92 / 208
違和感と感情
しおりを挟む
「朝ごはんが……っ!!」
「出来ている……っ!!」
「勝手ながら作らせていただきました」
一晩泊めていただいたので当然だろう。昼ご飯を食べた後、食材を買ってきてくれたので焼いた魚とふろふき大根、漬物を並べた。
二人は、お、おお、と声を出しながらふらふらと座布団に座る。とても感動しているのは分かる。昨日の夕飯も感動していたのにこの人たちは小さなことで喜びすぎではないだろうか?
「お、おい、しい……っ!」
「う、あったかい、おかずがあったかい……」
泣きながら食べている。
すっとお茶を出すと「ありがとう……っ!!」とむせび泣きながら感謝を伝えられた。
「あー。お茶まで美味しい……。雇いたい……」
「一生家にいて……住み込みで給金払うから……」
「え」
二人がそういうので驚いてそう声をあげるとハッとした二人が慌てて言葉を募る。
「い、いやいや冗談だから!!」
「そうそう、家族がいるでしょ?そうだ、家までおく……」
「……」
家族。その言葉を聞いて俺は大きく体を震わせてしまった。今あそこに戻ったら殺される。ぎゅっと目を閉じて、恐怖を抑え込んでいるとそっと手を握られた。
顔をあげると叢雲さんと紫さんが近くにいる。
「しーちゃんさえよければ、ここで働いてくれないかな?」
「給金が払えなくなることは絶対にないから、お得だよ?今なら住み込み可!」
「え、で、でも……」
流石に断ろうと思っていたら、すっと二人が両脇で力強く俺の手を握ってくる。
「あの、本当、美味しいご飯が毎日食べたいのでここにいてください!!」
「温かいご飯毎日食べて人生楽しく生きたいのでどうかここにいてください!!」
「あ、え」
そんな必死にお願いされるとは思わず、なんといえばいいのか迷っていると二人が芳しくない俺の反応に慌て始める。
「金か!?そんなのいくらでも!!俺これでも高給取りだから!!」
「部屋はあるし、服とかも買うよ!!欲しいものは何でも買うから!!」
「「だから、美味しいご飯を提供してください!!」」
「お、俺でよければ……」
二人の必死な姿に俺は頷いた。すると二人は手を取り合ってありがとうと俺に感謝を伝えてくれる。
お金の問題は確かにあったし、これから住む場所も考えていた。飢えることなく寒さもしのげる場所があるのなら、提案を受け入れるに決まっている。
決まっているけれど、こうもうまい具合に手に入ってしまうとこれから悪いことが起きるのではないかと少し身構えてしまう。
ここ最近、いいことだらけだったからあまりつり合いが取れていないかもしれないが……。
「あ、であれば、夕飯凝ったものを作りたいと思いますけど、何食べますか?」
「え、え、いったら作ってくれるの!?」
「ほ、ほ、ほんとうに!?」
「俺の知っている料理でしたら……」
そう言うと二人は一斉に声をあげる。
「ぶり大根!!」
「筑前煮!!」
どちらも煮ものだが違う料理だ。しかし、作ったことがある料理なので問題はない。
「じゃあ、二つとも……」
「いや!お腹いっぱい食べたいからおかず一品大量に作って欲しい!」
「兄さんの言う通り。だからここは、勝負!!」
二人が朝ご飯をバクバク食べ終わった後にすっと立ち上がってしまう。昨日の攻防を思い出し、まさか殴り合いでもするのではないだろうかと思って慌てて仲裁に入ろうとしたが、彼らは箱を持ってきた。
あの箱には覚えがある。
「「百人一首で!!」」
「あ、成程……」
平和的な解決方法でよかった。
「出来ている……っ!!」
「勝手ながら作らせていただきました」
一晩泊めていただいたので当然だろう。昼ご飯を食べた後、食材を買ってきてくれたので焼いた魚とふろふき大根、漬物を並べた。
二人は、お、おお、と声を出しながらふらふらと座布団に座る。とても感動しているのは分かる。昨日の夕飯も感動していたのにこの人たちは小さなことで喜びすぎではないだろうか?
「お、おい、しい……っ!」
「う、あったかい、おかずがあったかい……」
泣きながら食べている。
すっとお茶を出すと「ありがとう……っ!!」とむせび泣きながら感謝を伝えられた。
「あー。お茶まで美味しい……。雇いたい……」
「一生家にいて……住み込みで給金払うから……」
「え」
二人がそういうので驚いてそう声をあげるとハッとした二人が慌てて言葉を募る。
「い、いやいや冗談だから!!」
「そうそう、家族がいるでしょ?そうだ、家までおく……」
「……」
家族。その言葉を聞いて俺は大きく体を震わせてしまった。今あそこに戻ったら殺される。ぎゅっと目を閉じて、恐怖を抑え込んでいるとそっと手を握られた。
顔をあげると叢雲さんと紫さんが近くにいる。
「しーちゃんさえよければ、ここで働いてくれないかな?」
「給金が払えなくなることは絶対にないから、お得だよ?今なら住み込み可!」
「え、で、でも……」
流石に断ろうと思っていたら、すっと二人が両脇で力強く俺の手を握ってくる。
「あの、本当、美味しいご飯が毎日食べたいのでここにいてください!!」
「温かいご飯毎日食べて人生楽しく生きたいのでどうかここにいてください!!」
「あ、え」
そんな必死にお願いされるとは思わず、なんといえばいいのか迷っていると二人が芳しくない俺の反応に慌て始める。
「金か!?そんなのいくらでも!!俺これでも高給取りだから!!」
「部屋はあるし、服とかも買うよ!!欲しいものは何でも買うから!!」
「「だから、美味しいご飯を提供してください!!」」
「お、俺でよければ……」
二人の必死な姿に俺は頷いた。すると二人は手を取り合ってありがとうと俺に感謝を伝えてくれる。
お金の問題は確かにあったし、これから住む場所も考えていた。飢えることなく寒さもしのげる場所があるのなら、提案を受け入れるに決まっている。
決まっているけれど、こうもうまい具合に手に入ってしまうとこれから悪いことが起きるのではないかと少し身構えてしまう。
ここ最近、いいことだらけだったからあまりつり合いが取れていないかもしれないが……。
「あ、であれば、夕飯凝ったものを作りたいと思いますけど、何食べますか?」
「え、え、いったら作ってくれるの!?」
「ほ、ほ、ほんとうに!?」
「俺の知っている料理でしたら……」
そう言うと二人は一斉に声をあげる。
「ぶり大根!!」
「筑前煮!!」
どちらも煮ものだが違う料理だ。しかし、作ったことがある料理なので問題はない。
「じゃあ、二つとも……」
「いや!お腹いっぱい食べたいからおかず一品大量に作って欲しい!」
「兄さんの言う通り。だからここは、勝負!!」
二人が朝ご飯をバクバク食べ終わった後にすっと立ち上がってしまう。昨日の攻防を思い出し、まさか殴り合いでもするのではないだろうかと思って慌てて仲裁に入ろうとしたが、彼らは箱を持ってきた。
あの箱には覚えがある。
「「百人一首で!!」」
「あ、成程……」
平和的な解決方法でよかった。
45
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います
黄金
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻!
だったら離婚したい!
ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。
お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。
本編61話まで
番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。
※細目キャラが好きなので書いてます。
多くの方に読んでいただき嬉しいです。
コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます!
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません
くるむ
BL
進化により男も子を産め、同性婚が当たり前となった世界で、
ノエル・モンゴメリー侯爵令息はルーク・クラーク公爵令息と婚約するが、本命の伯爵令嬢を諦められないからと破棄をされてしまう。その後辛い日々を送り若くして死んでしまうが、なぜかいつも婚約破棄をされる朝に巻き戻ってしまう。しかも5回も。
だが6回目に巻き戻った時、婚約破棄当時ではなく、ルークと婚約する前まで巻き戻っていた。
今度こそ、自分が不幸になる切っ掛けとなるルークに近づかないようにと決意するノエルだが……。
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる