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6歳の俺
孤児6歳 11
数ヵ月経った。カイルもエトさんもこの孤児院に慣れて今では完全な一員となっている。だから、俺はエトさんの首についているやつを破壊した。子供と接する上でよくないものだと思ったので。勿論彼が寝ている間に終わらせた。起きたらすごくエトさんが驚いていて、熱心に俺を見ていたが知らないふりをした。俺はなにもしていない。その契約の紙が奇跡的にどこかで破棄されたんだよ。うん。
ふわあっとあくびをして俺は昼御飯をもらいながら席につき、午後は何をしようかと考える。フェルトさんに借りた本はもう既に読み終わってしまって暇な日々を過ごしている。暇とはいってもルチアーノと絵本を読むぐらいの予定しかないからであるが。
あ、ルチアーノといえばもうあの服完成してたからそれを彼にあげるか。
外で遊ぶのも嫌だしね。子供の体力に俺はついていけないのだ。最近はいってきたカイルはそのルックスと性格のよさから変わらず輪の中心にいるのでしょっちゅう外で遊んでいる。大変そうだ。
「おはよう、アズール隣良いかな?」
「んあ?ああ、うんいいよ」
「ありがとう」
カイルがそう言って隣に座ってきた。俺の逆隣にはルチアーノがいて最近の定位置となっている。向かいにはマイクとイリーナだったが、最近は取り合いになっていて騒がしい。今日の昼御飯はパンと畑で栽培している野菜の入ったスープだ。
「それでは、神の恵みに感謝していただきます」
「いただきまーす」
手を合わせてそう言って食べ始める。固いパンをスープに浸してスプーンで食べるとふやふやになって食べやすく美味しい。もぐもぐと食べていると回りの子供はかなりの早食いでばくばく口の中に入れてほとんど外で遊んでいる。早い。ルチアーノも兎に角口の中に食べ物をいれるっていう荒業で腹の中に食べ物をつめている。もっとゆっくり食べても良いのに。カイルも同じようなものだ。環境が環境なだけに皆早食いの傾向なんだな。
俺は遅いけどね!!!
マイペースにモグモグ食べていると、カイルは食べ終わった後にそれじゃあっと言って皿を片付けた後に遊びにいった。ルチアーノは俺の横に座ってじいいいっと俺を見ている。最初は食べずらくて嫌だったがもう慣れた。時の流れって怖いね。
「ごちそうさまでした」
「アズール!部屋で本読も!」
「ああ、ちょっと待って」
ぐいぐいとルチアーノに手を引かれていつもの絵本読むタイムにはいる前に俺はルチアーノをアンジェリカさんの部屋に連れていく。きょとんとしてルチアーノがその扉の前に立つのでノックを数回した後に中に入った。アンジェリカさんのこの部屋に入ることは許可されているので勝手に入っても怒られない。
「勝手に入って良いの……?」
「うん、許可とってるからね」
「そうなんだ」
まあ、目的もなく入るところじゃないしね。俺は棚の上から大きな箱を魔法で下ろし中身を確認する。それからそれを箱から引っ張り出した。
「はいこれ、ルチアーノ用の」
「……?」
全身を覆い、かつ、動きやすいフォルムの伸縮性抜群遮光性抜群の代物だ。数ヵ月前の犯罪集団を逮捕する立役者になったらしい俺が頼んだ報奨だ。特に思い付かなかったのでルチアーノのためにこれを作った。魔法具の一種なので体の大きさに合わせてサイズも変わる代物だ。魔法具なので。伸縮性があって遮光性抜群の布だけ貰い、機能性向上の付与、使用者の体に合わせて形も見た目も変化する学習能力をつけて、あと、寒暖差にも対応できて……などなどと色々やっていたらこんなものになった。
「とりあえず着てみて。ズボンと上着脱いで」
「う、うん……」
ズボンと上の洋服を脱いでそれを着る。そして俺の作った首つき&手も覆う洋服をセットできた瞬間その服が今までゆったりしたものがびちっと自動でルチアーノの肌にくっつくように変化した。これで激しく動いても大丈夫のはずだ。ルチアーノはぎょっとしいて俺の方を見たが、俺が気にせずそれに触って確かめている事を見て黙っている。その服は黒色だったがしばらくして透明になりルチアーノの肌が露になる。うん、ここまでは計算通り。
「ルチアーノ服着て」
「え、あ、うん……」
そう言ってルチアーノは服を着た。それから完全に先程の服を着ているとは思えない姿になって興味深そうに自分の体を触ってわあっと驚いている。
さて、体と首はこれで良いが問題は顔だった。そこで、帽子と一緒にその布を下げた、いわゆるお姫様とかが顔見せないようにベールをかける奴みたいなのにしてみた。耳にかけて紐が結べて固定できるようにしたけど、ちょっと動きにくいよねこれ。
箱から一応それを出してルチアーノの頭に被せて耳にかけて紐を結ぶ。このベールみたいなのも透明になるのでルチアーノの顔が見えるようになる。うーん。これで良いかな?
「あの、アズール。これって何……?」
「ん?ああ、これは光を遮る機能が高い布で、日中でもルチアーノが外に出られるようにって俺が作ったやつ。とりあえず、本当に大丈夫かどうか確かめたいから外に出てもらっても良い?」
「……っ!うん!!!」
良い返事をもらえたので早速ルチアーノを連れて外に出てみた。ルチアーノはためらいもなく外に出たので焦ったがルチアーノは肌が痛くないようではしゃいでいた。
「ありがとうアズール!これでアズールと一緒に買い物に行ける!!」
「あ、うんそうね」
皆と遊べるじゃなくて、そこなのね。俺は苦笑しながら外でルチアーノと遊んでみる。他の子を誘おうかと思ったがもみくちゃになった末に帽子が外れたら大変なので試験使用中は彼らの目の届かないところで遊ぶことにする。となると、裏庭の方で遊ぶ事になる。
「何して遊ぶ?」
「え!?うーん、えーっとねー……」
ルチアーノはえーっとえーっとっと言いながら、あっと声を出した。それからぎゅっと俺の手を握って顔を近づける。
「散歩!散歩したい!!」
「そんなのでいいの?」
「うん!!」
遊びでもないが二人だけだと遊ぶこともままならないか。ルチアーノと手を繋いでとりあえず近くの森に散歩に向かう。えへへへ~っと笑顔のままルチアーノは俺の腕に引っ付いて歩く。ルチアーノはほとんど日中家から出たことがないから新鮮なのだろう。あれはなに?あれは!?っとなんでもかんでも指差して興味を示す。俺は
その度にどんなものかを話す。俺の知識が役に立ったようで良かった。
そうこうしているうちに、湖についたようだ。結構歩いてしまったようだ。どうりで疲れたと思ったんだよ。
「少し休憩して良い?」
「あ!うん!!」
俺は湖の近くに腰を下ろして水を飲む。ついでに道中拾ってきた食べられる木の実をルチアーノと分けて食べる。うまい。お菓子にすればもっと美味しいだろうなと思いながら口の中に放り込んで、ふうっと一息つく。
ふうっともう一度息を吐いてさてっと腰をあげた。ルチアーノは俺が立ち上がったのを見てすぐに腕に引っ付く。
「ねえ、今度はこっち行きたい!」
「いいよ」
ルチアーノが指差した方向に歩き出し、ついでに木の実を集めて夕飯の足しにする。鞄を持ってきているのでその中にどんどんつめていく。ルチアーノも同じように木の実を集めてくれて鞄はすぐに一杯になった。俺はそれを背負ってルチアーノと散歩をする。とはいえ、そろそろ日が暮れてきて暗くなってきた。帰らないといけないな。
「ルチアーノのそろそろ帰ろうか」
「うん!」
そう言ってルチアーノと俺は引き返すために後ろを振り向いた。そこであれ?っと首をかしげた。こんな道だったか……?
まあ、兎に角進んでみるかっと歩き出そうとして、ルチアーノがどこからともなく包丁をてにしていたことに気がついた。今の今までなかったはずなのにどうして手にしているのかわからずひえっと声が漏れた。それだけではなく、周りを警戒するように見渡すので何事かと俺も周りを見渡す。
な、何かいるのか……?幽霊とかその類いだったら怖いんだけど。
「ル、ルチアーノ、な、何かいるの……?」
「うん」
「え、嘘。待ってどこにいるの……?」
「わかんない」
「ちょちょちょ、怖いんだけど!?」
慌ててルチアーノの小さい背中に隠れて周囲を見渡す。俺の目には何も見えないし、何も感じないのだがルチアーノには何か感じるらしい。やだ、俺霊感ないんだよぉ……。
ルチアーノが包丁を持ち直しながら警戒を緩めない。ごくっと俺が固唾を飲むとがさがさっと草むらが動いた。そしてそれは複数のいる動きをしてこちらに近づいてくる。ひっと俺が悲鳴をあげるなかルチアーノは微動だにせずに、睨み付ける。
そして、次の瞬間それが一斉に飛び出した。
「ぎゃああああああっ!!」
俺は情けなく叫んで頭を抱えて小さくなるが、「ピギャ!」「フギャ!!」「ウンギャーっ!!」っと同じような情けない声をあげているのを聞いてん?っと首をかしげる。そろっと顔をあげて確認すると、ルチアーノが黒い粘着質の何かに包丁の切っ先を向けている。俺は、あーっと声をあげ苦笑した。そのままルチアーノが包丁を持ってそれに追撃をしようとするので彼の肩をつかんでやめさせた。
「ルチアーノ、それ、ただの悪魔だから大丈夫だよ」
「……あくま……?」
「そう、おいで~」
俺がルチアーノの前に出て手を出すと恐る恐るその三匹は俺の前に現れて手にすり寄る。形が整形されていないぐにゃぐにゃのそれは、悪魔だ。
「悪魔って、こんなところにもいるの?」
「うん。悪魔は暗いところ隙間とかにいるんだよ。召喚されて来たわけではないから実体が不安定なんだよね。だからこんなかたちになってるんだよ。召喚されているわけではないから大丈夫だよ」
「そうなの……?」
「そうそう」
俺はそう言って三匹のそれを順番に撫でる。悪魔っていうのは悪魔同士のネットワークがあり、俺が召喚士で悪魔に対して好感的であることが知れ渡っているんだ。だから遊びに来た。
「ダイジョブ?」
「ダイジョブダイジョブ?」
「うん、もう大丈夫だよ。ちょっと彼が君たちにビックリしただけなんだよ。ごめんね」
「イーヨー」
「アソボー」
「アソボウ、召喚士~」
ぐにゃぐにゃ、うねうねと悪魔たちが動く。うーん、遊びたいのは山々だがもう帰らないといけないんだよね。うーん、よし、後伸ばしにしよう。
「よーしよしよし、では第一回大きなウサギを捕まえるのはだーれだ!!を開催いたします!」
「オオー!」
「ドンドンパフパフ~」
「イエイイエーイ!!」
俺が高らかに宣言すると三匹の悪魔がぴょんぴょん跳び跳ねる。俺は盛り上がっている三びきに対してんんっと咳払いをして落ち着けっという動きを見せると、それって何?何々!?っと迫ってくる。
「このゲームはいたって簡単、明日のこの時間までに誰よりも大きなウサギを捕まえてくること。一番大きいウサギを持ってきたものには、この俺の魔力で作り出した花束をあげよう!参加賞には花冠をあげまーす。それでは、よーい、スタート!!」
「ヒギャアアアア!!」
「インヤアアアアア!!」
「キエアアアアア!!」
変な喜びの雄叫びをあげて彼らは森の中に消えた。ルチアーノがその様子に少し怖がって俺の腕をつかんだがどこかに行ったことがわかってほっと息をはく。いつの間にかルチアーノの手から包丁は消えていた。聞きたいんだけど、聞いたらやばそうだから今はやめとこう。うん、の、後々聞けば、ね?後々、ね?万が一刺されるのが怖いとかじゃないから!!!
「帰ろうか、ルチアーノ」
「うん。また明日お散歩してくれる?」
「いいよ。あ、でもさっき聞いてたと思うけど順位決めないといけないからこの時間にはここに来るからそれまでにはルチアーノは帰ってね」
「ううん、僕も一緒にいく!」
「……あ、そう」
ルチアーノって変わってるなぁ。俺はそう思いながら孤児院に戻った。そこではもう既にそとで遊んでいた子達が中に帰っていて、俺たちは何食わぬ顔で裏から入った。いつも俺たちは適当な空き部屋で本読んで寝てるぐらいで、誰も探すことはない。そのまま厨房まで行くと既に夕飯の準備をしている人たちが二人いた。俺は彼らに採ってきた木の実を渡すとデザートにしようと喜んでくれた。お腹一杯まで食べさせられないのが心苦しいけど、明日はウサギ持ってくるから……。
後は、ルチアーノと本を読んで夕飯食べてお風呂入って(俺が水を作って沸かしてる)そのまま寝た。あ、ルチアーノの服は俺が丁寧に洗って乾かした(魔法で)。
ふわあっとあくびをして俺は昼御飯をもらいながら席につき、午後は何をしようかと考える。フェルトさんに借りた本はもう既に読み終わってしまって暇な日々を過ごしている。暇とはいってもルチアーノと絵本を読むぐらいの予定しかないからであるが。
あ、ルチアーノといえばもうあの服完成してたからそれを彼にあげるか。
外で遊ぶのも嫌だしね。子供の体力に俺はついていけないのだ。最近はいってきたカイルはそのルックスと性格のよさから変わらず輪の中心にいるのでしょっちゅう外で遊んでいる。大変そうだ。
「おはよう、アズール隣良いかな?」
「んあ?ああ、うんいいよ」
「ありがとう」
カイルがそう言って隣に座ってきた。俺の逆隣にはルチアーノがいて最近の定位置となっている。向かいにはマイクとイリーナだったが、最近は取り合いになっていて騒がしい。今日の昼御飯はパンと畑で栽培している野菜の入ったスープだ。
「それでは、神の恵みに感謝していただきます」
「いただきまーす」
手を合わせてそう言って食べ始める。固いパンをスープに浸してスプーンで食べるとふやふやになって食べやすく美味しい。もぐもぐと食べていると回りの子供はかなりの早食いでばくばく口の中に入れてほとんど外で遊んでいる。早い。ルチアーノも兎に角口の中に食べ物をいれるっていう荒業で腹の中に食べ物をつめている。もっとゆっくり食べても良いのに。カイルも同じようなものだ。環境が環境なだけに皆早食いの傾向なんだな。
俺は遅いけどね!!!
マイペースにモグモグ食べていると、カイルは食べ終わった後にそれじゃあっと言って皿を片付けた後に遊びにいった。ルチアーノは俺の横に座ってじいいいっと俺を見ている。最初は食べずらくて嫌だったがもう慣れた。時の流れって怖いね。
「ごちそうさまでした」
「アズール!部屋で本読も!」
「ああ、ちょっと待って」
ぐいぐいとルチアーノに手を引かれていつもの絵本読むタイムにはいる前に俺はルチアーノをアンジェリカさんの部屋に連れていく。きょとんとしてルチアーノがその扉の前に立つのでノックを数回した後に中に入った。アンジェリカさんのこの部屋に入ることは許可されているので勝手に入っても怒られない。
「勝手に入って良いの……?」
「うん、許可とってるからね」
「そうなんだ」
まあ、目的もなく入るところじゃないしね。俺は棚の上から大きな箱を魔法で下ろし中身を確認する。それからそれを箱から引っ張り出した。
「はいこれ、ルチアーノ用の」
「……?」
全身を覆い、かつ、動きやすいフォルムの伸縮性抜群遮光性抜群の代物だ。数ヵ月前の犯罪集団を逮捕する立役者になったらしい俺が頼んだ報奨だ。特に思い付かなかったのでルチアーノのためにこれを作った。魔法具の一種なので体の大きさに合わせてサイズも変わる代物だ。魔法具なので。伸縮性があって遮光性抜群の布だけ貰い、機能性向上の付与、使用者の体に合わせて形も見た目も変化する学習能力をつけて、あと、寒暖差にも対応できて……などなどと色々やっていたらこんなものになった。
「とりあえず着てみて。ズボンと上着脱いで」
「う、うん……」
ズボンと上の洋服を脱いでそれを着る。そして俺の作った首つき&手も覆う洋服をセットできた瞬間その服が今までゆったりしたものがびちっと自動でルチアーノの肌にくっつくように変化した。これで激しく動いても大丈夫のはずだ。ルチアーノはぎょっとしいて俺の方を見たが、俺が気にせずそれに触って確かめている事を見て黙っている。その服は黒色だったがしばらくして透明になりルチアーノの肌が露になる。うん、ここまでは計算通り。
「ルチアーノ服着て」
「え、あ、うん……」
そう言ってルチアーノは服を着た。それから完全に先程の服を着ているとは思えない姿になって興味深そうに自分の体を触ってわあっと驚いている。
さて、体と首はこれで良いが問題は顔だった。そこで、帽子と一緒にその布を下げた、いわゆるお姫様とかが顔見せないようにベールをかける奴みたいなのにしてみた。耳にかけて紐が結べて固定できるようにしたけど、ちょっと動きにくいよねこれ。
箱から一応それを出してルチアーノの頭に被せて耳にかけて紐を結ぶ。このベールみたいなのも透明になるのでルチアーノの顔が見えるようになる。うーん。これで良いかな?
「あの、アズール。これって何……?」
「ん?ああ、これは光を遮る機能が高い布で、日中でもルチアーノが外に出られるようにって俺が作ったやつ。とりあえず、本当に大丈夫かどうか確かめたいから外に出てもらっても良い?」
「……っ!うん!!!」
良い返事をもらえたので早速ルチアーノを連れて外に出てみた。ルチアーノはためらいもなく外に出たので焦ったがルチアーノは肌が痛くないようではしゃいでいた。
「ありがとうアズール!これでアズールと一緒に買い物に行ける!!」
「あ、うんそうね」
皆と遊べるじゃなくて、そこなのね。俺は苦笑しながら外でルチアーノと遊んでみる。他の子を誘おうかと思ったがもみくちゃになった末に帽子が外れたら大変なので試験使用中は彼らの目の届かないところで遊ぶことにする。となると、裏庭の方で遊ぶ事になる。
「何して遊ぶ?」
「え!?うーん、えーっとねー……」
ルチアーノはえーっとえーっとっと言いながら、あっと声を出した。それからぎゅっと俺の手を握って顔を近づける。
「散歩!散歩したい!!」
「そんなのでいいの?」
「うん!!」
遊びでもないが二人だけだと遊ぶこともままならないか。ルチアーノと手を繋いでとりあえず近くの森に散歩に向かう。えへへへ~っと笑顔のままルチアーノは俺の腕に引っ付いて歩く。ルチアーノはほとんど日中家から出たことがないから新鮮なのだろう。あれはなに?あれは!?っとなんでもかんでも指差して興味を示す。俺は
その度にどんなものかを話す。俺の知識が役に立ったようで良かった。
そうこうしているうちに、湖についたようだ。結構歩いてしまったようだ。どうりで疲れたと思ったんだよ。
「少し休憩して良い?」
「あ!うん!!」
俺は湖の近くに腰を下ろして水を飲む。ついでに道中拾ってきた食べられる木の実をルチアーノと分けて食べる。うまい。お菓子にすればもっと美味しいだろうなと思いながら口の中に放り込んで、ふうっと一息つく。
ふうっともう一度息を吐いてさてっと腰をあげた。ルチアーノは俺が立ち上がったのを見てすぐに腕に引っ付く。
「ねえ、今度はこっち行きたい!」
「いいよ」
ルチアーノが指差した方向に歩き出し、ついでに木の実を集めて夕飯の足しにする。鞄を持ってきているのでその中にどんどんつめていく。ルチアーノも同じように木の実を集めてくれて鞄はすぐに一杯になった。俺はそれを背負ってルチアーノと散歩をする。とはいえ、そろそろ日が暮れてきて暗くなってきた。帰らないといけないな。
「ルチアーノのそろそろ帰ろうか」
「うん!」
そう言ってルチアーノと俺は引き返すために後ろを振り向いた。そこであれ?っと首をかしげた。こんな道だったか……?
まあ、兎に角進んでみるかっと歩き出そうとして、ルチアーノがどこからともなく包丁をてにしていたことに気がついた。今の今までなかったはずなのにどうして手にしているのかわからずひえっと声が漏れた。それだけではなく、周りを警戒するように見渡すので何事かと俺も周りを見渡す。
な、何かいるのか……?幽霊とかその類いだったら怖いんだけど。
「ル、ルチアーノ、な、何かいるの……?」
「うん」
「え、嘘。待ってどこにいるの……?」
「わかんない」
「ちょちょちょ、怖いんだけど!?」
慌ててルチアーノの小さい背中に隠れて周囲を見渡す。俺の目には何も見えないし、何も感じないのだがルチアーノには何か感じるらしい。やだ、俺霊感ないんだよぉ……。
ルチアーノが包丁を持ち直しながら警戒を緩めない。ごくっと俺が固唾を飲むとがさがさっと草むらが動いた。そしてそれは複数のいる動きをしてこちらに近づいてくる。ひっと俺が悲鳴をあげるなかルチアーノは微動だにせずに、睨み付ける。
そして、次の瞬間それが一斉に飛び出した。
「ぎゃああああああっ!!」
俺は情けなく叫んで頭を抱えて小さくなるが、「ピギャ!」「フギャ!!」「ウンギャーっ!!」っと同じような情けない声をあげているのを聞いてん?っと首をかしげる。そろっと顔をあげて確認すると、ルチアーノが黒い粘着質の何かに包丁の切っ先を向けている。俺は、あーっと声をあげ苦笑した。そのままルチアーノが包丁を持ってそれに追撃をしようとするので彼の肩をつかんでやめさせた。
「ルチアーノ、それ、ただの悪魔だから大丈夫だよ」
「……あくま……?」
「そう、おいで~」
俺がルチアーノの前に出て手を出すと恐る恐るその三匹は俺の前に現れて手にすり寄る。形が整形されていないぐにゃぐにゃのそれは、悪魔だ。
「悪魔って、こんなところにもいるの?」
「うん。悪魔は暗いところ隙間とかにいるんだよ。召喚されて来たわけではないから実体が不安定なんだよね。だからこんなかたちになってるんだよ。召喚されているわけではないから大丈夫だよ」
「そうなの……?」
「そうそう」
俺はそう言って三匹のそれを順番に撫でる。悪魔っていうのは悪魔同士のネットワークがあり、俺が召喚士で悪魔に対して好感的であることが知れ渡っているんだ。だから遊びに来た。
「ダイジョブ?」
「ダイジョブダイジョブ?」
「うん、もう大丈夫だよ。ちょっと彼が君たちにビックリしただけなんだよ。ごめんね」
「イーヨー」
「アソボー」
「アソボウ、召喚士~」
ぐにゃぐにゃ、うねうねと悪魔たちが動く。うーん、遊びたいのは山々だがもう帰らないといけないんだよね。うーん、よし、後伸ばしにしよう。
「よーしよしよし、では第一回大きなウサギを捕まえるのはだーれだ!!を開催いたします!」
「オオー!」
「ドンドンパフパフ~」
「イエイイエーイ!!」
俺が高らかに宣言すると三匹の悪魔がぴょんぴょん跳び跳ねる。俺は盛り上がっている三びきに対してんんっと咳払いをして落ち着けっという動きを見せると、それって何?何々!?っと迫ってくる。
「このゲームはいたって簡単、明日のこの時間までに誰よりも大きなウサギを捕まえてくること。一番大きいウサギを持ってきたものには、この俺の魔力で作り出した花束をあげよう!参加賞には花冠をあげまーす。それでは、よーい、スタート!!」
「ヒギャアアアア!!」
「インヤアアアアア!!」
「キエアアアアア!!」
変な喜びの雄叫びをあげて彼らは森の中に消えた。ルチアーノがその様子に少し怖がって俺の腕をつかんだがどこかに行ったことがわかってほっと息をはく。いつの間にかルチアーノの手から包丁は消えていた。聞きたいんだけど、聞いたらやばそうだから今はやめとこう。うん、の、後々聞けば、ね?後々、ね?万が一刺されるのが怖いとかじゃないから!!!
「帰ろうか、ルチアーノ」
「うん。また明日お散歩してくれる?」
「いいよ。あ、でもさっき聞いてたと思うけど順位決めないといけないからこの時間にはここに来るからそれまでにはルチアーノは帰ってね」
「ううん、僕も一緒にいく!」
「……あ、そう」
ルチアーノって変わってるなぁ。俺はそう思いながら孤児院に戻った。そこではもう既にそとで遊んでいた子達が中に帰っていて、俺たちは何食わぬ顔で裏から入った。いつも俺たちは適当な空き部屋で本読んで寝てるぐらいで、誰も探すことはない。そのまま厨房まで行くと既に夕飯の準備をしている人たちが二人いた。俺は彼らに採ってきた木の実を渡すとデザートにしようと喜んでくれた。お腹一杯まで食べさせられないのが心苦しいけど、明日はウサギ持ってくるから……。
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