狐の嫁入り〜推しキャラの嫁が来たので、全力でくっつけようと思う〜

紫鶴

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36、その言葉が気になる!

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そして、和やかな夕食が始まればよかった。
君春君がにっこりと笑顔でその言葉を言うまでは。

「つかぬことを聞きますが、苗字は……」

苗字!!
妖にはない苗字!!
ど、どどど、どうしよう!?適当に苗字をでっち上げて調べられたら困る!!珍しい苗字も思いつかないし!!
固まってただにっこりと笑っていると次の瞬間君春君の顔面に炊き立てのご飯の入った茶碗が押し付けられた。

「あっつ!?メガネがあああああっ!!」
「何言ってんの、安倍だよ?」
「おかしいな!?安倍はいつ三人兄弟になったんですかねっ!?」
「変わらず二人兄弟だよ?」
「相変わらずとち狂ってますねぇ!!」

顔面についた米粒を取りながら君春君はため息をつく。それをどうとらえたか知らないが、雪那は何事もなかったように俺の小皿にひょいひょいと沢山おかずを置いていく。

「いっぱい食べてね!」
「ありがとう」
「いえいえ~。あーん」

お前が食べられ無くなるからそれは良いよ。口元に持ってこないで。ああ分かったよ、もう食べるから!
黒は餌付けされている俺をちらっと見ながらも、双熾に気にせずに食べろと促されてもぐもぐと食べ始めている。食欲はあるのか。良かった。

というか、傷治したんだけどバレてないようで何よりです。

君春君も頂きまーすと手を合わせて食べ始めていた。

「そういえば、二人は何かこう違和感ないんですか?」
「違和感……?」

君春君はそう質問をした。黒は首を傾げてそう答えている。俺も同じように首を傾げた。
違和感、声が出ない事?
そう思って喉に手をやる。君春君はうんうんと頷きながらこんなことを言った。

「何か見たとか、何かを感じるとか!」
「どうしてそんなことを聞くんですか?」

黒の質問はごもっとも。俺も頷くと、彼は俺たちの疑問に答えてくれた。

「ここ最近、川付近に黒い何かがあるという通報が相次いでるんです。近寄るとそれが瘴気まみれの人型の何かでして、それが自発的に動き始めるんですよ~」

え!?ここ最近確かにここにきてなかったけど、そんな事件が起きてたの!?やばくない!?ここ危ない!治安悪い!!早く黒連れて帰らないと!!

「なんでも白い髪の少年が~とか狐が~とか言いながら人を襲っているんです」

白い髪の少年?狐?何それ!?
というか、まじでそういうストーリーあったっけ!?確かに事件は起こったよ?何かは忘れたけど!!あと、その話をなんで一般人の俺たちにするの?無関係ですが!

「それって俺たちを疑っている、ということですか?」
「いいえ!そういうわけではありませんが、情報は多い方が良いでしょう?唯一生きてる被害者ですし!」

被害者みんな死んでるの!?というか、中身あるのか!そうか!俺も黒も瘴気まみれになって黒くなってただけだもんね!じゃあ、被害者って、神隠し的に遭っちゃってあの川に落ちちゃった人ってことだよね?
あの川、あんなのなかったと思う。多分。
いや、最近は使ってないし見回りもしなかったから分からない。黒にばかり構っていたからこんなことになってしまったのだろうか。理不尽にあんなところに来て死んでしまった……。
ずんっと胸に重いものがのしかかったようだ。
俺が責任を感じるのはお門違いだと思うが、俺が見つけていればこんなことにはならなかったのに……。

「ところで、先ほどから気になってたんですけど琥珀さんはなんで話さないんですか?」
「瘴気で声が出ないんだ」
「……え?」
「だから、瘴気で声が出ないんだ。かなりやられていてな、生きているのが不思議なくらいだ」
「えっ!?」

酷く、君春君は驚きの表情で俺から黒を見る。

「か、飼ってる・・・・わけじゃないの!?」
「なっ!琥珀に対して失礼ですよ!!飼うだなんて!犬猫じゃないんだから!!」
「ご、ごめんなさい!!」

丁寧に土下座をした君春君。黒はふんっと不機嫌に鼻を鳴らした。俺もその言葉には驚いた。
そういう風俗にいるような人に見えたのかな俺。それとも黒が金持ちの息子にでも……。
……そのフレーズ聞いたことあるな。気のせいか?どこで聞いた?
そんな事を思っていたが、雪那が君春君を立たせて無言で拳を振り上げるので慌てて雪那の腰にしがみついた。
ダメだって!それお互い痛い奴!!
ぎゅううっと必死にしがみつくと雪那が大きく舌打ちをして乱暴に君春君を話した。俺は慌てて彼に駆け寄ろうとしたが、雪那に正面から抱きしめられてそのまま席に戻された。
大丈夫か君春君!!
ちらちらと彼を見ると、彼は平気なようだ。それよりも何か考え込んでいる表情である。

「あれのことは気にしなくていいからね?」
「そうだよ!!失礼な人だよね全く!!」

二人ともなんでそんなに気にしてるの?大丈夫だよ別にそこまで気にかけなくても。俺が気にしてないから流して?睨まないであげて……?

「飯が冷める。話が終わったら食べたらどうだ」

双熾の言葉に黒と雪那は静かに席に着いた。視線は二人とも君春君だ。そんなに警戒しなくてもよくないか?
俺も同じように彼を見て、目が合った。
とりあえず笑って頷く。大丈夫。君は別に悪い事は言ってない。ただ、ちょっと正直なだけ!うん!
ぐっとこぶしを握って応援ポーズをしたが、彼はぼそりと呟いた。

「よくここまで生きてたなぁ……」

しみじみとそういうので無意識だったのだろう。次の瞬間雪那と黒が鬼の形相で飛びかかって別室に連れていかれた。双熾が俺の後ろに回ってそっと俺の耳を抑える。一応人型なので人の耳だ。不思議なことに何も聞こえない。双熾が式を練っているのか、雪那がやっているのか分からないが、暫くして二人は不機嫌な表情で帰ってきた。

「君春さんは?」
「帰った」
「帰りました」
「……そうか」

黒と雪那が同時にそう言って双熾は静かに頷いた。俺もそうかっと思いながら君春君達者でと心の中で激励しておく。
それにしても、飼う……。うーん、いつもならそんなに気にならないワードなんだけど俺最近これどこかで聞いたのかな?すんごく気になる。

うーん、寝たら思い出すかな?
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