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原初の記憶
禍根の出会い
一応王族という身分の手前お茶会なるものに参加するしかなかった俺は第四王子というのは地位的に微妙な立ち位置である。
というのも現在権力争いで三分裂化しているので第四王子に構うより有力な兄達にひっついていた方がいいのだ。
その上、俺はその三人の兄たちと仲がすごぶる悪いので(なぜかわからんが)橋渡しのもならない。
また、俺はゆくゆくは田舎に隠居し、王族とは無縁の存在になる予定らしく(偶然知ってしまった)それを知っている貴族(ここに招かれている貴族全員)は俺に婚約を申し込むこともない。つまり令嬢も群がらない。
兎に角俺と話すのは挨拶程度の者たちが多く取り巻きも友達もいない俺は一人で誰一人としててのつけていないお菓子を貪るだけの存在だ。
父や母に体裁が悪いからと参加させられるので拒否もできないお茶会は退屈である。
この時間があればどれだけ好きなことができるのか……。
毎回そう嘆きながらクッキーをぽりぽり食べながら、バルコニーに出て枠のところにグラスを置く。すると話し声がしたので真下の庭を見下ろした。
そこには数人の男の子が一人の男の子の肩を小突きあったり、「みすぼらしい」「田舎もんは早く帰れ」などと言葉を発している。
その言われている男の子がが派手に転ぶと腹を抱え指をさして笑っているのが見えた。
うわ、どうしよ。誰か呼ばないと。
そう焦ったらグラスが傾いて中身が下に流れ出た。慌ててグラスを取ったので落ちることはなかったが下で中身がかかったものは怒って声を上げている。
「誰だっ!!これはこの日のために仕立てた高級な服だぞ!!弁償し……」
「ご、ごめんなさい!」
俺と目が合うと彼はわかりやすく顔を青ざめた。いくら最終的には王族と関係なくなるとはいえ今はまだその地位はある。そんな俺に先程の口の利き方はまずいと思ったのだ。わかる。俺も君と同じ立場なら同じことする。
「い、いえ!失礼しましたっ!!」
そう言って蜘蛛の子を散らすように彼らが中に入っていく。
うん、悪いことしたなぁ。いくら誰かをいじめているとはいえこの仕打ちはないわ。
王族主催のお茶会で一張羅を着るのは当たり前だし、それを汚されたら怒るに決まってる。
偶然とはいえ落ち込んではあっとため息をついてから、いじめられていた子を見た。彼はぽかんとしてこちらを見上げている。じいっと俺も見つめ返すがなかなか起き上がらないので首を傾げて下に飛び降りた。
彼に近寄って手を差し伸べるとハッとして自身の土がついた手を拭いて握ってくれた。別に汚れたままでもいいのに。
引っ張り上げて服についた土も払ってあげると「あの」っと声をかけられた。
「なに?」
「た、助けていただいて、ありがとうございました……」
単なる事故だったが、まあ、馬鹿正直に言わなくてもいいだろう。
「痛いところない?」
「平気です」
「ならいいんだ」
せっかくの一張羅が汚れてしまっているので魔法で洗浄をして綺麗にするととても驚かれた。それからキラキラとした瞳でずずいとよってくる。
「すごいです!こんな魔法が使えるんですか!!」
「あー、まあね……」
趣味の一環でできるようになったものなのであまり褒められるようなことではない。まあ、貴族は自分で洗うなんてことはしないからそういう発想がないとは思うが。
「素晴らしいです!お優しいだけではなく聡明なんですね!」
「ありがとう」
見え透いたお世辞を流しながら一通り傷や汚れがないか確認する。
大丈夫そうだ。
俺はもう用はないとポンポンっと彼の肩を叩いて中に入っていった。ちょうどお開きになったようで本日主催者の母が話をし終わり続々と貴族たちが帰っていく。
ようやく解放されたので誰もいない場所で転移魔法を使いすぐさま自室にこもる。
「はー、早く王族やめたい」
そうしたらのんびり自給自足生活をしながら好きな実験ができるのに。
そう嘆くが、最低でもあと6年は経たないとあの話も降ってこないだろう。なんせまだ12歳。
15歳から入学する学院に卒業までは行かせないと王族としてのメンツが立たない。そこは三年もいないといけないから6年もかかるのだ。
やってらんねーっと片手間に紅茶を入れながら、俺の趣味の研究の方に思考をシフトさせた。
この時、俺は彼に会うのは初めてだった。
しかし、彼はすでに俺を知っていて、役目を放棄するほど観察していた。
それを知ったのは、王族から外され辺境の地に追いやられた18歳の時。
窓も扉もない白い部屋に連れ去られた時。
天使の笑みで彼にこう言われた時。
「ずっと貴方のことを監視してました」
戻れるなら今すぐ過去の俺に言いたい。
王族としての責務を果たしているかと、とある貴族のやべぇ奴がお前を監視する任務を請け持って尚且つ、何か知らんが俺の行動で好きになったらしいから今すぐ堕落貴族に成りさがれ。
あと、趣味の研究やめて!!それを悪用されて監禁されっから!!
それのせいで今でも追われてっからぁ!!
というのも現在権力争いで三分裂化しているので第四王子に構うより有力な兄達にひっついていた方がいいのだ。
その上、俺はその三人の兄たちと仲がすごぶる悪いので(なぜかわからんが)橋渡しのもならない。
また、俺はゆくゆくは田舎に隠居し、王族とは無縁の存在になる予定らしく(偶然知ってしまった)それを知っている貴族(ここに招かれている貴族全員)は俺に婚約を申し込むこともない。つまり令嬢も群がらない。
兎に角俺と話すのは挨拶程度の者たちが多く取り巻きも友達もいない俺は一人で誰一人としててのつけていないお菓子を貪るだけの存在だ。
父や母に体裁が悪いからと参加させられるので拒否もできないお茶会は退屈である。
この時間があればどれだけ好きなことができるのか……。
毎回そう嘆きながらクッキーをぽりぽり食べながら、バルコニーに出て枠のところにグラスを置く。すると話し声がしたので真下の庭を見下ろした。
そこには数人の男の子が一人の男の子の肩を小突きあったり、「みすぼらしい」「田舎もんは早く帰れ」などと言葉を発している。
その言われている男の子がが派手に転ぶと腹を抱え指をさして笑っているのが見えた。
うわ、どうしよ。誰か呼ばないと。
そう焦ったらグラスが傾いて中身が下に流れ出た。慌ててグラスを取ったので落ちることはなかったが下で中身がかかったものは怒って声を上げている。
「誰だっ!!これはこの日のために仕立てた高級な服だぞ!!弁償し……」
「ご、ごめんなさい!」
俺と目が合うと彼はわかりやすく顔を青ざめた。いくら最終的には王族と関係なくなるとはいえ今はまだその地位はある。そんな俺に先程の口の利き方はまずいと思ったのだ。わかる。俺も君と同じ立場なら同じことする。
「い、いえ!失礼しましたっ!!」
そう言って蜘蛛の子を散らすように彼らが中に入っていく。
うん、悪いことしたなぁ。いくら誰かをいじめているとはいえこの仕打ちはないわ。
王族主催のお茶会で一張羅を着るのは当たり前だし、それを汚されたら怒るに決まってる。
偶然とはいえ落ち込んではあっとため息をついてから、いじめられていた子を見た。彼はぽかんとしてこちらを見上げている。じいっと俺も見つめ返すがなかなか起き上がらないので首を傾げて下に飛び降りた。
彼に近寄って手を差し伸べるとハッとして自身の土がついた手を拭いて握ってくれた。別に汚れたままでもいいのに。
引っ張り上げて服についた土も払ってあげると「あの」っと声をかけられた。
「なに?」
「た、助けていただいて、ありがとうございました……」
単なる事故だったが、まあ、馬鹿正直に言わなくてもいいだろう。
「痛いところない?」
「平気です」
「ならいいんだ」
せっかくの一張羅が汚れてしまっているので魔法で洗浄をして綺麗にするととても驚かれた。それからキラキラとした瞳でずずいとよってくる。
「すごいです!こんな魔法が使えるんですか!!」
「あー、まあね……」
趣味の一環でできるようになったものなのであまり褒められるようなことではない。まあ、貴族は自分で洗うなんてことはしないからそういう発想がないとは思うが。
「素晴らしいです!お優しいだけではなく聡明なんですね!」
「ありがとう」
見え透いたお世辞を流しながら一通り傷や汚れがないか確認する。
大丈夫そうだ。
俺はもう用はないとポンポンっと彼の肩を叩いて中に入っていった。ちょうどお開きになったようで本日主催者の母が話をし終わり続々と貴族たちが帰っていく。
ようやく解放されたので誰もいない場所で転移魔法を使いすぐさま自室にこもる。
「はー、早く王族やめたい」
そうしたらのんびり自給自足生活をしながら好きな実験ができるのに。
そう嘆くが、最低でもあと6年は経たないとあの話も降ってこないだろう。なんせまだ12歳。
15歳から入学する学院に卒業までは行かせないと王族としてのメンツが立たない。そこは三年もいないといけないから6年もかかるのだ。
やってらんねーっと片手間に紅茶を入れながら、俺の趣味の研究の方に思考をシフトさせた。
この時、俺は彼に会うのは初めてだった。
しかし、彼はすでに俺を知っていて、役目を放棄するほど観察していた。
それを知ったのは、王族から外され辺境の地に追いやられた18歳の時。
窓も扉もない白い部屋に連れ去られた時。
天使の笑みで彼にこう言われた時。
「ずっと貴方のことを監視してました」
戻れるなら今すぐ過去の俺に言いたい。
王族としての責務を果たしているかと、とある貴族のやべぇ奴がお前を監視する任務を請け持って尚且つ、何か知らんが俺の行動で好きになったらしいから今すぐ堕落貴族に成りさがれ。
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