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16歳の俺
第4王子16歳 5
はーっと息を吐いてようやく部屋に帰れた。ぼふっとベッドに沈み込むと、きしっとスプリング音がした。それから二人の気配がする。
「家族と会ってみてどうでした?」
「どうって、どうもないよ。実感がわかないし」
「ふうん?アズールったら薄情だねぇ」
「そう言われるのは心外なんだけど」
俺はそう言って仰向けになると伸び放題で腰まである赤い髪を束ねていた紐をテレシアが解いた。クラウスはふんふん鼻歌を歌いながらその解いた髪をいじる。はあっと俺はため息をついた。
「ねえ、ルチアーノ達は大丈夫なわけ?」
「ん?」
「その、変わったんでしょ俺とその子が」
「ああ、そうだね。確認しに行ったから」
「え、わざわざ?」
「うん、だって気になるじゃん?」
「意外……」
クラウスは人に対してはたんぱくだと思っていたけど。やっぱり少しくらい関わると愛着もわいてくるのかな。
まるで息子の成長を見るかのような心境でいるとクラウスがにこぉっと悪い顔をして笑った。
ぞわっと背筋が震えた。
「そう?まあ、あの子に関しては俺も思うところがあるしね」
「へ、へー?」
よく分からないけど良くない気がした。そう反応して、んーっと考え込む。
「少し行ってみようかな」
「行くんですか?」
「んー、まあ……」
「行くのは構わないですけど、もう孤児院にはいませんよ?」
「はっ!?」
「今いくつだと思ってるんです?」
「ああっ!」
そうだった。7歳から俺は9年眠っていた。16、もしくは15歳なんてもう働きに出ている。孤児院にいるはずがない。
ということはだ。もう簡単に彼らと会うことができないということだ。いや、探せば見つかるけど……。
そこまでして彼らの人生に干渉するのはどうなんだ?
『アズールぅ……。いつ帰ってくるの……?』
ふと、泣きそうな顔でそう言ってきたルチアーノを思い出した。
「……ルチアーノだけちょっと」
俺がぼそりとそう言うと、二人が出たよっと言う顔をする。それから二人は肩身を寄せてこそこそと話し出す。
「出ましたよ、あいつ贔屓」
「ねえー?あの子だけ何が違うっていうわけぇ?」
「そこ、煩い!」
ルチアーノ贔屓はまあ、ちょっとしてるかもしれないけど心配するのは当たり前じゃん?俺はルチアーノがどこにいるかを探すために探索をこの国全体にかける。詳細な検索をかけつつ弾いて一つだけヒットした。
「……?」
結構孤児院から離れてるし、ここどこの領地?まあ、ここに出稼ぎに出てるってこと、で、いい……んだよね?
ルチアーノがいるところを鏡で見ると豪勢な屋敷だ。この家の掃除係とか?
ともあれ、行ってみるしかない。
一応姿隠しの魔法をかけて、転移でその屋敷の近くに行く。それからそっと門の中に入り屋敷に侵入。魔法阻害か何かをかけてたみたいだけど俺の魔法よりも低位のものだから俺には効果なかった。まあ、貴族だからそういう対策をきちんとしているんだろう。流石だ。自衛大事。とはいえ、こんなちゃちな魔法じゃ俺みたいなやつを簡単に入れてしまうぞ。
そんな事を思いながら探索でルチアーノを探し歩いていると、がしゃーんっと何かを壊したような音が響いた。
「この恥知らずが!何度言えばわかるんだ!お前はただ黙って言うことを聞いていればいいんだ!」
男の声だ。うげっと思っているとその近くにルチアーノの反応がある。まさかルチアーノが粗相をして怒られているのかっ!っと慌ててその現場に向かう。
「お前の価値はそれしかないと言ってるだろうが!客に媚を売れ、体を売れ!」
「い、いやです……」
「このくそ野郎が!」
ばしんっと男が目の前に立っている男の頬をはたいた。はたかれた男はどしゃっと床に倒れて小さくなる。その倒れた男に男は蹴りを入れた。それから追い打ちをかけるように彼を蹴る。
かっと俺の目の前が真っ赤に染まった。
「――――お前、私のものに何をしている」
「は?」
強化をかけた軽い蹴りをその男に食らわせると簡単にその男が吹っ飛んだ。壁にのめり込んだのを俺は一瞥してから姿隠しを解いた。
ふんっと鼻を鳴らし、長い髪をかき上げる。それから腕を組んでくいっと首を動かした。ふわっと壁にめり込んで気絶している男に治癒をかけて気絶から目を覚まさせる。
「は!?わ、私は一体……っ!?」
「起きたか?」
「き、貴様!どこから入ってきやがったっ!?おい、何している!この男を捕らえろ!!」
「私を捕らえる?何を世迷言を……反逆罪でひっとらえてほしいのか?」
「はあ!?何を言って……っ!」
その時、男は俺の服のボタンを見た。そこには王家のものしか身に着けられない王家の紋章が刻んである。それを男は見て一瞬顔色を悪くしたがそれからにやっとあくどい笑みを浮かべる。
「そんなものを身に着けて盗品か?それとも模造品?そんなもので私を騙せると思ったか!」
「バカというのは困りものだな。私を泥棒、詐欺呼ばわりか?後悔しなければいいな、その発言」
「父上!どうされたのですか!?」
漸くこの騒ぎを聞きつけてこの男の息子が階下に降りてきた。俺を見ると誰だ貴様!っと声をあげる。
「おお、ライネル!よく来た我が優秀な息子よ!」
男が階段から降りてきた男をそう言って歓迎した。
「この男が不法にこの屋敷に入ってきたのだ!」
「なんですって!お前たち、何をやってるんだ!とっととその不審者を捕まえろ!」
ライネルと呼ばれた男がそう言う。その声にはっと我に返った衛兵たちが俺に向かって剣を抜いてくるが、俺の敵ではない。スッと指を動かして剣を凍らせると、ひっと悲鳴を上げてその氷になった剣を落とした。
その様子にぎょっとして俺をライネルという男とこの前の男が見た。俺はわざとらしく肩をすくめた。
「不法に侵入したことは謝罪しよう。しかし、今は非常時だ。貴様は私のものに理由なき暴行を行いあまつさえ名誉棄損、恐喝を行った。これは許容できることか?いいや、出来ない!できるはずがない!この子は私のものだぞ?この子に対するその非道な行いは即ち、私に対しての侮辱行為だ。分かってるな?」
「はあ?何を言って……」
「ああ、いい。バカに何を言っても無駄ということは分かっている。貴様らの処分については追って伝えよう。それまで精々己の罪を悔いることだな」
ぐいっと床に倒れてぽかんとしているその子を抱えて俺は転移した。王宮内の俺の部屋だ。その子を抱えているにもかかわらず苛立たし気にちっと舌打ちをしてその子をゆっくりとベッドに降ろす。それからそっと殴られた頬に触れた。
「赤くなってる。今治癒を……」
「あ、の……っ!」
「ん?なあに?」
赤くはれた彼の頬に治療を施し跡形もなく綺麗にした後、彼が控えめにそう声を出したので答えた。よっこいせっと正面に椅子を持ってきて俺がそこに座ると少しびくっと体を震わせ恐る恐る口を開く。
「ぼ、僕は貴方のもの、なんですか……?」
「ん?ああ、君は覚えてないだろうけど俺のとっては大事な子なんだよ。俺が君に不自由ない生活を保障するから暫くは俺と一緒にいてね」
それどころか暫く監禁生活だわ君。
派手に動いてしまったし、俺は目覚めたばかりで注目の的だし。まあ、あの貴族は相応の罰を与えるつもりだが。どうしてくれようか。
というか、俺も俺だ。前世でルチアーノのことは聞いていたのに。どうして目覚めてすぐに行ってやらなかったんだ!
はあっと自己嫌悪に苛まれため息をつく。するとびくっとルチアーノの体が震えた。それからぶるぶると小刻みに揺れ顔が青い。まずい、これらはだめだ。これからは気を付けないと。
「俺はアズール。君のことを害するつもりはないけど部屋はここで我慢してね。俺が勝手にやっちゃったからばれない様に……」
「弟!」
ばんっと背後で扉が開いた。ルチアーノを隠す時間もなく、振り返るとそこにはユアン兄さまがいてずかずかと中に入ってくるなり、ベッドの上のルチアーノを睨みつける。
「お前、うちの弟に何の用?」
「ひっ」
「ユアン兄さま!この子は俺のだから睨むのやめて!」
ルチアーノが怖がる!もうすんごい勢いで震えてる!超可哀そう!
絶対零度の視線でルチアーノを射抜いているので俺は慌てて間に入る。するとその目のままユアン兄さまは俺を見た。
「何変なの連れてきたの」
「変なのって、この子は俺のもので、えー……」
「証拠は?」
「えーっと、あ、ルチアーノ、氷の試験管持ってない?」
証拠と言われ、とりあえず昔あげたものをルチアーノに聞くとえ?っと顔をした後にじいっと俺を見つめてくる。
「なんで、知ってるんですか?」
「え?だって、あげたの俺だし……」
はっと思わずそう言ったがそうだ。孤児院にいたころの記憶は書き換えられている。つまり俺があげた事実はそこになく代わりの子に差し替えられているのだ。
ルチアーノといるとまだ7歳感覚で話してしまい、うっかり忘れていたが悪魔が仕掛けたものだ。強烈なものに違いない。ちょっとやそっとじゃ、解けないだろうし、解きもない。うん、監禁回避はまだ続いてるよ?
まあ、この違和感だけで解けるほど弱いものじゃないから大丈夫……。
「あ、れを……くれた、のは、ティファ、で、え、あ……れ?」
「おっと、今のなし!思い出すな!思い出すな!その記憶はきっと君のとって害!害だからやめとけっ!?頭痛いでしょ?辛くて苦しいでしょ?やめなって、ねえ、聞いてる!?」
ぶつぶつとルチアーノがそう呟いてショートした。ふらっとベッドに横たわって気絶してしまい、ひいっと俺の方が悲鳴を上げてしまう。
あああああ、やばいやっちまった。この子耐性強いんだ。さっきのだけで普通思い出しかけるかねぇ!?というか、連鎖して前世の記憶とか蘇らない?大丈夫?何がまずいってそれが一番まずいでしょう!
頭を抱える俺の肩にぽんっと静かにユアン兄さまの手が置かれた。
「で?」
「えーっと……」
にこっと笑って誤魔化してみたが一瞬で真顔になったユアン兄さまに気持ち悪いっと一蹴されてしまい、俺は拷問に……違った、尋問にかけられてしまった。
「家族と会ってみてどうでした?」
「どうって、どうもないよ。実感がわかないし」
「ふうん?アズールったら薄情だねぇ」
「そう言われるのは心外なんだけど」
俺はそう言って仰向けになると伸び放題で腰まである赤い髪を束ねていた紐をテレシアが解いた。クラウスはふんふん鼻歌を歌いながらその解いた髪をいじる。はあっと俺はため息をついた。
「ねえ、ルチアーノ達は大丈夫なわけ?」
「ん?」
「その、変わったんでしょ俺とその子が」
「ああ、そうだね。確認しに行ったから」
「え、わざわざ?」
「うん、だって気になるじゃん?」
「意外……」
クラウスは人に対してはたんぱくだと思っていたけど。やっぱり少しくらい関わると愛着もわいてくるのかな。
まるで息子の成長を見るかのような心境でいるとクラウスがにこぉっと悪い顔をして笑った。
ぞわっと背筋が震えた。
「そう?まあ、あの子に関しては俺も思うところがあるしね」
「へ、へー?」
よく分からないけど良くない気がした。そう反応して、んーっと考え込む。
「少し行ってみようかな」
「行くんですか?」
「んー、まあ……」
「行くのは構わないですけど、もう孤児院にはいませんよ?」
「はっ!?」
「今いくつだと思ってるんです?」
「ああっ!」
そうだった。7歳から俺は9年眠っていた。16、もしくは15歳なんてもう働きに出ている。孤児院にいるはずがない。
ということはだ。もう簡単に彼らと会うことができないということだ。いや、探せば見つかるけど……。
そこまでして彼らの人生に干渉するのはどうなんだ?
『アズールぅ……。いつ帰ってくるの……?』
ふと、泣きそうな顔でそう言ってきたルチアーノを思い出した。
「……ルチアーノだけちょっと」
俺がぼそりとそう言うと、二人が出たよっと言う顔をする。それから二人は肩身を寄せてこそこそと話し出す。
「出ましたよ、あいつ贔屓」
「ねえー?あの子だけ何が違うっていうわけぇ?」
「そこ、煩い!」
ルチアーノ贔屓はまあ、ちょっとしてるかもしれないけど心配するのは当たり前じゃん?俺はルチアーノがどこにいるかを探すために探索をこの国全体にかける。詳細な検索をかけつつ弾いて一つだけヒットした。
「……?」
結構孤児院から離れてるし、ここどこの領地?まあ、ここに出稼ぎに出てるってこと、で、いい……んだよね?
ルチアーノがいるところを鏡で見ると豪勢な屋敷だ。この家の掃除係とか?
ともあれ、行ってみるしかない。
一応姿隠しの魔法をかけて、転移でその屋敷の近くに行く。それからそっと門の中に入り屋敷に侵入。魔法阻害か何かをかけてたみたいだけど俺の魔法よりも低位のものだから俺には効果なかった。まあ、貴族だからそういう対策をきちんとしているんだろう。流石だ。自衛大事。とはいえ、こんなちゃちな魔法じゃ俺みたいなやつを簡単に入れてしまうぞ。
そんな事を思いながら探索でルチアーノを探し歩いていると、がしゃーんっと何かを壊したような音が響いた。
「この恥知らずが!何度言えばわかるんだ!お前はただ黙って言うことを聞いていればいいんだ!」
男の声だ。うげっと思っているとその近くにルチアーノの反応がある。まさかルチアーノが粗相をして怒られているのかっ!っと慌ててその現場に向かう。
「お前の価値はそれしかないと言ってるだろうが!客に媚を売れ、体を売れ!」
「い、いやです……」
「このくそ野郎が!」
ばしんっと男が目の前に立っている男の頬をはたいた。はたかれた男はどしゃっと床に倒れて小さくなる。その倒れた男に男は蹴りを入れた。それから追い打ちをかけるように彼を蹴る。
かっと俺の目の前が真っ赤に染まった。
「――――お前、私のものに何をしている」
「は?」
強化をかけた軽い蹴りをその男に食らわせると簡単にその男が吹っ飛んだ。壁にのめり込んだのを俺は一瞥してから姿隠しを解いた。
ふんっと鼻を鳴らし、長い髪をかき上げる。それから腕を組んでくいっと首を動かした。ふわっと壁にめり込んで気絶している男に治癒をかけて気絶から目を覚まさせる。
「は!?わ、私は一体……っ!?」
「起きたか?」
「き、貴様!どこから入ってきやがったっ!?おい、何している!この男を捕らえろ!!」
「私を捕らえる?何を世迷言を……反逆罪でひっとらえてほしいのか?」
「はあ!?何を言って……っ!」
その時、男は俺の服のボタンを見た。そこには王家のものしか身に着けられない王家の紋章が刻んである。それを男は見て一瞬顔色を悪くしたがそれからにやっとあくどい笑みを浮かべる。
「そんなものを身に着けて盗品か?それとも模造品?そんなもので私を騙せると思ったか!」
「バカというのは困りものだな。私を泥棒、詐欺呼ばわりか?後悔しなければいいな、その発言」
「父上!どうされたのですか!?」
漸くこの騒ぎを聞きつけてこの男の息子が階下に降りてきた。俺を見ると誰だ貴様!っと声をあげる。
「おお、ライネル!よく来た我が優秀な息子よ!」
男が階段から降りてきた男をそう言って歓迎した。
「この男が不法にこの屋敷に入ってきたのだ!」
「なんですって!お前たち、何をやってるんだ!とっととその不審者を捕まえろ!」
ライネルと呼ばれた男がそう言う。その声にはっと我に返った衛兵たちが俺に向かって剣を抜いてくるが、俺の敵ではない。スッと指を動かして剣を凍らせると、ひっと悲鳴を上げてその氷になった剣を落とした。
その様子にぎょっとして俺をライネルという男とこの前の男が見た。俺はわざとらしく肩をすくめた。
「不法に侵入したことは謝罪しよう。しかし、今は非常時だ。貴様は私のものに理由なき暴行を行いあまつさえ名誉棄損、恐喝を行った。これは許容できることか?いいや、出来ない!できるはずがない!この子は私のものだぞ?この子に対するその非道な行いは即ち、私に対しての侮辱行為だ。分かってるな?」
「はあ?何を言って……」
「ああ、いい。バカに何を言っても無駄ということは分かっている。貴様らの処分については追って伝えよう。それまで精々己の罪を悔いることだな」
ぐいっと床に倒れてぽかんとしているその子を抱えて俺は転移した。王宮内の俺の部屋だ。その子を抱えているにもかかわらず苛立たし気にちっと舌打ちをしてその子をゆっくりとベッドに降ろす。それからそっと殴られた頬に触れた。
「赤くなってる。今治癒を……」
「あ、の……っ!」
「ん?なあに?」
赤くはれた彼の頬に治療を施し跡形もなく綺麗にした後、彼が控えめにそう声を出したので答えた。よっこいせっと正面に椅子を持ってきて俺がそこに座ると少しびくっと体を震わせ恐る恐る口を開く。
「ぼ、僕は貴方のもの、なんですか……?」
「ん?ああ、君は覚えてないだろうけど俺のとっては大事な子なんだよ。俺が君に不自由ない生活を保障するから暫くは俺と一緒にいてね」
それどころか暫く監禁生活だわ君。
派手に動いてしまったし、俺は目覚めたばかりで注目の的だし。まあ、あの貴族は相応の罰を与えるつもりだが。どうしてくれようか。
というか、俺も俺だ。前世でルチアーノのことは聞いていたのに。どうして目覚めてすぐに行ってやらなかったんだ!
はあっと自己嫌悪に苛まれため息をつく。するとびくっとルチアーノの体が震えた。それからぶるぶると小刻みに揺れ顔が青い。まずい、これらはだめだ。これからは気を付けないと。
「俺はアズール。君のことを害するつもりはないけど部屋はここで我慢してね。俺が勝手にやっちゃったからばれない様に……」
「弟!」
ばんっと背後で扉が開いた。ルチアーノを隠す時間もなく、振り返るとそこにはユアン兄さまがいてずかずかと中に入ってくるなり、ベッドの上のルチアーノを睨みつける。
「お前、うちの弟に何の用?」
「ひっ」
「ユアン兄さま!この子は俺のだから睨むのやめて!」
ルチアーノが怖がる!もうすんごい勢いで震えてる!超可哀そう!
絶対零度の視線でルチアーノを射抜いているので俺は慌てて間に入る。するとその目のままユアン兄さまは俺を見た。
「何変なの連れてきたの」
「変なのって、この子は俺のもので、えー……」
「証拠は?」
「えーっと、あ、ルチアーノ、氷の試験管持ってない?」
証拠と言われ、とりあえず昔あげたものをルチアーノに聞くとえ?っと顔をした後にじいっと俺を見つめてくる。
「なんで、知ってるんですか?」
「え?だって、あげたの俺だし……」
はっと思わずそう言ったがそうだ。孤児院にいたころの記憶は書き換えられている。つまり俺があげた事実はそこになく代わりの子に差し替えられているのだ。
ルチアーノといるとまだ7歳感覚で話してしまい、うっかり忘れていたが悪魔が仕掛けたものだ。強烈なものに違いない。ちょっとやそっとじゃ、解けないだろうし、解きもない。うん、監禁回避はまだ続いてるよ?
まあ、この違和感だけで解けるほど弱いものじゃないから大丈夫……。
「あ、れを……くれた、のは、ティファ、で、え、あ……れ?」
「おっと、今のなし!思い出すな!思い出すな!その記憶はきっと君のとって害!害だからやめとけっ!?頭痛いでしょ?辛くて苦しいでしょ?やめなって、ねえ、聞いてる!?」
ぶつぶつとルチアーノがそう呟いてショートした。ふらっとベッドに横たわって気絶してしまい、ひいっと俺の方が悲鳴を上げてしまう。
あああああ、やばいやっちまった。この子耐性強いんだ。さっきのだけで普通思い出しかけるかねぇ!?というか、連鎖して前世の記憶とか蘇らない?大丈夫?何がまずいってそれが一番まずいでしょう!
頭を抱える俺の肩にぽんっと静かにユアン兄さまの手が置かれた。
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