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2、協奏のキャストライト
104、ドワーフ族がエルフ族の森を荒らすのです/異議あり!
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エルフは、ゴルムの罪を主張していた。
「ドワーフ族がエルフ族の森を荒らし、アルダーマールの種を盗んだのです」
「『緑の若枝』が街中にいるから何かと思えば、そんな言いがかりをつけにきたのか。わしには関係ないわい」
「あなたにそっくりだと目撃者が言っているのです。そうですね、ヴァイロン?」
「はい、イシルディン様」
ちょっと偉そうなエルフがイシルディン様、配下らしきエルフがヴァイロン。フィロシュネーは名前をおぼえた。
(こういうときに神鳥さまの奇跡が使えたら便利なのに)
神鳥さまは、もういないのだ。
フィロシュネーは残念に思いながら、カントループ商会を見た。
「こんにちは、シュネーさん。それに、ノイエスタルさん」
仮面姿のハルシオンが、揉め事をスルーして近づいてくる。
「本日はノイエスタルさんからのご紹介で商品開発の打ち合わせにきていたのですよ」
サイラスは「その通り」と首肯した。
「彼には解呪用の魔導具開発を依頼したのです。俺の知人の中で一番適していると思われ……信用できるかどうかは別ですが」
ハルシオンには信用がない。
(サイラス、そのお気持ちはわかりますわ)
フィロシュネーは近くの木の枝に留まって見守っている小鳥姿のダーウッドを見た。鳥の眼は、どことなく恨めしそうに見える。
「んっふふ。空国の呪術とドワーフ族の魔鍛冶技術が合わされば、楽しい道具がいっぱい開発し放題! 私は今、わくわくしています」
ハルシオンはそう言ってフィロシュネーの手を握る。
「シュネーさん成分を補充できたら、もっと頑張れるかもしれません!」
「なんですかそれは」
「見ていると元気になる。話すと幸せ気分になる。そしてぎゅーっとしたくなる……それがシュネーさん成分ですっ」
「ぎゅーは許可できかねます」
サイラスが凍えるような声で言ってストップをかけている。
そんなやりとりの間も、ゴルムは責められていた。
「日時は、そう……暗黒郷の姫君とスーン嬢の街中どっきり顔合わせバトルの日、フェニックスがあらわれたと話題の日でした」
ヴァイロンが証言している。フィロシュネーは眉を寄せた。
「街中どっきり顔合わせバトルってなんですの? わたくし、別に戦っていませんわ。あなたたちの森は、紅都とどれくらいの時間で行き来できますの?」
「二日程度でしょうか」
それはおかしい。フィロシュネーはゴルムの肩を持つことにした。
兄アーサーの手紙からすると、青国はドワーフの筒杖の技術を自国で活かそうと考えているらしい。ならば、ドワーフを助けて、関係は良好にしておくのが望ましい!
(ドワ! わたくしが助けて差し上げますわ!)
「お待ちになって。よろしい、エル?」
フィロシュネーは筒杖を取り出した。
「わたくしはその日、ドワのお店で筒杖のお買い物をしましたの。ドワはお店にいたので、森には行っていません」
「エルというのはなんだ。エルフのことか? ドワはドワーフか?」
ヴァイロンがむっとする隣で、イシルディン様と呼ばれていたエルフが首をかしげる。
「あなたの証言がおかしい、と言っているのですわよ」
(神鳥さまの奇跡があれば、こんなとき楽なのに)
奇跡は楽だった。弁論も推理も証拠もいらなかった。
ただ「見てごらんなさい!」て終わったのだ……。
(でも、奇跡はもうないのだから、自力で頑張らないとですわ)
フィロシュネーが奇跡を懐かしんでいると、パタパタと青い鳥姿のダーウッドが飛んでくる。羽休めのように肩に留まったダーウッドは、小さな声で言った。
「ドワーフの無実をアピールしたいのなら、簡単ですぞ」
「んっ?」
「姫殿下。『聖女の力で真実がみえました。罪を着せようとした偽者のしわざです』とおっしゃい」
言うだけ言ってすぐに飛び立つ姿は、はりきっているように見えた。
サイラスは青い鳥に苦々しい顔をしつつ、騎士団の徽章を見せた。
「『まどろみの森』に住むエルフの方々とお見受けします。ゴルム・ハンマーハンド氏は紅都の住人のため、彼とのトラブルに関しては私が事情をおうかがいしましょう。街中でこれ以上騒ぐのはおやめください」
(ああ、サイラスがお仕事モードになってしまったわ)
「こほん、ええと、皆さま~? わたくし、聖女の力で真実がみえました。これは、ドワに罪を着せようとした偽者のしわざですの」
フィロシュネーは言われたとおりに聖女のフリをしてみた。
「なんと、うわさの聖女の力?」
「すごいですね!」
エルフとハルシオンは驚いてくれているが。
「姫、私は関係者を詰所までお連れして詳細に事実関係を調査しますので、店内でお待ちください」
サイラスは聖女の言葉ひとつで「では無実」と事件を片付けるつもりがなさそうだった。
しかし、ゴルムがエルフ族と一緒に連れて行かれかけたとき。
「その犯人というのは、こんな顔だったかの?」
なんと、店の近くにひょっこりともうひとりのゴルムが姿を見せた。からかうように手を振って、ウィンクして。
「アルダーマールの種なら、ここにあるぞい!」
種らしきものを指でつまんでアピールしている!
当然、居合わせた全員が目を疑い、ゴルムと偽ゴルムを見比べる。
「わしがもうひとり……!?」
「ドワーフが二人!?」
驚くのを嘲笑うようにして、もうひとりのゴルムが逃げていく!
「逃げたぞ、追え!」
「そいつが犯人だ……!」
現場は騒然となった。
(い、いたずらな鳥さん!)
真犯人が「こんな顔だったかの? ここに種があるぞい」なんて言うかしら。でも、みんな釣られちゃってるわ……。
エルフたちは偽ゴルムを追いかけて行き、サイラスはそのエルフたちを追いかけていった。
* * *
お仕事モードなサイラスが離れて、ゴルムの店で待つ間。
「シュネーさん、お茶にしましょう」
ハルシオンは自分の庭みたいな顔でゴルムの店にフィロシュネーを引っ張り込んだ。
店の奥にある少し背の低い重厚な扉をくぐれば、熱気が感じられる。聞こえてくるのは、鍛冶仕事の音。金属がぶつかり合うリズムが、力強い。
「あちらは鍛冶場です。鍛冶師たちが火の精霊と語り合い、鉄や鋼を打っているのですよ。休憩室はこちらです」
休憩室には、複雑な魔法陣や宝石が並び、試験管や魔導書が散らばっていた。壁際で緑髪の青年が寝ている。ルーンフォークだ。目の下に濃い隈がある。
「いやぁ~、ルーンフォークはよく働いてくれていまして、ちょっとお疲れ気味なので術をかけて眠らせています。気にしないでください」
ハルシオンが日常の温度感で言って、椅子をすすめてくれる。
フィロシュネーは心配になった。
「ゆ、ゆっくり休ませてあげてください」
「シュネーさんは優しいですね」
上機嫌のハルシオンは、フィロシュネーの筒杖を見て「弟がそれと同じ玩具がほしいっていうんですよ」と微笑んだ。
「アルは最近、シュネーさんのお兄さんと仲良くなったみたいですね。私よりそちらのお兄さんのほうがいいのかな」
「兄はアルブレヒト陛下と友人として親しくなさっているようですわ。友人と家族は、比べるようなものではないのではないでしょうか?」
「商会長は拗ねておられるのです」
ミランダがスコーンを運び、お茶を注ぐ。食欲を刺激する豊かな香りに、お腹が鳴ってしまいそう。
「ふふっ……そう。ここだけの話を教えましょう。ミランダがもふもふに夢中だから、私は拗ねているのですよ」
「まあ、商会長」
さっきまでの大騒ぎが嘘のように、のほほんとした穏やかな時間だ。フィロシュネーはほんわかと癒された。
スコーンを頬張れば、出来立ての温かさが美味しい。
断面はゴールデンブラウンの色合いで、口の中で溶けるような滑らかさと一度噛むと広がるバターのコクが、至福の味わい! それに、このお茶は。
「わたくし、このお茶知っています。ドワーフの炭鉱茶ね」
フィロシュネーは目を細めた。
「美味しいです、ミランダ」
「お口に合ってよかったです、姫殿下」
ハルシオンはニコニコと二人を見守り、口を開いた。
「シュネーさん、チェスの対戦は素晴らしかったですね」
「ありがとうございます、カントループ」
フィロシュネーが商会長としての名を呼べば、ハルシオンはあっさりと仮面を外した。
「ハルシオンと呼ばれたいです、シュネーさん」
どことなく甘酸っぱい響き。フィロシュネーは青国でハルシオンに言われた言葉を思い出してドキリとした。「恋をしたい、まだお嫁にはいかないで」と言われたのだ。
(そんなことを言われても……)
正直、悪い気がしないのが困ってしまう。
(わたくし、やっぱりサイラスが言うように 異性に慣れていなくて扱いやすいのかしら)
ハルシオンは「私たちの間に隠し事は不要!」とばかりに考えを話してくれる。
「私が思いますに、ノイエスタルさんには単に女王陛下の騎士として務める以上に、出世欲がおありなのですね」
「まあ。出世欲」
(青国に来れば、わたくしがいくらでも高い地位をあげるのに)
「空国に来たら私が取り立ててあげますよと言ったのですが、ふられてしまいました」
ハルシオンが言うので、フィロシュネーは心を和ませた。
「わたくしたち、やっぱり親戚ですわね。考えることが同じ!」
「ドワーフ族がエルフ族の森を荒らし、アルダーマールの種を盗んだのです」
「『緑の若枝』が街中にいるから何かと思えば、そんな言いがかりをつけにきたのか。わしには関係ないわい」
「あなたにそっくりだと目撃者が言っているのです。そうですね、ヴァイロン?」
「はい、イシルディン様」
ちょっと偉そうなエルフがイシルディン様、配下らしきエルフがヴァイロン。フィロシュネーは名前をおぼえた。
(こういうときに神鳥さまの奇跡が使えたら便利なのに)
神鳥さまは、もういないのだ。
フィロシュネーは残念に思いながら、カントループ商会を見た。
「こんにちは、シュネーさん。それに、ノイエスタルさん」
仮面姿のハルシオンが、揉め事をスルーして近づいてくる。
「本日はノイエスタルさんからのご紹介で商品開発の打ち合わせにきていたのですよ」
サイラスは「その通り」と首肯した。
「彼には解呪用の魔導具開発を依頼したのです。俺の知人の中で一番適していると思われ……信用できるかどうかは別ですが」
ハルシオンには信用がない。
(サイラス、そのお気持ちはわかりますわ)
フィロシュネーは近くの木の枝に留まって見守っている小鳥姿のダーウッドを見た。鳥の眼は、どことなく恨めしそうに見える。
「んっふふ。空国の呪術とドワーフ族の魔鍛冶技術が合わされば、楽しい道具がいっぱい開発し放題! 私は今、わくわくしています」
ハルシオンはそう言ってフィロシュネーの手を握る。
「シュネーさん成分を補充できたら、もっと頑張れるかもしれません!」
「なんですかそれは」
「見ていると元気になる。話すと幸せ気分になる。そしてぎゅーっとしたくなる……それがシュネーさん成分ですっ」
「ぎゅーは許可できかねます」
サイラスが凍えるような声で言ってストップをかけている。
そんなやりとりの間も、ゴルムは責められていた。
「日時は、そう……暗黒郷の姫君とスーン嬢の街中どっきり顔合わせバトルの日、フェニックスがあらわれたと話題の日でした」
ヴァイロンが証言している。フィロシュネーは眉を寄せた。
「街中どっきり顔合わせバトルってなんですの? わたくし、別に戦っていませんわ。あなたたちの森は、紅都とどれくらいの時間で行き来できますの?」
「二日程度でしょうか」
それはおかしい。フィロシュネーはゴルムの肩を持つことにした。
兄アーサーの手紙からすると、青国はドワーフの筒杖の技術を自国で活かそうと考えているらしい。ならば、ドワーフを助けて、関係は良好にしておくのが望ましい!
(ドワ! わたくしが助けて差し上げますわ!)
「お待ちになって。よろしい、エル?」
フィロシュネーは筒杖を取り出した。
「わたくしはその日、ドワのお店で筒杖のお買い物をしましたの。ドワはお店にいたので、森には行っていません」
「エルというのはなんだ。エルフのことか? ドワはドワーフか?」
ヴァイロンがむっとする隣で、イシルディン様と呼ばれていたエルフが首をかしげる。
「あなたの証言がおかしい、と言っているのですわよ」
(神鳥さまの奇跡があれば、こんなとき楽なのに)
奇跡は楽だった。弁論も推理も証拠もいらなかった。
ただ「見てごらんなさい!」て終わったのだ……。
(でも、奇跡はもうないのだから、自力で頑張らないとですわ)
フィロシュネーが奇跡を懐かしんでいると、パタパタと青い鳥姿のダーウッドが飛んでくる。羽休めのように肩に留まったダーウッドは、小さな声で言った。
「ドワーフの無実をアピールしたいのなら、簡単ですぞ」
「んっ?」
「姫殿下。『聖女の力で真実がみえました。罪を着せようとした偽者のしわざです』とおっしゃい」
言うだけ言ってすぐに飛び立つ姿は、はりきっているように見えた。
サイラスは青い鳥に苦々しい顔をしつつ、騎士団の徽章を見せた。
「『まどろみの森』に住むエルフの方々とお見受けします。ゴルム・ハンマーハンド氏は紅都の住人のため、彼とのトラブルに関しては私が事情をおうかがいしましょう。街中でこれ以上騒ぐのはおやめください」
(ああ、サイラスがお仕事モードになってしまったわ)
「こほん、ええと、皆さま~? わたくし、聖女の力で真実がみえました。これは、ドワに罪を着せようとした偽者のしわざですの」
フィロシュネーは言われたとおりに聖女のフリをしてみた。
「なんと、うわさの聖女の力?」
「すごいですね!」
エルフとハルシオンは驚いてくれているが。
「姫、私は関係者を詰所までお連れして詳細に事実関係を調査しますので、店内でお待ちください」
サイラスは聖女の言葉ひとつで「では無実」と事件を片付けるつもりがなさそうだった。
しかし、ゴルムがエルフ族と一緒に連れて行かれかけたとき。
「その犯人というのは、こんな顔だったかの?」
なんと、店の近くにひょっこりともうひとりのゴルムが姿を見せた。からかうように手を振って、ウィンクして。
「アルダーマールの種なら、ここにあるぞい!」
種らしきものを指でつまんでアピールしている!
当然、居合わせた全員が目を疑い、ゴルムと偽ゴルムを見比べる。
「わしがもうひとり……!?」
「ドワーフが二人!?」
驚くのを嘲笑うようにして、もうひとりのゴルムが逃げていく!
「逃げたぞ、追え!」
「そいつが犯人だ……!」
現場は騒然となった。
(い、いたずらな鳥さん!)
真犯人が「こんな顔だったかの? ここに種があるぞい」なんて言うかしら。でも、みんな釣られちゃってるわ……。
エルフたちは偽ゴルムを追いかけて行き、サイラスはそのエルフたちを追いかけていった。
* * *
お仕事モードなサイラスが離れて、ゴルムの店で待つ間。
「シュネーさん、お茶にしましょう」
ハルシオンは自分の庭みたいな顔でゴルムの店にフィロシュネーを引っ張り込んだ。
店の奥にある少し背の低い重厚な扉をくぐれば、熱気が感じられる。聞こえてくるのは、鍛冶仕事の音。金属がぶつかり合うリズムが、力強い。
「あちらは鍛冶場です。鍛冶師たちが火の精霊と語り合い、鉄や鋼を打っているのですよ。休憩室はこちらです」
休憩室には、複雑な魔法陣や宝石が並び、試験管や魔導書が散らばっていた。壁際で緑髪の青年が寝ている。ルーンフォークだ。目の下に濃い隈がある。
「いやぁ~、ルーンフォークはよく働いてくれていまして、ちょっとお疲れ気味なので術をかけて眠らせています。気にしないでください」
ハルシオンが日常の温度感で言って、椅子をすすめてくれる。
フィロシュネーは心配になった。
「ゆ、ゆっくり休ませてあげてください」
「シュネーさんは優しいですね」
上機嫌のハルシオンは、フィロシュネーの筒杖を見て「弟がそれと同じ玩具がほしいっていうんですよ」と微笑んだ。
「アルは最近、シュネーさんのお兄さんと仲良くなったみたいですね。私よりそちらのお兄さんのほうがいいのかな」
「兄はアルブレヒト陛下と友人として親しくなさっているようですわ。友人と家族は、比べるようなものではないのではないでしょうか?」
「商会長は拗ねておられるのです」
ミランダがスコーンを運び、お茶を注ぐ。食欲を刺激する豊かな香りに、お腹が鳴ってしまいそう。
「ふふっ……そう。ここだけの話を教えましょう。ミランダがもふもふに夢中だから、私は拗ねているのですよ」
「まあ、商会長」
さっきまでの大騒ぎが嘘のように、のほほんとした穏やかな時間だ。フィロシュネーはほんわかと癒された。
スコーンを頬張れば、出来立ての温かさが美味しい。
断面はゴールデンブラウンの色合いで、口の中で溶けるような滑らかさと一度噛むと広がるバターのコクが、至福の味わい! それに、このお茶は。
「わたくし、このお茶知っています。ドワーフの炭鉱茶ね」
フィロシュネーは目を細めた。
「美味しいです、ミランダ」
「お口に合ってよかったです、姫殿下」
ハルシオンはニコニコと二人を見守り、口を開いた。
「シュネーさん、チェスの対戦は素晴らしかったですね」
「ありがとうございます、カントループ」
フィロシュネーが商会長としての名を呼べば、ハルシオンはあっさりと仮面を外した。
「ハルシオンと呼ばれたいです、シュネーさん」
どことなく甘酸っぱい響き。フィロシュネーは青国でハルシオンに言われた言葉を思い出してドキリとした。「恋をしたい、まだお嫁にはいかないで」と言われたのだ。
(そんなことを言われても……)
正直、悪い気がしないのが困ってしまう。
(わたくし、やっぱりサイラスが言うように 異性に慣れていなくて扱いやすいのかしら)
ハルシオンは「私たちの間に隠し事は不要!」とばかりに考えを話してくれる。
「私が思いますに、ノイエスタルさんには単に女王陛下の騎士として務める以上に、出世欲がおありなのですね」
「まあ。出世欲」
(青国に来れば、わたくしがいくらでも高い地位をあげるのに)
「空国に来たら私が取り立ててあげますよと言ったのですが、ふられてしまいました」
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