々と事実を告げて、フィロシュネーを床に降ろした。視線はシューエンに注ぎながら。
「お宅の姫君は、就寝時間に眠るどころか窓から脱走するようなじゃじゃ馬ですよ。もっと護衛に工夫が必要なのでは」
「むっ。……僕の姫は、そういうところも可愛いのでございます」
『じゃじゃ馬』とは、『おてんば』に似た言葉だ。
貴族社会で耳にする機会はあまりないが、フィロシュネーには、言葉のニュアンスがわかった。
「今度はお馬さん扱い?」
フィロシュネーは唇をとがらせつつ、寝台に向かった。
(お宅の姫君、ですって)
身内を指すときには言わない言い回しだ。他人の家のお姫様、という距離感だ。
(まあ、そうね。彼は、しょせんはお金で雇われただけの、傭兵)
もう、兄妹ごっこも終わるのだろう。
「おやすみなさい、傭兵さん。お部屋まで運んでくださって、ありがとう」
フィロシュネーはそっと挨拶をした。
サイラスは少し迷った様子で視線を彷徨わせてから、ルーンフォーク卿やシューエンにも聞こえるように言葉を紡いだ。
「姫、余計なお節介かもしれませんが、奇跡のお力は危険ですよ。悪意ある者は利用したがるでしょうし、後ろ暗い者には嫌がられます。……誰だって、他人に知られたくないことはあります。自分だけの秘密に簡単に踏み込まれるとわかれば、避けられたり、敵意を向けられるかもしれません。暗殺の危険も高まるでしょうね」
フィロシュネーはドキリとした。
それは、その通りだと思ったのだ。
「御身にご負担もかかるのでしょう? それに、強い力の齎す万能感というのは、人という生き物の心をおかしくさせてしまいやすいのです……出過ぎたことを申しましたが、お心に留め置きください」
兄のような声で「おやすみなさい」と付け足して、サイラスが去っていく。
扉が閉まり、フィロシュネーは花びらをつまんでベッドに寝そべった。
(わたくし、調子に乗って他者の過去を軽はずみに覗いたけれど、そうね――自分だったら。相手の立場にたって考えてみれば、確かに、嫌かもしれない)
「あまり個人的な秘密を探る使い方は、やめたほうがいいかしら。知りたいことはたくさんあるけれど……」
だって、世の中ってわからないことだらけだもの。
そんな中で民が苦しんでいるのだもの。
あの哀れな子供たちを見つけて浄化したように、何かができるかもしれないのだもの。
――わたくしには、ハルシオン様がついているもの。守ってくださるもの。
眼を閉じると、ハルシオンの笑顔が浮かぶ。
『よいのですよ、シュネーさん』
きっと、ハルシオンはすべてを肯定してくれる。そんなイメージを胸に、フィロシュネーは神鳥を撫でた。
「ぴよっ、ぴ、ぴ、ぴ」
可愛い鳴き声で、ふわふわで、あたたかい。
そんな神鳥が奇跡を見せてくれる。
(この神鳥さまも、不思議な存在ね。どうして王家の姫を気に入って加護をくれるのか知りたいと願ったら、わかったりもするのかしら)
天蓋付きの寝台の中で、フィロシュネーは万能の存在になったような気がした。
自分は貴い存在で、特別で、なんでもわかるのだ。『カントループ』――ハルシオンという強力な味方もいて、何も怖くないのだ。
その思いと同じ思いを、映像の中の人物が吐いていた。
* * *
「ネネイ。あの兄は、何があっても私の味方なのだ。兄は、何を言っても叶えてくれる。兄は、裏切ることがない。兄の呪術は、万能だ。南方で蛮族が暴れようと、それを見越したように北方で紅国が兵を集めようと、……そこで青国の王族が正義の旗を掲げていようと、兄を生かしておけばいくらでも対抗できる」
サンドボックス。
そんな名前の空国王都。
その中心に佇む王城は、つららの群れを逆にしたような尖塔の多い形態で、とげとげした印象の建築だ。
声の主は、空王。
白銀の髪に王冠をかぶる青年――空王アルブレヒトだ。
「兄がいる限り、私は無敵だ。私は何も恐れることがない。ゆえに、兄は無実とする。父は勝手に持病の発作を起こして死んだのだ。青国の第二王妃は美しい兄に惹かれて誘惑してきたが、兄は断ったのだ。私が兄を庇えば、あの兄はますます私のために尽くしてくれるだろう」
彼の前には、王族の血統だとわかる色合いの人形めいた少女がいる。
青国の預言者ダーウッドとよく似た外見や気配をしている少女が「ネネイ」と呼ばれたので、フィロシュネーはすぐにその少女が空国の預言者だとわかった。
「我が君。あの、あの。しかし、このままでは、なりません」
ネネイが心配そうに声を捧げている。数百年生きていると言われても疑ってしまいそうな、気弱そうな声だった。蚊の鳴くような声で、周囲を気にしながら、決死の覚悟といった風情で、進言している。
(空国の預言者は初めて見たけれど、なんだか弱々しくて、あんまり頼りにならなそうなのね。神秘的だったり、特別な感じがしないじゃない?)
青国の預言者ダーウッドは、同じくらいの背格好でももっと堂々としていて、余裕がある。王族相手に敬意をはらいつつも、媚びたりはしないし、おどおどしたりもしない。
この相手は見た目より長い時間を生きているんだ、たくさんのことを知っているんだ、この相手の言う言葉は信じられるのだ。ダーウッドは、そんな風に思わせてくれるのだ。
「青王は、あ、あ、あやしいです。青王は、……ふ、普通ではないと、思うのです。青王が黒の英雄を配下にしているのが、とても嫌な感じです。我が君、以前も耳に入れました預言を思い出してください。もし仮に、あちらの預言者ダーウッドが同じ預言をしているとすれば、どうでしょう。あの青王が王女を褒美にするほど黒の英雄を寵愛している理由は、預言のためではないでしょうか」
ネネイは震え声で語る。
ネネイが『呪術王の贖罪は英雄の浄化により完了する』という預言を得たことを。
その預言を、青国の預言者ダーウッドも得ているのではないか、という考えを。
サイラスの声はとても落ち着いていて、フィロシュネーは頷いた。
この男は、青王に命じられてフィロシュネーを護衛しているのだ。
この男は、空国の王兄に首輪を填められているから、フィロシュネーに害を成せないのだ。
「そうそう、サイラス? メアリの赤子には罪がないので、孤児院で育てるようにと手配しています」
フィロシュネーが夜気に吐息を震わせれば、感情を見せないように努めるような気配で「そうですか」と言うのだ。特別、思うことなどないとでもいうように、無表情で。
(それで、メアリをどうするかは、きかないのね)
助けてほしい、とも言わないのだ。
彼女は、あなたをお金を運んでくる便利な男としか思っていなかったのではないかしら。
あなたは、利用されるだけだったのではないかしら。
――そんな思いが湧く。
けれどその思いだけは絶対に言葉にして相手に突き付けてはいけないのだ、とフィロシュネーは考えた。それを言うと、きっと傷付けてしまう。心を抉ってしまう。
(わたくし、この人を傷付けたくないのね)
いつの間にか、そう気持ちが変じていた。フィロシュネーはそれを自覚した。
「そうでしたか~、ルーンフォークさんもご兄弟と仲が悪いのでございますね」
「シューエン君もなんだね」
自室の扉の前では、ルーンフォークとシューエンが兄弟のように並んで座り、カードゲームに興じていた。部屋を守っていたのだと思われるが。
「あれっ、聖女様? なぜ? お部屋の中にいらしたのでは」
「フィロシュネー殿下?」
二人揃って、ぽかんとした様子で声をあげている。のほほんとした雰囲気の二人に、フィロシュネーは気持ちが安らぐのを感じた。
「庭先で鍛錬していたところ、こちらの姫君が落ちてきました」
サイラスは淡々と事実を告げて、フィロシュネーを床に降ろした。視線はシューエンに注ぎながら。
「お宅の姫君は、就寝時間に眠るどころか窓から脱走するようなじゃじゃ馬ですよ。もっと護衛に工夫が必要なのでは」
「むっ。……僕の姫は、そういうところも可愛いのでございます」
『じゃじゃ馬』とは、『おてんば』に似た言葉だ。
貴族社会で耳にする機会はあまりないが、フィロシュネーには、言葉のニュアンスがわかった。
「今度はお馬さん扱い?」
フィロシュネーは唇をとがらせつつ、寝台に向かった。
(お宅の姫君、ですって)
身内を指すときには言わない言い回しだ。他人の家のお姫様、という距離感だ。
(まあ、そうね。彼は、しょせんはお金で雇われただけの、傭兵)
もう、兄妹ごっこも終わるのだろう。
「おやすみなさい、傭兵さん。お部屋まで運んでくださって、ありがとう」
フィロシュネーはそっと挨拶をした。
サイラスは少し迷った様子で視線を彷徨わせてから、ルーンフォーク卿やシューエンにも聞こえるように言葉を紡いだ。
「姫、余計なお節介かもしれませんが、奇跡のお力は危険ですよ。悪意ある者は利用したがるでしょうし、後ろ暗い者には嫌がられます。……誰だって、他人に知られたくないことはあります。自分だけの秘密に簡単に踏み込まれるとわかれば、避けられたり、敵意を向けられるかもしれません。暗殺の危険も高まるでしょうね」
フィロシュネーはドキリとした。
それは、その通りだと思ったのだ。
「御身にご負担もかかるのでしょう? それに、強い力の齎す万能感というのは、人という生き物の心をおかしくさせてしまいやすいのです……出過ぎたことを申しましたが、お心に留め置きください」
兄のような声で「おやすみなさい」と付け足して、サイラスが去っていく。
扉が閉まり、フィロシュネーは花びらをつまんでベッドに寝そべった。
(わたくし、調子に乗って他者の過去を軽はずみに覗いたけれど、そうね――自分だったら。相手の立場にたって考えてみれば、確かに、嫌かもしれない)
「あまり個人的な秘密を探る使い方は、やめたほうがいいかしら。知りたいことはたくさんあるけれど……」
だって、世の中ってわからないことだらけだもの。
そんな中で民が苦しんでいるのだもの。
あの哀れな子供たちを見つけて浄化したように、何かができるかもしれないのだもの。
――わたくしには、ハルシオン様がついているもの。守ってくださるもの。
眼を閉じると、ハルシオンの笑顔が浮かぶ。
『よいのですよ、シュネーさん』
きっと、ハルシオンはすべてを肯定してくれる。そんなイメージを胸に、フィロシュネーは神鳥を撫でた。
「ぴよっ、ぴ、ぴ、ぴ」
可愛い鳴き声で、ふわふわで、あたたかい。
そんな神鳥が奇跡を見せてくれる。
(この神鳥さまも、不思議な存在ね。どうして王家の姫を気に入って加護をくれるのか知りたいと願ったら、わかったりもするのかしら)
天蓋付きの寝台の中で、フィロシュネーは万能の存在になったような気がした。
自分は貴い存在で、特別で、なんでもわかるのだ。『カントループ』――ハルシオンという強力な味方もいて、何も怖くないのだ。
その思いと同じ思いを、映像の中の人物が吐いていた。
* * *
「ネネイ。あの兄は、何があっても私の味方なのだ。兄は、何を言っても叶えてくれる。兄は、裏切ることがない。兄の呪術は、万能だ。南方で蛮族が暴れようと、それを見越したように北方で紅国が兵を集めようと、……そこで青国の王族が正義の旗を掲げていようと、兄を生かしておけばいくらでも対抗できる」
サンドボックス。
そんな名前の空国王都。
その中心に佇む王城は、つららの群れを逆にしたような尖塔の多い形態で、とげとげした印象の建築だ。
声の主は、空王。
白銀の髪に王冠をかぶる青年――空王アルブレヒトだ。
「兄がいる限り、私は無敵だ。私は何も恐れることがない。ゆえに、兄は無実とする。父は勝手に持病の発作を起こして死んだのだ。青国の第二王妃は美しい兄に惹かれて誘惑してきたが、兄は断ったのだ。私が兄を庇えば、あの兄はますます私のために尽くしてくれるだろう」
彼の前には、王族の血統だとわかる色合いの人形めいた少女がいる。
青国の預言者ダーウッドとよく似た外見や気配をしている少女が「ネネイ」と呼ばれたので、フィロシュネーはすぐにその少女が空国の預言者だとわかった。
「我が君。あの、あの。しかし、このままでは、なりません」
ネネイが心配そうに声を捧げている。数百年生きていると言われても疑ってしまいそうな、気弱そうな声だった。蚊の鳴くような声で、周囲を気にしながら、決死の覚悟といった風情で、進言している。
(空国の預言者は初めて見たけれど、なんだか弱々しくて、あんまり頼りにならなそうなのね。神秘的だったり、特別な感じがしないじゃない?)
青国の預言者ダーウッドは、同じくらいの背格好でももっと堂々としていて、余裕がある。王族相手に敬意をはらいつつも、媚びたりはしないし、おどおどしたりもしない。
この相手は見た目より長い時間を生きているんだ、たくさんのことを知っているんだ、この相手の言う言葉は信じられるのだ。ダーウッドは、そんな風に思わせてくれるのだ。
「青王は、あ、あ、あやしいです。青王は、……ふ、普通ではないと、思うのです。青王が黒の英雄を配下にしているのが、とても嫌な感じです。我が君、以前も耳に入れました預言を思い出してください。もし仮に、あちらの預言者ダーウッドが同じ預言をしているとすれば、どうでしょう。あの青王が王女を褒美にするほど黒の英雄を寵愛している理由は、預言のためではないでしょうか」
ネネイは震え声で語る。
ネネイが『呪術王の贖罪は英雄の浄化により完了する』という預言を得たことを。
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