来世でよろしく

紫鶴

文字の大きさ
22 / 48
?歳の俺

殿下 ?歳

「僕はいいよ。僕の命は君のものだから」
「は……?」


その発言にぽかんとして、それからかっとなって彼の胸ぐらをつかむ。俺よりも軽くて、小さいその体を引き寄せてじろっと睨みつけるように彼の顔を覗いた。


「何言ってんの君!斬首刑だよ!?死ぬんだよ‼」
「誰かが責任を取らなければならないならそれは僕だ。君は国王になるんだ。そして、皆が笑顔になれる国を作らないと」
「ふざけんな!俺が国王?バカげたこと言わないでよ!そんなもんにはならない!!」
「なるんだよ!」
「!」


彼が叫んだ。びくっと体を震わせて思わず息をのむ。彼はぐしゃぐしゃと髪を乱しはーっと長く息を吐く。


「あのね、僕アズールの事本当にすごいなって思ってるよ。アズールが僕に色々教えてくれて世界を広げてくれて、きっとこういう人が上に立つべきなんだって思ったよ」
「やめろ」
「力もあって、アズールが先導してくれると皆この人なら大丈夫って安心してついていけて、希望だった。キラキラ輝いて眩しくて、温かかった」
「やめろ、聞きたくない!」
「アズール」


俺は耳をふさいだ。しかし、そっとその手を彼に取られる。彼は俺と目が合うとふわっと笑顔を見せた。


「愛してる」
「やだ、やだ……ルチアーノ、いやだ……」


涙があふれる。彼に身を寄せていやいやっと子供のように首を振る。彼が一言「助けて」っと言えば俺は全力で守るのに、どうして言ってくれないの?


「愛してる。愛してるからぁ……」
「うん、僕も愛してる」


そっと、ルチアーノが俺の頬に手を添えてそっと唇にキスを落とす。

ああ、どうして、なんで。俺のせいなのに、俺のせいでこうなったのにどうして、俺じゃないの!?






「―――により、第四王子殿下の傍仕えを斬首刑と処す」

手かせを付けたルチアーノが首切り滑車にそっと首を置く。しんっと集まった国民たちや王族として席を連ねている兄たち、集まった重鎮たちが一言も話すことなくただ静かに見つめている。
俺もぐっと唇をかんでルチアーノを見守っていた。すると、遠く離れた処刑台からルチアーノがこちらを見た。そして、ふっと少しだけ微笑んだ。


「っ!」


飛び出しそうになるのを必死で抑えながら奇跡を願う。

誰か、誰かルチアーノを助けて……っ!

しかし、その願いむなしく玉座にふんぞり返っている父親とも呼べない非道男が、すっと手をあげた。


「落とせ」


それを合図に、ひもが切られ首切り刃がルチアーノの首を貫通した。

ぽーんっとその衝撃に放物線を描いてルチアーノの首が飛ぶ。

呆然と、俺はそれを見た。声も出ず、ただ静かに見ていた。処刑人がルチアーノの首を掴み掲げて何かを話している。しかし俺には何も聞こえなかった。ぼたぼたとしたたる血に首の繋がっていない体に、くらくらと眩暈が起こる。

どうやって、部屋まで来たか覚えていない。気づいたら暗闇の中ベッドの上に座っていた。
ぼんやりと、何か水でも飲んだ方がいいっとどうしてだかその時は自ら水を汲むため部屋を出て外に向かった。処刑のあった後なので王宮は変に静かだった。


「今日殺された子、第四王子の代わりで死んだんでしょ」
「しっ!そういうことは言っちゃだめよ」


ここでも噂になっているようで侍女が二人ゴミ出しの為に井戸の近くを歩いていた。俺は見つからないようにそっと身を潜めて彼女たちが立ち去るのを待つ。彼女の言う通り、俺の責任をルチアーノに押し付けてしまい、俺はのうのうと生きている。
片方が注意をしていたのですぐにその話は終わるだろうと思ったが、次に信じられない言葉が聞こえた。


「だって、第四王子が兵器になるから代わりにって軍の偉い人が話してて、それってどうなの?って思わない?」
「ああ、確か軍に匹敵する数の悪魔とか天使を従えられるってやつ?」
「そうそう、だから殺さないででも責任を取らないといけないからあの子が殺されてって世の中理不尽よ」
「そうね。でもそういうもんよ世の中って」
「納得いかなーい」


そんな事を言って二人はその場を去った。暫くして俺はその言葉の衝撃に言葉を失い、動けなかった。
俺に力があったからルチアーノが殺された……?


「は、はは……あははははははっ!!」


笑いが込み上げた。おかしい。そんな理由で俺が生き延び、ルチアーノが殺されたなんておかしい!
そんなことが許されるこの国もこの世もおかしい。
蘇生術を会得している俺は、ほとぼりが冷めたらルチアーノを生き返させる算段ではあった。しかし、それだけではだめだ。


「ルチアーノを生き返させる前にこの国、一掃しないと」


その為には、そうだ。国王陛下にならなければ。権力を持たなければ。


「テレシア、クラウス」
「はい、何ですかアズール」
「何々?もうルチアーノを生き返らせるの?」


俺の呼びかけに二人が音もなく気配もなく現れた。俺はかれらにふわっと笑いかけた。


「俺、国王になりたいから邪魔な奴消して」


そう言うと二人は顔を見合わせてそれからあくどい笑みを浮かべる。


「ええ、勿論。約束いたします。貴方の道が血に濡れようと終着点はあの玉座に」
「任せて、アズール。約束するよ、玉座につくまで楯突く奴は正面から潰してあげる」
「「だから死後は仲良く半分こ」」
「いいよ、死んだら俺をあげる」


歓喜の声をあげ、彼らは闇に溶けた。
俺はそれを見て、くるりと踵を返した。
やることができた。


「この国がルチアーノにふさわしい形にならないと」


害虫駆除、環境整備、色々やることがある。もうぼんやりとしている暇はない。


待ってて、ルチアーノ。君にふさわしい国を作ってそこの王に俺はなるから。



















―――待って、今回主導権全くもぎ取れないんだけどやばくね、これ?




「俺が闇属性になっとるー!」


がばっと起き上がって、あらビックリ。
体が大きくなってました。
あのさ、ついでに、言いたいんだけどここどこかな?


ーーーーー
短い7歳と?歳編終了です。
次回からは16歳編になります。

自分が登場人物忘れて誰か抜かしてたらそっと書き直します(笑)
感想 10

あなたにおすすめの小説

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~

マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。 王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。 というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。 この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。

あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。 だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。 よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。 弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。 そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。 どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。 俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。 そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。 ◎1話完結型になります

弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~

荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。 弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。 そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。 でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。 そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います! ・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね? 本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。 そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。 お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます! 2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。 2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・? 2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。 2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL要素までとても遠いです。前半日常会多め。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。