学園のアイドルが突然「猫の後ろ宙返り、見ない？」って聞いてきた！？

聞こえちゃった、ヤキモチ爆発音

「マジで！林先輩が俺の隣に引っ越してきたんだってば！」
「はいはい～」

熊凱（ユン・カイ）に全く信じてもらえず、葉洲は諦めて説明をやめた。
確かに、金持ちの令嬢が安アパートに引っ越してくるなんて、普通ならあり得ない話だ。

「まあいい。今日の全校集会でスピーチするんだろ？長くないよな？」
「数百字だからすぐ終わる」
「じゃあ俺少し寝る。担任が来たら教えろよ」

物理の授業が始まり、分厚いメガネの楊先生が登場。
「教科書42ページ。今日は電場中の荷電粒子の運動だ」

授業途中、楊先生が突然指名。
「葉洲、この問題を解説してくれ。君の解法はユニークだ」

「はい」

教壇に向かう葉洲に、クラス中の視線が集まる。
もちろん林浅月も――

『[わぁい！葉洲くん見放題！]』
『[存分に堪能しちゃうぞ～]』

「はっ！」
心の声に驚いてよろける葉洲。
振り返ると、彼女は冷静に座っている。

（表はクールで中身はテンションMAX…）
（このギャップがたまらん）

解法を説明し始める葉洲。
クラスメイトは真剣に聞き入る。
楊先生も満足そう。

しかし…

『[高鼻梁にシャープな顎…はぁはぁ]』
『[楊先生よりスマートな解法！天才！]』
『[⁄(⁄⁄•⁄ω⁄•⁄⁄)⁄]』

（こいつ…めちゃくちゃ俺をディスってるのか褒めてるのか…）
（学力は俺と同レベルなのに）

林浅月の熱視線に、服を着ているはずなのにまるで裸を見られているような気分になる。

授業後、二人は一瞬目が合う。
彼女は素早く視線を逸らしたが…

『[目が合った！顔熱い…]』
『[でも見られてる…幸せ…]』

耳まで真っ赤になる林浅月。
葉洲はふと思った。

（まさか…林先輩、俺のことが…？）
（でもなぜ？）

彼女の後ろ姿を見つめながら、三大錯覚のことを思い出す。
「携帯の振動・逆転勝利・あの子が俺に惚れてる」

※※※

全校集会でスピーチする葉洲。
拍手喝采の中、女子生徒の囁きが聞こえる。

「葉洲先輩、思ったよりイケメンじゃない？」
「成績優秀でルックスもいいなんて…」

スピーチ後、李小雅（リ・シャオヤー）という後輩が現れる。

「葉洲先輩…QQ教えてくれませんか？」

その瞬間――

『[なにっ！？]』
『[調べて…消し…いや、でも…]』
『[私もまだ聞いてないのに…(;_;)]』

殺気を感じた葉洲が振り向くと、林浅月がじっとこっちを見ていた。
目が合うと、そっと俯く彼女。

（このヤキモチ…可愛すぎるだろ）

熊凱が肘でつつく。
「おい、返事しろよ」

葉洲はスマホを取り出し、李小雅にQRコードを見せた。
背後から聞こえる心の声が、さらに激しくなる。

『[ぎゃああああ！]』
『[私も…私も葉洲くんのQQが欲しい…]』

（しょうがないな…）

李小雅が去った後、葉洲はそっと林浅月の方へ歩み寄った。

「林先輩…連絡先、交換しませんか？」

彼女の瞳が、ぱっと輝いた。