サラリーマン青木君 お花見編~

富井

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お花見・・・中盤戦

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「あ・・・そんなに粉を練ったらおいしくないですよ。」
「優さん、すいません。」
「大丈夫っす。俺、料理得意なんで。」

「優さんって、すごいですね。頭もいいし、顔もスタイルもいいし、音楽もできるし、仕事もできて、料理もできるなんて、言うことありませんね。」

「え?青木君、まだ懲りずに優ちゃん狙っているの?ダメだよ優ちゃんは、ライバルが多いんだから。」

「すいません青木さん。俺、社内では恋人作らない主義なんで。」

「だから・・・優さん、マジで受け止めるのやめてください。」

「青木君はお酒飲む?」
「いえ、俺、飲めないっす。」

「そうか・・・残念だな。デジタル部門の課長の西君にとってもおいしいの、貰ったのに・・・残念だ・・・」

「あ、いいです。皆さんで分けてください。俺、ジュースで。」

「僕達も飲まないんだ。まっちゃんも。
西君はね。実家が桃農家で、毎年、とってもおいしいモモのジュースをくれるんだ・・・いつもは僕とまっちゃんだけで分けてたんだけど・・・今回は3人で分けるのか・・・・残念だな・・・・」

「いえ・・・・いいです・・・・お二人でどうぞ・・・」

「いや、だって、悪いよ。すっごくおいしいんだよ。もう喉が蕩けゃうくらいおいしいんだ。それを僕達だけでなんて・・・悪いよそんな。毎年毎年、これをくれるんだけど、はっきり言ってこれが楽しみで参加しているようなもんなんだ・・・そのくらいおいしいのに、それを君にあげないなんて・・・そんなこと・・・・」

「いえ・・・俺、マジ大丈夫っす・・・お二人でどうぞ・・・」

「本当に?スーパーで買えないんだよ。デパートで買っても3年待ちとかのすごいジュースなんだよ。3年待っても桃が不作だったら5年や8年は待たないと飲めないほどの素晴らしいジュースなんだよ。そんないいジュースなのに・・・悪いね・・・じゃ・・・」

そこまで言われたら飲みたくなる。
けど、そこまで煽りながら、最後は勧めない。
仕方なく、コンビニで買ったごく普通のそこら辺で売っているジュースのふたを開ける。

「じゃあ、乾杯しようか。」

さっきのモモのジュースがピンク色の宝石のように見えてきた。
けれど、今更ほしいとも言えず、ぐっとペットボトルを握りしめる・・・・

「優さんはお酒飲めるんですか?」
「うん。飲むよ。」
「車どうするんですか?」
「友達が迎えに来てくれるから大丈夫。来なくても、これだけいろんなものがあれば、二、三日ここで生活できるっしょ。」
「ワイルドだな・・・屋根ないっすよ。」
「別にいいじゃん。雨が降ったら風呂入らなくて済むし。」
「優ちゃんって、顔に似合わず男だろ。こういうところがたまらないんだよねー青木君。」
「なんで俺に振るんですか。」

「どうでもいいが、タコ焼きがぐっちゃぐっちゃじゃないか。従来、タコ焼きとは丸いものなのではないか?」
「でも、うまくできないんですよ。」

「え、これって、自動で丸くならないの?」

「家電ですから、そこまでは・・・」

「君の気持ちが足りないせいだろ。君の気持ちがそうやってぐっちゃぐちゃだから、タコ焼きもぐっちゃぐちゃに・・・」

「そんなことないです。おいしいタコ焼きを作ろうと、心はもうクルンクルン丸くなっています。もうクルンクルン回ってますよ。」

「実際はぐっちゃぐちゃでガタガタした、ヘッタくそなもんじゃ焼きじゃないか。」

「まあまあ、まっちゃん、悪いのは青木君じゃないよ。
タコ焼き器の件はキッチン家電部に僕から言っておくから。青木君でもうまく作れるのを作れって言っとくから、楽しく食べようよね。
優ちゃんもテレビ見るのやめて、お話しようよ。
ね、喧嘩とかしてるとコンプなんとかで僕が怒られちゃうんだから、僕も後ちょっとで定年だし、ゆっくりのんびりさせてよね。」

「みんなこの時期ってやっぱ忙しいンスよね・・・」

「そうっすよねー俺、マジでコタツ部でよかったと思います。
仕事少ないし、すんげー暇だし、給料も少ないけど、その分楽できて最高っす。
有給もがっつり取れるし、同期で入ったほかの部の奴見てると可哀そうになってきます。
やりがいが・・・とか言ってるけど、俺は暇なほうがいいっす。」

「私はコタツ部に入りたくて入社したのですから、もう、ここに居られるその事だけで幸せです。」

「じゃあ、青木君は?」

「は?」

「青木君はコタツ部に来て何がどのくらい幸せかを述べよ。」

さあ、困った・・・
仕事だから仕方ないなんて口が裂けても言えない・・・
実際、忙しく働く他の部署の動機がうらやましくて仕方ない。

仕方なくテレビに目を逸らす。そしてテレビを消される。

「ねえ、青木君はやく!」
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