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16歳の俺
第4王子16歳 15
「ア゙ァアアアアアアアアアッ!」
またしても女性の奇声で周りのものが壊れる。しかし、ユアン兄さまはその攻撃を余裕綽々で防いだ。アルトはどこにいるのだろうかっと視線を動かすと上から冷気が発せられ、気づくと女性の腕が切り落とされている。
「アルト、殺さないように」
「心得ております」
「クソガアアアアアアッ!!」
体の再構築の為、女性が霧になった。ふっとユアン兄さまが鼻で笑ったとおもえばその霧ごと半透明の箱に包まれた。
黒い霧の粒子がその箱の中で暴れまわるが、じゅうっと蒸発したような音が聞こえ、くぐもった女性の悲鳴が聞こえた。
あれも神聖魔術の一種か。
檻のようだ。相手が悪かったというしかない。合掌。
「弟、その子は?」
「生き返らせようとしたんだけど、誰かに魂奪われてできなかった」
「は?」
俺の回答がお気に召さなかったのかユアン兄さまが不快そうに眉をひそめた。
な、なんだよその顔は。
「……そう、神殿に持って行かないとね」
「神殿……?」
ああ、そう言えば祭司とかは蘇生リカバリーできるんだっけっか?とはいえ、多大な寄付が必要なので庶民には到底受けられないが。
でも、魂がどこかに捕らえられているからそれもできないだろう。
「ユアン兄さま、多分、神殿に行っても生き返らないよ」
「……どういうこと?」
「魂がどこかに捕らえられてるみたい。テレシアとクラウスに探らせたけど無理だった」
「ちっ、こういう時に役に立たない」
ユアン兄さまがそう悪態をついて、ティファに自分のマントを被せる。
「一先ず、保管して貰って事後処理は俺がしておくから弟は帰りな。アルト」
「畏まりました」
アルトがそう答えたと同時に景色が変わる。
はっと気が付くと俺の部屋の扉の前にいた。こんな簡単に王宮には入れていいのか。
「殿下、今後部屋から出る際にはベルを鳴らしますようお願い致します」
「あー、うん」
「お願いいたしますね?」
「はい……」
アルトの圧に押され俺は頷いた。それからアルトは報告がありますのでと言って行ってしまった。昼食は他の者に運ばせるという。はいはいっと適当に返事をしてさっさと行かせて部屋に戻る。
ベッドの方を見ると、掛布団が捲れてルチアーノがいない。
「……あれ?」
トイレだろうか。俺はそう思いながらベッドを整えてソファに座り込む。
当初の目的であるマイクたちの様子を見るというのは達成した。とはいえ、あそこの学院での立場が弱すぎて貴族の言いなりになっているところは許容できない。しかし、学院生でもない俺が彼らの力になれるとは思えない。その上孤児ともなると周りの目が……。俺が学院に通って仲良くなれば風当たりも和らぐだろうが……。
「トイレ長くない?」
ルチアーノが全く出てこない。不安になってトイレの扉をノックして声をかけた。反応はない。
「ルチアーノ?」
ドアノブを捻ると鍵がかけられていない。そっと扉を開けるとそこにはルチアーノがいなかった。
俺はすぐに探索を使い彼がどこにいるか探そうとして、扉が開いた。ばっとそちらを見るとルチアーノがいた。その事に胸をなでおろし、彼の名前を呼ぶ。
「ルチアー……」
「やあ、アズール」
「―――っ!!」
扉の影で見えなかったルチアーノの横から男が顔を出す。
「ダメじゃないか。ここは王宮、無断で人を囲うなんて、ねえ?」
「……申し訳ありません」
頭を下げると、にこにこと笑顔が崩れることなく―――続柄的に言えば俺の父はうんうんっと頷いた。
彼に非はないだろうが、可能性のあるあの記憶を見た俺には全力警戒する相手だ。俺の行動がルチアーノの死に直結する。
もしも、ティファのように魂が奪われたら自分でも何をするか分からない。
「まあ、私としてはお友達が出来たようで良かったよ。ユアンやアンリから事情は聞いてるけど、特別扱いはできないからこっちで彼の待遇は処理しておいたよ。アルトと同じく君の世話係になって貰ったから。あまり目立つ行動は避けてね?可愛い私の子」
「え、はあ……」
身構えたがそれだけ言って父は去って行った。まあ、あれでも国王様だし、どう考えても忙しいだろう。その中で俺の為に時間を割いてくれたことはありがたいが……。
「ルチアーノ、あの人に何かされなかった?」
「大丈夫だったよ」
「……ならいいけど」
まあ、ルチアーノの扱いはどうしようと思っていたところだし、バレてスパイ容疑とかかけられたらたまったもんじゃない。そう考えればよかったと言えるだろうが。
どうしても、あの記憶がよぎってしまい素直に喜べない……。
その後、昼ご飯を持ってきたメイドがやってきて部屋で一緒に食べる。ルチアーノのことは既に通達済みであるのか、ルチアーノの分まで運んでくれた。
それらを受け取って遅めの昼食だ。
「アズール、さっきまでどこ行ってたの?」
「ん?ああ、学院に行って皆の様子を見てきたんだよ」
「イリーナちゃんたち?どうだった?」
「孤児って対場が弱いから、予想通りって言えば予想通りなんだよね~」
「そっか」
昼食が運ばれていつものように食べる。マナー的に言えば家臣と一緒に食べるとかNGなんだけど非公式だし俺が気にしないし良いだろう。
もぐもぐと食べつつルチアーノの頬を拭う。
まあ、彼らのことも心配だが、今回の事件を考える必要があるだろう。
まず、ティファのことだろう。彼は俺が第四王子と分かった瞬間に豹変し攻撃を仕掛けた。
しかも、何かに怯えたような感じだ。失敗できない的なことを言っていたから何か強要されていることは間違いないだろう。ということは、ティファを通じて誰かが俺に敵意を向けてきているということだろうか。
それで一番の目的は誰が俺に対して敵意を向けているのかである。政治的なものだろうか。とはいえ、4番目の王子なんて大した権力もない。しかも、俺に対する評価は無能の我儘王子だ。だからこそ消したいのか?ほっといても俺が王様になる確率なんて全くないのに。
それとも単純に俺が嫌いだからとか?うーん。あるとすれば嫉妬とかか?
俺の周りには顔がいいものばかり集まるし、その中でも監禁するやつが多数……。嫌でもそんな事で俺を殺そうとするか?
大体にして俺の代わりを務めてくれたというのに、いきなり死ね!なんてひどすぎる。もしも俺に成り代わりたいとかだったら俺はこの体も権力も全て明け渡す所存なのだが!ええ!
話し合いでどうにかならないかな。このままだと、俺だけじゃなくてティファみたいに周りにも迷惑かかるし……。
はあ、なんでこんなめんどくさいことになったんだ俺の人生。
またしても女性の奇声で周りのものが壊れる。しかし、ユアン兄さまはその攻撃を余裕綽々で防いだ。アルトはどこにいるのだろうかっと視線を動かすと上から冷気が発せられ、気づくと女性の腕が切り落とされている。
「アルト、殺さないように」
「心得ております」
「クソガアアアアアアッ!!」
体の再構築の為、女性が霧になった。ふっとユアン兄さまが鼻で笑ったとおもえばその霧ごと半透明の箱に包まれた。
黒い霧の粒子がその箱の中で暴れまわるが、じゅうっと蒸発したような音が聞こえ、くぐもった女性の悲鳴が聞こえた。
あれも神聖魔術の一種か。
檻のようだ。相手が悪かったというしかない。合掌。
「弟、その子は?」
「生き返らせようとしたんだけど、誰かに魂奪われてできなかった」
「は?」
俺の回答がお気に召さなかったのかユアン兄さまが不快そうに眉をひそめた。
な、なんだよその顔は。
「……そう、神殿に持って行かないとね」
「神殿……?」
ああ、そう言えば祭司とかは蘇生リカバリーできるんだっけっか?とはいえ、多大な寄付が必要なので庶民には到底受けられないが。
でも、魂がどこかに捕らえられているからそれもできないだろう。
「ユアン兄さま、多分、神殿に行っても生き返らないよ」
「……どういうこと?」
「魂がどこかに捕らえられてるみたい。テレシアとクラウスに探らせたけど無理だった」
「ちっ、こういう時に役に立たない」
ユアン兄さまがそう悪態をついて、ティファに自分のマントを被せる。
「一先ず、保管して貰って事後処理は俺がしておくから弟は帰りな。アルト」
「畏まりました」
アルトがそう答えたと同時に景色が変わる。
はっと気が付くと俺の部屋の扉の前にいた。こんな簡単に王宮には入れていいのか。
「殿下、今後部屋から出る際にはベルを鳴らしますようお願い致します」
「あー、うん」
「お願いいたしますね?」
「はい……」
アルトの圧に押され俺は頷いた。それからアルトは報告がありますのでと言って行ってしまった。昼食は他の者に運ばせるという。はいはいっと適当に返事をしてさっさと行かせて部屋に戻る。
ベッドの方を見ると、掛布団が捲れてルチアーノがいない。
「……あれ?」
トイレだろうか。俺はそう思いながらベッドを整えてソファに座り込む。
当初の目的であるマイクたちの様子を見るというのは達成した。とはいえ、あそこの学院での立場が弱すぎて貴族の言いなりになっているところは許容できない。しかし、学院生でもない俺が彼らの力になれるとは思えない。その上孤児ともなると周りの目が……。俺が学院に通って仲良くなれば風当たりも和らぐだろうが……。
「トイレ長くない?」
ルチアーノが全く出てこない。不安になってトイレの扉をノックして声をかけた。反応はない。
「ルチアーノ?」
ドアノブを捻ると鍵がかけられていない。そっと扉を開けるとそこにはルチアーノがいなかった。
俺はすぐに探索を使い彼がどこにいるか探そうとして、扉が開いた。ばっとそちらを見るとルチアーノがいた。その事に胸をなでおろし、彼の名前を呼ぶ。
「ルチアー……」
「やあ、アズール」
「―――っ!!」
扉の影で見えなかったルチアーノの横から男が顔を出す。
「ダメじゃないか。ここは王宮、無断で人を囲うなんて、ねえ?」
「……申し訳ありません」
頭を下げると、にこにこと笑顔が崩れることなく―――続柄的に言えば俺の父はうんうんっと頷いた。
彼に非はないだろうが、可能性のあるあの記憶を見た俺には全力警戒する相手だ。俺の行動がルチアーノの死に直結する。
もしも、ティファのように魂が奪われたら自分でも何をするか分からない。
「まあ、私としてはお友達が出来たようで良かったよ。ユアンやアンリから事情は聞いてるけど、特別扱いはできないからこっちで彼の待遇は処理しておいたよ。アルトと同じく君の世話係になって貰ったから。あまり目立つ行動は避けてね?可愛い私の子」
「え、はあ……」
身構えたがそれだけ言って父は去って行った。まあ、あれでも国王様だし、どう考えても忙しいだろう。その中で俺の為に時間を割いてくれたことはありがたいが……。
「ルチアーノ、あの人に何かされなかった?」
「大丈夫だったよ」
「……ならいいけど」
まあ、ルチアーノの扱いはどうしようと思っていたところだし、バレてスパイ容疑とかかけられたらたまったもんじゃない。そう考えればよかったと言えるだろうが。
どうしても、あの記憶がよぎってしまい素直に喜べない……。
その後、昼ご飯を持ってきたメイドがやってきて部屋で一緒に食べる。ルチアーノのことは既に通達済みであるのか、ルチアーノの分まで運んでくれた。
それらを受け取って遅めの昼食だ。
「アズール、さっきまでどこ行ってたの?」
「ん?ああ、学院に行って皆の様子を見てきたんだよ」
「イリーナちゃんたち?どうだった?」
「孤児って対場が弱いから、予想通りって言えば予想通りなんだよね~」
「そっか」
昼食が運ばれていつものように食べる。マナー的に言えば家臣と一緒に食べるとかNGなんだけど非公式だし俺が気にしないし良いだろう。
もぐもぐと食べつつルチアーノの頬を拭う。
まあ、彼らのことも心配だが、今回の事件を考える必要があるだろう。
まず、ティファのことだろう。彼は俺が第四王子と分かった瞬間に豹変し攻撃を仕掛けた。
しかも、何かに怯えたような感じだ。失敗できない的なことを言っていたから何か強要されていることは間違いないだろう。ということは、ティファを通じて誰かが俺に敵意を向けてきているということだろうか。
それで一番の目的は誰が俺に対して敵意を向けているのかである。政治的なものだろうか。とはいえ、4番目の王子なんて大した権力もない。しかも、俺に対する評価は無能の我儘王子だ。だからこそ消したいのか?ほっといても俺が王様になる確率なんて全くないのに。
それとも単純に俺が嫌いだからとか?うーん。あるとすれば嫉妬とかか?
俺の周りには顔がいいものばかり集まるし、その中でも監禁するやつが多数……。嫌でもそんな事で俺を殺そうとするか?
大体にして俺の代わりを務めてくれたというのに、いきなり死ね!なんてひどすぎる。もしも俺に成り代わりたいとかだったら俺はこの体も権力も全て明け渡す所存なのだが!ええ!
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