悪役一家の愛され娘になったので、ママの死を回避して幸せエンドを目指します。えっ、やんちゃ王子の遊び相手?私は殿下より猫の精霊さんが好きです!
朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
文字の大きさ
大中小
1 / 4
1、転生先が悪役一家だった!
しおりを挟む「おぎゃあああ! おぎゃああ!」
「おめでとうございます、元気なお嬢様ですよ」
生まれつき病弱な体質で死因も病死だった私は、気づけば赤ちゃんに転生していた。
家族はキラッキラの美形揃い。羽が生えた白い猫さんもいる。というか、生まれたてなのに目が見える。不思議。
「うにゃーん」
白い猫さんが愛らしく鳴くと、周りにいた人たちが「おおおおおおっ」とどよめく。
「お嬢様には精霊の加護があるようです!」
「でかした、ジュリア……!」
「マキシミリアン様」
白い猫さんは、精霊らしい。
ジュリアというのがママで、マキシミリアンはパパだ。
「ヴァリディシア侯爵家の長女の誕生だ! 我が娘は精霊の加護を受けた。精霊に愛されし子という意味の古代語からもじって『ルルミィ』と名付けよう」
パパが名前を付けてくれたとき、私はびっくりした。
ルルミィ・ヴァリディシア侯爵令嬢。
それは、前世の私が遊んでいたゲームに出てくる悪役令嬢の名前だったから。
これは夢? 悪役の赤ちゃんになる夢を見るなんて、どういうこと?
でも、夢はいつまでも覚めなかった。
「お……おぎゃああああああ!(どういうことなのーーーーー‼)」
「元気な子。うふふ! ほらアルバート、あなたの妹よ」
「わあ。あかちゃんだ……ぼくの、いもうとなの?」
「ええ、そうよ。アルバートはお兄ちゃんになったの。妹を可愛がってあげてね」
「うん! ぼく、とってもかわいがるよ!」
聞こえてくる名前は、全部ゲームに出てくるキャラの名前だ。
ヴァリディシア侯爵家は、全員が白銀の髪に水色の瞳の超・美形一家だ。ただ、問題がある。
私、ルルミィが悪役令嬢。主人公に敵対して破滅するキャラだ。
父マキシミリアンと兄アルバートは禁断の死霊術に手を染めて断罪される悪役貴族。
母ジュリアはルルミィが3歳の時に起きる事件で亡くなる予定。
「あ、あうあう……ふぎゃあああああ!(このおうち、みんな揃って破滅する予定じゃなーーーい!)」
なんと、このお家、悪役一家なのである!
一家が悪役になっていく分岐点は、ママの死だ。
悲しむパパとお兄様に、敵対派閥が手配した商人が禁書を売りつける。弱っている心の隙間を突くために、判断力を鈍らせる香りを炊いて、「これを使えば死者が生き返りますよ」と囁いた。
禁書は所有するだけで罪になり、読んでも凡人には高度な死霊術は使いこなせるはずがなかった。
でも、パパとお兄様は優秀だった。
二人は過去に亡くなった人を死霊として召喚する。ガチャをイメージしてほしいんだけど、あんな感じで「また違う死霊が出てしまった。もう一回」と、ママが出るまで召喚し続けた。
しかし、召喚された死霊を制御することは難しく、死霊は暴走して人々を襲ってしまう!
原作のルルミィはママに会いたい気持ちが強くて、二人を止められなかった。
結果、一家はママの死霊を召喚することに成功する。
でも、ママは理性を失った凶暴な死霊になってしまった。
弱っていた心が打ちのめされて、一家は完全に闇墜ちする……。
「可愛い嫡男に、元気な妹姫ちゃん。パパ幸せだなあ! 愛してるよママ、ちゅっ!」
「あなたったら。子どもたちが見てますわ」
「るるみぃ、ぼくがまもってあげるからね!」
仲良しのパパとママ。やさしいお兄様。
この幸せ家族が破滅する? ……いいえ、させない。
「ばぶーーーー!(私がこのおうちをまもる!)」
転生先が悪役一家だった私は、自分と家族の破滅を回避することを決意した!
「みゃーん?」
そんな私に、精霊様がふんふんと鼻を近づけてくる。
もふもふした毛並みの精霊様は、猫さん特有のいい匂いがする。
ごろごろと鳴る喉の音とぬくぬくの体温を感じると、安心する。
「あう、あう(精霊様、はじめまして)」
「にゃーう!」
この王国は、人間と精霊様が共存している。
姿かたちも属性もさまざまな精霊様は魔法が使える。気に入った人間に加護を与えてくれたり、おねだりを聞いてくれたりする。
精霊様に気に入ってもらえる人間の数は少なくて、生まれた時から精霊様が寄り添ってくれるパターンはとっても希少。
そんな精霊様は、確か原作の設定だと……「最初は仲が良かったけど、ルルミィの心が闇に染まるにつれて距離を取るようになり、最後には完全にルルミィの元を去ってしまった」キャラ!
「あああああああん‼(見放さないで、精霊様ーーーーーー‼)」
必死。もう必死。
自由にならない手足をばたばたさせながら訴える私を見て、家族は「ルルは元気だな!」とニコニコ顔だ。前世が病弱だったので、「元気だな」と言われるのはうれしい。私、元気!
「きゃっ、きゃっ」
「お、るるが笑ったぞ」
精霊様は……。
「みゃあ♪」
……今のところ、仲良くしてくれそうです!
40
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて自由になったので、辺境で薬師になったら最強騎士に溺愛されました
有賀冬馬
恋愛
「愛想がないから妹と結婚する」と言われ、理不尽に婚約破棄されたクラリス。
貴族のしがらみも愛想笑いもこりごりです!
失意どころか自由を手にした彼女は、辺境の地で薬師として新たな人生を始めます。
辺境で薬師として働く中で出会ったのは、強くて優しい無骨な騎士・オリヴァー。誠実で不器用な彼にどんどん惹かれていき……
「お前が笑ってくれるなら、それだけでいい」
不器用なふたりの、やさしくて甘い恋が始まります。
彼とのあたたかい結婚生活が始まった頃、没落した元婚約者と妹が涙目で擦り寄ってきて――
「お断りします。今さら、遅いわよ」
婚約破棄された私はカエルにされましたが、悪役令嬢な妹が拾って舞踏会で全部ひっくり返します
まぴ56
恋愛
異世界貴族の私は、婚約者に捨てられ――口封じに“蛙”へ。
声も出せず噴水の縁で震える私を拾ったのは、嫌味たっぷりで見下すように笑う妹のミレイだった。
「汚らしいお姉さま――わたくしが連れ帰って、たっぷり苛めて差し上げますわ」
冷たく弄ぶふりをしながら、夜な夜な呪いの文献を漁るミレイ。
やがて迎える、王も出席する大舞踏会。ミレイの千里眼が映す“真実”が、裏切り者たちの仮面を剥ぎ取っていく――
呪いが解ける条件は、最後のひと押し。
姉妹の絆が、ざまぁと逆転を連れてくる。
落ちこぼれで婚約破棄されて周りから醜いと言われる令嬢は学園で王子に溺愛される
つちのこうや
恋愛
貴族の中で身分が低く、落ちこぼれで婚約破棄されて周りから醜いと言われる令嬢の私。
そんな私の趣味は裁縫だった。そんな私が、ある日、宮殿の中の学園でぬいぐるみを拾った。
どうやら、近くの国から留学に来ているイケメン王子のもののようだけど…
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
平穏な生活を望む美貌の子爵令嬢は、王太子様に嫌われたくて必死です
美並ナナ
恋愛
類稀なる美貌を誇る子爵令嬢シェイラは、
社交界デビューとなる15歳のデビュタントで
公爵令息のギルバートに見初められ、
彼の婚約者となる。
下級貴族である子爵家の令嬢と
上級貴族の中でも位の高い公爵家との婚約は、
異例の玉の輿を将来約束された意味を持つ。
そんな多くの女性が羨む婚約から2年が経ったある日、
シェイラはギルバートが他の令嬢と
熱い抱擁と口づけを交わしている場面を目撃。
その場で婚約破棄を告げられる。
その美貌を翳らせて、悲しみに暮れるシェイラ。
だが、その心の内は歓喜に沸いていた。
身の丈に合った平穏な暮らしを望むシェイラは
この婚約を破棄したいとずっと願っていたのだ。
ようやくこの時が来たと内心喜ぶシェイラだったが、
その時予想外の人物が現れる。
なぜか王太子フェリクスが颯爽と姿を現し、
後で揉めないように王族である自分が
この婚約破棄の証人になると笑顔で宣言したのだ。
しかもその日以降、
フェリクスはなにかとシェイラに構ってくるように。
公爵子息以上に高貴な身分である王太子とは
絶対に関わり合いになりたくないシェイラは
策を打つことにして――?
※設定がゆるい部分もあると思いますので、気楽にお読み頂ければ幸いです。
※本作品は、エブリスタ様・小説家になろう様でも掲載しています。
婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
パシーン キャロラインの張り手が男に飛んでいた。婚約破棄されて友人とやけ酒を飲んでいるところに現れたイケメンの男が「男を立てないから婚約破棄されたんじゃないの?」と言ってくれたから機嫌の悪かったキャロラインは男を張り倒していたのだ。
でも、何故かそれから男がキャロラインに執着しだしてもう大変。
上司や親にまで話をし出して外堀がどんどん埋められていき、最後は……
執着されたヒロインが王族まで巻き込んでヒーローにがんじがらめにされてしまうお話しです
処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!
みかぼう。
恋愛
地方を救おうとして『反逆者』に仕立て上げられ、断頭台で散ったエリアナ・ヴァルドレイン。
彼女の失敗は、有能すぎるがゆえに「独りで背負いすぎたこと」だった。
ループから始まった二周目。
彼女はこれまで周囲との間に引いていた「線」を、踏み越えることを決意した。
「お父様、私に『線を引け』と教えた貴方に、処刑台から見た真実をお話しします」
「殿下、私が貴方の『目』となります。王国に張り巡らされた謀略の糸を、共に断ち切りましょう」
淑女の仮面を脱ぎ捨て、父と王太子を「共闘者」へと変貌させる政争の道。
未来知識という『目』を使い、一歩ずつ確実に、破滅への先手を取っていく。
これは、独りで戦い、独りで死んだ令嬢が、信頼と連帯によって王国の未来を塗り替える――緻密かつ大胆なリベンジ政争劇。
「私を神輿にするのなら、覚悟してくださいませ。……その行き先は、貴方の破滅ですわ」
(※カクヨムにも掲載中です。)
「異常」と言われて追放された最強聖女、隣国で超チートな癒しの力で溺愛される〜前世は過労死した介護士、今度は幸せになります〜
赤紫
恋愛
私、リリアナは前世で介護士として過労死した後、異世界で最強の癒しの力を持つ聖女に転生しました。でも完璧すぎる治療魔法を「異常」と恐れられ、婚約者の王太子から「君の力は危険だ」と婚約破棄されて魔獣の森に追放されてしまいます。
絶望の中で瀕死の隣国王子を救ったところ、「君は最高だ!」と初めて私の力を称賛してくれました。新天地では「真の聖女」と呼ばれ、前世の介護経験も活かして疫病を根絶!魔獣との共存も実現して、国民の皆さんから「ありがとう!」の声をたくさんいただきました。
そんな時、私を捨てた元の国で災いが起こり、「戻ってきて」と懇願されたけれど——「私を捨てた国には用はありません」。
今度こそ私は、私を理解してくれる人たちと本当の幸せを掴みます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる