来世でよろしく

紫鶴

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17歳の俺

第4王子17歳 6

双子の話を聞いた。
あの誘拐事件が完全にトラウマになってノイン君は今までの力を発揮できず厄介者扱いになってしまい、従妹の子が次期当主となったそうだ。また、経営が不振で凶作やら疫病やらが重なりいつの間にか双子は不吉という噂が流れたそう。そのおかげで従妹は次期当主として支持を集めているし、悪者がいるってだけでストレスのはけ口にもなるよね。よく殺されなかったね。そこまで切羽詰まってたわけでもないのかな?
とはいえ、わが子より兄弟の息子を選ぶとは……上に立つ人の考える事ってわっかんないなぁ。良くあることなの?別に魔法がうまくできなくてもいいと思うけど。うまく経営できればいいんじゃないの?
そして今回の竜騒ぎであわよくば……という思惑の元送り込まれたそうだ。
うーん、胸糞悪い。そっちが要らないなら貰うよ?

「成程。じゃあ、死んじゃう?」
「え?」
「え……?」

にっこりと笑って見せるとノルン君とノイン君は不思議そうに俺を見た。

***

「殿下!テントの設営が終わりました!」
「ティナありがとう」
「はい!あ、それはまだ寝てるんですね。そのままにしておいたらどうですか?」
「うんそうだね。起きるまでそっとしておこう。貴方方もそれでいいですか?」

扉を開けて、双子がいる事を見せながら双子についてきた彼らを見る。彼らは頷いて「勿論です」っと言っていた。
あの話を聞いた後だと、こいつら妙に足音少ないなとか、軽装備でダボっとした服着てるなとか思うところがある。
うまくいってもいかなくても殺す気満々だ。ならば、こっちだって!
馬車を降りて、扉を閉める。その瞬間かっと光だした。

「殿下!!!」
「っ!」

ティナが俺の腕を引いて覆いかぶさる。そして、強烈な爆発音と熱、突風を感じた。

「馬車がっ!?」
「火を!火を消すんだ!」

その場は騒然としている。馬車には火が付いており、崩れていく。じっとそれを見て、少しは出過ぎたか?っと思ったが兵士が慌てているところを見ると効果は絶大のようで良かった。

「殿下、ここは危険です。帰りましょう」
「そうだな。帰らせてもらおう」

ティナがそう言って近くの兵士に声をかける。兵士は手伝いもしないのかっという顔をしたが、それよりも怪我をさせて面倒ごとを避けることを重視したそうだ。まあ、この国の王子に一介の平民が発言できないだろうけど。
ティナには申し訳ないが設営してくれたテントを一瞬で鞄の中にしまって貰い、彼の腕を掴む。少し強くひきすぎたので肩がぶつかってしまった。

ごめんっと謝ろうとしたがびくうっと思いっきり大きく体を震わせて一瞬離れようと体が動くが踏みとどまってくれた。うん、ごめん痛かった?悪いけど我慢して。一瞬だから。
そして、俺は一瞬で王宮の部屋に帰ってきた。そっと手を離すとダッシュでティナが離れていくので少し傷ついた。そんなに痛かった?

「ティ、ティナ。家まで送るよ……?」
「い、いいいいいえ!帰れますので!」
「でも、もう遅いし……」
「お、お世話になりました!また明日!!」

ティナが勢いよく出ていった。大丈夫だろうか。ここ一応王宮だから目をつけられたりしないよね。
というか、一週間も有給取ってくれたのに一日で帰ってきちゃったよ。後の有給はゆっくり過ごしてください。
さて、と。
俺はきょろきょろと周りを見渡して、風呂場の扉を開けた。そこにはノルン君とノイン君が座り込んでいる。

「俺が言うのもなんだけど、本当に良かった?」
「ああ。もう俺らがいなくてもいいからな」
「そうだね」
「うん、まあそうならいいんだ」

早い話、死んだことにして囲っちゃおうってことだ。双子のサンプルは欲しいし、何なら助手欲しかったし?

「でも、アズールはいいの?いくら王子様でも勝手な真似はできないんじゃ……」
「ああそこはだいじょう……」
「何が、ですか?殿下」

背後から聞こえた声に俺は体を震わせた。振り返るとぎろっと睨みつけているアルトがいる。
アルトは俺と目が合うとにっこりと笑顔を見せる。

「お早いお帰りですね、殿下。第一王子殿下にのみお伝えし、クレイドさんだけ同行して行ったそうですね。その上、その二人は?」
「う、あ、え、えっと……」
「不審者として突き出しても?」
「ダメ!俺のと、友達だから!」

くああああっ!自分でそう言うと恥ずかしい!
俺は思わず変な顔になって恥ずかしがるが、アルトの表情は変わらない。んんっと俺が咳払いをしてこうなった経緯を説明する前に、扉がノックされた。しかも聞こえた声が信じられない人の者である。

「アズールいるー?いるよねー?入るよー?」

国王陛下の声だ。なんでここに来たんだ!?

「! 二人はここにいてください。殿下」
「わ、分かってる!二人はここにいてね!」

ここにいれば怪しまれちゃうし、バレる。さっさと彼のところに向かうとにこっと笑顔で彼は俺を見た。

「君も一緒だったんだね。帰っていいよ」
「いえ、私は―――」
「ん?聞こえなかったな。もう一回言って?」

にこやかな笑顔とは裏腹に威圧的な言葉を放つ。アルトに何かされると思い、腕を引いてアルトを見た。ここは従って貰わないと最悪不敬罪とか吹っ掛けられるぞ。こいつの性格を未だにつかめていない上に、寝ていた間の夢でかなり警戒しているのだ。アルトに何かあったら困る。

「……失礼します」
「はい、お疲れ様」

礼をしてアルトは早々に去っていく。去り際ちらっと俺を心配そうに見ていたが大丈夫だと頷いておいた。殺されることは無いだろう。多分。

「さて、アズール。まずはお帰りなさい。竜はどうだった?」
「ただの魔導兵器でした」
「ふうん?お気に召さなかったわけだ」

まあ、その通りだけど。どうしてわかるんだこいつ。

「それで、言うことあるよね?」
「……と、友達を、住まわせて養いたいのですが」

この前にルチアーノの件は兄さまたちからのはず。今回、こんなに早くに気付かれるなんて、この男この王宮内を常に監視でもしてるのか?とはいえ、俺よりも位が高いので素直に言うしかない。
俺がそう言うと、彼は頷いた。

「うん、素直な子は好きだよ。それにアズールの大事なお友達なら手助けしよう。そうだな、親衛隊なんかどう?君のところは警備が薄いからね」
「……いいんですか?」
「勿論」
「ほ、他には何もないんですか?」
「他?うーん、特にはないね」


ええ?まじで?俺だったらここぞというばかりに無理難題を吹っ掛けるけど?怖いんだけど何もないのは逆に。

そう思っていると彼は俺を通り過ぎて風呂場に向かう。あっと思っていると、ノイン君とノルン君が連行されていった。俺もついていこうと思ったが、おやすみっと圧力がかけられてしまいそのまま見送ってしまった。俺がお願い事を了承したから酷いことはしないだろうけど……。

やっぱりあの人何考えてるか分かんない……。
感想 10

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