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旅の終わり
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リリーの言った通り、天使の街の門を出て、15分走ると坂道になった。
その坂をどんどん、どんどん、登って行った。
ただただ道は真っすぐだった。
その坂を登り始めた頃くらいから、三人の頭の中に映画を上映されているかのように、映像が見え始めた。
それはまるで昼間見る夢のように、全身から力が抜けてふんわりとして気持ちのいいような、少しだるいような、不思議な感覚だった。
「俺達って、保育園の頃からまともに運動会出てないよな・・・・」
「そうだな、よく持って昼飯後の2つ目の競技までか・・・」
「早ければクラス対抗リレーで喧嘩・・・・でも不思議だよね、二人は捻挫か打撲くらいで骨を折ったことはないよね。」
「そうだな、俺は理玖に歯を折られたけどな。」
「それは女神さまの仕業だと言うことが判明しただろ。」
「そうか、あいつにも責任の一端があったんだな。」
「運動会だけじゃない・・・文化祭もぶち壊しだ。」
「俺達って・・・周りの人にも相当迷惑かけたな。」
「けど、やっぱ一番はヒロトだな。俺達にはヒロトがいてくれて本当によかった。ありがとうな。ヒロト。」
「そうだよ。俺達は骨を折ったことはないけど、ヒロトは俺達のけんかの仲裁で2回腕の骨を折っているからな。悪かったなヒロト。」
「ううん・・・僕は・・・うれしかった。理玖と太が友達でいてくれるだけで、本当にうれしかった。カエルになった今でも友達でいてくれて・・・・」
「不思議だよな、同じような時に、同じようなところで生まれた奴なんていっぱいいるのに、どうして俺達は仲良くなれたんだろう。
俺と理玖はあんなに気が合わなかったのに、なぜか気になるんだよな・・・」
「なんでだろうな・・・俺もだった。ヒロトが止めに来てくれるって信じていたからかな。」
「それはあるな・・・」
三人が見ていたものは、子供のころからの全部だった。
時には笑い、時には怒り、涙しながらそれを見た。
「おい!お前ら三人で何やってる。」
そんなまったりした時間を送っていた三人に、水を差すようにクレタが起きた。
(なにも今、起きなくても・・・寝てればいいのに・・・)
と三人は思った。クレタもガリウス同様、絶妙に嫌な時に登場する。
「俺達、三人のヒストリーだ。」
「俺にも見せろ。お前らだけで楽しむな。」
「見せろって言われても、どうやって見てるか俺達にもわからないよ。お前女神様だろ、自分で何とかしろ。」
「何とかできればもっと偉くなってる。見せろって!!」
クレタは後部座席から太の首にしがみついた。びっくりした太は、手を思い切り振り上げクレタの顔面にクリーンヒットした。その手がたまたまグーだったため、また気絶してしまった。
クレタは弱いため退場も早い。ここはガリウスとは少し違う。
そして静かになった車内は、また上映が始まった。
保育園、小学校、中学と成長していくけれど、相変わらず喧嘩の日々だった。毎日毎日くだらないことが原因で喧嘩をしていた。だったらほかに友達を作って、そっちで楽しく過ごせばいいのに、そういう感じでもなかった。周りの者とは話はするし毛嫌いするわけでもなく、されるわけでもない。女の子からも何度も告白された。それにも目をくれず、なぜか毎日変わらずに喧嘩をしていた。理玖が引越しするまで・・・
「理玖が引越しした時、俺本当はすごく寂しかった。」
沈黙の中、太が突然にそう言った。
「おれ、あの日・・・理玖が引越しする日。」
「ああ、家の前で会ったな。部活に行く途中だったんだろ。」
「ちがう。部活は遅刻。理玖が出発する時間に合わせた。
俺、玄関で十一時が来るのを震えて待っていた。俺のせいでお前があそこに住めなくなるんだって、謝らなきゃって思ったけど・・・・」
「やっぱり喧嘩になったな。」
「そんな風に思っていたんだね・・・太も。僕はずっとわかっていたけどね。」
運転席と助手席の間にヒロトも顔をひょっこりと出してきた。
顔はいつもと変わらない、二人がホッとする、あのほんのちょっと微笑んだあの顔だった。だが、手足は相変わらずのカエルだった。
そして坂道は急に斜度を増して、車のスピードはどんどん落ちた。
三人が見ていたものは中学を卒業して、高校に上がってからの場面に変わった。
こっちの世界に来た初日に、理玖の部屋で見せられた、あの場面だった。
ヒロトはそれを泣きながら見た。
「本当にごめん・・・謝っても、謝っても・・・謝り切れないほど、僕は悪いことをしたんだ。」
「もういいじゃないか。それも終わるよ。このカエルの手ともおさらばだ。元気出せよ!」
「そうだ。ヒロトが居なかったら、俺達はここまでこれなかったしな。」
太はヒロトの手をぐっと握った。相変わらずのカエルの感触がぞくっとしたけれど、ヒロトの悲しみを思ったら手を放すわけにはいかないと思った。
その気持ちは理玖も同じで、ここに来た時よりもより強く感じていた。
坂が急になってスピードが落ちてきたころから徐々にあたりは暗くなり、三人の思い出が一通り終わった頃には、深い闇の中にいた。真っ暗で何も見えず、道があるのかないのか、真っすぐなのかカーブしているのかも分からないところをただひたすらに走った。
「理玖、疲れたら変わるからな。遠慮なく言えよ。」
「そうだよ。無理しないで。僕も・・・多分運転できると思う・・・真っすぐだけなら・・・」
三人は真っ暗な道を、ただ、ただ、走っていた。
理玖が運転、太が助手席、後部座席のヒロトは運転席と助手席の間で、お互いのことを思いやりながら、労わりながら進んでいった。
ヒロトが思った通り、旅を終えた今、理玖と太は固い友情で結ばれていた。
その坂をどんどん、どんどん、登って行った。
ただただ道は真っすぐだった。
その坂を登り始めた頃くらいから、三人の頭の中に映画を上映されているかのように、映像が見え始めた。
それはまるで昼間見る夢のように、全身から力が抜けてふんわりとして気持ちのいいような、少しだるいような、不思議な感覚だった。
「俺達って、保育園の頃からまともに運動会出てないよな・・・・」
「そうだな、よく持って昼飯後の2つ目の競技までか・・・」
「早ければクラス対抗リレーで喧嘩・・・・でも不思議だよね、二人は捻挫か打撲くらいで骨を折ったことはないよね。」
「そうだな、俺は理玖に歯を折られたけどな。」
「それは女神さまの仕業だと言うことが判明しただろ。」
「そうか、あいつにも責任の一端があったんだな。」
「運動会だけじゃない・・・文化祭もぶち壊しだ。」
「俺達って・・・周りの人にも相当迷惑かけたな。」
「けど、やっぱ一番はヒロトだな。俺達にはヒロトがいてくれて本当によかった。ありがとうな。ヒロト。」
「そうだよ。俺達は骨を折ったことはないけど、ヒロトは俺達のけんかの仲裁で2回腕の骨を折っているからな。悪かったなヒロト。」
「ううん・・・僕は・・・うれしかった。理玖と太が友達でいてくれるだけで、本当にうれしかった。カエルになった今でも友達でいてくれて・・・・」
「不思議だよな、同じような時に、同じようなところで生まれた奴なんていっぱいいるのに、どうして俺達は仲良くなれたんだろう。
俺と理玖はあんなに気が合わなかったのに、なぜか気になるんだよな・・・」
「なんでだろうな・・・俺もだった。ヒロトが止めに来てくれるって信じていたからかな。」
「それはあるな・・・」
三人が見ていたものは、子供のころからの全部だった。
時には笑い、時には怒り、涙しながらそれを見た。
「おい!お前ら三人で何やってる。」
そんなまったりした時間を送っていた三人に、水を差すようにクレタが起きた。
(なにも今、起きなくても・・・寝てればいいのに・・・)
と三人は思った。クレタもガリウス同様、絶妙に嫌な時に登場する。
「俺達、三人のヒストリーだ。」
「俺にも見せろ。お前らだけで楽しむな。」
「見せろって言われても、どうやって見てるか俺達にもわからないよ。お前女神様だろ、自分で何とかしろ。」
「何とかできればもっと偉くなってる。見せろって!!」
クレタは後部座席から太の首にしがみついた。びっくりした太は、手を思い切り振り上げクレタの顔面にクリーンヒットした。その手がたまたまグーだったため、また気絶してしまった。
クレタは弱いため退場も早い。ここはガリウスとは少し違う。
そして静かになった車内は、また上映が始まった。
保育園、小学校、中学と成長していくけれど、相変わらず喧嘩の日々だった。毎日毎日くだらないことが原因で喧嘩をしていた。だったらほかに友達を作って、そっちで楽しく過ごせばいいのに、そういう感じでもなかった。周りの者とは話はするし毛嫌いするわけでもなく、されるわけでもない。女の子からも何度も告白された。それにも目をくれず、なぜか毎日変わらずに喧嘩をしていた。理玖が引越しするまで・・・
「理玖が引越しした時、俺本当はすごく寂しかった。」
沈黙の中、太が突然にそう言った。
「おれ、あの日・・・理玖が引越しする日。」
「ああ、家の前で会ったな。部活に行く途中だったんだろ。」
「ちがう。部活は遅刻。理玖が出発する時間に合わせた。
俺、玄関で十一時が来るのを震えて待っていた。俺のせいでお前があそこに住めなくなるんだって、謝らなきゃって思ったけど・・・・」
「やっぱり喧嘩になったな。」
「そんな風に思っていたんだね・・・太も。僕はずっとわかっていたけどね。」
運転席と助手席の間にヒロトも顔をひょっこりと出してきた。
顔はいつもと変わらない、二人がホッとする、あのほんのちょっと微笑んだあの顔だった。だが、手足は相変わらずのカエルだった。
そして坂道は急に斜度を増して、車のスピードはどんどん落ちた。
三人が見ていたものは中学を卒業して、高校に上がってからの場面に変わった。
こっちの世界に来た初日に、理玖の部屋で見せられた、あの場面だった。
ヒロトはそれを泣きながら見た。
「本当にごめん・・・謝っても、謝っても・・・謝り切れないほど、僕は悪いことをしたんだ。」
「もういいじゃないか。それも終わるよ。このカエルの手ともおさらばだ。元気出せよ!」
「そうだ。ヒロトが居なかったら、俺達はここまでこれなかったしな。」
太はヒロトの手をぐっと握った。相変わらずのカエルの感触がぞくっとしたけれど、ヒロトの悲しみを思ったら手を放すわけにはいかないと思った。
その気持ちは理玖も同じで、ここに来た時よりもより強く感じていた。
坂が急になってスピードが落ちてきたころから徐々にあたりは暗くなり、三人の思い出が一通り終わった頃には、深い闇の中にいた。真っ暗で何も見えず、道があるのかないのか、真っすぐなのかカーブしているのかも分からないところをただひたすらに走った。
「理玖、疲れたら変わるからな。遠慮なく言えよ。」
「そうだよ。無理しないで。僕も・・・多分運転できると思う・・・真っすぐだけなら・・・」
三人は真っ暗な道を、ただ、ただ、走っていた。
理玖が運転、太が助手席、後部座席のヒロトは運転席と助手席の間で、お互いのことを思いやりながら、労わりながら進んでいった。
ヒロトが思った通り、旅を終えた今、理玖と太は固い友情で結ばれていた。
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