サラリーマン青木君 お花見編~

富井

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お花見・・・終盤戦

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このちょっぴり甘えてせかすような言い方の時は返事に注意しなければならない。

不用意な返事するととんでもないお釣りが返ってくるときがある。

「俺は・・・山さんやまっちゃんや優さんに会えた事かな・・・」

まあ、及第点ってところかな・・・などと満足していると、

「青木君って、案外面白くないね。今時の子って、もっとトリッキーな返事を返してくるのかと思ったら、案外普通って言うか・・・優ちゃんの頃のほうが面白かった。つまんないや・・・」

「すいません・・・・」

ジュースしか飲んでいないのに、酔っ払い以上にタチが悪い・・・

「ねえ、優ちゃん何か面白い話してよ。」

「青木君って、酒飲めないの?」
「飲めますよ。でも、強くないから。」
「今日はちょっとでいいから付き合ってよ。」
「どうしたんですか優さん。いつものクールな優さんらしくないですね。」
「フラれたんだよ・・・マジでへこんでるんだ・・・こんなの初めてで・・・」

「面白そうだねその話。聞かせてよ。」

「いえ、内容はないです。ただ、フラれたという結果があるだけで・・・」

「なーんだ。つまんない。まっちゃんは・・・こたつの話しかないよね。」

「この間、見合いしました。」

「え、何? 面白そうじゃん!」

「断られました。」

「え・・・もう、面白くないから僕帰るね。モモのジュースなくなったし、お腹いっぱいになったから。」

「は?」

「あ、青木君はこの製品が撤収に来るまで残っていないとダメだからね。
年功序列は会社の鉄の掟だからね。」

「え・・・?」

「なーんちゃって。嘘、嘘。驚いた。青木君をここで一人残して帰るわけないじゃん。
ちゃんと最後までいます。安心して。」

「あ・・・」

本音を言えば帰ってもらっても全くかまわなかった。イヤ、できれば一人になって自分の置かれている状況を判断できるいい機会かもしれないとさえ考えていた。

「大丈夫だよ、安心して。僕らはいっつも一緒のコタツ仲間だからね。」
「え・・・?」

「だって、コタツって4人は入れるところがあるでしょ。これが三人だと、空いてるところがすっごく気になるでしょ。ほかの家電はひとりでも楽しめるけど、4人そろわないとなんだか寂しい家電って・・・面白くない?」

いや、面白くないし・・・この人は何を言っているんだろう酔っているのか、モモのジュースで!



「と言うことで、お花見の続きをしよ。青木君、何か話して。面白いことを。」

「えーっと、この間、美容器具開発部の水谷が・・・」
「あ、会社の話はいいや、何かオチが想像つくし、もっと面白い事話してよ。
じゃあ、次、優ちゃん。」

オカシイ・・・デジャブか・・・なぜ懲りない!山さん。どこまで掘り下げても面白い話なんて出ては来ないぞ!!

「ハイ、次、まっちゃん・・・は、コタツの話しかないか・・・じゃ、青木君。」

まっちゃんは戦力外扱いで順番が早く回ってくる。頼む、家電の撤収早く来てくれ!

「あ・・・あの・・・この酒飲んでいいっすか。」

「あ、いいよ。このお酒、デジタル部門の西君の実家の近くで作った梨のお酒なんだって。きっとおいしいよ。飲んだことないけど。きっと、きっとおいしいに決まってる。モモのジュースだってあんなにおいしかったんだもん。まあ、僕はお酒は飲めないけどね・・・僕の奥さんは飲むんだ。そのお酒も去年は貰って帰って、奥さんがおいしいよって飲んでた。
まあ、僕は飲まないから味は知らないんだけどね・・・飲めば。」

「いえ・・・奥さんに・・・・」

そこまで言われて開ける勇気のある奴なんて・・・いない・・・

「そうだ・・・山さんも何か面白い話してくださいよ。」

「え、聞きたいの?」

苦し紛れに山さんに振った後、コタツの中で俺の足を蹴る二本の脚・・・その足がまっちゃんと優さんだと言うことはすぐわかった。

そして延々と・・・延々と山さんの話を聞かされて、背後に並んでいた数々の家電はいつの間にか撤収され、食い物も底を突き、友人が迎えに来た優さんが去り、トイレに立ったまっちゃんが帰って来ないまま、コタツには話をやめない山さんと俺だけで・・・白々と朝を迎えることになる。

バブルを乗り越えてきた人のタフさ加減は半端ない!サラリーマンとして相当鍛えられてきたのが解る。
話も一向に尽きない。ある程度まで行くと勝手にリピートボタンが押される・・・
そして、散々取り留めもなく話を終えた後、

「あ、もうこんな時間だ。解散しようね。じゃ!」

と帰って行く元気も残っている。

株式会社NN コタツ部コタツ課、青木志貴、入社5年目を迎え
「そろそろ潮時かな・・・」と考える今日この頃である。


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