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迷った!
理玖のメンタル
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太はカバンの中を探り、キャラメルを2個見つけると、一個は理玖の口に入れ、もう一個を歯で半分に割り、その半分をヒロトの口に入れ、もう片方を自分の口に入れた。
「どうして?」
「小学校の時、知らない人の車に乗ってはいけませんって習っただろ。」
「けど・・・僕らそんな悪人に見えるかな?まだ高校生だし、この乗り物だって降りようと思えば、いつでも飛び降りれちゃうほどのスピードしか出てないじゃん。
サフルの時だって、太は喜んで一番に飛び乗ったでしょ。」
「あれはクレタと友達だってわかったからで・・・
1回目はクレタも断ったし・・・
俺達が悪人じゃないことを知っているの俺達だけだよ。初対面の人はやっぱ警戒するだろ。」
「誰ともすれ違わないこっちの世界でいい人か悪い人かなんて多分どうでもいいんだろ。
自分の与えられたことをただ淡々とする。それが自分の仕事だって言っていたじゃないか。」
「相変わらず優等生のお言葉ですね・・・ハイハイ、理玖君の言う通りですよ。」
「棘のある言い方だな。」
「ちがうよ、理玖、太は理玖を信頼しているんだよ。
言い方は間違っているかもしれないけど、太なりに感謝もしているんだから。」
「感謝ね・・・」
「ああ。おれはバカだからな、頭を使うことはお前が隊長だよ。俺は従うよ。
もう、なにもかもどうでもよくなってきたんだ。本当だったら昨日、まひろとデートだったんだ・・・って考えていたら、なんか体の力が抜けてさー・・・もうなんでもいいやって感じ。」
「また、まひろのこと思い出していたんだ。」
「いいだろ。どっちみちもう会えないんだ。今あっちに戻っても、もう会ってもくれないよきっと。」
「それで落ち込んでるの?」
「あたり前だろ、俺だって勇気を振り絞って、やっと誘ったのに・・・」
「いいじゃん。僕がデートしてあげるって。」
「だから、それとこれは違うの。まひろは、まひろなの。」
「もう!太は!」
「ちょっと黙ってくれないか。」
理玖は二人の会話に苛ついて大声を上げた。
「ちょっと静かにしてくれ。」
「どうしたの?」
「わからない・・・なんだか胸がざわついて・・・落ち着かないんだ。」
理玖はお腹の奥のほうがぎゅっと握りつぶされるような胸の内側をくすぐられるような、とても嫌な感じがしていた。今までテストやら、検定やらで緊張することは度々あったが、こんな押しつぶされそうな不安を感じたのは初めてだった。
「理玖、もう一個キャラメル食べる?」
太がキャラメルを差し出したが、相変わらずノーテンキで理玖にすべてを預けている感じがより苛立たせた。
「いらない。」
「あそ。」
けれど、太は太なりに精一杯気を使い、なるべく音を立てずに静かにしているつもりだった。
三人の乗った乗り物は、がたがたとエンジンの音だけをさせて進んだ。
がたがた、ごとごと、その音しか聞こえてはこないのに、それはそれで苛立ち、ヒロトと二人でこそこそと自分の悪口を言っているのではないかと、そんな思いが先走り、
「言いたいことがあるならハッキリ言えよ!」
と二人を振り返って怒鳴ってしまった。
その時、太は、もっとキャラメルが落ちてないかと思いカバンの中を探っていたし、ヒロトは吸盤がキュッと吸い付くことにようやく慣れてきて、クレタのほっぺでその吸い付き加減を確認しているところで、理玖の悪口なんて言っていないし、考えてもない。
「ご、ごめん・・・」
思い過ごしだったことがわかったら、今度はそんなことで八つ当たりした自分自身が情けなくて腹が立ってきた。
「理玖、運転変わるよ。きっと疲れているんだ。」
太は理玖の肩を叩いた。
「イヤ。いい。」
理玖は太の申し出を断り、乗り物をスタートさせた。森の入り口はもう見えていた。
森へは真っすぐの一本道で、木や草は生えてはいるが、日も差し込んでいて、ずっと奥までも見渡せるほど道幅も広く通りやすそうだった。
けれど、この時、理玖は維持を張らずに運転を代わるべきだった。
そして太もヒロトも、あの大きな荷物を持った人の話をもう一度思い出すべきだった。
だが、そんなことは露ほども思い出す事なく、森への道を目指し乗り物を走らせ、十分もせずに道に迷った。
森へ入る前は、迷いようがないほどまっすぐに見えた。が、しかし、思い切り迷ってしまった。
「どうしよう・・・どうしよう・・・どっちへ行くのかわからない・・・」
「とにかくまっすぐ行けばいいんじゃない。まっすぐ行けばそのうち森も抜けるよ。」
「どこで間違ったんだろう・・・」
「大丈夫だって。森に入る前は出口が見えるほどまっすぐだったじゃないか。ここまでだって一度でも曲がったわけじゃないし。」
「ヒロトの言うとおりまっすぐ行けばなんとかなるって。」
どんなに励まされても理玖の気持ちは沈んで行く一方だった。
どんな些細なことも、丁寧に準備をしてから取り組むのが理玖のスタイルで、イレギュラーなことに動揺が隠せなかった。
そして森の中の大きな木の下でついにエンジンを止めてしまった。
「理玖、止めたらダメだって言われていただろ。走らせろ。」
「もう無理だ。今どこにいるのかすらわからないんだ。それなのに先になんて進めないよ。
どうしよう・・・」
「どうして?」
「小学校の時、知らない人の車に乗ってはいけませんって習っただろ。」
「けど・・・僕らそんな悪人に見えるかな?まだ高校生だし、この乗り物だって降りようと思えば、いつでも飛び降りれちゃうほどのスピードしか出てないじゃん。
サフルの時だって、太は喜んで一番に飛び乗ったでしょ。」
「あれはクレタと友達だってわかったからで・・・
1回目はクレタも断ったし・・・
俺達が悪人じゃないことを知っているの俺達だけだよ。初対面の人はやっぱ警戒するだろ。」
「誰ともすれ違わないこっちの世界でいい人か悪い人かなんて多分どうでもいいんだろ。
自分の与えられたことをただ淡々とする。それが自分の仕事だって言っていたじゃないか。」
「相変わらず優等生のお言葉ですね・・・ハイハイ、理玖君の言う通りですよ。」
「棘のある言い方だな。」
「ちがうよ、理玖、太は理玖を信頼しているんだよ。
言い方は間違っているかもしれないけど、太なりに感謝もしているんだから。」
「感謝ね・・・」
「ああ。おれはバカだからな、頭を使うことはお前が隊長だよ。俺は従うよ。
もう、なにもかもどうでもよくなってきたんだ。本当だったら昨日、まひろとデートだったんだ・・・って考えていたら、なんか体の力が抜けてさー・・・もうなんでもいいやって感じ。」
「また、まひろのこと思い出していたんだ。」
「いいだろ。どっちみちもう会えないんだ。今あっちに戻っても、もう会ってもくれないよきっと。」
「それで落ち込んでるの?」
「あたり前だろ、俺だって勇気を振り絞って、やっと誘ったのに・・・」
「いいじゃん。僕がデートしてあげるって。」
「だから、それとこれは違うの。まひろは、まひろなの。」
「もう!太は!」
「ちょっと黙ってくれないか。」
理玖は二人の会話に苛ついて大声を上げた。
「ちょっと静かにしてくれ。」
「どうしたの?」
「わからない・・・なんだか胸がざわついて・・・落ち着かないんだ。」
理玖はお腹の奥のほうがぎゅっと握りつぶされるような胸の内側をくすぐられるような、とても嫌な感じがしていた。今までテストやら、検定やらで緊張することは度々あったが、こんな押しつぶされそうな不安を感じたのは初めてだった。
「理玖、もう一個キャラメル食べる?」
太がキャラメルを差し出したが、相変わらずノーテンキで理玖にすべてを預けている感じがより苛立たせた。
「いらない。」
「あそ。」
けれど、太は太なりに精一杯気を使い、なるべく音を立てずに静かにしているつもりだった。
三人の乗った乗り物は、がたがたとエンジンの音だけをさせて進んだ。
がたがた、ごとごと、その音しか聞こえてはこないのに、それはそれで苛立ち、ヒロトと二人でこそこそと自分の悪口を言っているのではないかと、そんな思いが先走り、
「言いたいことがあるならハッキリ言えよ!」
と二人を振り返って怒鳴ってしまった。
その時、太は、もっとキャラメルが落ちてないかと思いカバンの中を探っていたし、ヒロトは吸盤がキュッと吸い付くことにようやく慣れてきて、クレタのほっぺでその吸い付き加減を確認しているところで、理玖の悪口なんて言っていないし、考えてもない。
「ご、ごめん・・・」
思い過ごしだったことがわかったら、今度はそんなことで八つ当たりした自分自身が情けなくて腹が立ってきた。
「理玖、運転変わるよ。きっと疲れているんだ。」
太は理玖の肩を叩いた。
「イヤ。いい。」
理玖は太の申し出を断り、乗り物をスタートさせた。森の入り口はもう見えていた。
森へは真っすぐの一本道で、木や草は生えてはいるが、日も差し込んでいて、ずっと奥までも見渡せるほど道幅も広く通りやすそうだった。
けれど、この時、理玖は維持を張らずに運転を代わるべきだった。
そして太もヒロトも、あの大きな荷物を持った人の話をもう一度思い出すべきだった。
だが、そんなことは露ほども思い出す事なく、森への道を目指し乗り物を走らせ、十分もせずに道に迷った。
森へ入る前は、迷いようがないほどまっすぐに見えた。が、しかし、思い切り迷ってしまった。
「どうしよう・・・どうしよう・・・どっちへ行くのかわからない・・・」
「とにかくまっすぐ行けばいいんじゃない。まっすぐ行けばそのうち森も抜けるよ。」
「どこで間違ったんだろう・・・」
「大丈夫だって。森に入る前は出口が見えるほどまっすぐだったじゃないか。ここまでだって一度でも曲がったわけじゃないし。」
「ヒロトの言うとおりまっすぐ行けばなんとかなるって。」
どんなに励まされても理玖の気持ちは沈んで行く一方だった。
どんな些細なことも、丁寧に準備をしてから取り組むのが理玖のスタイルで、イレギュラーなことに動揺が隠せなかった。
そして森の中の大きな木の下でついにエンジンを止めてしまった。
「理玖、止めたらダメだって言われていただろ。走らせろ。」
「もう無理だ。今どこにいるのかすらわからないんだ。それなのに先になんて進めないよ。
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