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16歳の俺
第4王子16歳 3
現れた二人に臆することなく、一番目のお兄様はくいっと顎を動かした。
「首輪付きの癖にご主人様に馴れ馴れしくない?」
「そう言う風に考えてるから召喚士が減り続けてるんだよ~?俺らに上下は関係ないもんね?」
「上下関係があるから支配されてるんでしょ?この子と対等だとか身の程知らずだと思わない?」
「あははは、言うねー。でも君とこの子の考えが同じだと思うのが傲慢じゃない?」
ぴりぴりとこの部屋全体がそんな気配に満ちる。時限爆弾か、君ら。クラウスっと一言彼を呼ぶとなあに?っとニッコリ笑顔で返ってくる。
「とりあえず、答え合わせとやらをしてくれると助かる」
「おっけー。とは言っても、まあ、大体合ってるよ君たちの推測」
クラウスがそう言って俺の背もたれに寄り掛かる。未だに一番目のお兄様はぎろっと冷たい視線を向けているがそんなものものともしない。
「あ、その前に、ねえねえ聞いても怒らない?」
ちょいちょいっと肩を叩かれた。俺ははあ?っと顔をして答える。
「何言ってるの?怒るけど?」
「えー。やっぱそうかー。9年は長いもんねー。今の君は16歳だもんねー」
「……まじか、やっぱり俺の9年の時間は消えたのか」
9年前に―――と三番目のお兄様が言ってたからまさかと思いつつ、聞かなかったんだけど俺の9年の時間は死んだか。は、はははははっ!
「もういいや」
「そんな簡単に興味をなくさないで!こう考えればいいよ!お金使い放題だよ?」
「あ、ああ、確かに……?」
納得しかけたけど時間ほど大切なものってないと思うんだ。
かなり落ち込んでいると、一番目のお兄様と二番目のお兄様が椅子に座る。
それを見たクラウスがさて、っと俺との話を区切る。
「君たちが予想した通り、反抗期の弟は別人。その別人とこの子が入れ替わって生活してたわけ。その子の目的は分からないけどそうしないといけない事情があったんだろうね。わざわざ悪魔と契約してまでこんな計画を実行したんだから」
「そうかー。まあ、こんなに広範囲で干渉できるなんて人ではないとは思ったけど、悪魔かぁ」
「そう、いま君が持ってるのがそれ」
「……」
三番目のお兄様がクラウスの言葉に一瞬固まって、次にがっと一番目のお兄様が抱えている塊をわしづかみにした。
「へえ、これが。もう一度弟の前に現れたってことは契約に更新があったということかな?」
「あり得ませんよ。そんな白昼堂々仕掛けるわけがありません。我々は狡猾で卑怯ですから、目立つことしませんよ」
テレシアがそう言って首を振った。確かに、君らと遊んでた時も勝利の為ならいかさま、ずる、喜んで使うしね。説得力あるわ。
「じゃあなんで弟の前に現れたんだ?わざわざ危険を冒してまで」
「なんでって、契約者が勝手に前までの契約内容破棄、勝手な更新でキャパオーバーになってしまい、殺しかけたんですもの。心配になってくるのは当たり前です。我々の唯一無二の友人ですから」
三番目のお兄様のおかげで、ぐにっとその塊の上部が変形した。それだけではなく、一番目のお兄様も腕に力を入れているようで細長くなっている。二番目のお兄様はなんか視認できるほど魔力を纏って室温下がるし、物ががたがた動く。
あ、ちょ、待って。やばいんじゃないかこれ。
「俺は生きてますし大丈夫です!」
「当たり前でしょ。勝手に死ぬなんて許さないんだから」
「殺すか?」
「話聞いてからね」
「や、やめてください俺の友達なんです!」
さっき攻撃しようとしたけど!悪魔だと思わなくて!いや、悪魔だったとしても多少報復しても許される、うん!
ばっと一番目のお兄様から塊を引きはがし俺の腕の中に納めるとその塊はにゅっと手のようなものを出して頭をなでる。
俺はぐちゃっと一回だけ拳でそれを殴ってから「これでちゃらね」っと言う。
髪引っ張って、俺の時間を奪ったことは水に流してやろう。寛大な男だからね俺は!塊は凹んだがぶるんっと体を震わせて戻った。それからぺちぺちと俺の頬を軽くたたいたり頭をなでたりする。話したくないのか無言であるが。
「良かったですねー。契約を違えたペナルティでそうなった甲斐があったというものです」
「えっ!?」
「ごっそり力とられて消滅しかかってるのを見つけて力分けてあげたんですよ~」
「ええ!?」
何かごめんよ俺のせいで。でもその契約者が何で俺に成り代わったのか全然分かんないんだけど。でも、もしかしたらずっと王子様でいるつもりだったのかな。それだったら得することも多かったのかも。ぶっちゃけ、王子のままでいてほしかったよ俺は。なんでこんな結果になったの?もっと頑張ってよ俺の為に。
王子なんてもんになったら王位継承とか派閥争いとかめんどくさい。適当にまた前世みたいに切ってくんないかな縁。9年も眠っていた無能ってことで。
「まあ、そこら辺の話はもういいかな?弟にとっては俺たち知らない男三人組のようだし、自己紹介しよ!」
「ああ、そういうことになるわけ?」
「覚えてないのか?勉強が嫌で逃げていたら廊下で俺を突然吊るしあげて放置したことも、ユアンが重い責任にべそべそ泣いてたのを嫌ならやめれば?といってもっと大泣きさせたことも、談笑中のアンリに煩い、悪口なら外でやって不愉快って言ったことも覚えてないのか?」
「覚えてないですね」
ええ、全く?前世で似たようなこと言ったなぁっとは思いますけど、今の俺は覚えてないので無罪です、はい。
え、小さい頃にそう言われて俺の事嫌いになったとかそういうんじゃないですよね?お兄様方。ちょっと俺も小さいから言葉遣いとかなってなかったし?思いやり精神なんて持ってなかった上に自己中だったのは認めますけど、子供のしたことじゃん?許して?
気まずさからすこーし視線を逸らすと三人の視線が突き刺さる。覚えてません、本当です。
「まあ、いいけど。俺はユアン」
「俺はルイだ」
「俺は、アンリ。よろしく弟」
「ユアンお兄様とルイお兄様、アンリお兄様ですね。よろしくお願いします」
俺がにこっと笑うと、三人もにっこりと笑った。
「敬語要らない。気持ち悪い」
「うん、ユアンが言ったように敬語は本当に要らない。さっきから寒気が止まらない」
「俺からも頼む。お前の敬語は気味が悪い」
おっと、この言われようはなんだ。そんなにいやか俺の敬語は。
そしてその暴言を笑顔で言わないでくれる?
「あ、そういえば、俺の名前は……」
「知ってる。とりあえず俺やることあるからもう戻る。じゃあね弟」
「そうだな、俺も訓練に戻るとしよう。じゃあな弟」
「は?」
いや、知ってるのに俺の事弟呼びって。ユアンお兄様に至っては俺含めて三人の弟いますよねっ!?
そう思いながらも、二人を見送ってしまった。残るは残ったアンリお兄様だが、聞いてもいいのか?
ちらちらと俺の様子に気付いたのかアンリお兄様がにっこりと笑顔になる。
「弟、俺も戻るね。また明日」
「お、え……」
なぜ俺だけ弟。他は呼び捨てなのに。おかしいな。既にはぶられてんじゃないの俺。
頭を抱える。まあ、いいんだけど。もうこうなっちゃったらどうにもできないんだけど。はい、諦めます。
はあっとため息をついて伸びをする。それから首を後ろに傾けた。
「ねえ、君たちは分かってたの?」
「ん?ああ、勿論。だから運命だって言ったじゃん。成人になるまでは今回我慢しようと思って王宮には近寄らなかったのにあんなところで会うんだもん。運命感じるよ~。これは神様が俺の欲望のままに突き進んでいいって言ってるんだと」
「んなわけあるか。テレシアも?」
「そりゃ悪魔ですし、面白そうだなって協力しましたし?」
「おいお前」
テレシアのてへぺろっと言うような表情に俺はぎろっと睨みつける。それから叫んだ。
「もっと粘れよ!?なんでこんな中途半端に終わらせちゃったの!?ずっとその子王子様でいいよ!」
「えー?だってぇ、正式な契約でもないですしぃ?アズールが契約してくれるって言うからぁ、投げました」
「お前のせいか、お前のせいだなこの状況!?」
胸倉つかんで揺らすと、あはははっとテレシアが笑う。終いには「人生には試練と潤いと娯楽が必要でしょう?」っとのたまう。俺が苦労する様がそんなに見たいか!そしてその様をゲラゲラ笑って楽しいか!?それを俺の心の栄養とでもいうつもりかお前!
「くっそぉ。こうなったら引きこもって本漁るしかねえ」
「そんな、アズールに朗報です」
ポイっと投げるとテレシアはわざとらしく床に寝そべり顔だけをこちらによこす。俺はなに?っときだるげに聞く体制に入る。
「貴方の前世と明確な齟齬が生まれました!おめでとうアズール!今からでも監禁回避ができますよ!」
「……はあ?」
俺が意味わからないという顔をする。というか、俺のその計画知ってたの君。じとっと無言でそう訴えるとテレシアが起き上がった。
「ですから、今までの記憶では貴方は16歳までに監禁された相手と会っている必要があった。しかし、孤児と貴方がチェンジして貴方が今まで眠ったことによりそのアズールに好意を持つきっかけが無くなり、貴方をただのクソガキ自己中王子であるという認識になったのです!このまま他のものと関わらなければそう言う未来は起こりませんよ?」
「お、おおおおおっ!すごいじゃんかテレシア!」
俺の計画を知られていたということは水に流そうじゃないか!
つまり、その興味を持つというイベントが起きなかったので好意を持たれることなく、寧ろ全く関わらずに過ごせるってわけか!今度こそ俺の時代来たっ!?
わーい!っと手をあげて喜び、あっと声をあげる。
「そういえば、寝てる間に変な夢見たんだけどそれも君たちの仕業?」
「ああ、それは俺。というより、君がその悪魔に殺されそうになったから緊急措置として中身だけ違う器に移してたんだよ。その際にいくつかの可能性のある未来を見ただけだよ」
「え?」
「だから、これから起こりうる未来」
「まじでっ!?」
じゃあじゃあ、未来的に俺は国王陛下になったり、ルチアーノが何か不当なもので首切りされたり、その時俺と相思相愛だったり、監禁相手に殺されたりする未来があるってわけっ!?
「それ、本当に?寝てたからそもそもきっかけができないとかではなく?」
「寝てたから起きる可能性のある未来だよ、アズール」
「なんだってええええええっ!」
がんっと机に頭を打った。
はははは、おかしいな。さっきまで監禁回避できるかもやったーはっぴーって思ってたのにいきなり後ろから突き落とされたよ俺。
とはいえ、多少なりとも俺に好意を向けつつも監禁相手が容赦なく殺してくる未来二つ。ルチアーノ殺されて、あれは絶対この世の覇王になる勢いの俺。おっと、どれも誰も幸せにならんぞ。というか、俺が幸せにならない。
「どうして今なんだ!」
叫んだ。この世はなんて理不尽で、無常なのだろう。世界は俺に優しくない。
そういうのは来世でよろしくしてくれ、ちくしょおおおおおっ!
「首輪付きの癖にご主人様に馴れ馴れしくない?」
「そう言う風に考えてるから召喚士が減り続けてるんだよ~?俺らに上下は関係ないもんね?」
「上下関係があるから支配されてるんでしょ?この子と対等だとか身の程知らずだと思わない?」
「あははは、言うねー。でも君とこの子の考えが同じだと思うのが傲慢じゃない?」
ぴりぴりとこの部屋全体がそんな気配に満ちる。時限爆弾か、君ら。クラウスっと一言彼を呼ぶとなあに?っとニッコリ笑顔で返ってくる。
「とりあえず、答え合わせとやらをしてくれると助かる」
「おっけー。とは言っても、まあ、大体合ってるよ君たちの推測」
クラウスがそう言って俺の背もたれに寄り掛かる。未だに一番目のお兄様はぎろっと冷たい視線を向けているがそんなものものともしない。
「あ、その前に、ねえねえ聞いても怒らない?」
ちょいちょいっと肩を叩かれた。俺ははあ?っと顔をして答える。
「何言ってるの?怒るけど?」
「えー。やっぱそうかー。9年は長いもんねー。今の君は16歳だもんねー」
「……まじか、やっぱり俺の9年の時間は消えたのか」
9年前に―――と三番目のお兄様が言ってたからまさかと思いつつ、聞かなかったんだけど俺の9年の時間は死んだか。は、はははははっ!
「もういいや」
「そんな簡単に興味をなくさないで!こう考えればいいよ!お金使い放題だよ?」
「あ、ああ、確かに……?」
納得しかけたけど時間ほど大切なものってないと思うんだ。
かなり落ち込んでいると、一番目のお兄様と二番目のお兄様が椅子に座る。
それを見たクラウスがさて、っと俺との話を区切る。
「君たちが予想した通り、反抗期の弟は別人。その別人とこの子が入れ替わって生活してたわけ。その子の目的は分からないけどそうしないといけない事情があったんだろうね。わざわざ悪魔と契約してまでこんな計画を実行したんだから」
「そうかー。まあ、こんなに広範囲で干渉できるなんて人ではないとは思ったけど、悪魔かぁ」
「そう、いま君が持ってるのがそれ」
「……」
三番目のお兄様がクラウスの言葉に一瞬固まって、次にがっと一番目のお兄様が抱えている塊をわしづかみにした。
「へえ、これが。もう一度弟の前に現れたってことは契約に更新があったということかな?」
「あり得ませんよ。そんな白昼堂々仕掛けるわけがありません。我々は狡猾で卑怯ですから、目立つことしませんよ」
テレシアがそう言って首を振った。確かに、君らと遊んでた時も勝利の為ならいかさま、ずる、喜んで使うしね。説得力あるわ。
「じゃあなんで弟の前に現れたんだ?わざわざ危険を冒してまで」
「なんでって、契約者が勝手に前までの契約内容破棄、勝手な更新でキャパオーバーになってしまい、殺しかけたんですもの。心配になってくるのは当たり前です。我々の唯一無二の友人ですから」
三番目のお兄様のおかげで、ぐにっとその塊の上部が変形した。それだけではなく、一番目のお兄様も腕に力を入れているようで細長くなっている。二番目のお兄様はなんか視認できるほど魔力を纏って室温下がるし、物ががたがた動く。
あ、ちょ、待って。やばいんじゃないかこれ。
「俺は生きてますし大丈夫です!」
「当たり前でしょ。勝手に死ぬなんて許さないんだから」
「殺すか?」
「話聞いてからね」
「や、やめてください俺の友達なんです!」
さっき攻撃しようとしたけど!悪魔だと思わなくて!いや、悪魔だったとしても多少報復しても許される、うん!
ばっと一番目のお兄様から塊を引きはがし俺の腕の中に納めるとその塊はにゅっと手のようなものを出して頭をなでる。
俺はぐちゃっと一回だけ拳でそれを殴ってから「これでちゃらね」っと言う。
髪引っ張って、俺の時間を奪ったことは水に流してやろう。寛大な男だからね俺は!塊は凹んだがぶるんっと体を震わせて戻った。それからぺちぺちと俺の頬を軽くたたいたり頭をなでたりする。話したくないのか無言であるが。
「良かったですねー。契約を違えたペナルティでそうなった甲斐があったというものです」
「えっ!?」
「ごっそり力とられて消滅しかかってるのを見つけて力分けてあげたんですよ~」
「ええ!?」
何かごめんよ俺のせいで。でもその契約者が何で俺に成り代わったのか全然分かんないんだけど。でも、もしかしたらずっと王子様でいるつもりだったのかな。それだったら得することも多かったのかも。ぶっちゃけ、王子のままでいてほしかったよ俺は。なんでこんな結果になったの?もっと頑張ってよ俺の為に。
王子なんてもんになったら王位継承とか派閥争いとかめんどくさい。適当にまた前世みたいに切ってくんないかな縁。9年も眠っていた無能ってことで。
「まあ、そこら辺の話はもういいかな?弟にとっては俺たち知らない男三人組のようだし、自己紹介しよ!」
「ああ、そういうことになるわけ?」
「覚えてないのか?勉強が嫌で逃げていたら廊下で俺を突然吊るしあげて放置したことも、ユアンが重い責任にべそべそ泣いてたのを嫌ならやめれば?といってもっと大泣きさせたことも、談笑中のアンリに煩い、悪口なら外でやって不愉快って言ったことも覚えてないのか?」
「覚えてないですね」
ええ、全く?前世で似たようなこと言ったなぁっとは思いますけど、今の俺は覚えてないので無罪です、はい。
え、小さい頃にそう言われて俺の事嫌いになったとかそういうんじゃないですよね?お兄様方。ちょっと俺も小さいから言葉遣いとかなってなかったし?思いやり精神なんて持ってなかった上に自己中だったのは認めますけど、子供のしたことじゃん?許して?
気まずさからすこーし視線を逸らすと三人の視線が突き刺さる。覚えてません、本当です。
「まあ、いいけど。俺はユアン」
「俺はルイだ」
「俺は、アンリ。よろしく弟」
「ユアンお兄様とルイお兄様、アンリお兄様ですね。よろしくお願いします」
俺がにこっと笑うと、三人もにっこりと笑った。
「敬語要らない。気持ち悪い」
「うん、ユアンが言ったように敬語は本当に要らない。さっきから寒気が止まらない」
「俺からも頼む。お前の敬語は気味が悪い」
おっと、この言われようはなんだ。そんなにいやか俺の敬語は。
そしてその暴言を笑顔で言わないでくれる?
「あ、そういえば、俺の名前は……」
「知ってる。とりあえず俺やることあるからもう戻る。じゃあね弟」
「そうだな、俺も訓練に戻るとしよう。じゃあな弟」
「は?」
いや、知ってるのに俺の事弟呼びって。ユアンお兄様に至っては俺含めて三人の弟いますよねっ!?
そう思いながらも、二人を見送ってしまった。残るは残ったアンリお兄様だが、聞いてもいいのか?
ちらちらと俺の様子に気付いたのかアンリお兄様がにっこりと笑顔になる。
「弟、俺も戻るね。また明日」
「お、え……」
なぜ俺だけ弟。他は呼び捨てなのに。おかしいな。既にはぶられてんじゃないの俺。
頭を抱える。まあ、いいんだけど。もうこうなっちゃったらどうにもできないんだけど。はい、諦めます。
はあっとため息をついて伸びをする。それから首を後ろに傾けた。
「ねえ、君たちは分かってたの?」
「ん?ああ、勿論。だから運命だって言ったじゃん。成人になるまでは今回我慢しようと思って王宮には近寄らなかったのにあんなところで会うんだもん。運命感じるよ~。これは神様が俺の欲望のままに突き進んでいいって言ってるんだと」
「んなわけあるか。テレシアも?」
「そりゃ悪魔ですし、面白そうだなって協力しましたし?」
「おいお前」
テレシアのてへぺろっと言うような表情に俺はぎろっと睨みつける。それから叫んだ。
「もっと粘れよ!?なんでこんな中途半端に終わらせちゃったの!?ずっとその子王子様でいいよ!」
「えー?だってぇ、正式な契約でもないですしぃ?アズールが契約してくれるって言うからぁ、投げました」
「お前のせいか、お前のせいだなこの状況!?」
胸倉つかんで揺らすと、あはははっとテレシアが笑う。終いには「人生には試練と潤いと娯楽が必要でしょう?」っとのたまう。俺が苦労する様がそんなに見たいか!そしてその様をゲラゲラ笑って楽しいか!?それを俺の心の栄養とでもいうつもりかお前!
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「そんな、アズールに朗報です」
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「……はあ?」
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「ですから、今までの記憶では貴方は16歳までに監禁された相手と会っている必要があった。しかし、孤児と貴方がチェンジして貴方が今まで眠ったことによりそのアズールに好意を持つきっかけが無くなり、貴方をただのクソガキ自己中王子であるという認識になったのです!このまま他のものと関わらなければそう言う未来は起こりませんよ?」
「お、おおおおおっ!すごいじゃんかテレシア!」
俺の計画を知られていたということは水に流そうじゃないか!
つまり、その興味を持つというイベントが起きなかったので好意を持たれることなく、寧ろ全く関わらずに過ごせるってわけか!今度こそ俺の時代来たっ!?
わーい!っと手をあげて喜び、あっと声をあげる。
「そういえば、寝てる間に変な夢見たんだけどそれも君たちの仕業?」
「ああ、それは俺。というより、君がその悪魔に殺されそうになったから緊急措置として中身だけ違う器に移してたんだよ。その際にいくつかの可能性のある未来を見ただけだよ」
「え?」
「だから、これから起こりうる未来」
「まじでっ!?」
じゃあじゃあ、未来的に俺は国王陛下になったり、ルチアーノが何か不当なもので首切りされたり、その時俺と相思相愛だったり、監禁相手に殺されたりする未来があるってわけっ!?
「それ、本当に?寝てたからそもそもきっかけができないとかではなく?」
「寝てたから起きる可能性のある未来だよ、アズール」
「なんだってええええええっ!」
がんっと机に頭を打った。
はははは、おかしいな。さっきまで監禁回避できるかもやったーはっぴーって思ってたのにいきなり後ろから突き落とされたよ俺。
とはいえ、多少なりとも俺に好意を向けつつも監禁相手が容赦なく殺してくる未来二つ。ルチアーノ殺されて、あれは絶対この世の覇王になる勢いの俺。おっと、どれも誰も幸せにならんぞ。というか、俺が幸せにならない。
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