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2、協奏のキャストライト
117、あにまるネクロシスと、妻に遊ばれて可哀想な侯爵さん
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霧の薄い朝。
紅都は噂で持ちきりだった。
「青国の騎士団がエルフの奴隷を助けたんだって」
「俺は紅国の騎士団が青国の令嬢を救い出したと聞いたぞ」
「追放された元伯爵公子が……」
事件に巻き込まれた青国の令嬢と王妹は、救出されて無事に過ごしているらしい。
それはよかった……と、噂を語る紅国の民は締めくくる。
「退屈な明日に、愉しみを……」
ちゃぷり、と湯音する。
《輝きのネクロシス》の幹部亜人に呼ばれた狼獣人シェイドの耳が捉えるのは、仲間カサンドラとダーウッドの会話だった。
「年若い令嬢や姫君を心配する声が多いようですよ。いつのまにか紅都の民は青国贔屓になっているのですねぇ」
「それは、そうでしょう。姫殿下は魅力的な方ですからな」
アルメイダ侯爵邸の優美な庭園の奥、侯爵夫人の趣味で設けられた露天温泉の岩風呂――そこに、悪の一味と呼ぶには愛嬌のありすぎるメンバーが揃っている。
透明度の低い黒温泉のふちで毛づくろいするのは、純白の長い毛をした気位の高そうな猫。
……に変身したカサンドラ。
黒温泉に置き物のように静かに浸かっているのは、カピバラと呼ばれる動物。
……によく似た姿のフェリシエン。
フェリシエンの頭を足場にしているのが、青い小鳥姿のダーウッド……。
こいつらは無駄に移ろいの術を使って、マウントをとっているんだ。
術を使えないシェイドは、劣等感を刺激されながらカサンドラの隣に座って愚痴をこぼした。
「フェリシエンが邪魔をしたんだ」
言いつけてやる。
そんな幼稚とも言える感情がむき出しの声に、猫のカサンドラがヒゲを揺らした。
喉がごろごろ鳴っている。機嫌がいい。
「聞いてくださいな。夫の隠れた趣味を知ったの。彼ったらコソコソとディオラマを造って自己満足に浸っていますのよ」
「カサンドラ、今その話、関係なくない?」
「ディオラマというのは、模型のことですわよ。あの夫が背中を丸めて小さなサイズの自然や都市の模型を愛でている姿と言ったら! 可愛かったからネコパンチで模型をぐしゃぐしゃにしたら、怒って首根っこをつかまれてしまいました、くすくす」
会話のキャッチボールができてない。あと、侯爵かわいそう。
「頭がおかしい」
「それは、褒め言葉ですな」
ダーウッドが小鳥の頭をかしげている。
「夫婦仲がよろしいようでなにより。子供は作らないのですかな」
「夫は私を嫌っていますからねえ。でも、無理やり作って困らせるのも楽しそうですわね」
「隠し子騒動に発展させるのも一興ですぞ」
「楽しそうじゃない」
話がどんどん流されていく。あと、侯爵かわいそう。
思うに、幹部亜人たちは人間性が崩壊している。シェイドはため息をついて座る姿勢を変えた。足が痛い。死霊に絡まれた部分がジンジン、ズキズキするのだ。
風の吹く方向に白い湯けむりをふわふわ漂わせる湯面が太陽の光を反射し、まるで鏡のように輝いている。
それに負けないくらいキラキラとした猫の瞳は、とても楽しそうだった。
「でもね、シェイドの話も聞いていましてよ」
あ、聞いてたの? シェイドは尻尾を振った。
庭園の花びらが風に遊ばれて舞い踊り、湯舟に降りてぷかりと浮かぶ。
カサンドラは猫のしなやかな体で伸びをした。
「私の夫は紅国が女王の権力を削ぎたいらしいの。それに、青国や空国との友好政策にも反対しているのです……あなたたちは夫の邪魔をしましたわね」
険悪な声だ。夫の邪魔をしたから、という理由が実にシンプルでわかりやすい。
ぴりぴりした敵意を注がれたカピバラのフェリシエンは、の~んびりと口を開いた。脱力系の見た目に反して、発せられる声は陰鬱だ。聞いているだけでジメジメとした気分になる。
「カサンドラ、何が不満なのかね。吾輩は貴様の研究を手伝ったではないか」
フェリシエンは、カサンドラが打ち込んでいる研究のため、エルフの森からアルダーマールの種を盗んだのだ。
しかも「ドワーフに罪をなすりつけたら面白いのではないかね」と言ってドワーフの姿までして。
「それについては助かりましたわ。そのあとダーウッドが変なことをしていたけれど」
猫のカサンドラはそう言って、カピバラの頭の上へとピョコリと跳び乗った。
「生真面目なエルフや仕事熱心な女王の騎士を釣るのはなかなか楽しかったですな。カサンドラのご主人は彼がお嫌いでしょう? 私は彼を振り回してやったのです、ご主人の役に立ったではありませんか。褒めてくれてもいいのですぞ」
カピバラの頭の上で猫に詰め寄られながら、小鳥のダーウッドが翼を広げる。
「フェリシエンが石に変えたのはよしとして。ダーウッドがそれを解呪したのはなぜ……? 言い訳してごらんなさいな」
「は? そこにいるシェイドが吠えていたのでしょう、元に戻せと? フェリシエンが『吾輩は疲れているからお前がやっておけ』と言うから、代わりに戻して差し上げたのです。私は仲間思いでしょう?」
問われたダーウッドはバッサバッサと翼を荒ぶらせ、猫を足場から追い出そうとする。
「それを言い訳とはなんです、褒められるべき行為なのですが? 不快でございますな!」
怒っている。怒っている。
「ちょっと、押さないで」
「貴様ら、吾輩の頭の上で喧嘩するな」
足場になっているカピバラがモゾモゾと動く。頭の上の小鳥と猫がぐらぐら揺れる。
「フェリシエン! 動かないで……」
つるりと足を滑らせた猫は、バシャッと湯舟に落下した。
「にゃん!」
猫っぽい悲鳴だ。姿が変わると内面も引っ張られると聞くが、そのせいだろうか。
「おやおや猫さん。入浴マナーがなっていませんな!」
「ダーウッド!」
小鳥のダーウッドが意地悪に言うのをにらみつけて、猫のカサンドラは麗しき侯爵夫人へと姿を変えた。
「とにかく、青国の評判が良くなっては夫が困りますの。手っ取り早く評判を下げられるのだから、ダーウッドには協力していただきたいところね」
「おお、カサンドラ。私は誰より協力的ですから、安心して研究に励むとよろしいですぞ。がんばれ、がんばれ」
「研究はあなたも頑張ってほしいのよね」
「これ以上なく頑張っておりますが?」
結局、フェリシエンは許されたのか。
不満を抱くシェイドの視線を受けて、カピバラのフェリシエンはのっそのっそと温泉のはしっこに寄った。
「商会関連でのブラックタロン家の関与した痕跡は消せたし、吾輩は空国に帰る。当主の仕事もしなければならぬし、吾輩は暇ではないのだ。あとは暇人だけで遊べ」
そう言って温泉から上がるのかと思いきや、そのまま落ち着いている。
入浴文化のない空国育ちのフェリシエンは、意外と温泉が気に入ったらしい。
「私は夫と過ごす貴重な時間を減らして活動していますの。暇なわけではありません」
「私も別に暇人ではございませんぞ」
二人分の文句が飛ぶ中、ただの人間の気配が近づいてくるのでシェイドはサッと物陰に身を隠した。ダーウッドもパタパタと飛んでシェイドの尻尾の上に来て、もふんっと埋もれる。
これはいざという時、盾にされる――シェイドは察した。
残っているのはカピバラと、デイドレス姿で湯水をしたたらせるカサンドラ。
そんな奇妙な現場にやってきたのは、シモン・アルメイダ侯爵だった。
「旦那様! 旦那様、お待ちください。奥様はただいま……」
「男を引き込んでみだらな享楽に耽っているのだろう。フン、あの女狐の好みの男を見てやろうではないか――……、っ!?」
侯爵のアイスブルーの眼が現実を疑うように大きく見開かれる。
シェイドにはその驚愕する気持ちがとてもわかった。男を引き込んだと聞いてやってきてみたらカピバラと服を着たまま温泉で戯れてるのだ。
「あら、あ、な、た」
カサンドラが艶めかしく流し目を送っている。カピバラと一緒なので変な女にしか見えないが。
「私の客が気になったのですか。このカピバラ様はこう見えてなかなかのテクニシャンなのです。見物なさいますか、混ざりますか?」
「なっ……!? そ、そのようなケダモノと――」
「呪術の腕のお話ですわよ、なにを想像なさったのです? あ、な、た?」
くすくすと笑うカサンドラは楽しそうだった。
顔をそらし、怒りを噛み殺すようにして背を向けて去っていく侯爵を見て、やっぱりシェイドは思うのだった。
――侯爵、かわいそう。
……と。
紅都は噂で持ちきりだった。
「青国の騎士団がエルフの奴隷を助けたんだって」
「俺は紅国の騎士団が青国の令嬢を救い出したと聞いたぞ」
「追放された元伯爵公子が……」
事件に巻き込まれた青国の令嬢と王妹は、救出されて無事に過ごしているらしい。
それはよかった……と、噂を語る紅国の民は締めくくる。
「退屈な明日に、愉しみを……」
ちゃぷり、と湯音する。
《輝きのネクロシス》の幹部亜人に呼ばれた狼獣人シェイドの耳が捉えるのは、仲間カサンドラとダーウッドの会話だった。
「年若い令嬢や姫君を心配する声が多いようですよ。いつのまにか紅都の民は青国贔屓になっているのですねぇ」
「それは、そうでしょう。姫殿下は魅力的な方ですからな」
アルメイダ侯爵邸の優美な庭園の奥、侯爵夫人の趣味で設けられた露天温泉の岩風呂――そこに、悪の一味と呼ぶには愛嬌のありすぎるメンバーが揃っている。
透明度の低い黒温泉のふちで毛づくろいするのは、純白の長い毛をした気位の高そうな猫。
……に変身したカサンドラ。
黒温泉に置き物のように静かに浸かっているのは、カピバラと呼ばれる動物。
……によく似た姿のフェリシエン。
フェリシエンの頭を足場にしているのが、青い小鳥姿のダーウッド……。
こいつらは無駄に移ろいの術を使って、マウントをとっているんだ。
術を使えないシェイドは、劣等感を刺激されながらカサンドラの隣に座って愚痴をこぼした。
「フェリシエンが邪魔をしたんだ」
言いつけてやる。
そんな幼稚とも言える感情がむき出しの声に、猫のカサンドラがヒゲを揺らした。
喉がごろごろ鳴っている。機嫌がいい。
「聞いてくださいな。夫の隠れた趣味を知ったの。彼ったらコソコソとディオラマを造って自己満足に浸っていますのよ」
「カサンドラ、今その話、関係なくない?」
「ディオラマというのは、模型のことですわよ。あの夫が背中を丸めて小さなサイズの自然や都市の模型を愛でている姿と言ったら! 可愛かったからネコパンチで模型をぐしゃぐしゃにしたら、怒って首根っこをつかまれてしまいました、くすくす」
会話のキャッチボールができてない。あと、侯爵かわいそう。
「頭がおかしい」
「それは、褒め言葉ですな」
ダーウッドが小鳥の頭をかしげている。
「夫婦仲がよろしいようでなにより。子供は作らないのですかな」
「夫は私を嫌っていますからねえ。でも、無理やり作って困らせるのも楽しそうですわね」
「隠し子騒動に発展させるのも一興ですぞ」
「楽しそうじゃない」
話がどんどん流されていく。あと、侯爵かわいそう。
思うに、幹部亜人たちは人間性が崩壊している。シェイドはため息をついて座る姿勢を変えた。足が痛い。死霊に絡まれた部分がジンジン、ズキズキするのだ。
風の吹く方向に白い湯けむりをふわふわ漂わせる湯面が太陽の光を反射し、まるで鏡のように輝いている。
それに負けないくらいキラキラとした猫の瞳は、とても楽しそうだった。
「でもね、シェイドの話も聞いていましてよ」
あ、聞いてたの? シェイドは尻尾を振った。
庭園の花びらが風に遊ばれて舞い踊り、湯舟に降りてぷかりと浮かぶ。
カサンドラは猫のしなやかな体で伸びをした。
「私の夫は紅国が女王の権力を削ぎたいらしいの。それに、青国や空国との友好政策にも反対しているのです……あなたたちは夫の邪魔をしましたわね」
険悪な声だ。夫の邪魔をしたから、という理由が実にシンプルでわかりやすい。
ぴりぴりした敵意を注がれたカピバラのフェリシエンは、の~んびりと口を開いた。脱力系の見た目に反して、発せられる声は陰鬱だ。聞いているだけでジメジメとした気分になる。
「カサンドラ、何が不満なのかね。吾輩は貴様の研究を手伝ったではないか」
フェリシエンは、カサンドラが打ち込んでいる研究のため、エルフの森からアルダーマールの種を盗んだのだ。
しかも「ドワーフに罪をなすりつけたら面白いのではないかね」と言ってドワーフの姿までして。
「それについては助かりましたわ。そのあとダーウッドが変なことをしていたけれど」
猫のカサンドラはそう言って、カピバラの頭の上へとピョコリと跳び乗った。
「生真面目なエルフや仕事熱心な女王の騎士を釣るのはなかなか楽しかったですな。カサンドラのご主人は彼がお嫌いでしょう? 私は彼を振り回してやったのです、ご主人の役に立ったではありませんか。褒めてくれてもいいのですぞ」
カピバラの頭の上で猫に詰め寄られながら、小鳥のダーウッドが翼を広げる。
「フェリシエンが石に変えたのはよしとして。ダーウッドがそれを解呪したのはなぜ……? 言い訳してごらんなさいな」
「は? そこにいるシェイドが吠えていたのでしょう、元に戻せと? フェリシエンが『吾輩は疲れているからお前がやっておけ』と言うから、代わりに戻して差し上げたのです。私は仲間思いでしょう?」
問われたダーウッドはバッサバッサと翼を荒ぶらせ、猫を足場から追い出そうとする。
「それを言い訳とはなんです、褒められるべき行為なのですが? 不快でございますな!」
怒っている。怒っている。
「ちょっと、押さないで」
「貴様ら、吾輩の頭の上で喧嘩するな」
足場になっているカピバラがモゾモゾと動く。頭の上の小鳥と猫がぐらぐら揺れる。
「フェリシエン! 動かないで……」
つるりと足を滑らせた猫は、バシャッと湯舟に落下した。
「にゃん!」
猫っぽい悲鳴だ。姿が変わると内面も引っ張られると聞くが、そのせいだろうか。
「おやおや猫さん。入浴マナーがなっていませんな!」
「ダーウッド!」
小鳥のダーウッドが意地悪に言うのをにらみつけて、猫のカサンドラは麗しき侯爵夫人へと姿を変えた。
「とにかく、青国の評判が良くなっては夫が困りますの。手っ取り早く評判を下げられるのだから、ダーウッドには協力していただきたいところね」
「おお、カサンドラ。私は誰より協力的ですから、安心して研究に励むとよろしいですぞ。がんばれ、がんばれ」
「研究はあなたも頑張ってほしいのよね」
「これ以上なく頑張っておりますが?」
結局、フェリシエンは許されたのか。
不満を抱くシェイドの視線を受けて、カピバラのフェリシエンはのっそのっそと温泉のはしっこに寄った。
「商会関連でのブラックタロン家の関与した痕跡は消せたし、吾輩は空国に帰る。当主の仕事もしなければならぬし、吾輩は暇ではないのだ。あとは暇人だけで遊べ」
そう言って温泉から上がるのかと思いきや、そのまま落ち着いている。
入浴文化のない空国育ちのフェリシエンは、意外と温泉が気に入ったらしい。
「私は夫と過ごす貴重な時間を減らして活動していますの。暇なわけではありません」
「私も別に暇人ではございませんぞ」
二人分の文句が飛ぶ中、ただの人間の気配が近づいてくるのでシェイドはサッと物陰に身を隠した。ダーウッドもパタパタと飛んでシェイドの尻尾の上に来て、もふんっと埋もれる。
これはいざという時、盾にされる――シェイドは察した。
残っているのはカピバラと、デイドレス姿で湯水をしたたらせるカサンドラ。
そんな奇妙な現場にやってきたのは、シモン・アルメイダ侯爵だった。
「旦那様! 旦那様、お待ちください。奥様はただいま……」
「男を引き込んでみだらな享楽に耽っているのだろう。フン、あの女狐の好みの男を見てやろうではないか――……、っ!?」
侯爵のアイスブルーの眼が現実を疑うように大きく見開かれる。
シェイドにはその驚愕する気持ちがとてもわかった。男を引き込んだと聞いてやってきてみたらカピバラと服を着たまま温泉で戯れてるのだ。
「あら、あ、な、た」
カサンドラが艶めかしく流し目を送っている。カピバラと一緒なので変な女にしか見えないが。
「私の客が気になったのですか。このカピバラ様はこう見えてなかなかのテクニシャンなのです。見物なさいますか、混ざりますか?」
「なっ……!? そ、そのようなケダモノと――」
「呪術の腕のお話ですわよ、なにを想像なさったのです? あ、な、た?」
くすくすと笑うカサンドラは楽しそうだった。
顔をそらし、怒りを噛み殺すようにして背を向けて去っていく侯爵を見て、やっぱりシェイドは思うのだった。
――侯爵、かわいそう。
……と。
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